DIARY 2001年夏


6月4日 声をください

掲示板を設置しました。画面左の「BBS」ボタンから張りきってどうぞ。お気に入りのレコードのこと、日常の些末なできごと、なんでもいいので書き込んでくださると僕が喜ぶ仕掛けです。唐突に話題を変えようが古い話を蒸し返そうがオッケーです。ただし、こわい系・やばい系の投稿や有料サイトの宣伝はご勘弁。

それにあわせてメニュー構成をちょっと変えました。前のはいろいろ無理があったんだ。突貫工事でいろいろいじったんで動作には自信がない。バグを発見した方はメールでこっそり教えてください。

6月8日 声をありがと

BBS開設から3日間で42件のメッセージを頂きました。喜んでおります。喜んでおります。全部にお返事かきました。投稿してくれたみなさん、前のページをたぐってください。

古本屋で購入した「何かいいことないか子猫チャン」シングル盤より。作曲はなんとバート・バチャラッチ。びっくりした。バケラッタみたいで可愛いね。裏ジャケの解説にはバート・バチャッチとある (間違えれば間違えるほど面白いわけではない) 。Burt Bacharach。現在はバート・バカラックと表記します。
 そういやBrian Enoはデビュー当時は「エノ」と書かれてたそうです。エノの前衛的なシンセサイザーがフェリーの持つ毒を暴き出してどうのこうの。とかね。

60年代の解説文って独特の多幸感があって好きです。書いてるうちにテンションがあがってるのがわかる。以下、ストーリー紹介よりいかした言い回しを抜粋。
「マイケルの話を聞いているうちにすっかりハッスルしてしまって」
「キャロルの追撃にほうほうの態で飛びこんだマイケルが一目惚れ」
「天衣無縫な彼女には散々ホンローされてしまう」
「シャンテル荘には... (自主規制) 子猫チャンのオン・パレード」
なんだかさっぱりわからないけど実に楽しそう。

追記:テレビでは精神科通院歴のある犯罪者特集をやってるようですが、ついでに耳鼻咽喉科通院歴のある犯罪者でも調べてみてはどうか。「危険な精神病患者を隔離する」政策が、将来ライ予防法と同じ道を歩みませんよう。時代の気分によって、病人を隔離した人が英雄になったり解放した人が英雄になったりする。犯人に対して言ってやりたいこと、自分に対して言ってやりたいことは山ほどあります。でも今は言葉にしたくない。ただバチャラッチのバチャラッチ具合に笑っていたい。

6月15日 モデムがガリガリ君

最近モデムがガリガリと嫌なノイズを出します。ガイガーカウンターのようです。接続もままならない。電話も時々ガリガリ君になります。そして混線する。なんでだ。

掲示板、勢力を弱めつつも依然増殖を続けてます。10日間で110件を突破。ネットコミュニケーションの難しさを痛感ちゅう。僕が書いた何気ない一言で、呆れかえる人がいたり誰かを傷つけたりする。こういう形で人が離れていくのはほんとにほんとに辛い。
 かといって、書き込みがたくさんあれば手放しで嬉しいってわけでもないんだ。そんな時に限ってこっちのテンションが低くて熱気に負けたり、やっと返事を書いてもガリガリ君の壁に負けたり。ペースをつかむまで暖かい目で見守ってね。

6月20日 日常に潜む嘘

開かない。どこからでも開かない。あちら側からも開かない。日常に潜む嘘。大きな失望と小さな怒り。

最近の日記は抽象的ですいませんね。相変わらず寝込んだり起き出したり、たまにプールに行ったりしてます。
 美味しい猫のエサがコンビニから消えてしまって残念。別に僕が食べるわけじゃないんだけど。食べてみることもあるんだけど。あとスコルバのCMが気になってしょうがない。水虫を演じる前に、外反母指を治したほうがいいと思う。

クロスレビューサイトRock Crusadersを更新しました。今月のテーマはR.E.M.。なんとロックル主催者のサダナリさんが本を出版するそうです。定成寛著「二十一世紀ジャズ読本」ブックマン社より。
 掲示板で、雨の日に似合う音楽の話を募ってます。いい曲が見つかったらセレクションCDを作りたい。防水特殊パッケージ (初回限定) で配付したい。

6月25日 そらそれ

ちょっと本棚を整理するつもりが、いつの間にか大掃除に発展 (現在も継続中) 。押し入れから懐かしいものがいっぱい出てきました。メモ書きだらけの芝居の台本。結局行けなかった大学院の合格通知。今はこの世にいない人からの手紙。Flipper's Guitarの初回限定ステッカー。むかし書いたラブレターの下書き。こうしてみると人生いろいろあった。

都議選自民党圧勝。小泉内閣の人気はわかるけど、ここまで世論が偏るのはどうかと思います。今回の選挙で僕が注目したのは民主党。PAシステムのスリム化に吃驚しました。
 写真上は昨年の菅直人氏。ソフトクリームを落っことす子供のようだね。下は今年の鳩山由紀夫氏。シャツの襟も爽やかだが、チュッパチャップスを頬張るような右手がすがすがしい。街宣車をリニューアルしたんでしょうか。

6月29日 迷える子猫たちを巡る小羊たちへ

このサイトを頻繁に見てる方ならご存じのことと思いますが、先日うちの猫が行方不明になりました。で、ウェブで情報を集めてたら大変なことに気がついた。Yahooで「動物の探偵」を検索するとうちが真っ先に出てくるんです。僕は探偵じゃないよ。最近のYahooは全てが ちぐはぐになってる。
 猫を探してこのサイトに迷いこんでしまった方のために、失踪から発見までの経緯をまとめておきます。何かの参考になれば。

失踪して2日目、まずはお役所に電話してみました。お役所は動物を保護した場合、私有地や区道で事故にあった場合、都道で事故にあった場合で管轄が違います。どこも親切でした。が清掃局のおじさんは早合点で、ふかわりょうのコントみたいだった。
 次にチラシを作ってコンビニに貼ってもらいました。近所のマンションの管理人が「ここ十数年猫なんて見たことない」って抜かしやがるんで驚いた (うようよいるのに) 。動物に関心がない人に聞いても無駄みたい。なので、ペットショップや動物病院にもチラシを貼ってもらったほうがいいです。あとはご近所の郵便受けに投函。

動きがあったのは次の日の深夜。お向かいに住む綺麗なお姉さんから「近所で喧嘩してましたよ」との通報を頂きました (と同時に、5年も前からお向かいに綺麗なお姉さんが住んでいたことを知る) 。
 やっと状況が見えてきました (右図) 。飼い主の僕にできることは彼の領土を拡大してあげること。猫のトイレの砂を近所の角にまいて、バーチャル縄張りを設定してみた。これが意外と効果があって、翌日の未明には無事帰還を果たしました。動物生態学的にいろいろ勉強になった。

くどいようですが、僕は動物の探偵じゃないしここはペットサイトじゃありません。猫を探してる方はドーシテ・ドットコム行方不明猫をご覧ください。
 最後に音楽の話を。空気公団「融」、楚々とした佇まいが快適です。それと、今年に入ってグラスゴー界隈から面白いギターバンドが続々と出てきたので、誰か気づいて日本盤を出してくれ。

7月5日 C&C Music Factoryは買い取りできませんと何故いえないんだろう

いつも素通りしていたBOOK OFFに入ってみました。古本屋なのに「やる気茶屋」みたいなテンションにびっくりした。個人的に清水國明氏の好感度がまた下がった。落ち着かないことこの上ないです。CDコーナーの荒れ具合も特筆もので、ここまで愛のない店も珍しいです。でも200円コーナーで思わぬレア盤を発掘。なに食わぬ顔して買ってきた。また行くかも。

レコ屋のBeach Boys棚が賑やかになりました。またリマスター盤が出た。数年ごとに音源が新しくなって、しかも輸入盤と日本盤でフォーマットが違う。なんたる因果。どっかのサイトに「Beach Boysマニアはかわいそうだ」という記事がありました。我ながらかわいそうです。去年リマスターされたばっかりのBrianのソロもいきなり再発です。去年盤をライノに送ると今年のと取りかえてくれるそうです。

本家Beach Boys (ついにMikeとBruceのデュオになってしまった) が来日してます。米軍キャンプの慰問公演だって。Brianは9月に来日します。各種先行予約始まってます。今回は楽勝で取れる。前に来日した時は、あの「狂気のクリエイター」がまさかツアー大好きになるとは誰も思わなかったからなあ。みんな必死でチケットを取ったものです。

凹寝 (へこね) を続けているうちに布団が如何ともしがたい状態になってきた。思いきって丸洗い。気持ちいい。そしてまた凹寝。
 掲示板を置いとくと、ほっといても更新してる感が出るので助かる。他力本願で細々と進行中。

7月12日 夏なんです (か?)

夏なんです。梅雨が明けたそうです。とっくに自然消滅したバンドの解散発表を見てるようだ。梅雨ってまだやってたのか。異常気象ぶりに21世紀を感じる昨今ですが、ダルー。早く秋になりやがれ。
 相変わらず夕方までテンションあがらず。朦朧としたままテレビをつけてたら「参院選の受け付けは今日の午後5時まです」って言われて焦った。ああ、投票じゃなくて立候補の受け付けの話ね。あやうく出馬するところだった。

隣の住人がたいへんうるさいことは常々話題にしているところ。一人暮らし11年目にして初めて自分より隣のほうがうるさいと思う。4月に挨拶に来た時は純朴そうな青年だったのに、きのう久しぶりに顔を会わせたら金髪にあご髭をはやしててびっくりした。東京ってこわいです。
 そしてなぜか毎晩のように電気グルーヴの「オレンジ」を聴いている。電気の中でも印象の薄いアルバムだ。彼の目に映る東京ライフのサントラは「オレンジ」だった模様。とにかく僕たちはこの夏、世界で一番「オレンジ」を聴くと思う。

7月22日 今日は一日、本を読んで暮らした

左足の親指が妙にポキポキするのでポキポキポキポキしてたら本格的に痛くなってしまった昨今。鈴木惣一朗氏から予期せぬ経路で指令が下った。だからという訳じゃないけど、最近ちょっと活字づいています。僕に本を貸したままの紳士淑女諸君、もうしばらく待たれよ。

ミュージックマガジン7月号の特集「音楽と評論」にはがっかり。高橋修氏の内情暴露というか開き直りには同情の余地もあるけど、斉木小太郎氏の切り口はなんだか。要するに音楽産業における雑誌の地位低下を嘆いているんだけど、その一因として「主観的な文章を評論ぶって書く自称ライター」がインターネットというメディアを手にしたことを挙げているのです。

前にも書いたような気もしますが、創刊当初のミュージックマガジンは異様にテンションが高くて今読んでも面白い。産まれたばかりのロックがどっちに転がるとも知れず、情報に飢えた中でとりあえず目の前のことを「主観的に」書きなぐっているのです。やがてロック評論は「A:知識を体系化して生き延びる」「B:宣伝媒体として生き延びる」の2択をせまられて、それぞれにつまらなくなったと思う。

彼らが言うところの「批評眼」を否定する気はないけど、あくまで個人的な感想も聞いてみたい。理想を言えば、確かな耳を持った人が書く主観的なテキストが読みたい。という意味で読みごたえのある本をご紹介します。
 まずは江村幸紀さん監修「soft rock」。戦前の音楽から21世紀の音楽までを聴き倒した耳が敢えて語るソフロガイド本。でも趣味丸出しで好き勝手に書いてる。主観が客観を超える瞬間。そしてもう1冊は定成寛さん「二十一世紀ジャズ読本」。哲学しないジャズ入門書。お小遣いを持って、とりあえずどこに行けばいいかを教えてくれます。

クロスレビューサイトRock CrusadersにLaura Nyroのことを。

7月31日 重荷をしょってロックを踊れ

FUJI ROCKに行ってきました。山の中を歩き回って、爆音と雨とホコリを浴びてきました。
 ほんとは僕療養中の身というか、医者に体力維持の為に散歩を薦められるような体の持ち主なんですが、今後の人生を考えるにあたりGimme more of that rock 'n' rollの気持ちを抑えられず、無謀な旅に出てしまいました。

音楽って元を辿れば呪術だったり解放だったり、そんな類いなわけじゃないですか。あの場所にはそういうプリミティブな快感がありました。山奥に集まって爆音を浴びるのは人としてとても自然な行為だし、通り抜ける音波が物理的に体にいい。もうね、フィールだのイマージュだので癒される輩の「傷」なんてなんぼのもんかと。

東京に帰ってきてシャワーを浴びた。土色の水が流れ込む排水口。「うちに帰るまでが遠足」ってこういう意味だったのかも知れないなあ。今はまた静かな日常に戻りつつあります。でも僕の中で何かが変わった。そう信じたい。
 少なくとも、レコード屋とライブハウスと自宅で完結する音楽世界は狭かったような気がします。スタジオのマジックに笑い転げつつ、アウトドアな祝祭の力も受け止めたいと、そんな感じです。

8月7日 Big enemies for human being

パソコンに向かってぽちぽちメールを書いてたら、視界のすみを不穏な黒い影が走った。ヴェーッ奴だ! 半歩後ろに腰を引き、敵の動向を確かめながら片手で武器を取る。じわじわと間合いをつめ、背後にまわって発射! はぁっはぁっはぁっ。あれっこれマジックリンじゃん (でも死んだ) 。
 みなさん、奴はマジックリンで死にます。カブトムシの仲間のくせしてなんであんなにこわいかなあ。今日の僕はとても勇敢で男らしかったと思うよ。

久しくレビューを更新してないんで、最近買ったレコでも書いておきます。Der Plan / live at the Tiki Ballroom ドイツ往年のバカポップバンド。中古で安かった。Komeit / Komeit これもドイツ。アコギをつまびく清純派男女ポップユニット。Schlammpeitriger / Schlammpeitriger これもドイツのエレクトロニカ。ついに日本盤発売。正しいムーグポップ。Eal / Fille Unique ポストユカリフレッシュと言われているそう。もっとチープでキッチュ。手焼きCD-Rってのが泣ける。Carl Wilson / Live From The Bottomline どう見てもブートなのにプロモ盤と言い張る。音質いまいち。演奏は快適。
 以上、おそらくレビューコーナーには登場しない方々でした。ネット上の一部好事家に話題のIsan / Lucky Catは、どこも品薄状態で手に入りませんでした。ますます欲しい。

8月13日 幻の底で

フリップサイドにアクセスできない状態が2日近くも続いたそうで、どうもご心配おかけしました。生きております。生きております。知り合いのサーバーを間借りしてる身なんで、こういう時はひたすら黙る。情報がつかめないまま復活の時を待つのみ。長引く療養生活の中で自分の存在価値が危うい今、ネット上に君の居場所はない、と言われたような気がして。
 そろそろ自力でなんとかしなきゃいかん。と思う。なにかとね。

まがりなりにもコンピュータの仕事に5年間携わった人間として断言しますが、コンピュータって本当はちっとも便利じゃないのよ。「便利」という幻想を守るために、無数の小人さん達が働いているの。このサイトだって誰かが治してくれたおかげでいま動いているわけですが、僕はその人の顔も名前も知る必要がない。
 最初に勤めた某有名コンピュータメーカーは、窓枠をコンクリートで固めて中から開けられないようになってました。開けるとレミングスみたく飛び降りちゃうから (それでも飛んだ人が何人かいた) 。

選挙が終わり、田中外相は謂れのないお詫びツアーで忙しそう。彼女らしい痛快な発言が聞けるのはあと1回だけかな。そしてマスコットキャラの小泉総理はElvisのコンピを片手に靖国神社に向かう。さらにその上で踊らされる俳優志望の長男くん。新加勢大周なみに儚い門出です。
 そんな中、広末涼子さんのやさぐれ具合に日本で最後の「本当」を見る。実にロックな感じです。もうすぐリミックス盤が出ます。参加が噂されていたナンバガは多忙のため脱落 (残念) 、でも残りのメンバーが広末なりのロックを見せつける予定。

最近の購入音源。The Apples In Stereo / LET'S GO! 最近リリースが多いと思ったらPower Puff GIrlsの主題歌やってたんですね。すげえいい曲 (バカで) 。C/WはHeroes & Villainsのラフなカバー。かまやつひろし / MONSIEUR 70年の初ソロ。ワンマンレコーディング。ミックス次第で面白くなりそう。mouse on mars / vulvaland 現在路線変更に失敗中の彼らの1stアルバム。この頃はまだピュアで孤高だった。die seele von brian wilsonという曲を聴いてみたくて購入。うーんドイツ。The Beach Boys / summer crush スターバックスが制作して店内で販売しているベスト盤。選曲・解説・デザインいずれも快適。キャピタルや東芝はスタバを見習おう。

8月20日 Instant Shangri-La

最近深夜に再放送してる「プロジェクトX」が面白い。日本の高度成長期の技術者英雄伝です。きのうやってたのは瀬戸大橋を作った人とスバル360を作った人のお話。どっちも奥さんが病気なのが特徴。昔の人妻はそんなに病弱だったのかと思う。番組の裏テーマに「家族愛」があって、それに見合う人物を作為的に選んでいるような気がします。
 っていう話をしたかったんじゃなくて、彼らの成功への執念や情熱には素直に感服します。僕は今まで確信を持って仕事に取り組んだことはあったかと自責の念。

チャンネルを変えたら「007 私を愛したスパイ」をやっていた。悪の秘密結社って使命感があって楽しそうだな。海底基地で働く技術者達はどうやって採用されたんでしょう。職場もきれいだしリゾート地だし、快適な生活なんじゃないでしょうか。とか考えてたら、某宗教団体のことを思い出した (ヒント : あれから名前が変わりました) 。彼らの異様なアッパー感は、今思えばそういうことだったのかも知れない。

最近のご購入音源。ソルベッツ / きいてアロエリーナきいてマルゲリータ 鈴木慶一さんのヒット仕事ということで一応。C/Wは逆回転とそのスローバージョン。意地でもカラオケを入れない心意気には感銘した。が、次に聴く日は来るのか。Pirkettywitch / Pirkettywitch John McLeodがプロデュースしたガールズソフトロック。待望の再発。もっとバブルガムかと思ったら割と真面目に作ってた。Ron Sexsmith / other songs 「駄目な僕」度では世界屈指のシンガーソングライター。中古で安かった。地味なんだけど、ほんっと地味なんだけど染みるんだよ。女の子はこういうのどう思うのかなあ。

8月25日 Good Vibrations

電子楽器の元祖「テルミン」を発明したロシアの科学者、Lev Sergeyevich Termen博士のドキュメント映画を観てきました。科学者といってもエーテルがどうとか不老不死とか言っちゃうほうなんで、もっとやばい人を想像してたんですが、本人は意外とちゃんとしてた。
 うっかり発明してしまったテルミンがアメリカで大うけ、でもすぐにソ連に連行されて、博士の存在自体が半世紀以上も機密扱いになっていたとか。本人の口から語られるエピソードの数々は、壮絶すぎて嘘か本当か疑ってしまう。

そんな中で強烈なリアリティでせまってくるのが、テルミン奏者Clara Rockmmoreとの友情に近い愛情の行方。具体的な恋愛描写はほとんど出てこないんですが、スクリーンに2人が並んだだけで空気が変わる。ロマンティックなシーンでボケる博士の天然ぶりがもどかしい。この映画、恋愛モノとしても充分に楽しめます。

我らがBrian Wilsonもインタビューを受けて、「Good Vibrations」にテルミンを導入するに至った経緯をハイテンションに説明します。テルミンって、大気の「いい波動」を音に変換する機械なんだよな。Brianの音楽の底なし感とテルミンの神秘感、出会うべくして出会った。
 ところでBrianの発言の中で気になる点がひとつ。「僕らのファン層はお茶目なことが大好きで、大人になりたくない子供なんだ。30代になりたくない20代なんだ」。そうだったの!?

SPA!の「オッサンと若者の境界線はどこにある」特集を買ってしまった。買った時点で負けって感じだが、読んでみたら実にピントはずれでがっかり。いまどき「ゲロゲロ」とか「トレンディ」とか言うやついるか? いるのかなあ。
 同じSPA!でちょっと面白かったのが岡田斗司夫さんと大槻ケンヂさんの対談です。「家族」の意義に疑問を抱く岡田さんは「家庭でリストラされるべきは夫である」と説く。それに対して大槻さんは「オンリーユーフォーエヴァー症候群」が捨てられないと応える。2人の言わんとしていることは、右脳と左脳で激しく同意するんだが、その接点は見つかりそうもない。

ひょっとして、「オンリーユーフォーエヴァー」の理想形はテルミン博士とクララかもね。