DIARY 2002年5月


5月1日 シャカシャカうるさいロックロールバンド

酔っ払い日記が続いちゃってどうも。今日は高校時代の友人と飲み。
 卒業して僕が音楽にうつつを抜かしていた頃 (今も抜かしてるけど) 、彼らはエンジニア青年としての道を着実に歩んでいったようで、趣味の話が全く合わない。どんな話題を振っても結局はバイクの整備かツーリングの話に帰結するのです。

子供の頃、実家の斜向かいにデ・トマソ・パンテーラという車を持っている家がありました。その騒音たるやエンジンを起動してから安定するまでが大変な騒ぎで、朝も空けやらぬ住宅街に毎朝のように轟く爆音に、スーパーカーへの羨望など一気に吹っ飛んでしまった。そんなわけでうるさい乗り物は嫌いなのだ。
 我が者顔で走り回るヤングマガジン野郎よ、まずはエンジンを捨てて電動化しろ。爆音に陶酔したいならヘッドフォンを使え。それが都会のルールというものだ。我々ロックフリークだってヘッドフォンに甘んじて、それでも「シャカシャカうるさい」なんて冷たい目で見られてるくらいなんだから。

なんて悪口を言い合えるのもオールドフレンドですか。

5月2日 We are stardust, we are golden.

FLIP SIDE of the moon初のオフ会のお知らせです。みんなでFUJI ROCKに行きませんか。ダメかな。ドキドキ。知ってる君も知らない君も、山の彼方でロックを浴びて、語り合ったりしてみたい。
 既に何人かの方から参加表明をいただいています。宿泊施設の手配を考えなくちゃいけないんで、そろそろ具体的に動き出したい。例え普段はシャイなあなたも、好きなバンドが出てこなくても、ロックなんて知らなくても、行ってみれば何かしら感じるものはあるはず。いまこの瞬間のあなたの決断力を試したい。

参考資料として、オフィシャルサイトを紹介しておきます。ちょっとでも興味を持ったらメールでお気軽にクエスチョンをどうぞ。

5月4日 みまちゃん

先月までの重度のBrian Wilson状態からは脱出 (したと思わなくちゃやってらんない) 。また英会話教室に通ってます。連休中は給付金制度で来ているサラリーマンが多くてちょっと潤いが足りない。
 今日はほかに生徒がいなくて、先生と音楽の話で盛り上がった (英語で!) 。高校の英語についていけなくて補習クラスに出ていたような僕でも、好きな話題だとあんがい喋れちゃうもんです。向こうのバンド名は正しく発音するとやっぱり語感が美しい。「君はきっとTrans Amというバンドが好きに違いない」と言われた。Tortoiseをポップにした感じなんだって。試してみよう。

そんなわけで精神的には底を打った (と思わなくちゃやってらんない) のだが体調的にはまるで駄目。あんまり認めたくないが奥歯が痛くなってきたような気がします。そしてこれはもはや認めざるを得ないのだが、めちゃめちゃ太った。学生時代と比べると15kg増えて、顔の輪郭とか全然変わっちゃった。
 デブな自分と向き合うのは人としてペシミスティックな行為だと思う。エスカレーターの鏡から目をそらして俯きがちに歩く僕はみまちゃん。

5月5日 Back To The Roots

こん平師匠は今でもちゃんとチャーザー村に帰ってるんだろうか、と日曜日になるたびに思う。そうして日が暮れて、新しい一週間が始まる。あまり知られていないことだけど、多くの日本人はこのサイクルの中で過去を想い現在を見つめて生きている。

5月7日 愛について

高木ブーさんのお店に行って来ました。ライブのある日はいつも満席だって聞いてたんだけどさすがに連休明けはガラガラで、お客さんは僕たちだけだった (後ろのほうに業界人の団体がいたけど) 。ステージがほんとに目の前なんで、曲間にバンドのメンバーと普通にお喋りできちゃう。楽器に興味がある素振りを見せたら休憩時間にブーさんが無言でやってきて、「ん」と言ってウクレレを触らせてくれました。ドリフエイジ感涙! 不愛想で不器用だけど優しい、イメージ通りのブーさんでした。特注のダブルネックウクレレ。弾きにくかった。

ドリフターズ加入前はハワイアンのミュージシャンとして活動していたブーさん、ウクレレが上手いのは当たり前ですが、軽妙なボーカルについてももっと語られるべきではないか。バックはギター、スティールギター、ベースの3人。みんないいお年頃で、ベテランのルーズな味わいを醸し出していた。結局3ステージまるまる堪能して、名刺を頂いてCDにサインも頂いて、イラストだのなんだのお土産まで持たされてしまいました。小学生時代の僕に自慢してやりたい。

帰り道に別のお店に入って、若くて美しい人妻と愛について語り合った (と日記に書けと言われたので書きました) 。

5月8日 花ノ名前

母の日が近いせいか、「カーネーション」で検索して来る方が激増しています。ここでは主に、Carnationという名前のロックバンドの話をしております。すみません。これも何かの縁なので今後ともよろしくお願いします。

もはや致命的になってきた体力の低下をなんとか食い止めようと、頑張ってプールに通う毎日。泳いじゃうと翌日に響くので、ウォーキングを中心に地道にリハビリテーションして参りたい。深夜の通販番組でやってるボディブレードの小さいバージョンが欲しすぎる。あと50トンのトラックが踏んでもつぶれないエアベッド。しかし寝ている人はつぶれるだろう。それとスチームクリーナー。

5月9日 Boyfriends Forever

高校時代の友人と飲み。先週の飲み会に来れなかった人のフォロー企画。久しぶりのI君は、娘の写真を携帯の待ち受け画面にして腰痛について語る正しいサラリーマンに成長していました。N君は先週の僕の日記にちょっと不服そうでした。僕たちは15年前からいまいち噛み合ってなかったし、今日もいまいち噛み合ってなかった。だからここまで長続きしてるんだと思うんだけど。

5月11日 Grapefruit moon

Moonridersのファンクラブイベントに行って来ました。別に会員とかではないんだけど、こわいもの見たさの好奇心がうずいてしまった。代官山のお洒落な街並に重力異常地帯発生、といった感じのイベントでした。80年代には少年少女だったと思われる業の深そうな方々が凝縮していた。
 まずはレア映像の上映会。ニューウェイヴ期のライダーズは普通に格好よくて、この頃が売れ時だったのではないかと思う。彼らがいま一つ大衆の心を掴めなかったのは、ひとえに微妙なビジュアルセンスによるのではないか。水泳帽とかかぶっちゃうんだよね。彼らのアヴァンギャルド性は正しすぎて無邪気すぎて、少なくとも当時の「東京ガールズブラボー」たちは憧れなさそう。

続いて、大病から生還した岡田徹さんを中心に、鈴木慶一さん・鈴木博文さん・武川雅寛さんでトークショー。岡田さんの病状はかなりヘビーで、体中にチューブを差して3ヵ月も入院していたとか。復帰を祝って岡田さんの新曲「Grapefruit Moon」と定番「さよならは夜明けの夢に」を演奏。その後オークション大会。ポスターやステージ衣装に興味はないが、ライブ用の譜面が欲しすぎる。ちょっと頑張ってみたものの、お姉様方の財力を前に敢えなく敗れ去りました。
 終演後、出口でファン1人1人に語りかける岡田さんの姿が。ジェントルで気さくなおじさまでした。長生きしてください。それと名物マネージャー野田さんを初めて認識した。キュートで理知的な女性でした。おーい今度飲みましょう。

帰りしな、同行のY.K.さんと、某ドラマーの公認サイトを作っているという女の子と3人でライトに飲み。のつもりがヘビーに飲み。詳述は避けますが、女の子のマニア体質というのは男の子のそれとは大きく違うのだと思った。色んな意味でたくましくって潔い。マニア嬢帰宅後は、始発までだらだらと恋愛の話など。濃い一日だった。
 ところで、イベント会場に貼ってあった歌詞のラフスケッチを野田さんに貰ってきました。世紀の名曲「くれない埠頭」の知られざる原題に軽いめまいが。

5月13日 ヘタレ組

日記を書いてない時期はほぼダメデーですので。

ここ一ヶ月くらい意識して飲みの予定を入れてたんだけど、医者に釘をさされてしまった。君はまだ他の人にペースを合わせられるほど健康じゃないよと。確かにスケジュールを擦り合わせるだけで負担になるし、決められた時間に外出するのも大事業で、飲んでる時間は楽しいんだけど帰り道にはぐったりしてることが多い。コミュニケーションが上手くない時期だってことを自覚しないとね。たった一本のメールに浮かれたり疲れたりするのもなんだかねえ。

5月15日 ドキュメント・学級崩壊

トキメキウクレレ教室。今日は新人さんが3人も入ってきてトキメキ度ますますアップです。徒に半年も通っている僕は相対的に「ベテラン」と言われるようになってしまった。練習しよう。

さて、クリスマスにはクラスごとに演奏を披露しなくてはならず、本来ならそろそろ曲選びに入る時期なのだが、なかなかメンバーが定着しないのでそれどころではない。もともと覇気のないホニャっとしたクラスなので、特にベテラン勢の出席率が悪いんです。しかも、ただひとり地味に真面目に練習していた女の子が、土曜日のクラスに移りたがっている様子。平日はOLさんや学生さんが中心の和やかムードで、週末はつわもの達がバリバリと弾くのだ。彼女もバリバリ弾きたかったんだろう。という訳で現在一番のベテランは、クラスのホニャっとした空気を醸し出す天然OL嬢、その次がこの僕という危機的な状況にあります。

5月18日 慎吾ちゃん

柳沢慎吾ちゃんのギャグで笑ってしまった。

5月19日 少し

晴れていたので久しぶりに実家に帰りました。お土産にプリンターを購入。USBは嫌いだけどUSB対応の周辺機器ってほんとに充実している。安くて早くてきれいで悔しい。

実家の犬が「動物のお医者さん」のスコシみたいになってて可愛いくない。完璧にしつけに失敗していると思う。うちの猫も決してできた方じゃないけど、あそこまで傍若無人じゃないよ。そんな訳で、犬に掠め取られたりなどしながら夕飯とお酒を頂きました。しこたま飲み食いしてから明日が血液検査の日だと気づいたんだけどまあいいか。前日に取り繕ったところで健康になる訳じゃないし。どんな時も正直な自分でありたいものです。

5月21日 心に佇む友達 Peter, Kate & Garp

連日凹寝 (へこね) 。駄目すぎる。と思ってたら、いつも野生の勘で僕の凹を察知してくれる後輩のマユコさんからお誘いの電話。ありがたい。

例えば僕が、離れて生活する友達が凹んでいることを察知できるかと言われればまあある程度はできるんだけど、だからといって自分の睡眠時間を割いてまで会ってあげるほど大きな心を持ちあわせてないし、会ったところで相手を元気づける自信もない。という意味で、彼女は偉大すぎてとてもかなわない。リスペクト。
 「山下スキル改造計画」なるものをありがたく拝聴しました。社会復帰を果たした上に素敵なご褒美までついてくるという壮大な計画だった。彼女とは、絶対に恋愛に発展しないという前提のもとで特殊な友情が成立しています。駆け引きは全くないけど、気遣いは微妙にある。今はこれくらいの距離感に一番救われる。いつか社会復帰した曉には、焼酎を浴びるほど奢ってやる。いいか、浴びるほどだ。

5月22日 二階から目薬

僕の好きな言葉は「二階から目薬」です。二階から目薬、無理じゃん。無理なことの例えとして「二階から目薬」って比喩を持ち出したセンスが好きなの。「のれんに腕押し」とか「糠に釘」みたいな脱力系の言葉も好き。日本人のユーモアセンスってたぶん長いこと変わってないと思う。

最近の笑いがわからないっていう人がいるでしょう。それって状況設定がわからないだけなんだと思います。「はねるのトびら」を見ていたら、オタク役の人が2ちゃん用語を喋ってたんです。わかんない人にはわかんないよね。でも笑いの本質とは全然関係ない。発想の原点は「二階から目薬」の時代と変わんないと思うんです。どうよ。
 僕がどうしてもわからない笑いは横山やすし、山崎邦正、吉本新喜劇。

5月23日 ビューティーを世界に

「ドイツ生まれの新素材・激落ちパパ」というグッズはしつこい汚れが本当によく落ちる。研摩材をスポンジ状にしたのかな。水をつけて擦るとステンレスやガラスがきれいになって、消しゴムみたくちょっとだけ磨耗するのです。不思議すぎて楽しすぎて台所回りやお風呂がピカピカになった。盛り上がったついでに部屋中大掃除。実は猫の手入れを怠っていたので、部屋がちょっと臭かったんだ。ほかにも停滞していた活動をいくつか始動させた。幸先は...あまりよくない。

菊地成孔さんが日記で神経症のことを書くようになったおかげで、ネット系ミュージックフリークにはこの病気に対する理解が深まりました。もちろん彼の症状と僕の症状はちょっと違うんだけど。一番の違いは、彼には語り合ったりハグしたり、時に散歩に連れ出してくれる奥さんがいるけれど、僕は基本的に独りで闘っているってことだ。だから僕を部屋から連れ出してくれる友達や、この日記を毎日300人の人が読んでくれてることに、とても救われてるし依存している。そこの君よお願いだ、1/300くらい支えてください。世界はまだ醜い。

5月24日 You've got to help yourself

頑張った。先週の金曜日を4ガンバリとすると、今日は51.7ガンバリぐらいしたのではないかと思う。でもいくつかやり残したことがある。明日も頑張る所存。

ちょっと前にメールで話したこと。
 自分の力で何ができるか考えると暗い気持ちになるでしょう。それでも何かアクションを起こさなきゃいけない時に、モチベーションとして「誉め」に勝るものはないなあって。だって誉められるとアドレナリンが出るよね。それが女の子だったらピーク・エクスペリエンスだよね。
 ある写真家の人が飲みの席で、「ねえ、お互いのいい所を誉めあわない? 」って言い出したんですね。それって発想としてはすごく効率的だと思った。でもピント外れな誉めを受けると、逆に距離を感じたり凹むことがある。そこで僕は考えた。自分で自分を誉めては如何かと。どうよ。ペシミスティックな僕にとっては画期的なアイデアなんです。自信作です。あなたも自分を誉めてみませんか? (奢らないように注意して!) そういう意味で、今日は頑張ったと思う。

5月25日 磁性紀最後のラヴソング

今日の頑張り度は34.7ガンバリ。昨日と比べるとやや劣る。明日は午前中はゆっくり過ごし、夕方からまた頑張る予定。マイペースで偉いなあ僕。という言葉は「自分を誉めるキャンペーン」の一環として。

Spank Happyのインストアライブを見てきました。今や若きミュージックフリークの憧れの的である菊地成孔氏は、しかし精神科の待合室でよく見かける眼をしていた。あんまり見つめられたくない眼。そして彼らの80年代趣味は懐かしくもあり、かといって80年代の多幸状態に縁がなかった人間にとっては憧れようもない微妙な視座でした。60年代を体験していながらサマーオブラヴに乗り損ねた人の気持ちなどを思う。
 終演後、念願通り岩沢瞳さんと菊地さんと握手を交わして、雑踏の中でOutdexのムネカタさんとK'z RoomのKさんに遭遇。ネット界広しと言えどもKさんに会った人は珍しいのではないか。

その後、H.M.さんとS.N.さんとF嬢とF.TさんとK.M.氏とU.K.くんで飲み。主に恋愛と仕事と「誉め」の話などを交わす。蘊蓄を語るほど経験値が高いでもなく、桃色片思いをするほど若くもない僕は、外野として無難に参加。

5月26日 そしてまたひとつ傘を失う

僕には傘を無くす才能がある。なにかの比喩じゃなくてですね、アンブレラを紛失する才能があるのです。スコールの夕闇にまたひとつ、あの子と歩いた想い出の傘をどこかに置き忘れてしまった。

5月27日 過った用法

設計者の意図としては猫にパンチやキックをしてもらいたかったのだろうけど、そのように使われたことはついぞなく、バネの部分を枕だと思い込んで早5年になります。それでも気に入られているこのグッズは幸せだろうか。設計者は幸せだろうか。

病院で血液検査の結果を聞きました。アルコールとドラッグまみれのわりには肝機能もさほど問題なくて (多少は問題だった) 、お酒を止められることもなかった。よかった。酒がなくちゃ生きて行けないわ。
 医者に、最近の自分の考え方や近況の報告をした。やっといい兆しが出てきたって。僕もそう思う。本日の頑張り度は...まあいい、山も谷も受け入れよう。

それにしても月曜日というのは、「あいのり」を観て不器用な恋愛に憧れつつ、「恋するウフフ」で策略だらけの恋愛に幻滅する日だ。「あいのり」の妙なテンションにはついていけないけど、彼らのようにピュアに生きたいと思う。みんなが等しく程々にハッピーになれたらよいと思う。

5月28日 FIFA

フィファってなに。サッカーの団体名であることはなんとなくわかるんですよ。ついこの間まで普通に「ワールドカップ」と呼ばれていたイベントが、なぜここまで執拗に「フィファ・ワールドカップ」と呼ばれなきゃならないのかってことですよ。フィファ。お父さんが浮き輪を膨らます黄色いふいごのようだ (フィーファーフィーファー...) 。

5月29日 放課後の音楽室

ときめきウクレレ教室。相変わらずクラスのメンバーが定着しない。ついに一番のベテラン嬢がほかのクラスに移籍したため、レギュラーメンバーは2人きりになってしまいました。なぜだ。しかもみんなホニャっとしている。それでも新曲をやるのです。Gontitiの「放課後の音楽室」とNat King Coleの「Love」。
 Gontitiのネーミングセンスは実に素晴らしいと思う。「脇役であるとも知らずに」「マイル君とパブ谷のクリマロ君」「チョコレート粉砕工場」「12月の水泳訓練」「漁夫の利」

そして我がウクレレユニット「だめポロン」も事実上僕のソロプロジェクトになってしまった。ロゴマークもテーマソングも作ったのになあ...。
 というわけで新メンバーを募集したい。穏やかで美しくて、出来ればボーカルの取れる女性を希望。あまり本格的な方が来られると僕のすることがなくなってしまうので、野心と演奏力のない人がいいです。

5月30日 ジャージの似合う女の子

「ジャスト」という いけ好かないワイドショー番組があって、(ワイドショーたるもの得てしていけ好かないものだけど) 、その中に変身プロジェクトというコーナーがあります。ファッション的にちょっとアレな人達を救済しようという企画。以前は主に「うちの亭主のファッションをなんとかして」という依頼が中心だった。テレビの取材が来るというのに、ボサボサの寝癖でパジャマ姿で登場するご主人。いくらなんでもそれはないだろう。

問題は、最近そのシリーズで「女子大生改造計画」なる新コーナーができたのです。化粧っ気のないすっきりした女の子を、わざわざ叶姉妹のようなごてごてのメイクに仕立て上げて「まあきれい」っていう。番組の主旨的に、化粧のセオリーをわかりやすく説明する必要があるのはわかりますが、いくらなんでも厚化粧が過ぎないか。ジャージの似合う少女よ、君は昔のほうが輝いていたよ。

でも「夢見る30男 改造計画」なんて企画をやってくれたら出演してみたいなあ。ファッションセンスのなさは僕の積年の課題なのです。お洒落な服を買おうと何度か試みたことはあるんだけど、店に入った時点で怖じ気づいて撤退してしまった。お洒落な服を買うには、お洒落な店に行くための服が必要です。

5月31日 スローモーション

お風呂あがりに蕎麦を茹でながらウェブを見ていると、お湯が吹きこぼれたので飛んでったら滑って危うく転倒しかけた。これで頭を打って死んでたら、などと思う。猫の泣き叫ぶ声で異変に気づいた近所の人の通報で、1週間後くらいに発見されるのです。トランクス1枚の格好で。鍋には干上がった蕎麦、モニターには書きかけのBBS。何ごとも成し遂げなかった人生の終焉がこれでは余りにも酷い。
 しかし僕は猫のように素早くバランスを立て直して、今この日記を書いています。「生かされた意味」を考える。余生、と申し上げてもいいだろう。僕にはまだ何かを成し遂げる可能性がある。だからもう少し生きてみようと思った。トランクス1枚で。

鈴木惣一朗師匠が少年時代を語っています。MAO MAO NET SPECIAL INTERVIEW。彼のロック原体験がドリフターズとは驚いた。僕もやっぱりドリフターズなんです。大音響の中で「しむらー! うしろー!」と叫びながら、ある種のトランス状態を感じた。だからというわけじゃないけど、音楽にはユーモアが絶対に必要だと思っている。
 彼の音楽を初めて聴いた時の直感、モンド・ミュージックという概念から丸眼鏡へのこだわりまで、やっぱり何か通底するものを感じました。そんなこと言われても彼は迷惑かも知れないけどさ。