DIARY 2003年8月


8月3日 熱帯夜

sasakidelicさんのイベント"LION4"に行ってきました。オールナイトのイベントなんて久しぶりだ。場所がわかんなくて迷ってたら麻生久美子さんが友達を携帯カメラで撮っているところに出くわした。気さくでいい人っぽかった。
 トップバッターの路川さん from кис-кис графикаは、ソウルフルな中にも笑いを振りまき、しかしやっぱりソウルフルでした。吉沢さん from Planet Bossaは、バラエティ豊かな選曲を抜群の構成力でつないでいました。sasakidelicさんは飲み過ぎて失敗したーって言ってたけど、彼の酔っ払い方は楽しげで素敵だといつも思う。周りの人を幸せな気持ちにするね。

美少女は自分をどう思っているのかずっと知りたかったんだけど、ワンノブゼムとしてのDJ A.Z.a.T.o.i.は、「自分の顔好きじゃない、綺麗になりたい」って。素晴らしい写真のセンスも活かす気がなさそうだし、どっちに向かってんのかなー。あと十何年か過ぎてもコロコロ笑って音楽に夢中でいて欲しいよ。素敵な仲間達のように。
 Y.Y.さんからはハワーイ土産にこんなにでっかいマカダミアナッツを貰った。外に出たら朝日が眩しくて倒れそうだった。夏だね。

8月6日 strange night 03

Kraftwerkの新曲「Tour De France 03」のEU盤は忌わしきCopy Control CD、UK盤はちゃんとした音楽CDの規格に則っているのをご存じですか。まもなく発売される日本盤もCopy Control CDなので、我々はUK盤を買うほかに選択肢がない。渋谷Tower Recordの特設平台に山積みにされた「Tour De France 03」を1枚1枚めくっていくと...あった1UK盤だ1
 と、ここまではよかったんですが。17年ぶりのアルバム「Tour De France」はどうなのよ。隣に山積みされた「Tour De France」を1枚1枚めくってみたんだが、出てくるのはEU盤のみ。

そこでひらめいた。こういうおかしな情報をたくさん持っている人がいる。strange music pageのS.K.氏だ。「もしもしあのね、『Tour De France』のUK盤って出回ってるのー?」「あーそれいま渋谷のHMVで探してるところですー」。
 というわけで、我々2人の調査によって、少なくとも渋谷のTower RecordとHMVにはUK盤は入ってないことが確認されました。Amazonとかで買うかなー。そのあと2人でがっかりしながらビールを交わした。Kraftwerkってさー、あの2人である必然性はもはやないよねー。もう替え玉と入れ替わってるかもよー。気づかねー!なんてお喋り。ところでS.K.氏にとっては別の意味でもストレンジな夜だったようだ。うはは。

8月8日 それで僕らも小さな夏を燃やして

FUJI ROCKの同行メンバーが集まって、我が家で極私的後夜祭。集合時間にやって来たのはA.A.さんただひとり。「そと暑いーっ!」と叫んだかと思ったらハチクロを黙々と読み始めた。最初は「周囲がはぐちゃんを可愛がってる感じがキモい」とか身も蓋もないようなことを言っていたのだが、山田が出てきてからはがぜん感情移入。トータルな感想としては。みんな永遠のモラトリアムだからこういう漫画にのめり込めるんですよー、とのこと。ぐぅの音も出ません。それにしても山田派って多いなー。
 写真は我が家で預かっているファンキードッグ、ラビと踊るA.A.さん。本人の要望で顔出しNG。トイプードルがスタンダードサイズに見える彼女もコロボックルだ。

2時間ほどして続々と人が集まり始めた。みんなそれぞれに予想外の飲食物を持ってきて、あっちのテーブルとこっちの絨毯で好き勝手にお喋りしてました。
 終電組が帰ってからは芝生で花火大会。ひとしきり大はしゃぎして酔いが回った頃、みんなで芝生に寝転がってみた。吹き抜ける風が心地よくて、東京でも意外と星が見えるんだなーなんて。僕は流れ星を見たんだけどね、みんなは見てないと言うのが残念だ。流れ星を見てとっさに願い事ができるくらい機転の利く人は、大抵の願い事は自力で叶えられると思った。

8月11日 幸せになって欲しいと願うこの気持ちでさえも

タイフーンが吹き荒れる中、最近僕に冷たい師匠鈴木惣一朗さんのニュープロジェクト、RAMのライブを見に行く忠実な犬としての僕だ。青山CAYという場所はお洒落なんだけど空気の流れが悪く、そして飲み物が高い。
 RAMいいですよ。ここ数年のDiscover America路線、その反動とも言えるエレクトロニカ路線も大好きだけど、RAMは僕がずっとイメージしていた鈴木惣一朗さんの音であり、そして新鮮な今の音でもある。青柳拓次さんはこの日は欠席、伊東ゴローさんと鈴木惣一朗さんのつま弾くギターの隙間からは、彼らが吸収してきたポピュラーミュージックのエッセンスがしたたり、その歴史を踏まえた上で2003年のある夜、ある空間にリアルに響く暖かさと儚さと笑いに満ちていました。

翌日は後輩くんの結婚式の打ち合わせ。F.T.氏が写真を撮り、僕がDJをする。F.L. Wrightが設計したという建物は素敵すぎて、どんな音楽が似合うか悩む。でもまあ、パーティだから楽しくね。
 その後、幹事の人々と飲み。たまたま隣に座った子が、実は交友関係や趣味が非常に近くて、あちこちでニアミスしていることが判明。ハチクロでは真山派だという。真山とは。自分を思ってくれる女性に幸せになって欲しいと願うけれど、それは自分の役割ではないという矛盾。そしてその願いが強すぎるために時にエゴをふりかざし、その一方で歳上の女性に魅かれてしまうというダメ男。この日記には今後もハチクロの話題がいっぱい出てくる予定なので、課題図書としてみなさん読んでおいてください。

8月12日 僕に、胸キュン。

シャンプーを変えたら、お風呂上がりとか枕の残り香とか妙にいい匂いになってしまって困ってます。満員電車で前に立ってるおじさんから花のような香りがして、思わず胸が甘酸っぱい感じになりそうなのを必死で我慢してるみたいな、そういう心境。

8月14日 The Age Of Aries

牡羊座は今年、困っちゃうくらいラッキーなはずなんだがどうしちゃったのかな。今朝、生まれて初めて双子の卵というやつに当たりました。これか?
 夜になってユニット「続・おつかれっす」の定例飲み会。場所は今までにない感じ。飲んべえ横町の一番奥の、4帖くらいのお店。限りなく梯子に近い階段はアスレチックのようだった。議題は周囲で次々に発生するカップルについて、及びそのムーヴメントの中心にいながら色気のかけらもない僕について。

我が家に流れ込んだ頃にはもう随分よっぱらっていて、何を話したか忘れちゃった。出版業界の話とかかな。それにしても飲んべえ横町にキープした焼酎のボトルはまた飲むことがあるのだろうか。山下を名乗って勝手に飲んでいいよ。

8月17日 彼なりのヴァカンス

「ぼくたちの休暇」というイベントにDJとして呼んで頂きました。
 出演者は、かしぶち哲郎さん。Moonridersのドラマーとして、ソングライター・映画音楽家として、時には矢野顕子やMichel Legrandと組んで甘美な音楽を作ってきた人。そして渚十吾さん。エッセイ集「Strawberry Dictionary」や、ソングライター・プロデューサーとして詩情溢れる世界を作ってきた人。そしてSaturday Evening Post。僕のお気に入りの若手フォークトロニカユニット。彼らはもうすぐ話題を集めることになるんじゃないかな。

大雨で冷夏で遠距離である、という三重苦を乗り越えて、無理矢理ヴァカンス気分で行って参りました。まずは客入れBGMのDJ。と言ってもDJを始めた頃には既に多くのお客さんが入っており、じっくりDJプレイを聴くお客さんの前で緊張。ビールが入ってからは調子が出てきて変なアイデアをいっぱい試した。これ、評判がよくて、S.E.P.の美少女ボーカリスト嬢に誉めて貰った。渚十吾さんにはFrancois De Roubaixをかけたことを共犯者のように喜んで貰った。かしぶち哲郎さんにはMCの中で、山下くんありがとうって言って貰った。嬉しー!

最初のライブはS.E.P.。手旗信号みたいな振り付けで「Be Here In The Morning」を歌ったあと、フォークトロニカ攻勢に突入。お客さんに音を出してもらって、それを加工しながら演奏を重ねていくパフォーマンスが楽しかったです。渚十吾さんはシーケンサーを駆使しながら呟くようなボーカルで魅了。お客さんにスイカ飴やオルゴールを配ってヴァカンスしてました。かしぶち哲郎さんはさすがの余裕で弾き語りを披露。Out Of Tuningなピアノを楽しんでいるようでした。最後は2人でDonovanのカバー、そして「'Til I Die」。太陽の下のヴァカンスではなかったけど、密室のひそやかなヴァカンスであった。

僕のセットリストはこんな感じで。まずは夏の夕凪ヴァカンスセット:
01 The Los Angelses Biltmore Hotel Trio / Hard To Get Gertie
02 Janet Klein / I Wish I Were Twins
03 浜田康一 / Celebration
04 Piero Piccioni / Ma 'ndo Hawaii
05 Elizabeth Mitchell / Ladybug Picnic
06 Francois De Roubaix / Chapi Chapo / Generique
07 Ukulele Club De Paris / Chigadaging
08 Francois De Roubaix / Boulevard Du Rhum / Generique
09 Neil Yong / See The Sky About To Rain
10 Donovan / Sunshine Yellow
11 Manfred Mann / My Name Is Jack
12 Zola / Veraniega
13 Donovan / Were Your Love Like Heaven
14 岩沢幸矢 / アレハ?
15 Poperetta / Au Soleil
16 Trickbaby / Slipping Through Your Fingers
17 Mr.Untel / Les Vacances De Mr. Hulot (Remix)
18 Sound At Veranda
椅子も片してダンスタイムセット:
01 大工哲弘 / Travessia
02 Kalabisa / Roochoo Gumbo Y2K
03 Ultramarine feat.Robert Wyatt / Happy Land (Remix)
04 Juana Molina / Que Lluvia!
05 Bread & Butter / Pink Shadow (BB★C Ver.)
06 Paul Simon / You're The One
07 Dan Hicks And The Hot Licks/
 I Scare Myself (Beatin' The Heat Ver.)
08 川上つよしと彼のムードメーカーズ / Summer Samba
09 De Phazz feat.Pat Appleton/ The Mambo Craze (Remix)
10 ムッシュかまやつ / バンバンバン (Readymade Spyduction Mix)
11 鈴木蘭々 / 花とみつばち
これにサンプラーやパーカッションでSEをかぶせていきました。
 来てくれた皆さん、ありがとう。あんまりお喋りできなかった皆さん、ごめんなさい。メールやBBSの書き込みお待ちしてます。

8月19日 ちらし寿司なら

亡父の古い友人宅にお邪魔してちらし寿司などをご馳走になりました。うまかったー。そん時に聞いた話なんだけど、僕が産まれた時は親戚縁者が集まって、名前の字画について大論争になったそうだ。で結論は、「大器晩成型で行くことになった」。そうだったのかー。大器晩成っていつごろ芽が出るのかなー。蝉のような人生なのかな。
 もうすぐ産まれる弟夫妻の赤ちゃん、もし男の子だったら寿司太郎って名前はどうかな、と思ったけどこわかったんで言わなかった。

8月20日 腹

我が家に設置された猫タワーの最上階には下の階と通じる穴があって、最近 愛猫ネモはそこにお腹を入れて寝るのがお気に入りです。非常に出っ張っているように見えるかも知れないが、猫の体は柔らかいので、スライムのように伸びきっているのだ。だからどうって話でもないのだが、夏の日の1コマでした。

8月23日 地図がないんじゃない、僕にないのは目的地なんだ

明日こそは長い日記を書こうと思っていたのだが、別にとっておきのネタがあるわけでもなく3日が過ぎた。「ハチミツとクローバー」第5巻を購入しました。発売日だったけど、平積みの列が著しく低くなっていた。それだけ人気漫画になってしまったのだね。
 今回もサンプリングしたいセリフ満載で、それぞれのキャラクターはそれぞれの方向に、より逞しく歩み始めている。

そんな中でうじうじ「自己との対峙」を続ける竹本。じいさん受けする割には面接官受けしないところなんか僕にそっくりで、作者の羽海野チカさんはこのサイトを読んでるのかとさえ思う。亡父の名前までおんなじなんですよ。ひょっとして身近な誰かが僕をネタに漫画にしてないか?
 森田は4巻での不在分を補って余りある暴れっぷり、真山と山田はそれぞれ少し大人になって、間違いをしなくなった。「お別れの日が、近づいているのだ」。そろそろ花本と理花の世代について語られてもいいな。特に、第三の選択をしなかった花本について。

今日は久しぶりにカラオケです! はりきります! パパヤパー! フバンバー! しかし顔ぶれはいつもと一緒。ひょっとして友達少ないのかしら。渋谷でやってますんでゲスト参加希望の方は僕の携帯まで。

8月24日 いなくていい人

というわけでカラオケに行ってきました。たっぷり3時間半。馬鹿だねー。今年の春まで「カラオケなんで下卑た娯楽は許さん」とか言ってたのに。/P>

その後、安いしゃぶしゃぶ屋で4時間粘った。主な話題は、女子校出身の二人と男子校出身の二人の青春の思い出について。女子校の人はたいてい「楽しかったー気ぃ使わないし」っていうよね。男子校は辛かったです。それからちょっとした内緒話を耳にしたんだけど、日記に書いたらグーパンチ流血だって。あっ書いちゃった!
 最近よく会う顔ぶれの彼ら、僕以外の3人は春を見つけた。それを素直に祝福するべきなんだろうけど、なんだか「寂しいスイッチ」が入ってしまった。みんなあんまり遊んでくれなくなるのかな。僕はずっとずっと一人で生きるのかな。とか男子校生みたいな不安を抱えたまま布団を被る。

8月25日 パブロフ

台所に立つと頭の中に「今すぐKiss Me」が流れるようになってしまった。サビしか知らないので同じフレーズがリフレインしてます。辛いです。
 どっかの音楽系検索サイトに載ったらしいんだけど、そこから飛んできた皆さんは虫ケラのような内情吐露日記を見させられてなんともお気の毒だ。レビューは近日復活に向けて準備中です。どうか見捨てないでください。

8月27日 泡の魔術にかかったような

C.T.くんに誘われて高円寺阿波踊りを見物してきました。なぜ阿波踊りなのかね君、高円寺なら高円寺で堂々と土着の踊りを踊ればいいじゃないか、とずっと思っていたのだが、実際に見てみるとやっぱり現代人の感性にフィットする要素があるんだな。日本のダンスミュージックとしてはパーカッション類が圧倒的に強い。強烈なバックビートで踊り狂う様は、ある種のトランス状態でした。写真はブリングルスみたいなチョビヒゲをしてる割にはテンションの低いラテン系の三味線氏。ヒゲをこのようにトリミングしたばかりに常にハイテンションを求められるよ彼の人生はお疲れさま。

早めに撤収して高円寺在住のF.T.氏お薦めの店でお喋り。この店はテーブルが黒板になっていて、チョークで落書きをしながらお喋りができる。まずはこの界隈の人物相関図を書いてみた。30人くらいの名前が曲線で繋がりました。誰と誰は誰を介して知り合ったはず、とかそんな他愛のないことなんだけど、図解してみると妙に納得がいって大笑い。意外なキーパースンの発見とか。なんか書くもんがあるだけで、酒の会話ってこうも広がるもんだなー。
 C.T.くんは先に帰って僕はF.T.氏のお宅にお邪魔。彼のMACにはいつもストーンズのDVDが入っていて、ミック・ジャガーの変な動きを研究してる。それなんか役に立つの。

8月31日 Mr.Bringles etc

薬を切らしてしまって不眠と頭痛と目眩の日々を過ごしています。こんなにも依存してたんだなあ。
 弟夫妻と母方の祖母がやってきた。弟夫妻の愛犬、ラビが新ネタ「へぇ」を見せてくれました。要するに「へぇ」と声をかけるとアームレストを連打するんだが、評価としては62へぇ、と言ったところか。

ところで高円寺で見かけたブリングルス氏、なんと友達の友達であることが判明した!