DIARY 2005年1月


1月1日 瞳をとじて

「年」という括り方に意味を見出せなくなってきましたが。どうやら明けました。おめでとうございました。そういえば中学生の頃から毎年作っていた年間ベストコンピ、ここ3年くらい作ってない。
 大晦日は1人でずっとテレビ見てました。カンニング竹山さんと高木ブーさんの 「瞳をとじて」で年を越したテレ朝、勇気あるなあ。マツケンサンバも氣志團も吹き飛ばす熱唱でした。そしてTBSの生放送番組がフジテレビの生放送番組に乱入。しばらく仕込みだと気づかなかった僕はメディア・マリオネットだろうか。「きっかけはフジテレビ」と言わされたTBS小林麻耶アナの今後は大丈夫だろうか。

末永くよろしくお願いします。

1月2日 やまだかつてない没落

若手芸人がキー局の特番を掛け回ってる裏で、山田邦子さんがTVKのテレビショッピング番組に出ていた。少し悲しくなった。若い方は知らないかもしれませんが、むかし山田邦子というお笑いタレントがいて、1989年から8年連続で「好感度女性タレント」ナンバーワンの座を維持していました。「ローヤルゼリーゴールド」はとってもお手軽で飲みやすいそうですので、僕からもよろしくお願いします。

1月4日 月のカタパルトに乗せて

僕の友人同士が、1月1日に結婚したそうです。うーっ! おめでとう!

T.A.は僕の大学の後輩で、当時「マルチメディア」と呼ばれていた制作活動や、デスクトップミュージックのサークルを一緒にやっていた。以来、酒飲んで喧嘩したり介抱したり、そんな関係を14年近くも続けてきた。
 T.P.さんはある日googleで「鈴木博文」を検索していたところ、このサイトを発見。立ち寄って掲示板に書き込んでくれたのがきっかけで、ここ3年くらい仲良くさせてもらっていた。実は最初にT.P.さんが発見したテキスト、載せるかやめるか迷ったんだよね。もし載せてなかったら2人は出会っていなかったかも知れない。非常にミラクルを感じるし、もう感慨深すぎて今にも叫び出しそうだ。こんなちっぽけな僕でもたまには誰かの幸せに貢献できる。

2015年追記 : この夫婦についてももう言及することはない。

1月6日 僕は死ぬように生きていたくはない

このサイトはテレビ→飲み会→カラオケ→鬱→テレビ→飲み会→カラオケ→鬱の繰り返しで本当に頭悪そうですね! 最近のブログ界ではダメ人間キャラは淘汰されて、自分の主張を声高に叫ぶサイトがもてはやされているようですが、僕には主張したいことなど御座いませんので。そういう意味も込めて意地でもブログツールを使わずに「日記」と言い張ってる。この怠惰なる日々を記録することが、今の僕にとって精一杯の音楽表現なのです。
 で、カラオケだよ。U.K.くんとカラオケるのは初めてだ。戦後歌謡趣味と、フランク永井ばりの低音にはびっくりしました。CKBやEgo Wrappin'から遡っていくんじゃなくて、スウィング・ジャズから服部良一を経由して辿っていく昭和歌謡なんだよね。

K.M.氏は「ガッタ山形」、宮崎陽子さんは芸としての一青窈などを披露。僕は宮崎陽子さんとFlipper's Guiter「Slide」をデュエット。これは同世代のポップスファンにしか歌えないし同世代のポップスファンにしかうけないのだが、ずっとやってみたかったので非常に満足です。
 遊び慣れてない人間がたまに遊ぶと妙なスイッチが入る。「すいません3時間延長で」「えっ3時間...ですか? 合計6時間でよろしいですか?」というわけで、またしてもものすごいお代を支払って、みんなしてスキップで我が家へ。U.K.くんの持ってきた1940年代〜50年代のジャズ、服部良一歌謡などを聴く。この頃の日本のシンガーって楽曲・演奏の軽妙さに比べて堅い、正しい発声法に捕われ過ぎて景色が見えてこないんだよなー。やっぱり僕はどうしようもなくロック以降の人間だ。

1月7日 概念Map

僕の尊敬する若き音楽家、Saturday Evening Postの齋藤紘良さんが、ソロ名義でMap誌のイベントに出るということで楽しみにしていたんだけど、体調が悪くて見に行くことができなかった。だって高円寺ですよ。中央線と言えば僕にとっては地平線くらい彼方の存在です。紘良さん、ソロではS.E.P.よりアヴァンギャルドなことをやりたいと言っていたんだけど、どんなステージになったのか。あんまり遠くに行かないでね。色んな意味で。
 だるくてだるくてだるくてだるくて、でもとうとう猫のエサが尽き果てて、パジャマにユニクロのコートでコンビニに行って行ってしまった。あの人は行って行ってしまった。わたくしが行って行ってしまった。

1月10日 Submarine Life

昨日はメール交換ユニット「続・おつかれっす」の3人で飲む。話題は、お笑いについて真面目に語ることの不粋さ、とか100年後には綿谷りささんがお札の肖像画になってたりね、とかそういうようなこと。「魚や」は安くて旨くておばちゃんが適当で実に素敵なお店だ。お2人はそのまま喫茶イベント「Widescreen」に流れ、僕は三軒茶屋に出て別の飲みへ。
 Y.S.と飲むのは久しぶりだ。学生時代にデスクトップミュージックをやってた仲間で、当時ベロベロに酔っ払って「僕の人生サブマリンやねん」という名言を残して沈没したことがある。

1月12日 偽善者はうたうよ世界の平和求め

スマトラ沖地震の影響で地球の自転速度が微妙に早くなったそうですが、いかがお過ごしですか。昨日のTortoise+cjammbonのライブ、みなさん絶賛してますね。行けばよかった。去年出たTortoiseのアルバム、あんまり話題にならなかったけど好きなんです。前作「STANDARDS」で行くとこまで行って、バンドとしての原点に立ち返った気がする。ここんとこポストロック系のライブにあんまり行ってないのは、音楽の趣味を共有できる友達が少ないせい。前は1人でがんがんライブに行ってたんですけど、今は誰かに誘われないと行かない。気力と経済力の衰え実に著しく。そしてやるせなく。果てしなく。

またmixiで拾ってきた心理テストネタ。こういうの大好きです。人様の視線が気になるお年頃だからな! 偽善者度診断。ページを開くとMIDIのBGMが延々と流れるんだけど、その苛立たしさに耐えつつ善人を演じるのは苦痛で、そこまで計算されているのだとしたら天晴れだ。僕の診断結果はこんな感じ。
【あなたは34%です】
あなたはいい人です。青少年期の純な心を持ち、時に傷つき悩みながら一生懸命に生きています。あなたには本当の意味での親友がいますし、心を許せる恋人もいます。出世やお金儲けとは無縁かもしれませんが、本音を言える暖かい家庭をもうけて平和に暮らして行けるでしょう。

確かに傷つき悩みながら一生懸命に生きています。出世やお金儲けに縁がないことも薄々気づいてます。でも、心を許せる恋人も心を許せない恋人もいません。

【この日記における偽善】
・心を許せる恋人が欲しいことを遠回しにアピール
・ポストロック友達が欲しいことも遠回しにアピール
・そもそも診断結果が悪かったら日記にはしなかった

1月14日 ah uh Video Cat

ビル・ゲイツが「著作権改革論者は共産主義者」とか言ってるそうですが、いかがお過ごしですか。「猫が見るビデオ」っていうのを安く売ってたんで買ってしまいました。パッケージには、「興奮のあまり画面に突っ込む場合もありますので、TV周辺の壊れ物はあらかじめ片付けておいてください」との注意書きが。ほんとかよ。再生してみた。トリ→ネズミ→サカナ→トリ→ネズミ→サカナ→トリ→ネズミ→サカナ。ザッツオール。こんなビデオ僕でも作れる。と思ったら。
 見てる、見てる、見てるー! 画面に釘付けカモメにアタックですよ。テレビによじ登って裏側を確認ですよ。そういうもんかねー。でも盛り上がっていたのはメイだけで、老猫たちは見向きもしませんでした。お子様向けだったみたい。

フロスティッドグラスに、毎年恒例のノンジャンルベスト5を寄稿しました。元旦の日記にも書いたけど、文化や人生を「年」という括りで捉えることに意味を見出せなくなってきた。それに去年は精神的にエキセントリックな音楽を受け入れられなかったこともあって、変則的なセレクションになっています。
 レコード部門に選んだのはBrian Wilson「Brian Wilson presents SMiLE」、ハナレグミ「日々のあわ」、Archer Prewitt「wilderness」、Ian Broudie「Tales Told」、Sakana「LOCOMOTION」。心の壁を乗り越えてきた、穏やかでしなやかな音盤たち。順当にいってたらBjork「medulla」やWilco「a ghost is born」、Trashcan Sinatras「WEIGHTLIFTING」あたりが入っていたかも知れず。ほかにも素敵なレコードがたくさんリリースされたし、再発ものも充実していたように思う。うーんミュージック。

ライブ部門は「フォルティ・タワーズ / ECD / 二階堂和美」「渋さ知らズオーケストラ」「秋山羊子」「Lou Reed」「矢野顕子 with くるり」。ノンジャンル部門は「精神病棟の白衣の天使達、そして21世紀の精神異常者達 (人物) 」「いかりや長介ガンに死す (出来事) 」「TVK『saku saku』 (テレビ) 」「ソーシャルネットワーキングサービス (インターネット) 」「こうの史代『夕凪の街 桜の国』 (マンガ) 」。
 「夕凪の街 桜の国」は、原爆後の広島、ある一家の半世紀にわたる物語。声高に「反戦」「反核」を叫ぶのではなく、生きること、生かされていることの意味に迷いながら、平凡に生活し、恋愛する姿を穏やかに描いています。主張がないぶん、読み手が自分の人生と照らし合わせて色んな受け取り方ができると思う。みんなに読んでもらいたい作品です。

1月16日 世界中の雨を凍らせよう

みぞれまじりの週末。寒かったねー。土曜日は神谷きよみさんのライブに行ってきました。秋山羊子さんの隣でチェロを弾いている姿は何度か拝見しているものの、神谷さん自身の音楽を聴くのは初めて。いつもコロコロ笑ってるイメージを勝手に持ってたんだけど、ビブラートの効いた深みのある歌声にはびっくりしました。しっとりしてた。演奏中に脈絡もなくスモークがたかれたりミラーボールが回ったりする不思議なライブハウスだった。
 終演後、神谷さんとゆっくりお喋りしたかったんだけど、酷いめまいがきて倒れそうになり、そそくさと退散した。「スキルさんって体調の悪くなり方に愛嬌があるよねー」だって。ん! これからは病弱モテを目指す。

日曜日は、前々からK.M.氏、M.H.ちゃんと一緒に企んでいた、T夫妻への急襲結婚プレゼント作戦を決行。お二人の帰宅待ちに立ち寄った定食屋にこんな貼り紙があった。おいしいのがあるそうです。反対側には「焼きます」って書いてあった。焼かれたくないものだ。
 で、プレゼントは寸胴鍋とペペロンチーノ制作セット。カードには、縦読みすると「ずんどうなべ」になるメッセージを添えた。生まれて初めて「ず」で始まる文章を書いた。「ずんだ餅」とか「ずいずいずっころばし」とか「ズンズンズンドコ」とか、およそお祝い向きじゃないフレーズが頭を巡り、苦労しました。本当は玄関先でプレゼントを渡して、スマートに「じゃ」って帰るつもりだったのに、なし崩し的にチゲ鍋大会に突入。すこぶる美味で、合唱大会あり猫ひろしありの楽しい夜でした。

1月18日 あなたと握手

今日タワレコでアナログ盤「SMiLE」を買うと、Brian Wilsonのサイン会の整理券が貰えることはわかっていたのだけれど。開店時間に間に合うように目覚ましをセットしていたのだけれど。いざ本人を目の前にしたら緊張のあまり失神して、ご迷惑をおかけする自信満々だったので、敢えて身を引くことにしました。ジャケがよかったらインテリアとして購入してもよかった。このデザイン (→) は無理にしても、例えばPeter Blakeに発注してたらどんな「SMiLE」を描いただろうかと思います。
 そんな訳で今日はうちで各種事務作業のつもりだったのに、鬱でぐったり寝込んでました。自分が死んでこの世にいてはいけない人間で、天上界の追跡から逃げまどう夢を見た。

Supercarが解散しましたね。ああいうギターポップ - 疾走系ニカというは好きで、特に「HIGHVISION」は益子樹さんに興味を持つきっかけになりました。合掌。ロッキン・オン・ジャパンやスヌーザー的な、カタルシス大好きっ子ちゃんに支持されていたことについて、彼らはどう思っていたのか。

1月20日 受け継がれていく「世代」についてあれこれ

前に住んでたアパートから駅に向かう途中に斎場があった。まさか再びあの街を訪れる時に、自分が弔問客であるとは思いもしなかったけどな。
 久しぶりにスーツに袖を通すもズボンのボタンが締まらず焦り (ベルトで強引に止めました) 、シャツのボタンも締まらず焦り (ネクタイで強引に止めました) 、そのネクタイの締め方もあやふやで焦り、大寒だというのに汗だくになって会場に到着。お隣のご老人の動作を0.3秒遅れでトレースして焼香をすませた。友人達は酒席に加わったものか戸惑っていたけど、喪主経験者としては弔問客が残ってお喋りをしている姿にほっとしたので、遠慮なく飲み食いさせて頂きました。ただ朝から魚肉ソーセージしか食べてなかったため、あまりにも遠慮なさ過ぎたかと反省。

やがて式も終わり、ご遺族とお喋り。見る限りでは比較的落ち着いているようでほっとしました。亡くなられたお父様を最後に安心させることが出来たのが大きいと思われる。僕は片親で育ててくれた母の死を鬱病ニートとして迎えた。彼女の晩年と、自分の不甲斐なさに号泣した。
 そして式場で起こったばかりのレジェンドを聞いた。詳述は避けるけど、サンコンさんが初めて日本のお葬式に参列した時のエピソードに近い。彼なりに、焼香とはいかなるものか必死で考えたんでしょうね。重苦しい式場の空気を和ませ、いつまでも語り継がれるだろう彼のような存在が必要だ。「日記に書かないでー」と言われたんだけどリスペクトの気持ちで書いちゃいました。いやだったら消します。

1月21日 泡の魔術

バブル経済のマジックを支えた旧札を見かける機会もずいぶん減ってしまった。新札はいったいどんな時代を作るのだろうか。

1月23日 メガネの中、3秒間だけ僕らは突然恋をする

mixiに「メガネロック」というコミュニティを作りました。正直フタを開けてみるまではどっちに転ぶかわからなかった。「後藤クンカコイイ」「トミーたんハァハァ」とかいう書き込みの裏で好きな話をこそこそできればいいくらいに思ってたんですが、「Presleyに対するBuddy Holly のスタンス」という大きな枠組みが出てきて、ハイブロウかつくだらない議論を展開しております。
 最初に参加してくださったのが川村恭子さん、という時点で巷のメガネロック文化とは違うベクトルが確立された。いわゆるメガネ萌えじゃない方にも楽しんで頂けるコミュになったと自負しているので、是非とも参加してください。

今のところこんな話の流れになってます。王道ロックの持つマッチョ性に対して、「知性≒ナード性」「ノヴェルティ性≒批評性」を標榜してきたのがメガネロックであると。で、知性≒ナード性の象徴はメタルフレームメガネ、ノヴェルティ性≒批評性の象徴はセルロイドフレームメガネであると。それらを融合した先にはニューウェイヴのゴーグルメガネがあり、さらに最近のメガネロックシーンは「不細工」という負性をロックの負性と重ね合わせている傾向にある。
 そんな風にメガネの形状からロックを紐解いていくと、色んな発見がある。例えばJohn Lennonは、Beatlesとしてのツアーをやめてスタジオ実験に没入する頃からメガネをかけはじめて、丸メガネを愛用していたんだけど、ロストウィークエンド時代は垂れメガネをかけていた。そんな妄想とこじつけがなんともバカバカしくて、久しぶりに音楽の話が楽しいなあ。

次は「でっかいヘッドフォンでiPod聴いてる女の子いいよね」コミュを音楽カテゴリーで展開したい。

1月26日 君のメガネに乾杯

月曜日。I.Y.氏がいらなくなったファックスをくれるというのでせっかくだから飲もうという話になり、N氏も呼んでうちで鍋。妹尾河童のエッセイに登場するピェンロー (扁炉) なる白菜鍋に挑戦しました。美味でした。で、The Rutles「All You Need Is Cash」の5.1chデジタルリマスター盤 (端数の.1って何だ! マジレス不要) なんて無駄にゴージャスなDVDを鑑賞した。「Cheese And Onions」名曲だよなあ。
 ファックスはパナソニックの「おたっくす」という製品で、偽オタクとしては受け取るのをためらったんですが、NECの家庭向け携帯は「ジュワッキー」というそうで、それよりはいいかなと思って頂戴しました。だけど僕にはファックス友達がいない。誰かー!

鍋も終わって部屋でダラダラしてたらマユコから電話があり、そのまま拉致されムニダ。もう少し交友範囲を広げなくちゃいかん。マユコはおおいに酔っ払って以下略。翌日反動で激凹 (げきへこ) 。
 あとは役所に行ったり病院に行ったり、「メガネロック」について考える日々。最初は冗談で始めたはずなのに、メガネという切り口からまじでロックが読み解けるような錯覚に陥りつつある。コミュは数日で100人に手が届く膨張ぶり、スレの長さと密度は買い出し列車なみで、音楽サイトの偉い人が寄ってたかって祭りを繰り広げています。僕自身は別にメガネ萌えじゃない。メガネ同士だとキスする際にフレームが当たるという物理的問題があり、そのような場合ガツガツせずにさり気なくメガネを外せるロッカーでありたいと思ってます。

1月30日 ユル鍋リミックス、またはジパングボーイとジャパニーズガール

「ユル鍋リミックス」開催。年末の巨大鍋会「ユル鍋」に来れなかった方々をフォローアップする企画だったんだけど、結局いつもの馴れ合いメンバーになってしまった。
 真っ先にやってきたのは秋山羊子さん。近々始まるレコーディングの話、最近聴いてるレコードの話、それとお誉めの言葉を少々。僕は自分のことが好きじゃない、昔は天使のようだったのにという幻想の中に生きており、秋山さんのような素敵女子にちょっとでも誉めて貰えると、もう少しだけ「今」に生きてもいいかなと思うのです。「日記にチキンラーメンと魚肉ソーセージしか食べてないって書いてるけどほんと?」ほんとです。でも気休めに青汁を飲むようにしている。「じゃあそう書かないと読んでるほうは心配だよ!」飲んでます、ファンケルの青汁。

やがてお馴染みの顔ぶれがやって来た。K.M.氏謹製の鍋は相変わらずウママママーッ! だけどどうしてもAztec Cameraが聴きたくなってしまい、しかも肩パットっぽかった頃の曲をチョイス、さらにTelevision Personalitiesになだれ込んだ挙げ句にあがた森魚大会という、鍋会DJとしてはトリッキーな路線を邁進した。みんなついてきてるカー。
 Y.Y.さんが元気なくって心配だったんだけど掛ける言葉が見つからず、そしておそらくその役目を果たせるのは僕じゃなく。秋山さんは「レコーディング、頑張らないように頑張る」と言って笑った。それくらいがいいです。

で、残ったメンバーで朝までバカ話。くだらなさと危なさに腹を抱えて笑った。彼らを知り合う前から音楽の語り部として尊敬してたので、その頭の回転の早さを目撃するのは光栄でもありアレでもあった。「メガネロック」の次は「ホモロック」だなんて、ホモロッカーの歴史とスタンスについて語り合ったり、それにしても僕たちメガネすぎるだなんて、お互いのメガネを交換して写真大会が始まったり。
 これくらいの人数だと居心地いいな。居心地いい。ユル鍋の頃は対人恐怖著しく、お喋りの輪の外で朦朧としてたから、記憶が飛び飛びなんだよ。

1月31日 伝説だけど伝説じゃない

Brian Wilson「SMiLE TOUR」を見てきました。Brian Wilsonという人物、そして「SMiLE」という作品について、このサイトの読者の皆さんには説明する必要もないと思う。1967年にポップスの歴史を変えたかも知れない「世界で一番有名な未完成アルバム」は、想像もつかないくらい大きな勇気によって伝説の世界から救い出され、完成形として今ぼくの手の中にある。
 Brian Wilsonのレコードに漂うスピリチャルな何か、彼の数奇な運命とその象徴としてのSMiLE伝説に取り憑かれ、38年にも渡る壮大な物語の結末を目撃して実感したことは、僕はこのおじさんの作り出すメロディやハーモニーやサウンドが生理的に好きなんだなあと。彼の運命や伝説が好きなんじゃなく、彼の音楽が好きなんだと。非常に当たり前のことなんだけど、それを実感できたのは嬉しかったです。