DIARY 2004年8月


8月2日 フジ -すべての人の心にFUJI ROCKを-

こんにちは、Smashの回し者です。違います。今年も懲りずにFUJI ROCKに行ってきました。去年はBjork騒ぎでチケットが完売しちゃったけど、今年は3日通し券しか発売しなかったこともあって、程よく空いた快適なFUJI ROCKを満喫することが出来ました。
 毎年書いてることだけど、森の中に浸って音楽を体に通すと、我々にとって音楽とはなにか、なぜ音楽を欲しているのか、その答えがなんとなくわかる。すべての人の心にFUJI ROCKを。せめてこのサイトの読者の皆さんの心には、ロックフェスという存在を片隅に住まわせてやってはくれないか。

今年は事件が2つあって、ひとつは見ず知らずの人から「山下スキルさんですよね、ずっと読んでます」と握手を求められたことだ。今日のこの日記も読んでいるだろう。あの時のあなた、書き込みプリーズ!
 そしてもう1つはFUJI ROCK史上初のコミックバンド、ポカスカジャンと記念写真を撮ってしまったこと。ギターの玉ちゃんは疲れて宿に帰っちゃったそうで、2/3ポカスカジャンである。僕のポーズが冴えないのは、右手に皿を持っていたため。後から思えば彼らは目立つところに立って、有名人気分を堪能していたような気がする。

祭りが終わってリストバンドにはさみをいれると、とたんに現実の世界に引き戻される。みんなそれがわかってるから、新幹線の中はリストバンドをつけたままの若者だらけ。おうちに帰るまでがFUJI ROCKです。醒めないうちに、ライブレポート書きます。

8月5日 あの夜のマジックを無理矢理に呼び覚ます

FUJI ROCKのライブレポートが出来ました。是非読んでください。FUJI ROCKの楽しさの1/100でも伝わればよい。随分時間がかかってしまった。あの時の熱気が醒めてないといいんだけど。頭の中では「本多工務店のテーマ」が延々と流れています。
 今年のベストアクトは清濁ひっくるめた日本人の「祭る心」を果てしなく下世話に、そして崇高に表現した渋さ知らズオーケストラ。次点はおじちゃんが若者に媚びることなく、それでも若者の笑いと興奮を引き出していた吾妻光良 & The Swinging Boppers。そして世界中のダンスミュージックをミクスチャーして、馬鹿馬鹿しくも真摯なメッセージで包み、ついには観客の中にまで降りてきて演奏を続けたOzomatliに。

そろそろ東京の冷房の暮らしに慣れつつあります。苗場は木陰に入って風が吹けばかなり涼しかった。夜になるとレインコートを羽織っても寒いくらいだった。忘れ難きあの山々。
 「天然コケッコー」に出てくるような超田舎にも憧れるけど、ほどほどにコンビニがあるくらいの苗場も悪くない。東京湾岸に超高層ビルが林立したおかげで、わが港区は気温が2度上昇したという。そのうえアスファルトにクーラーの排気。気象庁の庭で穏やかに過ごす百葉箱よりも5度は暑いんじゃないだろうか。やっぱりこの街の一極集中具合はおかしすぎる。僕には故里が欲しい。苗場の山々は、僕の魂の故里になってくれますか?

8月10日 日本のみなさん、ごきげんよう

ダメ人間に与えられた昼間の数少ない楽しみ、「ごきげんよう」の司会がきのうから関根勤さんに代わりました。初日は第1投目のサイコロにいきなりぶつかっちゃうハプニング。今日はゲストの北村総一朗さんに、誤って司会者席を奪われるハプニング。関根勤さんほどの芸人をもってしても、「ごきげんよう」の司会はままならない。飄々と鼻歌まじりにこなしていた小堺一機さんの早期治病と番組復帰を祈る。
 ところで前に、「ごきげんよう」は何本撮りなのかねーと書いたような気がするけど、5本撮りだそうです。1週間分まとめて撮っちゃう。毎日1人づつゲストが入れ替わっていくので、2回スタジオに行かなきゃいけない人が2人づつ出ることになる。録画ながら編集は一切なし。CMの時間にはみんなで談笑してるんだって。どうでもいいことに脳みそのシワを使わせてしまって申し訳ない。

そんな風にだらだらとテレビを見て過ごしている日々です。午後になってちょっと出掛けることがある。7日はいとうまさみさんのライブを見に下北沢mona-recordsへ。初めて入ったお店なんだけど、センスのいいレコード屋さんにカフェが併設されてる素敵空間でした。また行ってみよう。
 8日は高校時代の友人I.Y.のうちへ。京王線に乗ってとにかくものすごい遠くまで行った。ちっちゃいお子さんのいるうちなのに、ダラダラと長居して夕食までごちそうになってしまった。どうもすみません。次回は何かおもちゃを買って行こうなどと思う。こんな生活でいいのかしら。

8月12日 まっどうでもいいですけどね

相変わらず体調がさえない日々です。ぐったり寝そべって後ろでテレビがなってるのを聞いている (観ると疲れちゃう) 。FUJI ROCK前は準備だのバイトだのいろいろ用事があったんだけど。バイトといっても緊急事態の火消し要員みたいなものだったので、今は特にお呼びがかかってない。お呼びがかかっても出掛けられない。
 ところで世間ではオリンピックだそうで、もちろん僕も興味しんしんであります。どれくらいしんしんかというと、
・そろそろ始まるらしい
・いつ終わるかは知らない
・アテネでやるらしい
・女子サッカーはもう始まってるらしい
・女子サッカーチームは「なでしこJAPAN」と言われているらしい
・ほかにもいろんな「なんとかJAPAN」があるらしい
・「みつまJAPAN」はないらしい
・「エキゾチックJAPAN」もないらしい

 どうですみなさん。これだけ知っていれば明日のランチのトークにも花が咲くというものです。ひとえに僕が背中越しにテレビの音を聞いていたおかげです。ぐうたらもたまには役に立ちます。ピース。

8月15日 密室のミステリー

FUJI ROCK極私的後夜際@我が家。まだあの狂乱の日々が名残惜しくて、FUJI ROCKに一緒に行った仲間たちと音楽を聴きながら酒でも飲もうと、ただそれだけの催しでございます。
 箸が転がるだけで可笑しいお年頃の僕たち、T.P.さんが買ってきた300本入りの花火におおはしゃぎ。すぐ消えるロウソクと格闘しながら大部分をやっつけた。でも300本のうち少なくみても100本は線香花火だったと思われ、さすがにちょっと飽きてきて完全制覇はなりませんでした。従って我が家には現在50本以上の線香花火があります。誰か一緒に慎ましく線香花火しませんか。1人でやるのは寂しい。

部屋に戻ってバカばなし。大学に入学して寮に入った当時のT.A.、テレビの上に妙にホコリがたまることに気がついたという。寮のみんなに話したら「俺んちも! 俺んちも! なんでー?」。今ならなんでなのかわかる。「家のホコリってお母さんが掃除してたんですねー」。大学生が集まって、なんでその結論に辿り着かなかったのか疑問です。その後N氏のお見合い話とかして、夜更けに青春っぽいことでちょっとだけ涙シズクして明け方におやすみ。
 10時頃に目が覚めたらみんな帰って、不思議なことにしっかり鍵がかかっていた。全てが夢だったのか。でも確かに大量の空き缶と線香花火が残っている。

そのままもう一寝入りして秋山羊子さんのライブに行く。新曲「はてな」は、ミニマルなイントロと抑制されたボーカルパートの対比が美しい彼女らしい佳曲。「太陽さん」や「もう一度僕らは」なんてスタンダードになり得る傑作だと思うんだけど。一人称が「僕」の歌に共通する清清しさと、かくれんぼして笑いを堪えてる子供みたいに慎ましくて、ちょっとエッチな喜びに満ちている。
 会場で何人かの知人と遭遇。秋山さんの音楽を少しでも世に広めるお手伝いが出来たかな。チェロの神谷きよみさんはこの日記を読んでいるらしい。オーイ。終演後、S.Y.さんとH.T.さんとカフェでお茶。普段はジャズを聴くH.T.さんもノイズを聴くS.Yさんも、秋山さんの演奏には感銘を受けた様子。ポップスってそういうもんだ。

8月19日 オリンピックとか

やってるんだろうなあ世の中は。
 T.N.から「飲もうぜ」のメールを貰った。彼は3個下なので「飲もうぜ」はないと思う。「葱や平吉」へ。隣の席ではWebデザインの打ち合わせをしていて、「データIllustrator形式で送りますんでPhotoshopでサイズ揃えてJPGにしてください」とか「本サーバーを立ち上げる時にはゼロから作り直して頂くことになりますんで」とかデジャヴな会話が漏れ聞こえてきました。どちらさまも大変だな。T.N.は将来に漠然と不安を抱えているようだった。しかし私の抱える将来の不透明度とは比べ物にならない。相談する相手を誤っていないか。

久しぶりの男だけの飲み会は楽しくて、焼酎も進む。そのままの勢いでカラオケへ。T.N.はうちに泊まって帰っていった。やっぱりいくら睡眠薬を飲んでいても、人を送りだしたことくらいは覚えているものだ。先日のミステリーはほんとどういうことなんでしょう。

8月22日 Matthew's Best Hit Live

Matthew Sweet / The Velvet Crush@リキッドルームエビスに行ってきました。移転後初めて行く新しいリキッドルームは地上階で、あの死ぬほど長い階段も底が抜けそうな床もなくて快適。
 ライブを一言でまとめるならば、Matthewってデブ! 最近のアーティスト写真の不思議な構図やトリミングはデブを隠すためだったのだな。それとキーボード弾いてるイメージがあったんで、ギターを弾いてたのは意外でした。バッキングを努めるVelvet Crushと合わせてギター3本という、グループサウンズみたいな編成だった。

VelvetのコーナーでもMatthewがギターとコーラスを担当。みんないい人そうで仲良さげでした。彼らみたいに普通にいい曲を普通に上手く演奏するバンドがなかなかいないのはどういうことだ。
 終演後、同行者と炭火焼き屋へ。何かと前に出て来たがるお茶目なドラマー氏のことや、Matthewにそっくりだったローディー氏のこと、UFOを取り巻く可笑しな人々のことなどについてお喋り。炭火焼きはどれも美味しくてついついお酒が進んでしまった。翌朝はふくらはぎがつって起きるという最悪の目覚め。やっぱり脚力つけないとライブ1本でこのざまだ。楽しいことの後には反動があるという童話のような教訓。

8月28日 そこのアンタ、飲まねえカイ?

H.Y.より「そこのアンタ、飲まねえカイ?」という小津っぽいメッセージを頂く。それは2人きりで飲まねえカイ?、というお誘いだったのだが、H.Y.はとてもクレーバーな女性なので、2人で会うことにびびってT.N.とマユコさんにも声をかけてしまった。今まで僕と2人きりで食事をしてくれた女性たちがクレーバーじゃないという意味ではありません。H.Y.には見透かされてるような錯覚があるのだ。「そんなに近寄るな、君にはかなわない」と、鈴木博文的に言うならそんな感じ。
 それにしてもT.N.とは先週も飲んだよね。仲いいんですか僕たち。でもどっちも受け身だから2人きりだと会話が弾まないんだ。今度会ったらNゲージの話でもしますか。

遅めの渋谷に集合して、まずは創作魚料理屋「開花屋」にて飲み。いつにも増してオープンなガールズからヌーブラの話など聞く。ほんとはもっと面白い話があったんだけど、マユコさんの名誉とこのサイトの品位のために伏せておきましょうか。唐突に性格診断をさせられた。皆さん気が向いたら「山 / 水 / 太陽 / 木 / 蛇」の入った絵を送ってきてください。
 開花屋を出た時点で終電はとっくに終わっていて、ボーリングに行く。久しぶりの割には安定して投げられたけど、得点的にはガーターにミラクルシュートを放つマユコさんに負けてしまった。

そのあと朝までカラオケ。外に出るとすっかり渋谷の朝って感じで、路上のゴミ掃除をするおじさんたちに昨夜の喧噪の余韻を感じながら、バスに揺られて帰ってきた。そんな一夜。
 もうしばらくはこんな遊びとも離れることになるだろう。詳しくはまた後日! 寝る!

8月29日 くすりをたくさん

若く麗しい指圧師キャサリンの治療を続けています。東洋医学で鬱病は治るかというこのセッション、ついに断薬の段階に入ってきた。
 鬱病の原因は、脳の伝達物質であるセロトニンの異常にあるとされていて、西洋医学では投薬でセロトニンをコントロールする。東洋医学では後頭部-頚部-背中の腫れと緊張をほぐして血流を整えることでセロトニンをコントロールする。今までは平行して両方の治療を続けていたんだけど、今年の夏はお酒が美味しくなくて、そろそろ肝臓がやばいんじゃないかという危惧から断薬を決意した次第。

薬を断つと当然薬効がなくなる。でもそれ以上にきついのは、強い禁断症状が出ること。キャサリンにも「最低でも発汗・震え・不眠・下痢が2週間は続きます」って簡単に言われちゃった。
 今は不眠はないけど、発汗と震えと、猛烈な不安感に襲われている。左を下にして横になると不安感が少し和らぐ。でもテレビと反対向きになってしまうので、タオルケットの中にじっとうずくまって、ただ時間が過ぎるのを待っている。これから薬を少し減らして体を慣らして、というサイクルを数ヶ月に渡って続けていくつもり。オラに勇気をくれ。いやください。

以下は記録として。実は6月にデプロメール75mg/日とドラール15mg/日を止めている。先週から本格的に断薬を始めて、コントミン100mg/日を止めた。それからレキソタン16mg/日を12mg/日に減らした。残ってる薬はハルシオン0.25mg/日、テトラミド10mg/日、アキネトン1mg/日。写真は断薬前に1日に飲んでいた愛しき薬たち。
 コントミンはメジャートランキライザーなので、禁断症状も強い。この状態で少し状態が上向いてくるのを待つ予定。重たい話でどうも。