DIARY 2006年4月


4月2日 吉祥寺 春の盤まつり

きのうはmuitoさん主催の「吉祥寺 春の盤まつり」なるDJイベントに参加してきました。会場がちっちゃな雑貨屋さんということで、あんまり積極的に宣伝しなかったんですが、muitoさんのお友達のお洒落な方々が立ち見状態で集まってくださいました。ありがとう。僕のセットリストを忘れないうちに公開。

Set 1
01 Opening SE(Edit by Sukiru)
02 大瀧詠一 / お花見メレンゲ (Edit by Sukiru)
03 Francois De Roubaix / Boulevard du Rhum (Edit By Suriru)
04 Sora & Wechsel Garland / Spring
05 Manual / It' ll Be Fine
06 原田知世 / Un Buco Nella Sabbia
07 Manfred Mann / My Name Is Jack
08 Bobby's Rocking Chair / Finders Keepers

1曲目のSEは、日本の歌謡曲の中から「さくら」と歌っている部分を切り取ってラジオのチューニング風にエディットしたもの。ナンバガから大塚愛まで入ってます。muitoさんが「井の頭公園のお花見がてら」と仰っていたので。そこから自然に繋がるように、大瀧詠一「お花見メレンゲ」もちょっといじった。
 「Boulevard du Rhum」は邦題「ラムの大通り」のサントラからボーカル部分を切り貼りしたもの。Brigitte Bardotが歌ってます。このレコード、10年くらい前にめちゃくちゃ探してプレミアつきのを手に入れたのに、お洒落ガールから「新装版出てますよ」と言われてしまった。次のWechsel GarlandはKaraoke Kalkレーベルのコンピにだけ入ってる春らしい佳曲。この辺はイベントのテーマ「早春Electronica」にかけて。原田知世さんは鈴木慶一さんがプロデュースした傑作アルバム「カコ」よりMinaのカバー。

Set 2
01 種ともこ / 1.2.3.4!
02 Papas Fritas / Hey Hey You Say
03 Ya-To-I / Funny Feelin'
04 Hausmeister / Pumer
05 Jean Yatove / Ballade Du Facteur
06 Francois De Roubaix / Chapi-Chapo
07 Napoleon XIV / They're Coming To Take Me Away, Ha-Haaa!
08 Life Goes On / The Robots (Bad Papa Mix)
09 ムッシュかまやつ / バンバンバン (Readymade Spyduction Mix)
10 鈴木蘭々 / 花とみつばち

Jean YatoveはJacques Tati「のんき大将」のサントラから。映画の効果音も入ってて楽しい1枚。「They're Coming To Take Me Away, Ha-Haaa!」は1966年のアメリカのノベルティソング。今回のイベントのもうひとつのテーマ、「広義のHip Hop, Spoken」を思い切り拡大解釈して。ラップともスポークンワードともつかない、軍隊の行進みたいな1曲です。Life Goes Onは岡田徹さん率いるアコーディオン集団。Kraftwerkをやる。鈴木蘭々さんは、実は筒美京平さんを歌わせたら抜群のシンガー。曲はもちろん郷ひろみのカバー。健康的にエッチです。
 muitoさんの客層を考慮して、ガーリーな線で細かく仕込んで行ったんだけど、1セット目の出番が最初の方で、2セット目はトリだったので、お客はおじさんばっかりという残念な結果であった。

いつもの面々にくわえて、Hip HopとNew Waveとムーミン (アニメの) を並列にならべてみせたmuitoさん、遅れてきた渋谷系少女Angelaさん、カナダ人なのに日本のポップスに異様に詳しいchippleさん。chippleさんは、趣味でオンライン中古レコード屋さんをやっているだけあって、ただ者ではない雰囲気でした。お友達になりたい。
 僕が声をかけたDJ陣もただ者ではないのですが (僕を除いて) 、そのただ者ではなさが伝わっただろうか。雰囲気のいいお店なので、次回はちゃんと宣伝してリベンジしたい所存。

4月4日 ハンカチと鼻セレブっ!

疲れてます。花粉も飛んでるしな、春は苦手だ。2日のFritz Richmondトリビュート (Geoff Muldaur / John Sebastian / Jim Kweskin / 細野晴臣出演) がよかったらしいですね。ジョンセバとハリーの抱擁シーンもあったとか。近所なんだから行けばよかったんだけどイベントの翌日でぐったりしてました。一度ジョンセバを生で見てみたい。とはいえ今回が29年ぶりの来日だったらしい。ああもう!

4月になり、「sakusaku」のMCが木村カエラから中村優に変わりました。どーうなんだろう。これからどう成長するのか見えてこない。カエラちゃんも最初は荒削りだったけど、「みんなでうたおうZ」での歌唱力、ジゴロウ (当時) の足を触る手つきの艶かしさ、ぬいぐるみ相手に気を許す無邪気さ、「sakusaku」の人気を全国区にするだけのポテンシャルはあったと思う。
 34歳のおじさん目線から見れば、若い子に求めるのはタメ口だったりするんだよね。最初からタメ口だとびっくりするけど、どこかで心を開いて対等な視点で見てくれてるなって感じると嬉しくなる。カエラちゃんも最初はジゴロウに対して敬語だった。優ちゃんの敬語が取れた時に、彼女の真価が問われる。

カエラちゃんのお別れの挨拶の中に、去年急死した「ご意見番」の名前が出てきたときはぐっときた。「こんなに素晴らしくくだらないテレビはきっとないと思います」。くだらなさを自覚した上で腹から笑っていた君が好きだ。これからは君の勇姿はDVDの中に。何度も観るよ。カエラフォーエバー。
 そしてしばらくはカエラちゃんと比較されるだろう優ちゃんが、早くぬいぐるみや得体の知れない生き物たちと絡めるようになりますように。「じき慣れるから! 今は布切れに思えても」(白井ヴィンセント) 。

4月6日 力士のように

激しく腰をやった。おじさんにはなりたくないものだ。数日前からしっくりこない感じはあったんだけど、今日ガスレンジの火加減を見てたらキューって締め付けられるような痛みがあぎゃっ。
 まだどっちに曲げると痛みが増すか、法則がつかめてません。椅子から立ち上がろうとするとわーお! ってなったり、冷蔵庫の中身を取ろうとするとわーお! ってなったりする。一番困ってるのが洗顔です。水に顔が届かない。これは洗顔魔の僕としてはかなり辛い。力士のように腰を落として50センチ前方を流れ落ちる水をただ眺めるのみ (図) 。いまはパソコンの前に座ってるけど、この体勢からどうしたもんかと思っている。

今日は病院に行きました (腰痛じゃなくていつもの診察。病院から帰ってきてから腰をやった) 。新年度に入っても、またしても第一歩を踏み出せなかった焦燥感について話す。「病状はだいぶよくなってると思いますよ、あとはきっかけですね」と言われた。きっかけないですかね。きっかけは良いことばかりとは限らないという。腰痛はきっかけになり得るだろうか。
 おとといの日記で「sakusaku」の新MC中村優に対する不安を書いたけど、4日たってだいぶ慣れてきたように思う。初日はぬいぐるみの裏の大人に対して敬語で話しかけてたんだよ。それがだんだんぬいぐるみそのものと会話してる風になってきた。5本撮りの4本目でこの成長ぶり。カエラ時代のサブカル感は希薄になったけど、もっとくだらない新しい「sakusaku」を作ってくれそう。

4月8日 電気ビリビリ / 傘はわすれた

おとといの夜は腰痛に七転八倒して過ごした。うう。救急車呼びたかったけど隣に住んでる祖母にバレると面倒なので、それは避けなきゃなのだ。静かに走る救急車ってないのかな。
 一晩たってちょっと痛みが引いたので、ゆっくり風呂につかったら歩けるようにはなった。で、かかりつけの病院に電話。「13日なら予約が取れますよ」この総合病院めが! 仕方がないので前から気になってた近所の整骨院に行った。徒歩2分弱。診察料100円 - 500円。保険適用とはいえ、あの場所であの値段でやっていけるんだろうか。おばちゃんが200円とか払っていく。駄菓子屋かよ! 温熱療法とマッサージと電気ビリビリをやってもらいました。だいぶよくなった。先生もいい感じ。やっぱり背筋が体重を支えきれてないんだって。デブデブ。安くて近いのでこれからどんどん通う。

調子に乗って、夜は神谷きよみさんのライブに行ってしまいました。湿布の匂い充満でアレだったのではないか。
 神谷さんはボイトレ効果か歌声にさらに深みを増して、緩急の表現力豊かなピアノと相まって、作品の世界がストレートに伝わってきた。嵐に浮かぶコルクのように儚げな感情のうつろい。それが嫌味なく群青の波になって押し寄せてくる。特に斎藤孝太郎さんのチェロがウミネコみたいなディレイで彩る「傘はわすれた」って曲が気に入りました (何度も聴いてる曲なんだけど) 。アコギの額賀晋治さんの鮮烈なソロと、チェロの重厚な響きがピアノに絡み付くインスト「たいせつ」もよかった。

終演後、いつもの面々とくだらないお喋り。80年代アイドルとかたけし軍団とかオタクとエロ本とかゴルゴ13とか。お題だけ見たってくだらなそうでしょう。M.H.ちゃんのテレビ体験史が腹抱えて笑うほどおかしかった。で、深夜バスで帰宅。寝て起きたらまた腰が辛いので、これからゆっくり風呂に入ります。よくなってきたらプールに通おうと思う。

4月10日 天井突き破って、白い雲吹き飛ばして

きのうは秋山羊子さんのレコ発ライブに行ってきました。12:30開演ってのは昼夜逆転している僕には辛い。頑張って起きた。すごい、Star Pine's Cafeが2階まで立ち見でいっぱいだ。
 フロントアクトは37℃ from 大阪。絶妙な息の抜き方で聴かせるブルージーな女性シンガーソングライター。ご本人の表現力も凄まじいけど、サポートのエレギ氏が、軽妙なカッティングから弾むようなアルペジオ、時にディストーションをかけて、霧の向こうの世界に色を添える。海の底に住む、名前もない顔もない人々が、ただひたすら歩いて歩いて眠る歌が印象的でした。

秋山羊子さんが登場すると、ステージの空気がぐっと引き締まる。本人のピアノと声、徳永淳さんのベース、渡辺聡彦さんのドラムスによる、静かで緊張感に満ちたインプロビゼーションから「指一本で倒されるだろう」へ。本人いつにも増して弾けてる。
 演奏はもちろんだけど、その佇まいから曲間の沈黙まで、全てが音楽だった。会場に来ていた赤ちゃんの泣き声にスキャットで応えたり、中空を見つめて瞑想したり。それもこれも含めてステージが成立していた。ほんと音楽に愛されてる人だよな。そういう意味では矢野顕子やBjorkに匹敵すると思う。

真骨頂は本人の弾き語りに入ってから。ほぼアカペラで歌われた「時のかけら」、その合間にポーンと鳴らされるピアノのトーンの存在感。ポップスのフォーマットを突き破った彼女の強烈な個性に息を飲む。アンコールは再びバンドを招いて、でもメンバーも知らない新曲をやる。その緊張感と茶目っ気がまたいい。
 終演後、顔を出したら「よく起きれたね」って誉められちゃった。いやいや。打ち上げに参加するも人見知りぶりを発揮して、37℃嬢との間に気まずい沈黙が。どうもすみません。そしてN氏と「いせや」へ。相席の女の子とお喋り。こういうシチュエーションでスマートに振る舞えたら、僕にも春が訪れるのだろうな。

4月12日 もう一度僕らは

秋山羊子さんの盲目ファンぶりが爆発して、ついにmixiにコミュを作ってしまいました。「秋山羊子ともう一度僕らは」。どれくらい集まってくれるかな。秋山さんのサイトで試聴できるんで、気に入った方はぜひ入ってくださいよ。秋山さんのアルバム「指一本で倒されるだろう」は現在HMVで予約ができます。順次ほかのお店にも入るそう。追々報告します。
 おじさんは腰痛が痛い。きのうはまた近所の激安整骨院でマッサージと電気ビリビリをやってもらった。ジョワーってなります。効いてる気がするね! 今日はこれから竹田裕美子さんの整体を受けに行く。早くよくなれ。

4月14日 東京百景

今日はなんだか心寂しく。何があった訳ではない、何もないから寂しいのだ。
 デジカメの中から街の風景写真を取り出してmixiにアップしました。下手ですみません。こうして見直すと、つくづく大森山王はいい街だったなと。離れて3年ちょっとたつけど、いつまでも変わらず猫が寝そべってる街でいて欲しい。大森っていえば真っ先に思い浮かぶのは大森貝塚でしょう。大昔から人が住むのに適した土地なんだと思うよ。

腰痛は、素晴らしき整骨院と整体のおかげでだいぶ収まった。特に整体は魔法だね魔法。「ずっと固まってた骨盤が緩んでいく過程のぎっくり腰だから悪いことじゃないよ。でも痛いってば痛いわよね。背中の一点に重心を預けてよりかかってみて」。はい。そしたら痛みがすうっと消えた。プラシボ効果だろうか。
 整体の先生はEarly Times Strings Bandの竹田裕美子さん。「ほんとはソウルとか黒っぽいのが好きなんだ。あんまりギトギトしてるのは苦手だけど、そうねーJBはダメだけどMarvin Gayeは好き。あとStingが好き。ジャズも好き。でもデビューがフォークだったからそういう仕事は来ないのよね」。へぇー意外。そういう色んな要素がEarly Times Strings Bandの音楽を芳醇にしているのだ。

芳醇な音楽と言えば秋山羊子さんのコミュ、「秋山羊子ともう一度僕らは。」徐々に盛り上がってます。よろしくね。アルバム「指一本で倒されるだろう」はタワレコにも入った。明日はMoonriders / Portable Rock / Cinemaっていう、今は昭和何年だってライブに行ってくる。じゃっ。

4月16日 Baby Portable Rock.

Moonriders / Portable Rock / Cinema@新宿ロフト見てきました。ロフト30周年企画ということで、同窓会的な色合いが強かったのかな。

まず登場したのはPortable Rock。んー嬉しいね! 僕の青春はこの辺かも知れん。言わずもがな、野宮真貴さんが在籍していたキュートで切ない人力テクノポップユニットです。メジャーからアルバム2枚、その後デビュー前のデモテープ集が発売されてファンをおおいに驚かせた。こっちの方がいいじゃん!
 真貴さんも白状する。「久しぶりにみんなで音源聴いたんだけど、Beginnings.(デモテープ集) が一番よかったね」。ということで選曲は主に「Beginnings.」から。鈴木智文さんのアコギ、中原信雄さんのベース、それにパーカッションが加わってしっとりと聴かせる。Pizzicatoと違って、3人の仲良さそうな雰囲気がひしひしと伝わってきました。でも最後に大失言。「Pizzicato Five、最後の曲になります」ってオイ! 「いやあ同じPだから...」ってオイオイ!

Cinemaは松尾清憲さんや鈴木さえ子さんが在籍していた、強いて言うならSailorみたいな、ブリティッシュ目線から見たエスニック風味のポップバンド。レコードはニューウェイヴ歌謡だったけど、生で見たらやたらとキメの多いテクニカルなバンドだった。リズム隊がよかったです。さえちゃん声もドラムもルックスも最高でした。一色進さんはオヤジギャグを飛ばして松尾さんを困惑させていた。
 トリはMoonriders。ロフトでやるには人数が多すぎたか、音がダンゴになっていたのが残念。ベースはビビってるし、ツインドラムはいまいち噛み合ってなかった。選曲は全てクラウン時代から。ダースベーダーのお面をかぶってヒューゴーヒューゴー言って、1人咳き込んでる人がいました。「Satisfaction」のカバーかっこよかった。最後はみんな出てきてサイケなキーボードに乗せて「インテリア」合唱。真貴さんとさえちゃんの2ショット!

それにしても疲れた。会場を早々に出てK.M.氏、T.P.さん、マユコ、N氏と歌舞伎町でお好み焼き。K.M.氏の、いつもだったらみんな軽く流すギャグに、マユコさんがいちいち突っ込みを入れてた。ここんとこ鬱気味だったんで、久しぶりに腹から笑ったな。で、今日は反動で激鬱だ。きのうからリップクリームが見つからない。

4月21日 Saturday Evening Girls

すっかりライブ日記と化してます。ライブ行ってない日はなにやってるかというと、抗鬱剤飲んでうずくまってます。家事をする気が全然おきなくて、流し台が凄いことになっている。腹は減るんだけど食材を買い出しに行くのもままならず、冷蔵庫の中からしおしおになったリンゴを剥いて食べた。こんな日々がいつまで続くのかな。

きのうはSaturday Evening Postが出演する「Muzak On The Move」っていうイベントを見てきました。会場に着くと知った顔がいっぱい。どうもどうも。そして若くて可愛い女の子たち。おじさんはクラっときた。やっぱり楽器やってるとモテるよなあ。うらやましい。平日なのに結構な動員だったのではないか。
 最初に登場したのはCAT or DIE trio。4人なのにトリオ。アコギ・フルート、アコベ、パーカッション、そしてサンプラー・トイピアノ・トイアコーディオン・カリンバ・ポエトリーリーディングという編成で、子供の戯れみたいな偶発的なセッションを繰り広げる。キャットトロニカっていうキャッチフレーズに期待して、それに応える演奏ではあったけど、それ以上の驚きはないかな。Klimpereiみたいな普通に気持ちいいトイポップでした。ベースラインが時折ジャジーになるあたり、これからの彼らの個性になり得るかも。
<

続いて登場したのはhell。あの出席簿みたいに薄っぺたい楽器はなんだ? ※1 そしてエレギ・クラリネット氏とボーカル・アコギ・キーボード嬢は地べたにあぐらをかいている。ドラマーは白人。と、見た目にもインパクトのある編成。
 キーボードによるドローンがディープな空間を作り、その中をクラリネットやアコーディオン、ドラムが自在に声を出してゆく。やがてギターに持ち替え、コシミハルさんのようなファルセットが美しいウタモノへ。楽器をとっかえひっかえしてNomadレーベル的な、あるいはMorrレーベル的な、ミニマルなフォークトロニカを奏でた。生々しいドラムと低いドローンが効いて、凡庸なその手のユニットとは違った力強さを感じました。やがてギターの印象的なフレーズを延々と繰り返して美しくおしまい。
<

Saturday Evening Postは、結成当時はラップトップにマンドリンと女性コーラスを重ねていくかわいくてお茶目なユニットだったんだけど、いつの間にかシリアスなウタモノ路線にシフトして、きのうの演奏は初期のお茶目さとウタモノとの着地点を見つけた感じ。人に聴かせる演奏になっていたと思う。
 かぶりものをしたメンバーが紙芝居を掲げて、ナンセンスな詩を朗読するパフォーマンスでまず笑いを呼ぶ。そしてドラムが高らかに鳴り響き、8人編成の大所帯で南国趣味溢れるキュートなインドアポップスへ。World Standardの「音楽列車」や「Discover America」やChieftainsやFrancois De RoubaixやJanet Kleinをごちゃまぜにしたような、バックグラウンドの豊かさを感じさせる演奏でした。ノコギリ・洗濯板・風船ピアニカのタカハシペチカさんの加入がおおきいと思う。

リーダーでボーカル・チェロの齋藤紘良さんは、演奏中にメンバーや観客にお菓子を食べさせたり、立ち上がってラップに挑戦したりとエンターテイナーぶりを発揮した。ただMCが...。ハイテンションの影に本来の生真面目さがにじみ出てしまう。演奏はバカバカしく、でもMCは地味にボソボソでギャップをつけた方が面白いんじゃないかと思った。紘良さん読んでるかな。
 オーラスは穏やかに、紘良さんのラップトップとCo-rchestra野々歩さんのボーカルによるyo-ho。これが素晴らしい胸キュンフューチャーポップスで、紘良さんの打ち込みは生演奏とはまた違った魅力がある。アコギの鮮烈なサンプリングや水琴窟みたいなアンビエントが瑞々しくて、野々歩さんのボーカルは小川美潮さんのようでした。ハンドルがついた弦楽器はなんだったのかな ※2 。バグパイプみたいな不思議な倍音が美しかった。大団円。

若くて可愛いSaturday Evening Girlsに声をかけたかったけど、持ち前のチキンぶりを発揮して素通りしてしまったのが心残りだ。しょせん無職でデブのおじさんが相手にしてもらえるでもない。

本日の補足:※1 ハルモニウムというそうです。
      ※2 ハーディーガーディーというそうです。

4月23日 ダンスはうまく踊れない

ライブ。Y夫妻に連れられて、「A Noite do FORRO」っていうブラジル音楽のイベントへ。サンバでもボサノヴァでもないブラジルだった。
 かかってた音楽はForro (フォホー) という。知ったかぶって解説しようと思ったけど、いつもの頼みの綱のWikipediaに載ってませんでした。アコーディオンの効いたメレンゲみたいな、あるいはPaul Simonが発掘した「GRACELAND」「THE RHYTHM OF THE SAINTS」を思い出した。「GRACELAND」にはアコーディオンが大きくフィーチャーされてるし、「RHYTHM...」はまさにブラジルでパーカッション類を録音してるよね。だから基本的にはすごく好きな音。

最初に出てきたバンドはすみませんお名前がわからない。ブラジル人の女性ボーカリストと日本人のパーカッション3人という編成。だんだん熱気があがってきて、ボーカリストの女性とお客さんの男性がカポエラみたいな上下動の激しいダンスを踊る。周りにも少しずつ踊りの輪が広がっていった。僕はそういうフィジカルな鑑賞法に慣れてないんで、カウンターチェアーに腰掛けて首を振るのみ。
 続いて登場したのはTamanco Buco (タマンコブーコ) 。うら若き乙女5人がパーカッションを叩き、全員持ち回りで歌う。彼女らが演奏するのはCoco (コーコ) という音楽だそう。満面の笑顔、女の子グルーヴはち切れんばかりの力強い演奏で、ダンスもますます盛り上がった。

トリはBrasilian Music Wedding Partyでも演奏していたForro Legal (フォホー・レガウ) 。僕でも知ってるケペル木村さんがいるバンド。ボーカル・アコーディオン・ギター・ザブンバ・トライアングルの5人編成。「日本でフォホーをやってるバンドは3つしかありません。それも東日本では僕らだけ。競争率の低いところを狙ってますんで」と笑いを呼ぶ。
 でも演奏は確かで、前の2組と比べてリズムは穏やかなのに自然と腰が動く。で、Y.A.さんとちょっと踊ってみたんだけどやっぱりダメだった。Y.A.さんも「こいつはダメだ」と思ったに違いない。最後は全員が電車つなぎになって輪になって踊った。楽しかった!

Brasilian Music Wedding Party以来、自分の中で何かが覚醒しつつある。ブラジル音楽に詳しい方、フォホーのお薦めCDを教えてください。こういうイベントにも積極的に参加したい。

4月24日 なんじゃこりゃ!

つんく♂がお見合い結婚する昨今です。猫がこんなもんで遊んでた。ちょっおまえ! なんじゃこりゃ! おそらくMacの部品だと思われますが、どこに刺さってたのかわからない。Mac通の皆さん助けてください。機種はPower Mac G5です。
 今日はJanet Klein & Her Parlor Boysを見に行こうと思ってたんだけど高いのでやめた。「なんで来なかったの、よかったのにー」っていう報告は不要です。

4月25日 1年のうち半分は、あの祝祭のことを考えている

皆さん。一緒にFUJI ROCK行きませんか。今年は7月28日から30の3日間。料金は通し券で39800円。

ひょっとしたらみんなは「忙しいから」とか「高いから」とか「遠いから」とか「疲れるから」とか「好きなバンドが出ないから」って言うかもしれない。でも一度行ったらその認識は変わります。会社辞めてまで来る人います。知ってるバンドがなくたって新たな発見があります。極端な話、音楽が好きじゃなくたって人として得るものはあるはず。
 普段はインドアポップフリークの僕だって、人間と音楽の本来の関係を確認するために、1年で3日間だけアウトドア派になって木々の合間で爆音を体に通すのです。

目玉はやっぱりRed Hot Chili Peppersなんだろうけど、個人的にはTrashcan Sinatrasが見たいな。トンボ飛び交う高原に流れる矢野顕子もきっと素敵だろう。どうです? 行きたくなってきた? 勇気を出して! メール待ってる。

FUJI ROCKの秘密1: 我々は毎年1日目の早朝に東京駅に集合、新幹線で現地に向かい、苗場の安い旅館に泊まります。最終日の翌日 (月曜日) の新幹線で東京に戻ります。
FUJI ROCKの秘密2: 東京にお住まいじゃない方、現地集合もありです。もしくは宿は別にとって、会場でハローってのもありです。途中参加、途中離脱にも対応します。
FUJI ROCKの秘密3: 一緒の部屋に寝泊まりするんで、信頼できる方、ピースフルな方に限らせて頂きます。俺は信頼に足る人物じゃないなという方は、そういうお友達を捜してください。
FUJI ROCKの秘密4: 性別は問いません (僕企画のFUJI ROCKツアーきっかけでつきあって結婚したカップルもいます) 。年齢は、自力で山道を歩き回れる程度でお願いします (2歳とか98歳とかは困る) 。

4月30日 「いいなぁいいなぁ」と人をうらやんで

FUJI ROCK、今年は実に65人の方にお誘いをかけたんだけど、お返事を頂けたのがおよそ1/10、その中でも参加してくださるのは3人だけというこのリアリティ。おおよそ僕らの世代になれば社会的責任も出てきて、夏に3日間も休めるかなんてまだわかんないよ、というのは当たり前なのだが。毎年この時期にお誘いしてるわけだしなあ。興味ある方、25日の日記を読んでね。
 それにしてもほかのメールにもお返事を頂ける確率が減ったような気がする。そして掲示板、前は一晩に数十件の書き込みがあったのに、最近は3日に1件あればいい方だ。薄れゆく人望についてあれこれ考える。僕は驕っていたのだろうか。謙虚であることを最大の美徳として生きてゆきたい。みなさん見捨てないようによろしくお願いします。そういえば杉崎美香さんが「グータンヌーボ」に出て、結婚している木佐彩子さんと内田恭子さんに向かって「いいなぁ」のため息を32連発してた。君の寂しさ僕はわかる。

おとといは秋山羊子さんのライブを見てきました。ストーカーか僕は。
 アウェイな環境で秋山羊子さん登場。「こんにちはー」のコールアルンドレスポンスで女の子たちの心を掴んだ。いつもの張りつめた空気じゃなくて、非常に緩いライブでした。良くも悪くも。秋山さん、その辺について話をしよう。それにしても彼女のピアノは毎回自在に変化していく。たぶんに即興なんだろう。まさにライブ、生きている。音響派のような「いたい」、僕は好きです。

最後に登場した大石由梨香さん。エロス! ウッドベースとドラムを従えてブルースを歌う。ボーカルもピアノもバンドもめちゃくちゃ上手い。声の抜き方とかね。こういう才能がアマチュアシーンにたまに眠っているのだよなあ。
 秋山羊子さんを見てても思うんだけど、メジャーとマイナーの差ってほんのタイミングというか、運の差のような気がしてならない。プロでも酷いステージをしている人をいっぱい知っている。大石さんはタイミングによっては小島麻由美になれたかも知れないよ。