DIARY 2005年9月


9月2日 奴がやってるニューオリンズ、あれはいいね

Mac G3からG5への移行に振り回された一週間でした。やっぱり僕、パソコン向いてないや。mixiの皆さんにアドバイスをいっぱい頂いた。th@nks! 結局メールの移行はあきらめて、ブックマークとアドレス帳だけでも移せたからよしとするか。というのが今週。
 あとは再放送の「Dr.コトー診療所」を観て泣いたり。最近こういうストレートなやつにすぐ感動してしまう。屈折を気取っていた僕はどこへ行ったんだろう。それからニューオリンズの災害です。一般的には港湾都市のイメージなんだろうけど、ミュージックフリークにとっては聖地だしジャンル名でもある。ニュースでは「ニューオーリンズ」って発音しますね。

明日からはハイドパークミュージックフェスティバルに行ってきます。宿も確保済み。レイドバックした企画に思えて、「あの時代」の意匠から遠く離れた細野晴臣さんや鈴木慶一さんが何をやるのか楽しみ。
 Macファンでもミュージックフリークでもないあなたは来週末の選挙に向けてマニフェスト占いをどうぞ。

9月3日 hibiki

ニューオリンズでは今も5万人の人が救助を待っている、Allen ToussaintやFats Dominoが行方不明だって、親しみのある個人名が出てくると心にずっしりくる。

ハイドパークフェス1日目行ってきました。ベストアクトは高野寛さんに。
 彼にとっては完全にアウェイの環境です。狭山にハウスがあった時代をよしとし、「いなたい」音が求められている状況下において、罵声が飛び交う中で潔く「今の」彼の音楽を演奏した。ゲストに小谷美紗子さんと大川タケシさんを招いて新しい才能を紹介して、その一方でメインアクトの小坂忠さんを好サポートした。演奏の素晴らしさはもちろんだけど、そのスピリットに感動しました。普遍的なロックは過去だけじゃない、今も作られているんだ。

その高野寛さんと佐橋佳幸さんのサポートを受けた小坂忠さんが素晴らしかったのは言うまでもない。「機関車」には胸を掻きむしられた。何度聴いてもすげえ歌だ。そして田中章弘さんと宮田繁男さんをリズム隊に招くという反則技でねじ伏せた鈴木茂さん。
 明日も楽しみだ。細野さんはほんとに今「Hosono House」をやりたいと思っているのか。天気も心配だ。あとは客層のマナーの悪さ。酔っぱらうのが下手なおじさんが多かった。実際、酒絡みのトラブルと喫煙絡みの事故があったという。ステージの上のおじさん達はかっこいい歳の取り方をしてますよ! あんたはどうだい?

9月4日 夏は通り雨と一緒に連れ立って行ってしまうのです

ハイドパークフェス2日目に行ってきました。細野晴臣さんの素晴らしすぎるパフォーマンスを見て、きのうとは全く違った感想を持った。
 かつて狭山にアメリカ村と呼ばれる一角があった。才能と夢を持った若者が集まってきて豊穣な音楽文化を作った。それは誰もが認める事実です。でもフェスの企画を知って、今さら同窓会やってどうすんのっていう印象を真っ先に持った。そういう意識で昨日の日記を書きました。同窓会をやってこうすんだよって答えを細野さんが教えてくれた。それをわかってたのは細野さんだけだったのかも知れないし、僕以外のすべての人だったのかも知れない。

まず言えることは、32年ぶりに「Hosono House」を演奏した細野さんは、過去に生きる表現者では決してなかったってこと。これまでに何度も大きな音楽の変革を繰り返してきた細野さん。でもそのすべては1970年代から今年まで見事につながって聴こえた。一時期は細野さん自身によっても否定されたことがある「Hosono House」は、2005年においてもリアルタイムな輝きを放っていた。それは10年前の細野さんには出来なかった芸当かも知れない。でも彼はやった。アメリカ村のアウトプットは今も生きていたんだ。
 何か大きな枷を脱ぎ去ったような、あるいは高田渡さんが憑依したような軽妙なトークの合間に紡ぎだされるの音楽に、僕は笑いながら泣いていた。

よかったのは30年前の呪縛などあろうはずもないSakerock。「うわー気持ちいいねハイドパーク!」と伸びをして、飛び回るエンターテイナーぶりを発揮してました。そして豪雨の中でNo Rain!とシャウトするHalf Moonriders。アメリカとの心の距離を試されるこのイベントで、「アメリカよニューオリンズも救えないのか」と歌ってみせた。
 Special Thanksを、豪雨の中で危機感を共有し、結果としてモラルが著しく向上した素晴らしいオーディエンスに。もちろん出演したミュージシャンの皆さん、スタッフの皆さん、ボランティアの皆さんにありったけのありがとうを。来年もまた行きます。

そうそう。Allen ToussaintもFats Dominoも無事だったそうです。よかった。それでもニューオリンズでは今も5万人の人が救助を待っていることに変わりはないのです。

9月7日 ありがとう君の音楽にありがとう

ハイドパークから帰ってきてからなんだか眠れずに、激しい鬱と自己嫌悪に陥ってました。自殺願望に極めて近い感覚。フェスの反動と気圧の低下が原因なのはわかってる。新幹線とバスを乗り継いで行くFUJI ROCKは「旅」であり「祝祭」であり、帰ってきてからも妙な高揚感が続くんだけど、西武線で行けちゃうハイドパークフェスは「日常」なんだよな。台風14号の通過と共になんとか立ち直ったので、遅ればせながらライブレポート書きました。
 太陽、虫の音、記録的な集中豪雨に「Hosono House」。早くも伝説になりつつあるハイドパークの様子をご報告します。

9月11日 筑紫哲也とくめくめ宏

前回の選挙の時は、筑紫哲也さんと久米宏さんが隣り合わせで選挙特番をやる日が来るとは思わなかった。
 開票結果にはがっかりしました。この国はとても危険なフェーズに突入したのではないか。衆議院で2/3以上とってしまうと参議院に関係なくなんでも法案通せちゃうんですよね。民主党に政権交代して欲しいとも思わなかったけど、日本人って小泉純一郎氏の単純なレトリックに乗せられてしまう程度のものなんだな。どうせ死に票になるなら又吉イエス氏にでも投票すればよかった。

鬱です。激しく鬱。ハイドパーク以降特に酷いです。ベッドにうずくまってます。アゲる要素がない。薬も合ってないみたい。現在レキソタン16mg/日、アモキサン100mg/日、ハルシオン0.5mg/日、アキネトン1mg/日、コントミン50mg/日。アモキサンを増やしたい。余談ながら、大学の後輩が出馬して当選しました。かたや国会議員、かたや鬱病ニートか。ずいぶん遠くに行ってしまった。

9月15日 あなたに告りたい

告知2件です。9月17日に我が家でFUJI ROCKお疲れオフをやります。といってもFUJI ROCKから一月半もたってしまっているのでFUJI ROCK度低めで。夏フェスについて語りたいだとか、ビール飲みながら線香花火したいだとか、猫が好きだニャンだとか、犬が好きだワンだとか、無性に暇だとか、失恋しただとか、なんでもいいんでぜひ遊びにきてください。メール待ってるぜ。

10月1日に下北沢mona recordsでなんちゃってDJをやります。
ライブ出演:Early Times Strings Band
     :高田漣
     :有山じゅんじ

ライブは19:00から。その後のオールナイトDJ大会に出演します (たぶん23:00頃から) 。ライブをご覧になる方は3500円 (ドリンク別) 、深夜のみ参加の方は1000円 (ドリンク別) です。個人的にライブは見た方がいいと思います。お薦めです。以上2件よろしくお願いします。当方寂しがりです。

9月16日 タイガータイガーじれっタイガー

生まれて初めて寄席に行って落語を聞いて参りました。面白いね。今回は情報ゼロで誘われるままに行ったんだけど (それがよかったとも思うんだけど) 、はまったら抜け出せないかも知れない。

場所は新宿の末広亭。21時半開演の深夜公演。「近日真打」という柳家三三と五街道喜助の二人会の最終回 (二人ともほんとに近日真打になるため) 。客層は「タイガー&ドラゴン」の影響と思われる世代から昔ながらの常連とおぼしき世代までばらばら。古典落語の舞台背景が理解できるか不安だったけど、いざ噺が始まったらぐいぐい引き込まれてしまった。
 柳家三三「大工調べ」は馬鹿な大工の与太郎と、家賃の形に道具箱を預かった大家の問答、いわゆる与太郎物です。若いしルックスもいいし、落語界のアイドル的存在になっていきそうな予感。五街道喜助「子別れ」は、酒癖が悪くて離婚した主人公が心を入れ替え、子を鎹に復縁するまでを描いた人情話。これが笑えるし泣けるんです。噺の間のうまさ、ちょっとした仕草の表現に訴求力がある。音楽でも舞台でも絵画でも新しいもの好きの僕だけど、時代を超えて生き残った芸能の持つパワーは認めざるを得ない。

9月17日 何度目かの夏の終わり

きのうは我が家でFUJI ROCKオフ、という名のFUJI ROCKとは縁もゆかりもない飲み会。もちろん最初はあったんだ。K.J.くんとFUJI ROCKに行って、彼が現地でいろんなmixi仲間に声をかけられてるのを見て、僕もmixiFUJI ROCK仲間が欲しいと思ってK.J.くんにけしかけたんです。
 それが諸般の事情で開催の時期が遅れてしまい、しかもK.J.くんのmixi人脈もあまり期待できないということで、結果FUJI ROCK参加率6割くらいの不思議な面子が集まった。誰が誰だか誰も把握してなかったという。

いつもの猫のお出迎えに加えて、旅行に行った弟一家から預かったトイプードルのラビがたまに出て来ては誰かのひざに乗る展開。共通点のない顔ぶれがさぐりさぐりのお喋りで、まったりした音楽に併せて不思議な時間を過ごしました。Aさんの自家製梅酒がみんなの頭をまろやかにして、こんなにテンションの飲み会があってもよいな。
 夜遅くなってからは花火大会。付属品としてついてきたメガネをかけると光が螺旋状に虹を描く。すっかり涼しくなった月光の下、何度目かの夏の終わりを感じながら線香花火を見つめていた。

9月18日 結婚を前提とした片想い

メイ (雄猫) はラビ (雌犬) が気になるんだけどラビはメイがあんまり好きじゃない。うっとうしいし怖い。なかなかうまくいかないもんですね。外は仲秋の名月だよ。

9月21日 裸足のリタ

カトリーナの次はリタですか。大変だな。

調子わるい。病院いってきた。楽しいことがあると、後から分不相応に楽しかった自分を責める気持ちが沸き上がってくる。という話をした。アモキサンが150mg/日に増えた。その後プールへ。プールはいいです。無心になれる。その翌日はぐったりなんだけど。

9月25日 堕落と快楽

Xさんのmixiのコメント欄上での愚痴大会がカラオケ大会の話に急展開して、そういうことになっちゃいました。来週末のなんちゃってDJの準備もしなきゃなんだけど、目の前の快楽には抗えない。DJのほうは、技術的になんとかなりそうなことだけを確認して家を出た。マークシティの前でみんなを待っていたら、京急+くるりの販促グッズをもらった。
 韓国料理屋さんで同行者ともりもり食べた。マッコリという濁り酒を初めて飲んだ。旨いなあ。この時点でもうすっかり酔っ払ってしまった。

で、パセラに移動してさらに仲間と合流、おおいにカラオケる。前回もそうだったんだけど、どうも高音が出ないというか、出そうとすると裏声になって、サビのあたりでヨーデルみたいになっちゃう。
 なにをやってもT.N.の破壊力にはかないません。選曲も狡いよな。「バカになったのに」と「カブトムシ」を同じテンションで歌う。やっぱりカラオケの楽しさは誰と行くかにかかっている。普段から人前で歌っているXさん、陽子さんの上手さはもちろんだけど、アイドル声でPizzicato Fiveとm-floを歌うRさんにも参った。つまりは完敗試合でした。

家に帰ってベッドで猫とじゃれてたら、駆け出した後ろ足でこめかみを蹴られて大量出血。いまやくざみたいな顔してます。
 今日は選曲をして編集をしてライブを見に行く予定だったんだけどダルー、結局何もできずにこうして日記を書いてます。あとさっき餃子を焼いてたらガスコンロがボンって言った、ボンって。何が起きたんだろう。

9月29日 シモキタにも慣れた

明後日に迫ったイベントの仕込みに焦りつつ、気分転換にbonobos@下北沢Qlub Queに行ってきました。ここは客つめこみ過ぎだー! 前に行った時も体調悪くなった。A.Z.a.T.o.i.がいいチケットを取ってくれたので張り切って最前列へ、は行かずに壁際にへばりつく弱気な僕ら。それでもお客さんがどんどんどんどん入って来て、よっかかる縦スペースも取れないくらい。
 ライブは楽しかったです。タイトなリズム隊、いなたいギター、イルカのような声、FUJI ROCKで観た時は方向性が今ひとつ見えなかったけど、今日の演奏にはバンドとしての一体感とオリジナリティとユーモアがありました。

ほんとは対バンが曽我部恵一さんだったんだけど、あまりの人口密度にアレだねって観ないで出て来ちゃった。で、カフェで本日のパスタを食べ、「粉が僕らを呼んでいるー」ってたこ焼き屋に行く。
 まさか33にもなって、シモキタの駅前の階段に座り込んで、女子大生とたこ焼きを食べる日が来るとは思わなかった。青春の1ページって感じか? シモキタにも慣れたって感じか? 前田健はぜんぜん松浦亜弥さんに見えないけど、松浦亜弥さんがときどき前田健に見える感じか? そんなシモキタで明後日なんちゃってDJをやります。新しいアイデアを思いついちゃったけど仕込み間に合うかな。