DIARY 2003年11月


11月4日 INPUT / OUTPUT

鍋会@我が家。僕の知ってる限りでは史上最強に料理の上手いK.M.氏とI.H.さんに鍋奉行を依頼。お二人は、もはや人が住む街ではなくなってしまった港区の食料事情に大変なご苦労をされたようだけど (そのくだりはお二人の日記に詳しい) 、あっという間に鶏わさとモツ煮込みを制作、鍋のセッティングまで済ませてしまった。ウママママーッ! 料理ユニット。婦女子諸君なら即惚れ確実です。絶妙なタイミングで鍋に玉子を流し込んだ時、彼らは真のヒーローだった。

sasakidelicさんが出演している"CLUB RADIO DICTIONARY"を酷い電波状況の中で聞きながら、みんなの到着を待つ。ラジカセの両側を持つと辛うじて聞こえるのです。かわりばんこで人体アンテナになり、ノイズの向こう側に耳を傾けた。
 最初は寂しい感じで始まった鍋会も、いつの間にやら千客万来。来てくれたみんな、ありがとね。

辻睦詞さん (ex.詩人の血、Oh! Penelope) とゆっくりお喋りするのは初めてだったんだけど、強さと自信を持った方でありました。ここにはちょっと書けない危険なトークで大笑い。それと、最近すっかり日記サイトと化しているフリップサイドを音楽サイトとして誉めて頂いた。イヤッホウ。その一方で、言い回しの危険性についても。
 最近は全然レコードレビューを書いてなくて、実は新しいレコードを聴く気力が萎えてきてるんだよね。いいレコードを見つけたところで、こういう形でレビューすることにも疑問を感じている。そんな話からいつの間にやら人生相談に。

終電組が帰った後、辻さんとK.M.氏とでレコード鑑賞。辻さんがミュージシャンの視点から、「グルーヴ」なるものの構造を解説する。いままで漠然と感じていた現象が、こんなにも考えぬかれて成立していることに驚いた。僕がレビューを書けなくなった理由のひとつに、こういう視点の欠如があるんだよ。
 ただ、ソフィスティケイトされた音楽が絶対だとは思わなくて、3コードで突っ走る魅力もあれば不器用なアマチュアイズムの魅力もある。辻さんが素晴らしい感性で吸収して、素晴らしい技術で表現しているのは、うーん実に素晴らしい。でも僕がそれを目指すのは意味がない。例えばBrian WilsonやPaul Williams (評論家の方) になれるまで黙ってる人なんて、存在しないも同じだ。

昼過ぎまで辻さんとお茶を飲んで、近い再会を約束した。次回は辻さんのバイタリティに飲みこまれないよう。云々。

11月6日 大人が見たら泣いちゃうよ

金正日なみに雲隠れがちな僕です。パーティの反動で疲れてた。大人数で騒ぐのも楽しいけど、出来ればしっぽり少人数で遊びたい。
 ダ・ヴィンチ誌12月号の特集は、「大人が見たら泣いちゃうよ。未来少年コナン」。初めてダ・ヴィンチ誌を買った。よしもとばななさんが、Boy Meets Girlものとしてのコナンの魅力を語っている。そんな中でとり・みきさんだけは、こんなイラストを描きました。三角塔から飛び下りて着地するシーン。全26話13時間の中からこの瞬間を切り取る彼の眼力よ!

宮崎駿さんという人は、映画作家である以前に一介のアニメーターです。大地に蠢く戦車の重量感をどう表現するか、重力に逆らって飛び立つ飛行機の浮遊感をどう表現するか。要するに、重力加速度の表現に執拗にこだわっているんです。「千と千尋の神隠し」の海上電車のシーンの美しさは、電車の重量感と海水の浮力のバランスの上に成り立っている。
 ところが世間や徳間や日テレが、彼に「思想」を求めるようになって破綻しちゃった。コナンの着地シーンみたいに、アニメーターとして描きたいシチュエーションを描けば、素敵なストーリーは自然についてくる。

通院。自殺願望とかヘヴィな話を長々とした。話し合った結果、数年先・数十年先のヴィジョンを描くのは、今の僕の病状では逆効果につながるという。とりあえずの目標は、おととしの状態に戻す。プールに通って基礎体力をつけて、英会話と楽器にもリトライするつもり。

11月9日 こっそりこっそり

F嬢のサプライズバースディパーティ@西麻布Club Kou。本人には内緒で普通にDJイベントをしていると、突然音楽がとまり「Happy Birthday To You」の大合唱、そしてプレゼント攻勢という算段。そのきっかけというか、大合唱のウクレレ伴奏係が僕だ。緊張したー!
 半年以上も触ってなかったウクレレを持ち出してコソ練。会場に入ってからもトイレに隠ってコードの確認。普通の歌本には出て来ないB♭m6とかを使う。合唱の伴奏は見事に失敗したけれど、みんな大きな声で歌ってくれたのでよしとしよう。プレゼント攻勢の間のBGMはいい感じに弾けたと思う。

それにしてもこういうパーティに参加するのは初めてで、アメリカの学園ドラマでも見ているようでした。F嬢が本気で驚いてるのがおかしかった。おめでとうおめでとう。そして今回の首謀者の、F嬢の同居人のお二人、DJのsasakidelicさん、吉沢さんfrom Planet Bossa、お疲れ様でした。F嬢はみんなに祝いたいと思わせる素敵な女性です。それから着いたとたんにグラスを割っちゃってすみません。素敵シチュエーションでも大失敗をやる。
 串焼き屋で二次会の後、帰宅。選挙速報を見る。誰に入れたか教えてやんないが、消去法で投票した候補はなんとか議席を獲得した模様。

11月10日 Strange Parallel

麗しの人妻、マユコさんと焼酎デート (夫公認) 。彼女は大学のいくつか後輩で、当時はその美少女ぶりにキャンパス中が色めき立ち、尾を振って近寄ってくる男達をばっさばっさと切り捨てて颯爽と闊歩していたものです。それが僕みたいなダメ男とこんなにも長くいい友達でいてくれるとは思わなかった。
 それはひとえに僕が人畜無害な人間であるからで、この日も彼女のお母さんから電話がかかってきて「いま山下さんと飲んでるのー替わるねー」だって、「こここんばんは、なるべく早く帰しますので」なんて、ついに母公認だよ。ほんとはいつ襲ったろうか、と思っている。

まずはお互いの近況報告。彼女のもっかの悩みは親知らずがうずくことだそうで、秋口に会った時より随分とすっきりした表情だった。もちろんここには書けない悩みもいろいろあるようだけど、それでもちょっと前よりは心の余裕を感じました。
 初めて会った時の彼女は純朴なコドモで、それから人生の色んなフェーズを見てきたけれど、困難を糧にしてどんどん成長していった。その一方でおんなじところをぐるぐる回っているのがこの僕で、ずいぶんと叱咤激励されてしまった。出来ることから細々とやってみるよ。彼女には、無意識レベルの心の機微を察知する力がある。お喋りするとすごく楽になれるんだ。サウイフ者ニ私モナリタイ。で、なぜかシチューを頂いてバイバイ。

ところで最近の芸能ニュースは面白いな。結婚できないキャラで大躍進を遂げた磯野貴理子氏がついに結婚。今後の仕事に響かないのだろうか。そして市井紗耶香さんがひっそりと引退。モー娘。を辞めるタイミングをもう一年遅らせれば、生き残る道はいっぱいあったのにね。たいせー救済計画に足を引っ張られた。かと思えばt.A.T.u.東京公演キャパ9万人に対してチケット売り上げ3万枚だって。ミュージックステーションを蹴ったのはいつの日か、数年後には「あの人は今」に仲良く出演してくれそう。
 何より残念なのはElliott Smithの自殺。メモリアルコンサートは素晴らしかったらしいですね。あれだけみんなに愛されて、才能と表現手段があっても、人の悩みは尽きることがないのです。

11月13日 マンハッタンなんか、行ったこともないのに

「マンハッタン・ラブストーリー」が面白くなってきた。クドカンにしては高年齢層をターゲットにしているのか、最初の頃は「このドラマのお約束」の説明に終始していて今ひとつもどかしかったんです。ついに、その「お約束」の中で何ができるかっていうフェーズにシフトしましたね。
 今回は「F」の濃厚な演技が見どころかと思いきやいきなりカット、早送りでエンディングテロップが流れ、一気に「G」編に突入。今までキャラの弱かった「G」、そのつかみ所のなさまで一気に解明してポンと膝を打った次第。そうだったのか「G」よ! 思い返せばあちこちに伏線があった。

この時うっかり「へぇ」と言ってしまいそうになったけど、それは「トリビアの泉」の影響ではなく、素直な感嘆詞としての「へぇ」です。「へぇ」が流行語大賞の有力候補に入っているそうで、もし受賞してしまったら今後2-3年は、驚いた時に「へぇ」と言い難くなってしまう。不便なことだ。
 あはぁ。こんな風にテレビばっかり見てるってことは、イベント疲れで家に隠ってるってことです。最近は...親戚の女の子がうちのミラーボールを見て、「やばい何これ超ウケル」を連発して写メを送りまくってる姿に世代を感じたり。骨董通りの中華料理屋でしみじみしたり。あそこは味付けがやや濃かったね。ビール向きだ。

11月14日 汗知らずスウィートソウル

最近「スウィーツ」って言葉をよく聞くよね。「和菓子」や「洋菓子」とは違う概念なの?
 さて。青山陽一/さかな@下北沢Club Queに行ってきました。まずは企画者の青山陽一さんがアコギ弾き語りで「夕闇におけるクロール」を披露。たった1曲で引っ込んで、さかなを迎えるべくセットチェンジに入る。あれ。さかなのセットを組んであるから青山さんアコギ1曲で引っ込んだんじゃないの。

さかなは、Vo.G.BのPocopenを中心に、幸薄そうなギター氏、ドラムス氏の3ピースで登場。Pocopenのギターは6弦がベースの弦になっていて、親指でベースライン、ほかの指でコードを弾きながら歌う。よく跳ねるドラムスとのコンビネーションで、心地いいグルーヴを醸し出していました。ただその分、ギター同士の絡みに危うい部分もあったかな。
 Pocopenは声質から真城めぐみさんのようなルックスをイメージしていたんだけど、くりっとした瞳の華奢な女性でした。彼女が歌うのは、どこか知らない国の陽の当たらない場所の物語で、声を発する度に霧のスクリーンに景色が浮かびあがるようだった。アメリカンルーツロックの探求者とお見受けしたけど、日本のリスナーにもアピールするキャッチーなメロディで、こんなにもささやかな音楽が世の中に広がるとよい。

青山陽一さんは勝手知ったる仲間たちを引き連れて、圧倒的なジャパニーズソウルを展開。ギターが素敵にかっこいいですな。小気味いいカッティング、歌心に満ちたソロ、そしてアイデア溢れるリフレイン。
 要するにこの人はトゥーマッチなのだ。複雑なコードを使った楽曲、耳に残るナンセンスな歌詞、鼻にかかった癖のある歌声、圧倒的な演奏力、みんな魅力的なんだけど、全部が一緒にやってくるとちょっと待て! と言いたくなる。最後は「Quick Talk」、やっぱりボーカルよりギターの方が楽しいのか、エンディングを引っぱってファンクからシャッフルへ、8ビートへ。もはやどこが「Quick Talk」なのかわかりません。オーラスは「予定調和で」さかなとセッション。汗知らずスウィートソウルの夜。素晴らしかった。けど疲れた...。

11月15日 コロッケ祭り。

コロッケ祭り。それは遥か紀元前3000年、南アメリカ大陸に横たわるアンデス山脈の物語。痩せた土地を耕す高地民達はその年に初めて出来たジャガイモを収穫し、神に捧げるためにいざ進めやキッチン、めざすはジャガイモ、ゆでたら皮をむいてグニグニとつぶせ、さぁ勇気を出し、みじん切りだ包丁、タマネギ目にしみても涙こらえて、炒めようミンチ、塩・コショウで、混ぜたならポテト丸く握れ、小麦粉・卵にパン粉をまぶして、揚げればコロッケだよキャベツはどうした? という実に由緒正しい儀式なのです。

つまりは1/2だめポロン宅に段ボール2箱ものジャガイモが送られてきたので、コロッケ祭り@我が家。来てくれた3人とも料理上手なので僕は手持ち無沙汰だ。何をやっていたかというと昨日の日記を書いていた。申し訳ない (パン粉つけ係もちょっとやった) 。写真は立方体風コロッケです。
 サクっと揚がったコロッケにヒガシマルソースをかけて食ったらウママママーッ! 広島のソースと言えばオタフクが有名だけど、僕は断然ヒガシマルソースを支持したい。野菜の味がしっかり生きていてコクが違う。ネット通販もやっているので是非。

そしてビール片手にラーメンズのビデオを見て大笑い。涙が出た。ビデオでライブ1本分見ると、トータルな作品として非常に完成度が高いことがわかる。こりゃ生で見にいかなきゃだね。

11月18日 水の中の惑星まで泳いでく。

寒いね。しかしプールに行った。日記を読み返してみれば1年と1ヶ月ぶりのプール。人生で一番いろんなことを考えた1年を乗り越えてのプール。主治医と約束したとおり、僕は1年何ヶ月か前の生活を取り戻すことにした。その一つが基礎体力を鍛えること。痩せてモテモテになりたいという気分もないではないが、まずはコンビニの帰り道で息が切れる現状を打破したいというストイックな心持ちである。ダハッ!
 サイトで見つけた近所の区民プールは最高でした。なにしろ新しくてきれい。ジャグジーやウォーキング専用プールも完備で、あとはウォータースライダーがあればと思う。男独りでウォータースライダー!

塩素の匂いに包まれて浮力に身を任せると、僕の心は無になる。空になる。平泳ぎをしながら水面を下から眺めると、人工の水がキラキラと輝いて見える。水泳というスポーツは、果てしなく透明でストイックでありながら、紙一重でエッチでもある。とにかくそんな心地よい疲労の中に、いま僕はいます。問題は春から続く目眩がひどくて、特にプールから帰ってから壁とか柱とかにボコボコぶつかってることなんですけど。
 そして僕は間違いなく痩せるね。痩せてモテモテになりたいという願望は、水泳のストイックさと決して相反するものではない。要するに社会との接点が欲しいんだ。君とのつながりが欲しいんだ。

11月19日 なまぬるい季節

今日が寒かったのか暖かかったのかなまぬるかったのか僕は知らない。昨日プールに行った反動で筋肉痛と目眩がきて、外出できなかったんです。スポーツは急にやっちゃダメだね。
 今の自分はなまぬるい時期にいるなあとふと思った。最近教えてもらった「そとこと。ひとごと? たにんごと?」っていう日記サイトを読んだらすごく面白かったの。でも彼女だけが特別面白い訳じゃなくて、たぶん彼女の世代の日記を探せばこんなのゴロゴロ出てくると思うんです。僕が日記を書き始めた5年前にも、おじさん達の日記はなんてつまんないんだろうと思った。で、今現在この日記は数年前より確実につまんない。

そとことさんは僕より10個下の大学生で、日常の中で楽しいことがあったり困難とぶつかったりするたびに、どうしてそうなのか考えようとする意欲がある。歳を取れば経験値はあがっていくけどさ、それで賢くなるかというとまた別の話で。些細な喜びや困難に、いちいち立ち止まってられなくなるじゃん。無意識のうちに過去の経験を参照して、適当にぽいっと処理して次に進んじゃうんです。そのプロセスを言葉で説明しろと言われても困る。意識的に「学習」という作業をしないと、どんどんかっこ悪いおじさんになっていく。
 要するに。おんなじ世代に囲まれて、昨日とおんなじ話をするのもいいけどさあ、いい歳のとり方をしているお兄さんお姉さんや、うんと若い学生とかともお喋りしたいなあと思いました。おわり。ご静聴どうも。

11月22日 Someday

調子悪い。昼間はどうってことないエッセイを読んで、ゴールデンタイムから猛烈にテレビウォッチング。中居の怪我はいつになったら治るのかとか、マンハッタン・ラブストーリーやっぱ面白いとか。今週は「F」疾走の演出が絶品でした。でもね、今から見始めてもわかんないと思う。お約束が多いし、残りの5話で恋愛連鎖が逆回転していくっていうし。

通院。今の主治医は自殺願望とか人生観にまでがんがん踏み込んでくる。精神科医としてはかなりの賭けに出ていると思うんだけど、喋ることで解き放たれていく感じもある。自分なりの社会復帰プランを話してみたら、「あのね山下さん、あなたは1-2年で復帰するのは無理だと思いますよ。無意味な思考をループさせて脳を酷使するより、何も考えずに寝てたほうがいい」と言われた。それってどうなんだろう。ここで発言意図の探りあいを始めてしまうとますます無限ループだ。次回かその次の診察で、脳波をとることになった。脳波! 公開したすぎる。

11月23日 塩辛い誘惑

ダイエット中だというのにどーうしてもポテトチップスが食べたくなってすいません。でも今日は何も食べてなかったから大丈夫。と思ったらやっぱりダメだった。どう考えてもパーティサイズだよね、これ。
 比較対象のタバコは誰かが置いていったもの。最近「タバコに目覚めたんだって?」ってよく聞かれますが、この日以来1本も吸ってません。美味しいとも不味いとも思わなかったから。美味しいと思えるようになったら絶対にやめられなくなる自信がある。180グラム吸う。

11月24日 僕が歌を歌う理由は

秋山羊子さんのライブを見てきました。サイトに載ってるデモ音源を聴いて、ちょっと気になってたんだ。いやーやられた! 軽い気持ちでドアを開けたら空気砲ドカンとくらった。弾き語りでここまで感激したのはNick Lowe以来だ。
 最初の出演者はsatiさん。ウィスパー系のエレピ弾き語りガール。装飾抜き、必要最小限の音で勝負するピアノは、タイム感に自信があればこそだろう。続いてカスタードパイという男性3ピースバンド。バンド名とはうらはらに、サニーディ・サーヴィスやろうとして四畳半にいっちゃったような。

最後に登場した秋山羊子さん。はんなりしたイメージが、スポットライトを浴びたとたんにミュージシャンのオーラに変わる。そしてゆっくりとピアノを弾きはじめる。Sea And CakeやJuana Molinaが好きな彼女らしく、乾いたミニマルなフレーズから、一気に豊潤なポップメロディに展開する瞬間!
 体中から音楽が流れ出るような、という表現はこういう時に使うんだろう。音楽の傾向は違うけど、例えば矢野顕子さんの弾き語りを見ているような、音楽が好きで好きでしょうがない感じが、もどかしげに溢れ出てきた。

驚いたのはKick The Can Crew「Good Music」のカバー。ピアノ弾き語りで成立するんだねー。そして「Hallelujah」のカバー。本家 Leonard Cohenはもちろん、John CaleやJeff Buckley、Bono、柳原陽一郎さんまで色んなバージョンを耳にしてきたけれど、秋山さんのバージョンがいちばん胸にしみた。
 終わってからお喋り。「お行儀のよい芸風を打ち破りたい」という。僕ももっと色んな羊子さんを見てみたい。帰ってきてから頂いたCDを聴いた。あのボーカルの表現力が、うまく再現されてないと思った。これが彼女の言う「お行儀のよさ」で、今日のライブは脱皮の第一歩だったのかも知れないね。いいスタッフに巡り会って羽ばたいて欲しいなー。

11月26日 Girls Pop Cycle

24日の日記をきっかけに、掲示板やメールで女性ミュージシャンの話題が盛りあがりました。最近ちっちゃなライブハウスで、ピアノの弾き語りをしている女性シンガーが結構いるんですね。これが概してお寒い。おそらくはクラシック畑出身で、技術的にはきちんとしてるんだけど、「ポップスの輝き」が身についてない。アイデアがない、ユーモアがない、スリルがない。客観的な表現というより単なる自己吐露に終わってるんです。自己吐露を否定するわけじゃないけどさ、もっと見るべき世界があると思うんだ。
 僕はいつだって、この瞬間の自分を打ち抜いてくれるポップスに出会いたい。だからポップスの作り手には、時代に敏感であって欲しいと思う。自分を「風通しのいいところ」に置いてあげて欲しいと思う。そうすることで、結果的に生き残る力のあるポップスが生まれるんじゃないかなー。

っていう意味で、秋山羊子さんやいとうまさみさんは共感できるミュージシャンです。きのうはそれを書きたかったの。

11月27日 僕が伯父さん - Ton Oncle -

個人サイト界では嫌われものの「赤ちゃん自慢」と「猫自慢」ですよ。今日の早朝、弟夫妻に女の子が産まれました。命について、とか。これで晴れて僕も「伯父」というわけだ。男の子が産まれたのなら「伯父さん」と呼ばせて、ユロのように胡散臭いことをいっぱい教えてやるんだけど、女の子だったので「伯父様」と呼ばせて、20年後くらいに「カリオストロの城」のルパン気分を味わいたい。かなりの長期プランだけど本気だ。
 さて、誕生直後の赤ちゃんというものは客観的に見てサルっぽいものだが、我が姪はなかなかしっかりした顔立ちだと思う。如何か。伯父バカだろうか。

そして僕にも子供が。といっても「アレが来ないの」とかそういう話ではなく、母方の祖母が子猫を拾ってきちゃって貰い手が見つからないの、しょうがないな僕が引きとるか。兼ねてから同居している老猫達と共存してくれるといいんだけど。とにかくシッポが長くて可愛い。むぎゅー!
 かくして山下家は僕 (人) 、弟 (人) 、義妹 (人) 、姪 (人) 、ネモ (老猫) 、クリマロ (老猫) 、ラビ (犬) 、名称未設定 (子猫) という顔ぶれになりました。若輩者ですが末永くよろしくお願いします。