DIARY 2004年12月


12月1日 モンドリアーン!

世間の流れから激しく出遅れていて、mixiになんでPiet Mondrianのコミュニティがないんで作ったろうと思ったきり放置していたら5日前に誰かが作ってしまった。

出遅れついでに書きそびれていた話題を少々。2週間前のスピリッツ見た? グラビアの奥田恵梨華さんが実によかった。ヘッドフォンで「Camera Talk」聴いてる写真に、「オザケンって今、何してるんだろう」っていうコピーがついてたの。それがまた生活感溢れる古い和室で、奥の方にCDやLPが山積みになっていて、Velvet Undergroundの「VU」とかがぼんやり見えるんですよ。これディレクションした人は絶対もてないミュージックフリークですよ。
 「オザケンって今、何してるんだろう」って言葉は、オザケンを聴いてた僕らは今何してるんだろうってことだ。『10年前の僕らは胸を痛めて愛しのエリ−なんて聴いてた』、の「愛しのエリ−」が、10年後には「Life」に置き換わっていた。

今さら宇多田ヒカルさんのベスト聴いてます。日本人は若い人を異様にありがたがる傾向がある。新しいことに対して自意識過剰というか、鼻息荒いというか。そうやって、蓄積するべきものを投げ捨てて突っ走ってきた結果、自分には何も残ってなくて、ますます若さに幻想を追い求める。そんで新しい環境に育ってきた世代に対してコンプレックスを持つわけです。宇多田ヒカルさんは「若いのにすごい」ところから始まって、1曲ごとに確実に成長してる。アユは若い子のカリスマだけど、宇多田さんを支えてるのはおじさんかも知れない。
 相変わらず外出できない。薬が抜けてくると現実がどんどん見えるようになり、ちょっとした刺激が恐怖の対象になる。カーネーションのアナログ盤を注文していたんだけど、振り込みに行けないままお取り置き期間が過ぎてしまった。

12月2日 散髪どうでしょう

久しく外出しないでいたら髪が伸びて大泉洋さんみたいになってしまった。いや別に大泉洋さんが嫌なわけじゃないんだけど。ひきこもりの人って散髪どうしてるのかな。

12月4日 日常

なまぬるいベッドの中、右を向いても左を向いてもナーヴァスとケイオスが追いかけてくる。1時間。2時間。3時間。そうこうしているうちに空腹がやってきて、でも起き上がる気力さえ沸いてこない。台所に立ったところでどうせ食べ物などないのだ。午前3時を過ぎた頃、ようやくシャワーを浴びてコンビニに行く。チキンラーメンを貪り食って、またベッドに沈み込む。こんな風にして僕は、誰に気づかれることなく今日も生き続ける。もういいんじゃないか? ねえエリオット。

12月9日 そういうふうにできている

叶美香氏の好きなタイプは「無職のロマンティスト」なんだって。ここにいますよー! でも僕は叶美香氏が全然タイプではない。残念だ。男女の想いはすれ違う。そういうふうにできている。
 ところで今、「かのうみか」という字を調べようと思って検索をかけたら、トップ > 邦楽 > ワールド/レゲエ > ワールドミュージック > ラテン > サルサ > 叶美香ってカテゴライズされていた。U.F.O.のプロデュースでサルサのCDを出してたらしいです。しょっぱい仕事だなあオイ。あと岐阜県に加納三笠町という町があることを知った。人生いくつになっても学ぶことはたくさんある。

ではまた。よき日に。

12月12日 Too good to be true

相変わらず引き込もりの日々です。昨日は36日ぶりに街に出てみた。矢野顕子 with くるり@NHKホール。

実は出かける直前までさんざん迷ったんだ。矢野顕子 with レイハラカミだったら頑張って行くんだけどなー、くるりはChristopher McGuire辞めちゃったからなー。
 結果は行って大正解でした。「今日は皆さんに素敵な素敵な素敵なプレゼントがあります。それは…ゲスト、レイハラカミ!」うおー! あのまま家で寝込んでたら地団駄踏んでいたに違いない。くるりとのセッションもよかったけど、やっぱりハラカミさんとのセッション、それにあっこちゃんの弾き語りがなんとも素晴らしかったです。あの人、ピアノとくっついてるよ。

終演後、ほくほくした気持ちのまま同行者と飲むべ! 年末の渋谷はどこも混んでいて、結局いつもの「魚や」に落ち着いた。焼酎を啜りながら、音楽のこと、お笑いのこと、地方と都会のこと、旅のこと、人生のこと。久しぶりのお喋りは楽しすぎて浮かれすぎて、気がついたら4時間近くたっていた。僕、ひとりで空回りしてませんでしたか?
 翌朝。足がつって目が覚めた。ライヴは着席だったんですが! 渋谷をちょっと歩いただけでだめだー。浮かれた反動で激凹。

12月15日 Mellow My Mind

新千円札、野口英世の肖像画の悲しみは日本の貨幣史上いい線いってると思う。

12月20日 ユル鍋、または寂しさとの折り合いについて

相変わらず人と会うのが億劫な昨今ではあるけど、18日は親戚方面の事情でやむを得ずしょっぱいイベントに行ってきた。スーツを着て健全な青年を演じた (精魂尽き果てた) 。
 そして翌19日は、もはや恒例となりつつある我が家の鍋会。今年はどうしたもんか迷ったんだ。僕たちの穏やかな季節がさあ、終わろうとしているよね。K.M.氏は、「無事に開催できたのは山下さんのなけなしのガッツのおかげなのであった」と書いてくれたけど、そんな立派なもんじゃないです。もっと後ろ向き。僕、怒る人って苦手なんだよね。ほら、怒る人って怖いじゃないですかー。すぐに怒りだす神経が僕には理解できなくて、次の展開が読めないのがたまらなく怖いんです。みんなもっと鈍感に生きようよ、という意味で「ユル」っていう方向性を挙げてみたんだ。

今回お集り頂いたのは、鍋奉行であり実際のホストよりも立派にホスト役を務めてくださったK.M.氏、そして合計17人の顔ぶれ。
 まずは川村さんが、レアで大仰でプログレげなビデオを流す意表をついた幕開け。K.M.氏謹製の美味鍋を突つきながら大笑い。やがてみなさんお持ちよりのステキミュージックが流れ出して、お喋りの輪が広がっていった。特に川村さん-K.M.氏-匿名さんの掛け合いはすこぶるおもしろでした。皆さん好き勝手に楽しんで頂けたならよい。僕は輪の外側でことの成り行きを傍観。

無事撤収し、勢いでタクシーに乗せられてT.P.さんの新居へ。寂しさに釣られて、と言った方が正しいかも知れない。思えば今年は寂しさとの折り合いに迷走した一年だった。1人で空回りしたり誰かを振り回したり、時には傷つけたり。そんなことを思い返しつつ感傷気分でゴー。ステキ物件にお邪魔して、K.M.氏が椎茸と日本酒から出汁をとってこしらえたうどんを食った。泣きそうに旨かった。やっぱりね、食って大事。チキンラーメン生活はやめよう。

12月23日 kiss in blue heaven

はっぴいえんどのメンバーが解散後に共作した楽曲を集めた「風街クロニクル」ってコンピを聴いて、細野晴臣さんが松田聖子さんに書いた「ガラスの林檎」をいたく気に入った。今さら何言ってんだって話だけど、日本のヒット曲ってほとんど知らないんですよ。僕らBOφWY世代って言われてるらしいけど、BOφWYの曲なんて1曲も知らない。
 でだ、細野晴臣さんが松田聖子さんに提供した曲をもっと聴いてみたくて、「天国のキッス」っていうシングルをヤフオクでゲットしたんだけど、なんじゃこりゃー! 転調につぐ転調、予想を裏切り続けるメロディ。もっとすごいのがB面の「わがままな片想い」だ。当時の細野ソロ「夢見る約束」や「Philharmony」にも通じるアヴァンギャルドなサウンド。そしてメロディはますます不可解にねじまがっている。それをいとも簡単に、余計な飾りをつけず、瑞々しく歌いこなす松田聖子さんの歌唱力にも驚きました。揃えるかな、松田聖子。

22日は秋山羊子さんのライブを見てきました。秋山さんには「気が向いたからちょっと寄ってみた」風を装ったけど (照れ屋さんだからな!) 、今年のライブ納めは秋山さんにしようと前々から決めていたのです。
 ピアノ弾き語りシーンというのは大雑把に言って、小坂明子 (昭和の自己陶酔) と谷村有美 (昭和の地下アイドル) の巣窟です。なので、秋山さんは素晴らしいけど対バンがイタいなーというケースがままあった。でもこの日はシリーズ企画の年末総集編ということで、全般的に楽しむことができました。山田庵巳さんは原マスミさんのような澄んだ歌声と8弦ギターの響き。齊藤紗希子さんは広末涼子さんのような八重歯スマイルから繰り出すリアルな心象風景。サビに力があった。秋山さんはいい意味で安定してきたなー。彼女のピアノは無駄な音を徹底的に排除してアイデアの焦点を絞り、柔らかい声と相まってめくるめく風景を繰り広げてゆくのです。こんどRobert Wyattを聴かせてみよう。

12月25日 さんざんムリしてバカになった、バカになったのに

クリスマスイヴ。辛うじて食料は残っていたのだけれど全て冷凍されており、電子レンジのドアを開こうとしたらボタンがボコって奥に引っかかっちゃった。あーれーお代官さまー。空腹を堪えながらレンジを分解して格闘すること2時間、なんとか修理した。鉄板で指を切った。それと部品がひとつ余った。なんだこりゃ。まあいいか。
 というわけで、直ったレンジで解凍したご飯で永谷園のお茶漬けを美味しく頂きながら、「恋人いない」コミュに自虐ネタを書きこもうとネットを開いたら、数日前から冗談のようにメールで飛び交っていたパーティーの話が現実的になっていた。とはいえ今年のクリスマスは素晴らしく週末進行で、いまさら慌てたっていい店が取れるはずもなく、結局パセラでオールでカラオケることになりました (普通ならない) 。

1曲目は不肖わたくしが、例年の自虐芸として山下達郎の「クリスマスイヴ」を。クリスマス縛りが外れた途端にみんな弾けだした。ぶっとい声でハードロックをシャウトするK.J.くんにはびっくりいたしました。これくらいできないとマイミク500人とかにはなれないんでしょうか。僕の声は線が細いので。所詮ソフトロックは引きが弱いです。
 一番おかしかったのがAiko「カブトムシ」絶唱。どこでスイッチを入れるか示しあわせた訳じゃないのに、ON/OFFのタイミングがぴったり合った奇跡のパフォーマンスでした。明け方になるとみんなパタパタと倒れはじめて、残ったT.P.さんとMoonriders制覇に挑むも挫折。60曲も入ってるんだよ。で、みんなを叩き起こし、ものすごいお代を払って帰宅。金と銀のリボンの残骸を踏み締めながら、来年こそは甘い夜をと (去年も思った) 。

12月28日 笑ってる場合ですよ

僕は性格が暗いくせにお笑いが大好きです。なので年末年始のテレビ特番は嬉しい。
 日曜日は「笑点スペシャル」を見た。ゲストはナポレオンズ。昨今のマジックブームをものともせず、相変わらず笑点向きのユルいネタを繰り広げる。染之介・染太郎なき今、ナポレオンズは次なる「年末年始の顔」を狙っているのではないか。そしてなにより大喜利に21年ぶりの新レギュラー登場です。林家たい平さん。いきなり「こぶ平です」と自分の名前を素で間違えてみせ、以後 楽太郎さんの隣で手を挙げている姿が何度かテレビに写ったけど、発言はほとんどカットされた様子。頑張れたい平さん。もっと頑張れ山田くん。

その後「M-1グランプリ」になだれ込む。去年は笑い飯が破壊的なパフォーマンスを見せつけながらも優勝を逃してしまった。今年こそは、という気持ちが本人にも視聴者にもあったはず。フタを開けてみれば...。
 今年の笑い飯は残念な仕上がりでした。漫才のセオリーを根底から覆して、相方のボケよりいかに鋭くボケるか、つぶしあうようにたたみ掛けてくるのが彼らの持ち味。そのパターンに持ち込む前に、ありきたりの小ネタを挟んで時間稼ぎしちゃった。伸びてきたのは南海キャンディーズ。しずちゃんの掴み所のないボケに山里さんが放った一言、「中盤でトリッキーなことすんなよ」は漫才史に残る名台詞だと思う。で、優勝はアンタッチャブル。笑顔に心がないアンタッチャブル。

月曜日は「しりとり竜王戦」。兼ねてからこの番組に言及してきた松本人志さんが、ついに審査員・例文担当として出演ということで、異様な緊張感が漂っていました。ベストフレーズはこんなところか。
松本人志:プレイボーイな言葉「あえて揉まない」
板尾創路 : ワイルドな言葉「軟骨は無い」
渡辺あつむ : 寂しげな言葉「田んぼを8ヘクタール持っているのだが、ながほそ」
有野晋哉 : デリカシーのかけらも無い言葉「照れた顔がブスだね」
千原浩史 : ヨン様の寝言「わあ...ローソン出来てる」
ジョンBチョッパー : デリカシーのかけらも無い言葉「手品やってよ」
どうかな。笑えるかどうかは多分に聴き手のイマジネーションにかかっている。そのフレーズからいかに情景を広げられるかっていう。ジョンBの「手品やってよ」は、シンプルな手だけどじわじわ来ます (写真はジョンBの戦いぶりを見に来たトータスさん) 。音楽好きとしてはジョンBに勝ち進んで欲しかったです。優勝は板尾創路さん。

火曜日は「徹子の部屋」にタモリさん出演。タモリさんが普段の「やる気のない司会者」から本来の密室芸人に戻るのが年末恒例の「徹子の部屋」なわけで。見逃しました。「納豆を初めて食べるベトナム人」とかそういうネタをやったらしい。タイトルを聞いただけで芸人タモリの健在ぶりを確認した。

12月30日 僕らの町に今年も雪が降る

T.P.さんちの鍋会にお呼ばれしました。起きたら大雪で出掛けたもんかしばし葛藤。寒すぎですよ! 結局「寂しすぎ」が浴びせ倒しで辛勝し、出遅れ気味にお宅に到着。お友達のお子さんたちから「サンタさん」と呼ばれる。小太りだからか? 僕が小太りだからなのか? お土産が日本酒の一升瓶ですまなかった。しばしのサンタプレイの後、子供たち帰る。少女よ、20年後にまた会おう。
 それからが大変ですよ。蟹やら牡蠣やらうちの鍋には入ってない豪華食材の山。そして浴びるほどの酒。あっと言う間に記憶を無くした。夜中にむっくり起き上がり、トランプをやる。大貧民のローカルルールで揉めるなんて何年ぶりだろうか。そして「うすのろばかまぬけ」で見事「うすのろばかまぬけ」の称号を受け、コンビニにビール買い出しの罰ゲーム。

今朝になって家に帰るも二日酔い。へこたれて寝込んだ。

12月31日 しんしんしん

明日って来年らしいよ。