DIARY 2005年8月


8月1日 真夏の夜の夢

FUJI ROCKから帰ってきました。楽しかった! けど今年は雨に祟られました。いろいろ見て回る気力が削がれて、雨宿りをしながらフェスの雰囲気を楽しむ感じかな。ぐちゃぐちゃにぬかるんだ山道はおじさんにはしんどいです。
 僕は初めてのFUJI ROCKが過ごしやすい高原の風の中で、山の中で爆音で音楽を聴く行為にものすごい感激したんです。今年がフジ初体験の仲間たちが懲りて後悔してなければいいなと思う。自然が相手だからこればっかりはしょうがないな。懲りちゃった人を、来年こそは晴れるからって連れだすわけにはいかない。毎年FUJI ROCK仲間を募って、もうこりごりの人もいる。もどかしいです。詳細はまたいずれ。例年のように長いレポート書くと思います。とにかく疲れた。今はそっと寝かせてくれ。

8月3日 大人の林間学校はいつまでも熱が醒めない

行って参りましたFUJI ROCK。正直5回目ともなると、初めて高原の風の中で素晴らしいミュージックを体に通した時の感動は薄れる。でもやっぱり僕はFUJI ROCKが大好きなので、来年も再来年も (何してるか知らないけど) 無理してでも行っちゃうと思う。もう1年の半分はFUJI ROCKのことを考えてる。
 インドアポップスを標榜している僕がこんなになっちゃうの、行ったことのない人にはわからないでしょう。でも少しでもわかって欲しいから今年もライブレポートを書くのです。読んでください。行ったことのない人こそ読んでください。僕は君に書いてるんだ。

8月4日 Drugs, Alcohol, Friends & Life

iTMSまだ派の山下スキルです。recommuniからのMP3のダウンロードコレクションも随分増えたけど、結局CDに焼いて聴いてる。カタチあるものから離れられない体質なんだと思う。壁一面のCDを眺めてはうっとりしています。

きのうは家の鬱な事務仕事をやらなきゃに振り回されつつ、チューハイでテンションをあげて頑張ってFUJI ROCKレポートを書きあげた。で、なんとかアップロードして、遅刻気味で社会人留学する友達の壮行会へ。相川くん。先月から3度もあってるし今週末も会うよ! けど劇団の仲間として彼を送りだそうって会に出席したんだ。シカゴに行く彼は、Tortoiseのチケットをもう取ったという、何しに行くんだか。
 さて劇団の仲間たちは、社会の中枢で頑張っている人と、周縁でへたっている人に大別できる。僕は後者の代表だけど、この日は前者が集まっていたので話題に困った。壮行会を開く人なんて前者に決まってる。後者は家で大人しくしているべきだった。薬も忘れて焦った。周りの人は気づいていたのかいないのか、気づいていたけどいないフリをしてくれていたのか。気を使われていたと思います。おかげで最後までなんとか楽しかったです。

飲み過ぎて、帰りの道すがらマンホールの縁に足を取られて転倒。犬を連れた綺麗なお姉さんがやってきて「大丈夫ですか」「だだだ大丈夫です」。今日はFUJI ROCKの反動かきのうの反動か、メジャートランキライザーを飲んでも鬱が晴れず、隠し持っていたメジャーをもうちょっと追加して今これを書いてます。格好悪い人生! でもこの道を生き抜いてやるんだぜ!

8月6日 Music Lifeは続く

結局ガードレールの隙き間に金属片を挟んだのは誰だったのか。

音楽生活はまだまだ続く。5日は神谷きよみさんのライブに行ってきました。ビブラートの効いた透明な歌声と、ちょっとウェットでジャジーな音楽世界に浸っていると、MCでカラっとした本性が出てしまって笑いを呼ぶ。「馬鹿にしてた『冬のソナタ』をうっかり最後まで見ちゃいました」ってテーマ曲を弾いてみせたり、宗教団体がなんで儲かるのか持論を披露したり。そこまでしなくていいんだってば! ってサービス精神が彼女の人のよさなんだろうな。
 対バンは浴衣でギターを抱える林矢子さん。深みのあるファルセットでドメな世界を紡ぎ出す。たまにこういう場で聴くには異色で面白い。終演後、H.T.さんとちびちび飲む。

6日は松前公高さんのライブ。外人だらけの薄暗いバーに座ってびびってたら、知人たちがやってきてほっとした。まずはラップトップのソロパフォーマンス。相変わらずラップトップ系のミュージシャンが何をやってるのかわからない。普通のリズムに普通のボーカルが乗る普通の音楽であった。
 続いて松前公高さん。さすが人を楽しませるオリジナリティに溢れてます。80年代っぽいパシーンってスネアが響き渡り、キーボードを弾くのと同じくらいアナログシンセのツマミを触っていた。その度に音がフニャフニャ変貌する。それは懐かしいだけじゃない、00年代から眺めたパストフューチャーの景色であった。個人的には初めてシラフで松前公高さんと山口優さんにお会いできたのが嬉しかった。

そして女の子2人のトイポップ+エレクトロニカユニット、コマイヌが登場。やたらたくさん並んだペダルは意味があるのか、笛を吹き鳴らしおもちゃのパンダを闊歩させ、ついにはポップコーンマシーンまで飛び出して音をサンプリングしつつ、出来上がったポップコーンをお客に振る舞う。もそもそとポップコーンを食べながらその突飛なパフォーマンスに見入ってしまった。
 最後はラップトップ+ボーカル+トランペットでニール・ヤングのカバーを。しっとりと聴かせる実力をしっかり持ち合わせているのだ。いいイベントだった。

8月8日 反省するほど気楽じゃないけども少し楽する力が欲しい

FUJI ROCK反省会、という名の飲み会&手持ち花火大会。あれから一週間まだ熱が醒めなくて、仲間たちとあの日々を思いかえそうと、そういう催しです。
 メンバーはFUJI ROCK同行者9人中の7人、そして真っ先に参加を表明してくれたものの結局来れなかったKさんの8人。話題はFUJI ROCKを大きく離れ、もうすぐシカゴに行く相川くんとケンタッキーから帰ってきたKさんがアメリカ音楽事情の情報交換。ケンタッキー出身の有名人と言えばカーネル・サンダースとトム・クルーズなんだって。トム・クルーズがケンタッキー出身ってのにも笑ったけど、この2人のステレオタイプなアメリカ人が意外な共通点で結ばれていることに笑った。

コロッケ、お寿司、トウモロコシ、ピザ、ワイン、そして大量のビール。花火は特大バケツサイズで、でも破裂音系が多くて夜遅かったんであんまりできなかった。これの消費大会もやらないといかんなあ。河原か海岸か。で、バカばなしの結論は「こんどカラオケに行こう」。毎年恒例の反省会、楽しかった。翌日は反動で凹寝。
 政治が混乱してわくわくするなあ。小泉氏は感情的になって郵政民営化を国民に問う選挙だとか叫んでるけど、その裏側で61法案が廃案になっている。なんで郵政民営化だけにこだわるんでしょう。そういうのトータルで問うて欲しいと思う。

8月10日 まっどうでもいいんですけどね

宇宙飛行士の野口さんが帰ってきました。あの人いい人そうだよね。宇宙飛行士という職業は密室で協力して厳しいミッションをこなさなくちゃいけないので、人格も大きな選考基準になってると聞いた。そういえば悪そうな人っていない。誰にでもいい顔をするのが100パー正しいとは思わないけど、これからは一人でいじけたりしないように多少は見習わなくちゃと思った。

それに比べて政治家という職業は人格は関係ないらしい。小泉純一郎氏という人間が嫌いで。首相になってすぐは、自分の言葉で話す面白い人だと思ったけど、そんなの1年も持たなかった。自分のやっていることが全て正しい改革で、それに異を唱えるやつは駆逐するって発想は危険だと思った。小林興起氏の選挙区に小池百合子氏をぶつけるなんて八つ当たりだよ。
 郵政民営化法案に反対するやつは本当に全員が全員、利権と派閥の論理に汚されてるのか? 小林興起氏は郵政省を郵政公社に改革した人物で、ひょっとしたら、ひょっとしたらだよ、その目から見て例の郵政民営化法案に穴があったのかも知れない。もっと話したかったのかも知れない。

又吉イエス氏がまた立候補を考えているんだけど資金不足で困っているそうだ。まっどうでもいいんですけどね。

8月13日 タンバリン

A.Z.a.T.o.i.がタンバリン奏者としてステージデビューするというので見に行きました。物好きだな僕も。まず登場したのが鈴木晶久さん。短パンの似合うエレキギター弾き語りシンガーソングライター。線が細くてポップでソウルフルで僕好みでした。
 その鈴木晶久さんが参加する形で新川忠さんのバンド。AG、EG、EBという編成に途中からA.Z.a.T.o.i.が加わる。鈴木晶久さんが時間を切り取る詩人だとすると、新川忠さんは季節を切り取る人。メロディーの美しさ、そしてギターが光ってた。録音物ではもっとトロピカル趣味だそうです。A.Z.a.T.o.i.のタンバリンはあれっここで叩かないの? ってところが何箇所かあったけどデビューおめでとう。すごい緊張していたそうだ。全然そうは見えなかったよ。

そして朝日美穂さん。リズムマシーンに切れのいいエレピが絡んでゆく。高橋健太郎さんのPA技もさすが。ただ僕椅子に尻がしっくりこなくて集中できませんでした。すみません。中途半端に腰掛けるのが苦手なんです。最後は高橋健太郎さんが切れのいいカッティングギターを聴かせる。ライターのイメージが強かったんで、ミュージシャン、エンジニアとしての彼にはあてられっぱなしだった。
 その後A.Z.a.T.o.i.たちと東方見聞録。ビールビールビール酎ハイ! イカの凍ったやつをなんと言うんだっけな、ルモイじゃなくてモヤイじゃなくて、なんかそういうやつを食った。あれは凍ってるから旨いのだな。溶けたらただの塩辛でした。

8月15日 そうだカレーを食おう -例のアレのアレ-

3月にやったイベントの打ち上げをやる。実に今さらやる。というのは立て前で、今年もK.M.氏のカレーが食べたかったのです。我が家に20人が集結してカレーを取り分けた。今年も絶好調に旨かった!
 それにしても普段大勢の人に会う機会がなくて、人に酔ってしまったな。「スキルさんこれでビール足りると思う?」「スキルさんコルク抜きどこ?」「ピンポーン酒の宅配です」みたいなのがウワーっときて、パニック状態で滝のように汗をかいた。それをみんなに指摘されるとますます汗が止まらない無限ループで。やっぱりね、お客さんは自分の人望と体調に見合う人数しか呼んじゃいけません。という意味で、僕はパーティのホストとして不誠実だった。

後半はイベントの主催者、川村恭子さんの持ってきたニューウェイヴ期のMoonridersやFilmsの映像に一人で興奮、それからウォッカを死ぬほど飲んで無茶苦茶たのしかったです。その先の記憶があんまりない。前半の出遅れを取り戻そうとしたんだよ。みんなも楽しかったならいいけど自信ない。

8月18日 山吹色のお菓子

個人比で大きなイベントが続いたんで反動でぐったりしています。不安と暑さの中で眠ってるか、調子がいい時は再放送のドラマを見るともなしに見ています。
 つくづく驚かされるのがアリコのCMのくどさと種類の多さ、わかりにくさ。現行で10パターンくらいあるんじゃないかなあ。「すこしでたよれるおまかせがっちりあんしん保険」みたいなのがいっぱいいーっぱいあるの。中でも清水ミチコさんが登場するパターンは、ありがちな保険のCMのモノマネをやってるようにしか見えない。アリコと映画配給会社と「CMのCMキャンペーン」の人達は、CMの作り方を根本から勉強しなおしては如何だろうか。

ところで国民新党のオフィシャルサイトは、どういう経緯でどこの制作会社が作ったんでしょうか。やっぱり袖の下で「山吹色のお菓子でございます」とかして決まったんでしょうか。公約を見たら「一、国民のために働く」だってそれ公約じゃないじゃん。仕事じゃん。公募の小論文のテーマが「『刺客』と教育」っていうのもどうか。「只今準備中で御座います」って言い回しも蕎麦屋じゃないんだから。
 鈴木宗男氏の個人サイトは「音量を上げてください」と命令された上に「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴かされる。ムネオハウスを流して欲しいぞ。

8月20日 暴走気管支

久しぶりにカラオケてきました。T.N.のブログに「誰かカラオケ行こうぜ!」ってコメントがあって、エクスクラメーションマークが寂しさを誘ったんだ。
 T.N.はシャツの文句に偽りなし、魂のシャウトがいかにカラオケを欲していたかを物語っていた。曲名を入れた時点で既に面白いとかいうのは禁止です。僕は声の線が細いので、シャウト系でこられると太刀打ちできない (別に太刀打ちするつもりもない) 。Xさんは「キリンジに似せてみた」とか「aikoに似せてみた」とか言うんだけど、どれもまごうことなきXさんの美声で、それはそれですごいと思いました。で、それぞれに課題を練習してからの再会を約束した。

8月22日 Name Of Ebi, nanana...

ミュージックフリークとしてはRobert "モーグと呼んで" Moog博士の訃報を書くべきなんだろうけど。sakusakuのご意見番ゴイゴイの中の人が亡くなってしまった。35歳。クモ膜下出血だそうです。ちょっと前から噂が流れたりsakusakuのサイトに記事があったんだけど、今日の番組の中で初めてちゃんとした報告がありました。ゴイゴイの住む海老名を歌った名曲「海老名の歌」をみんなで歌うシーンにはグッときた。例えば僕が死んだら誰か涙を流してくれるだろうか。
 モーグ博士にも...ニューウェイヴの時代に音楽に目覚めて、モンドの波を頭からかぶった者としては感慨深いものがあります。こんな場末のサイトでご冥福をお祈りしても届かないので、映画「Moog」を今さらながら観ようと思う。

8月25日 古墳GALのコフィー。

mixiに落ちてたネタです。古墳GALのコフィー。
 どうしようもなくベタなストーリーなんだけどパソコンのモニターで観ると面白く見えてしまう罠。我々は捻り過ぎたドラマに慣れきってしまったのかも知れないね。限られた環境の中で作られたプリミティブなアニメーションにはまた違った魅力がある。韓流ブームなんかもそういうことなのかも知れない。もう間違いがないことや、もう隙を見せないやりとりには嫌気がさしちまった。あと3話、続きが楽しみ。

追記: 後で気がついたんだけどこれSex Machinegunsの「ヤヴァイ、ヤヴァイよ! 」ってflash作った人達だね。別の作品に例の「ラジャー」っておじさんが出てきた。

8月26日 La Maison de Himiko

Sketch Showを見にアップルストア銀座に行ってきました。行ったんだけど4時過ぎの段階で定員オーバーで、東京の古地図を買ってすごすご帰ってきた。元禄六年のやつと明治40年の鳥瞰図。予期せぬ散財だけど明治40年のは市電の路線が書き込まれてて萌える。
 そして今、細野晴臣さんの十数年ぶりのソロアルバムに当たる「La Maison de Himiko」のサントラを聴いています。名盤「Nokto de la Galaksia Fervojo」から20年、ボヘミアを巡りライを通り過ぎアンビエントを乗り越えてラウンジに浮かびルイジアナをまたぎエレクトロニカに辿り着いた細野さんの音楽の旅が、エッセンスとして全て詰まっている。かといってとっちらかった印象は全くない。環境音楽として見事に機能しています。素晴らしい。

8月29日 君はTVっ子

土曜日の夜は「元気が出るテレビ」復活と「爆笑オンエアバトル」と「登竜門」と「虎の門一人しりとり」のどれを見ようかオロオロチャンネルを変えてたら、結局どれも満足に楽しめなかった。どこの局も24時間テレビの裏で力を入れてんだなあ。
 日曜日はT.P.さんからG5マシンの無期貸与を受けた。久しぶりに人に会ったので人恋しくなり、片っ端から飲みに誘うけどことごとく断られて一人でそうめんを食った。24時間テレビで丸山弁護士が定刻通り100kmマラソンに成功する場面を見た。お決まりとわかっていても59歳の力走に感涙。途中から伴走に加わった丸山弁護士の長女鳴 (めい) さん23歳が可愛くて驚きました。うちの猫と同じ名前だ。

で、G5のセッティングいざ、これでクラシック環境から脱出だ! と思ったらOS Xの設定変更が難しくて挫折。奥山貴宏さんのドキュメンタリー番組を見た。夜風が涼しくなった。結局なんにもできない週末だった。残したものも残ったものも、何もないはずだ、夏は終わった。全国のカツオ君は今ごろマスオ兄さんと宿題をやっているのだろうな。