DIARY 2004年11月


11月4日 So, gimme more of that rock 'n' roll

音楽を聴く気力がない。僕のささやかなロックスピリットは今や、指一本で簡単に解除できる。

TVKの音楽番組「saku saku」に登場するマスコット人形、増田ジゴロウのソングライティングセンスについては、以前から高く評価してきました。ある雑誌では、なんと近田春夫さんが「ジゴロウをプロデュースしたい」とコメントしているそうです。どう考えても実現しないだろうけど、非常に聴いてみたいので、関係者の皆様はまじに動いてみませんか。とかいうリクエストはTVKに送ればいいのか近田さんの事務所に送ればいいのか。

11月7日 寂しさの螺旋階段

土曜日。名古屋からM.T.さんがやってきて「遊ぼう」という。行く! 森のクマさんと男3人でカラオケ大会。M.T.さんを迎えるにあたってクマさんが歌った曲は、つボイノリオ「名古屋はええよ!やっとかめ」でした。カラオケでみんなを楽しませるコツは、歌唱力でもモノマネでもなく、選曲の上手さだと思う。前の人の歌を聴いて次に何をぶつけてくるか、というDJ的センスが問われるのです。
 その夜、T.P.さんから電話があって「おでん作ってるんだけど来ない?」という。行く! T.P.さんの新居にお邪魔するのは初めてだ。フローリングの部屋にCDとMacが並ぶステキ物件でした。美味しいお酒と素晴らしいミュージックに大いに酔っ払った。写真はJim O'rourkeにサインしてもらったという「Gamoufleur」。

日曜日。13時に待ち合わせてたのに気づいたら外は真っ暗、時計は19時を指していた。着信履歴を見るに、同行するはずだった6人を少なくとも22分はお待たせしてしまったようです。
 32年の人生の中で、当日になって体調不良のために約束をキャンセルしたことはある。寝坊で遅刻したこともある。でもさすがに行かなかったのは初めてだ。今の自分の病状を考えれば、前からの約束を優先して、前日の外出は控えるべきだった。ただ、独りで病床に伏せていることは猛烈な孤独との戦いで、時に自分で自分を見捨ててしまいそうになる。そして誰かが僕のことをふと思い出してくれた時、見捨てられていないことを確認したくなる。このアンビバレンツな感情の末に行動に矛盾をきたし、螺旋階段に落ちていく。端的に言えば人間のクズだ。自分でもどうしていいかわからない。

Special Thanks to Ms.Platypus.

11月15日 I have a dream

鬱・風邪。 頭痛・吐き気・発汗・震え・不安・目眩・寒気・咳。
 タオルケットの中で身じろぎもせず、ただ死を夢見る。これは「甘い夢」なんかじゃない。無味無色に自分をふっと消し去ってしまいたい夢だ。

ここ1週間の世間の動きを全く知らない。Yahoo! Newsを見た。毎日放送は12日、傷害容疑で書類送検された島田紳助タレント (48) が芸能活動を自粛しているため、「世界バリバリ☆バリュー」の司会を、復帰までタレント小倉智昭さんに交代すると発表した。「島田紳助タレント」って。稲垣吾郎さんが逮捕された時に、「稲垣吾郎容疑者」ではなく「稲垣吾郎メンバー」と呼ばれたのは記憶に新しい。しかしもはや紳助竜介のメンバーではない島田紳助さんは、当面「島田紳助タレント」と呼ばれることになった模様。「島田紳助タレント」は容疑者、「タレント小倉智昭」は一般人。「下条アトム」や「幸田シャーミン」も容疑者かも知れない。「北京ゲンジ」は容疑者で「ゼンジー北京」は一般人なのか。「山本スーザン久美子」はどっちだ。

11月17日 Sounds of Summer

14時間睡眠。どうかしてる。いや本当にどうかしてるのだが。

Brian WilsonのSMiLEツアーのことが知りたくてBeach Boys Fun Clubを見ていたらすごいことに気づいてしまった。Mike Love & Bruce Johnstonの来年のツアーリストにJuly 30 - Tokyo, Japan (Festival)って書いてあるんだ。この日Japanで開催されるフェスってFUJI ROCKじゃねえの!?。識者の見解求む。うー微妙。Beach Boysの名前を語って恥ずかしいことして欲しくないなー。Carlが生きていれば必然的にAlも加わって俄然Beach Boysっぽくなるんだけど (もちろん理想としてはBrianも加わって欲しいけど) 。

11月19日 Mail Box

17日の日記で大変な仮説を発表したつもりなのに何のリアクションもない。Beach Boysファンサイトとしてはチェック対象外ということか。みなさんはこのサイトに何を期待しているのだろうか。
 最近「鬱」って書き過ぎるのもどうかと思ってますよ。病状の変化をリアルに記録しておきたいけど、哀れんで欲しがっているように見えるのは嫌だ。じゃあ公開するなよって話だけど、やっぱり読者がいないと書くモチベーションが下がる。これからは「鬱」と書くと見せかけて「鬚」と表記してみるか。フォントの小さい方なら見分けがつかないのではないか。「うーん鬚」。とか。「うーんマンダム」みたいなニュアンスで。男らしさ満載で。

というわけで今日も鬚。メールが23通もたまると読む気力も失せる。最近届いた誤配を装ったスパム↓
『FW.先日の件で』 ヨン様 連絡遅くなりましてすみません。サイトに女性会員を入れるのに時間がかかりました。女性会員の導入はばっちりです。大抵の男性はヨン様と間違われても1ミリも嬉しくない。根本的に戦略を誤ってないか。
『どもーはじめまして☆』 はじめまして。加奈っていいます☆ 以前セックスフレンドを募集されていましたよね? まだ大丈夫ですか? ? 募集してない。
そういえば気になった事があったんです! う、ぅ〜んと…お返事貰ったときに聞こうかな? ではでは〜返事は80%返しますので、お返事待ってますね 100パー返事しろ。こっちが気になる。

11月20日 大人になりましょう

mixiで見つけてきた精神年齢鑑定をやってみた。

■ 精神年齢23歳 : あなたの精神年齢は、もう少しで大人です。しかしまだまだ若者らしさがあり、青春を謳歌している年頃です。社会的には、ある程度人と接する術を知っていて、普通に暮らすことはできます。...暮らせてない。
■ 実際の年齢との差-9歳 : あなたは実際の年齢より少し幼稚です。周りの人に頼ってばかりいませんか? これからはもう少し大人になる努力をしましょう。...なんとなくそんな気はしてた。
■ 幼稚度68% : あなたは幼稚園児並みの幼稚さを持っています。お遊戯をして1日中遊んでいたい年頃です。...一日と言わず一生お遊戯していたい。
■ あなたとお友達になれそうな人
...何も表示されないのはどういうことだ。

誰か友達になってくれ。いやください。

11月21日 ドレミちゃん

30時間起きて4時間寝てさっき起きてこれ書いてまた寝る予定。1日って何?

素晴らしいソフトを見つけた。テキスト音楽「サクラ」。『ドレミファソー』って文字で書くとドレミファソーってMIDI演奏してくれるの。カッコで括って『「ドミソ」』って書くとCのコードが鳴る。『ドツタツドツタツ』って書くと8ビートが鳴る。MIDIの基本的な制御はこのソフトで全部できちゃう。すごくね? すごくね?
 実はドレミで書いたメロディのアイデアノートがいっぱいあるんです。それをそのまま突っ込めば鳴っちゃうんだよね。もっとすごいのは、スクリプトでアルゴリズム作曲が出来ることだ。楽しそうすぎる。数年前に買ったきりホコリを被ってたWindowsパソコンを引っ張り出してきた。

大山のぶ代さん「ドラえもん」降板 。藤子F先生自身が再発見したという彼女の「ドラえもん解釈」はもう過去のものになる。F先生亡き後の「ドラえもん」は実に酷い。あんなワンパターンなストーリー誰でも作れるだろ、と思ってるあなたは大人の目でもう一度、物置の隅やBook Offの店頭からコロコロコミックスを救い出して欲しい。F先生は草葉の陰で泣いている。

11月22日 踏み込めないまま朝を迎える。

予定を断りまくり、外出できない記録を更新中。16日目。明日も予定あるんだけどなー。

恋愛観察バラエティ「あいのり」見る。ここ1ヶ月、19歳ヒデと26歳カヨのすれ違い続ける両想いを延々と引っ張ってきて、その幕切れはあまりにもあっけないものだった。仕事のために帰国しなくちゃいけないカヨ、カヨの眼差しを全く読み取れないヒデ。帰国前夜。「ヒデは恋してたの?」「諦めた」ってオイー! そして翌日、カヨは本当に帰ってしまう。残されたヒデに3行だけの置き手紙。それを見てヒデ号泣。アホかおまえら。ヒデはこれからなんのために旅を続けるのか。全く理解に苦しむ。
 ところで僕もラブワゴンに乗ってみたいのですが、32歳じゃダメだろうか。恋もしたいけど旅もしたい。でもキリマンジャロで倒れる自信ある。

Terry Melcher死去。享年62歳。Terryは「Que Sera, Sera」で有名なDoris Dayの息子として生まれ、60年代にA&Rマンとしてコロンビアレコードのポップス市場への進出を担った人物。The Byrdsを発掘してプロデュースしたのもこの人です。70年代にはBruce JohnstonとEquinoxレーベルを設立、Barry MannやCalifornia Musicなどをリリース。その甘酸っぱい世界観はポップスファンの胸を掻きむしり、後にL⇔Rがそのものずばり「Equinox」という曲を書いた。80年代にはドラッグにのめり込んでいたものの、盟友Bruceの誘いでBeach Boysの建て直しに関わり、「Kokomo」の共作、プロデュースを手掛けます。最近はLou AdlerやVan Dyke Parksと組んでなんかやるって話もあったんだがなー。
 Bruce & Terry名義のベスト盤と、Equinoxのコンピレ−ション「California Music & Disney Girls」をお薦めします。合掌。

11月26日 世界中のニートたちが暴れたがってる

世界中の人が好きなものは真実、と言ってるやつ見つけたなら殴り飛ばそう。「A.O.R.」って名曲揃いだなー。名曲揃いでも名盤になれないアルバムがあることを教えてくれた。サンキュー。山本精一さんとかがリミックスしてくれないかしら。日本のニートたちが暴れて活字になってます。同じニートとしていろいろと申し上げたいことがあるのだが、長くなりそうなのでまたいつか。
 それからペ、という人が隣の国からやってきて、一目見ようと殺到したファンが怪我をしたそうです。ペ、はとても胸を痛めているそうです。怪我をした人がサクラだったら労災出るんだろうか。っていうのは誰でも知ってるハリウッドスターが来日した時、成田空港にサクラのバイトに行ったという話を聞いたから。

23日の予定には結局行けず、24日の病院にも行けず、薬が切れてまんじりともせず、きのう予約外で病院に行き、疲れ果てて今日は寝てました。どうなっちゃうんだろう僕。

11月27日 pure and simple everytime

Amazonで衝動買いしたきり聴いてなかったCDを片っ端から聴く。ほとんど右から左への消化作業だったんですが、その中でトレーを2周したアルバムが1枚。Ian Broudieのファーストソロアルバム「Tales Told」。
 Ian Broudieと言えば、Pale FountainsやEcho & The Bunnymen、Dodgyのプロデューサーとして活躍した人物。懐かしいなあオイ。僕の青春を彩った胸キュンネオアコ番長です。ソロプロジェクトThe Lightning Seedsのデビュー曲「Pure」の、「pure and simple everytime」というフレーズを聴いた時は、そのあまりのピュアさとシンプルさに胸を撃ち抜かれた。初めてDJをやった時にもこの曲をかけました。

すっかりヒットメイカーになってしまったLightning Seedsの名前を捨てて彼が取り組んだのは、アコースティックで繊細なブリティッシュ・トラッド風味の小品。Lightning Seedsで見せたバブルガムポップへの郷愁は見事にソフィスティケイトされて、Trash Can SinatrasやLilac Timeに通じる深みのあるサウンドに変わった。歳とったってことかなあ。いや、地味ながらもあの瑞々しさは変わっていない。彼はずっと、一度はこんなアルバムを作ってみたかったんだろう。これはお薦めしない。お薦めしないでこっそり聴く。やるせなく果てしない「ひとり」がここにはある。
 最近エレクトロニカにすっかり飽きちゃって。どれもおんなじなんだもん。結局僕はどうしようもなくポップス体質なんです。

「僕たちの音楽」サンボマスター見た。徹底的にかっこ悪く猛烈にかっこいい。僕は山口隆さんには到底なれないけど、その愚直さには非常に共感を覚えるわけですよ。前に奥田民生さんの特番で「恋のかけら」をやってたの、その選曲からしてもーうたまらなく山口隆!

11月28日 ラリホーデイズ

Amazonで購入したPaul Simonのボックスがいつまでたっても届かないのはドラゴンクエストVIIIの出荷に追われているせいだろうかー。テンションが5さがった! 高価な商品なので配送事故とか勘弁して欲しいです。
 ドラクエシリーズには高校時代にのめりこんだけど (友達いなかったからな!) 、一人暮らしを始めてからはゲーム機を持ったことがないので、最近の事情には全く疎い。当時は「ピリ・ピリリリリ・ピリリ (女性の声) 」「プルル・プル・プルルルル (男性の声) 」とかそんなんだったです。しかしプレイヤー自身のデジャヴを掻き乱し、遥かノスタルジーに突き落とす巧みな演出にはクラクラと目眩がしたものだ。我が人生唯一のヒット作「時間の博物誌」にも微妙な影響を与えていると思う。

27日、28日とWorld Standardのライブイベントがあって、細野晴臣さんやKama Aina、Moose Hillが出演するステキ空間だったそうだけど、僕はまたしても家を出ることが出来なかった。体調が悪い、というより対人恐怖に近い。ひきこもりですよ! 今の僕の交友関係はWorld Standard≒鈴木惣一朗さんがいなければなかったし、このサイトだってquietone.netにコラムを書かせて頂いたおかげで賑やかになった訳で、そういう意味でも最近惣一朗さんとすれ違い気味なのは残念。
 今はネットを通じて、家にいながらにして大抵の音楽体験は出来るようになったけれど、例えばジャケ買いの勘みたいなものはAmazonで買ってたら鈍る。ライブやイベントやレコ屋に足を運んで、初めて伝わってくる感覚って絶対ある。街の空気と一緒にレコードを買うんだ。捨てる書もないけど、街に出たい。