DIARY 2005年4月


4月1日 結婚しました

最近の結婚ラッシュに便乗した訳ではないけど、おとといの僕の誕生日に入籍しました。ニートの分際で何やってんだって感じですが、そろそろ潮時かなと。僕の社会復帰を待ってたら、それこそ彼女のご両親に合わせる顔がないんですよね。それと、よくドラマとかでオットが結婚記念日を忘れて怒られるシーンがあるじゃないですか。僕も既に忘れる気まんまんで、さすがに自分の誕生日だったら忘れないだろうと。国際結婚なので手続きがいろいろと面倒だったけど、書類はなんとか受理された模様。しばらくは実感わかないね。末永くよろしくどうぞ。

4月2日 The April Fools

エイプリルフールというイベントを迎えるにあたって、人はなべて「笑わせる」「驚かせる」「無視する」という三択を迫られるわけですが、僕は笑わせる発想力に乏しいので驚かせる方向で、それも使い古された「結婚しました」ネタをいかにそれらしく見せるかというコンセプトでひねり出したのがあれです。カウンターがものすごい勢いで回転するのを眺めるのは痛快でした。釣られてお祝いのメールくださった方、釣られたふりをしてくださった方、ありがとうございました。
 結婚はおろか、彼女も久しくおりません。よしなに。誕生日のスケジュールは病院だけ、睡眠薬を貰って帰って寝たって当日の日記に書いたじゃないの。

今年のリアクション大賞は森のクマさんに。受賞作はこちら。
Subject:↑も言っているとおり、結婚おめでとう!
やましたさん。ご結婚、おめでとうございます。写真を見て、「やられた」と思いました。やっぱり彼女でしたか。最近は国際結婚が増えているとはいえ、なかなかサントメ・プリンシペ人の妻を持つ人はいないと思いますよ。まあ、やましたさんらしくていいのですが。結婚生活はいろいろと大変だけど、それ以上に楽しいこともあるとおもいます。末永く、お幸せに。
では、次の方↓

芸がある。

4月4日 誕生日芸人

毎年恒例になりつつあるK.M.氏 (29日生まれ) と僕 (30日生まれ) の合同お誕生日会。非常にありがたくも照れくさい。子供の頃は、誕生日が春休み期間中である (という言い訳の元に) 友達に祝ってもらった記憶のない僕だけど、30過ぎてから毎年のようにこんなパーティを開いて頂くのは申し訳ない。
 参加してくださった皆様におかれましては、ただ飲む言い訳が欲しかったに違いないながら、その言い訳に僕の誕生日を利用して頂けるありがたさを、当たり前だと思わないように気を引き締めて参りたい。もしくは山下よ、今年こそなんとかしろ (社会的にも個人的にも) というプレッシャーなのかも知れない。

今年は15時から始めるっていうのに起きたら14時半で、まあどうせみんな1-2時間遅刻してくるだろうとたかを括っていたらいきなりピンポンが鳴り、お客さんがいる前でパジャマで掃除機をかけるダメっぷり。16時頃から徐々に人が増えてきて、結局は15人来てくださったのかな。去年はK.Mさんと僕の「初めての共同作業」パフォーマンスもあったけど、今年はそれぞれにケーキを用意して頂きました。大量のケーキをもりもり食べ、お酒をぐいぐい飲んだ。手作りサンドイッチとおにぎりに感動。そして明け方までだらしなくお喋り。
 集まってくださったみなさん、特に猛烈に忙しいなか幹事をしてくださったT.P.さん、A.A.さん、ありがとうございました。これからも仲良くしてください。そんで今日はぐったり。

mixiにまた新しいコミュを作りました。【ya-to-iが大好きだっ!!】 Boredomsの山本精一さん<ya>、Moonridersの岡田徹さん<to>、元Mansfieldの伊藤俊治さん<i>が結成した奇跡のポストポップユニット「ya-to-i」を愛し、その慎ましい活動を虫眼鏡で追い掛けるコミュです。盛り上がらない予感。なにしろ知名度が低い。せつなさとときめきと危うさがせめぎあう胸キュンポストポップスの至宝なんですけどね。valbレーベルで試聴できますので、気に入った方は是非参加してください。

4月6日 Ring-a-Bell

渡辺満里奈さん結婚。につきましてはstrange music pageのS.K.氏が漏らした「結局名倉かよ…」の一言に尽きる。音楽サイト界の偉い人、S.K.氏は、数ある名言の中で「結局引用されるのはそこかよ…」と思っているかも知れない。すみません。
 若者のために補足しておきますと、渡辺満里奈さんはかつて数々のミュージシャンと浮き名を流し、音楽趣味を理解してくれそうな女の子として文化系男子に夢を与えてきました。僕も好きか嫌いかと言われれば好きです。CDも何枚か持ってます。彼女の歌声に投資したというよりは、参加している元カレたちの仕事に興味があった。のだが。結局名倉かよ。

発表のタイミングも出来過ぎてる。2人が出演する「銭形金太郎」の特番の前日です。最近結婚ネタで露骨に数字を取りにいってるテレ朝に踊らされてる場合なのか。もちろん今夜の「銭金」は内容を変更、生で結婚報告してました。見ちゃう僕もとんだメディア・マリオネットだけど、挨拶のBGMがウルフルズっていうのは偶然にしてもかわいそう。芸能界って怖いなあ。

4月7日 サブカルは終わった (夏木マリ)

きのうの日記は間違ってました。幸せそうな渡辺満里奈さんとそれに対するネットの反応を見て、ああ、サブカルチャーはやっと終わったんだなあって。永遠のオリーブ少女はもはや難しい言説やレアなレコードを求めてないんだ。
 このサイトではこれまで、ヒットチャートにのぼらない映画やレコードの話題を取りあげてきましたが、基本的には誰にでもわかる言葉で書いてきたつもりです。僕はサブカルでもインテリでもオシャレでもございませんので。キクチウォッチャーでもハロプロウォッチャーでもございませんので。優しくて人当たりがいいだけの男が、動物きっかけで渡辺満里奈さんのメガネにかなう時代になった事実を、むしろ喜んで受け入れよう。

自慢じゃないけど動物方面なら映画や音楽より得意だよ。ある日突然このサイトが動物サイトに変わってるかも知れません。猫が好きだニャー。犬が好きだワン。その時山下スキルはサブカル以前の、例えばナメネコ文化に立ち返って新しい時代を築き直すフェーズに入ったと思ってください。とりあえずネット向けに「メガネコ」を提唱したい。

4月9日 笑って許して心で泣いて

めちゃイケスペシャルの「数取団」に和田アキ子さんが出演しました。いつになく神妙な面持ちで収録に臨むも凡ミスを連発。口の周りがピクピクしてきて、あれっと思ったらまさかの号泣です。どうしたんだ番長。僕は33年の人生で初めて和田アキ子に女を感じました。種ともこさんの「わからないね女の子って / 可愛いけれどまるで謎さ」って歌が頭の中を流れた。あなたの芸能生活の中で「数取団」がそんなに重要なのか。わからないね、まるで謎さ。
 ところで今日の皆さんの日記には6割の確率で桜に関する記述がある。これはあんまり人に言ったことがないけれど、僕梅と桜の区別がつきません。非国民だろうか。軽蔑するだけすればいいです。

4月11日 サブカルになることもできない、オタクを貫くこともできない

なんだかとっても疲れてます。眠りたいけど睡眠薬の無駄遣いはしたくないし、テレビはどうにもつまんない。改編期でお笑い第5世代が駆けずり回ってますが、このうち次の改編期をスタジオで迎えるのは半分程度と思われます。そういや中川家って最近見ないなー。
 ネットを開けばサブカルかオタクかマニアかって話があちこちで盛り上がってますが、定義がごっちゃになっててよくわかんない。そしてみなさん近親憎悪すぎです。僕は結局どこにも帰属できない。某サックス奏者オタはああだとか某クリスマス歌手オタはこうだとか某アイドル団体オタと併せて音楽ブログの三大疾病だとか言ってますけど、そうやってすぐカテゴライズしたがるのはカテゴライズされたい気持ちの裏返しなんです。僕も近親憎悪すぎです。ほんとは一緒にわーってしたいの。でもだめなんだ。頭悪いしな。

ずっと噛み合わなかった若猫メイと老猫クリマロが最近仲が良い。今日は寝ます。ぐー。

4月12日 僕は卑怯で憶病者で、君の中にはいられない

ここ最近の日記は酷いですね。でも消さずにとっておいて、読み返しては恥ずかしさに身悶えようと思う。これは数日前に書いてすぐに消しちゃったことなんだけど、僕を十数年間支えてきた言葉が実はとてもあやふやであることに気がついたんだ。そのことについて悩んだり人に話したりしているうちに、醜い自分が顔を出した。心が荒み、疲れ果てた。
 自分で言うのも変だけど、オフネットでは穏やかでいい人なんですよ。でもその裏側に、狭量で陰険な顔がある。それを指摘した人は、そういう自分を認めて愛し愛されるべきだと言いたかったのかも知れないけど、たぶん僕のソリューションはそっちじゃない。狡い気持ちや汚い言葉では楽しくなれないんだ。どっちが良い悪いじゃなく、それぞれの資質として。

客観的には今日の日記の方が100倍恥ずかしいかも知れないけど、これを恥ずかしさのピークとして、数年スパンで通常営業に戻りたい。脳味噌の薬とリポDをたらふく飲んで、頑張ってここまで書いた。そんな無様な33歳。
 ひとくちメモ。ジョージ・ブッシュの好きなミュージシャンはVan Morrison。金正日はEric Clapton。後継候補筆頭の金正哲はQueen。We will we will rock you。じゃっ。

4月13日 パタパタママ

っていう歌があった。「ひらけ! ポンキッキ」に。今でいう「ポンキッキーズ」です。僕の音楽趣味はこの番組によるところが大きい。Beatlesをエディットしてジングルに使ってたくらいだから。「When I'm Sixty-Four」にあわせてキリンが歩き、「All You Need Is Love」をバックに雲が流れ、「Please Please Me」もかかってました。そして主題歌はゴダイゴだった。放送が土曜日に移ってからは知らないけど、その前はピエール瀧さんとBOSEさんがMCで、電グルとかかけてました。
 中村一義さんが「まる・さんかく・しかく」をカバーした時は同郷の人を見つけたような気持ちで、それだけを目当てにアルバムを買った。「おかあさんといっしょ」や「ピンポンパン」や「ロンパールーム」は子供ながらに、「お前ら子供をバカにしてるだろ」って思ってたんだ。「ポンキッキ」と「セサミストリート」だね、基本は。

でだ。昼間っからワイドショー見てる僕のようなダメ人間ならご存知かと思いますが、奈良の布団叩きおばちゃん凄いよね。近隣住民を追い出すために大音量で音楽を流し、布団を叩きながらシャウトする。
             
ひっこっし   ひっこっし   さっさとひっこし しばくぞ

パタパタママ、進化した。あのラジカセを肩に背負って欲しかった。
 彼女は明らかに頭の方が、逮捕された容疑も精神的な傷害罪ってことで、くわばらな話ではあります。しかしあのヒステリーの行方を有効に活用できないものかと思う。ムネオハウスみたいなムーブメントにならないかなあ。ネットに落ちてるリミックスを聴いたけど、サンプリングがブチ切れで彼女のグルーヴを生かしきれてなかった。いいトラックが出来てヒットして、印税を治療に役立てて欲しい。

4月14日 灯りの場所まで綱渡りしたから

僕の愛するモラトリアムマンガ、「ハチミツとクローバー」がアニメになりました。主題歌はYUKIとスネオヘアー。挿入曲はスピッツとスガシカオ。そもそもタイトルの由来がスピッツの「ハチミツ」とスガシカオの「クローバー」だそうで、原作者へのリスペクトに溢れたアニメ化と言えましょう。
 原作は美大の学園生活をもどかしく綴る名作。若さの終わりの胸掻きむしる日々を、少年マンガのような豪快なギャグのグルーヴに乗せて、せつなく涼やかに描きだす。アニメでは、淡いトーンで流れるストーリーと弾けたギャグ演出のコントラストが見事でした。挿入曲の使い方も効果的だった。全体的に間延びした演出にするよりは前半のテンポをキープして、後半にイメージカットをどかんと入れたほうがしっくりくる。

ただどうしようもなく竹本の声が...芝居がかり過ぎというか。もっと朴訥としたキャラを想像してたんで違和感あった。ほかのキャラもなー、なんでみんな淡々と話せないんだろうか。そもそも「声優の演技」という様式美に疑問がある。抑揚とか息遣いとか。宮崎駿さんがよく声優じゃないタレントを起用して叩かれるじゃないですか。あれって正しい選択だと思う。
 そういう意味ではモデルの工藤晴香さんが演じるハグがいい感じ。ほとんどのシーンでは朝礼で倒れる寸前みたいなため息を漏らしていたけど、お茶を出すシーンの「どうぞ」って声が地だとすれば意外と芯がある。ハグが芸術の才能を露呈して、巨大な作品に立ち向かう時の演技に期待。それから今回ほとんど出番がなかった山田。ファンなのでいい声を出してくれ。

4月15日 お知らせくん

得てしてスパムの文体というものは、脳味噌の普段使ってない部分から無理矢理捻り出したような独特の美意識を貫いてるもんだけど、今日届いたスパムには衝撃を受けた。サブジェクト「お知らせ君」。僕がつけそうなタイトルじゃないですか。このメールを受け取った方、犯人は僕じゃありません。それと「ママさんバレーチームからのメールです」ってのが届いた。名作「この前の妊娠検査について」以降のスパムシーンは、シチュエーション設定に懲り過ぎて逆にターゲットを狭めてはいないだろうか。

「タイガー&ドラゴン」見ました。クドカンやっぱり面白い。西田敏行さんが借金まみれの落語家「どん兵衛」っていうだけで面白い。胃にもたれる演技を実力派と勘違いされてる西田、クドカンのいびつな世界の中に自分の居場所を見つけたのではないか。ややこしく絡み合う人間関係も面白いし、現実と古典落語がシンクロする演出も面白い。なにより一話完結で途中から見てもわかりやすいので、クドカンはついに才能に見合った数字を取れるかも知れない。
 ところで僕のウクレレを今井忍さんに誉めて頂きました。演奏じゃなくて楽器そのものを。このウクレレ、関口和之さんにも誉めて頂いたことがある。出所不明で安く手に入れたんだけど、あの楽器屋さんは値段のつけ方を間違えたのではないか。今井忍さんと言えば世間的にはBoy Meets GirlやEarly Times Strings Bandかも知れないけど、僕にとってはクールナガサキ&ハイビスカスです。

4月16日 泣くなんてちいさなこと

泣くなんて ちいさなこと
ため息つくなんて つまらないこと
だのに このふたつの
大きさを とりかえして
男も女も 死んでゆく

高田渡さんというミュージシャンを知ったのは1988年のはちみつぱい再結成ライブアルバム。ニューウェイヴの残り香を追いかけていた当時の僕は、正直なところはちみつぱいにも渡さんにもあんまり興味が持てなかった。それからしばらくして、フジテレビの「Wood」っていう音楽番組で彼を見た。台本があるのかないのか、ギターを抱えて朴訥と呟く合間に思い出したように歌を歌う彼に、僕は釘付けになってしまった (フジテレビってほんとに面白いテレビ局だったんだよ) 。
 生で彼のステージを見たのはたぶん1998年だったと思う。彼はやっぱりギターを抱えて朴訥と呟いていた。呟きながら爪弾くギターが気持ちよくて、つまりは歌うように呟き、呟くように歌い、高田渡という存在がブルースであり、一遍の詩でした。

実は先月のmona recordsのイベントに出演した時、サンプラーにDVDから録った渡さんのぼやきを仕込んで、呟くように曲をつなげようと企んでました。結局は準備不足と練習不足で直前になって路線変更したんだけれど。きのうの夜は川村恭子さんと今井忍さんとご飯を食べて、「今は色んな方がmixiにいますねー」「いなさそうな人」「高田渡!」「わっはっはいないいない」なんてお喋りをした。今朝、ツアー先の北海道で亡くなったそうです。享年56歳。
 ニュースはたぶんデビュー曲「自衛隊に入ろう」を取りあげて、60年代反戦フォークの人として彼を紹介するでしょう。それも間違いじゃないけど、僕にとっての渡さんはこんな感じよ。

4月18日 音楽ってなんだっけなんだっけ

きのうはいとうまさみさんのライブ@mona recordsに行ってきました。入ったらいきなりハイテンションないとうさんとはち合わせ。「久しぶりー元気ー?」って聞かれたら「元気ー」と応えるのが通常の会話の糸口というか「山」「川」みたいなもんだけど、元気というには今さっきまで寝てたしなあ。「あのねー松浦雅也さんが来てくださってるのー」ってえーっ! 声もかけられず3メートルほど後ろから傍観させて頂きました。
 やがてライブが始まる。お馴染み「肉料理・魚料理」から、浮遊感のあるコード進行とキュートな歌声で綴られるちょっと毒の効いた世界に身を委ねた。大好きな「南国旅行」はMartin Dennyのようにエレガントだ。Shirley Templeちゃんのカバー「Animal Crackers In My Soup」のユニークな訳詞には笑いも起きていた。和やかなライブでした。

対バンはヒネモス。「大人になった鼓笛隊」をコンセプトに掲げる11人の大所帯バンド。渋さ知らズから魂を抜いて娯楽に徹したような、とにかく腹をかかえて笑って聴けるライブでした。鼓笛隊の基本アイテムに二胡、ノコギリ、ぜんまいのおもちゃ、口琴、ありとあらゆる「音の出るもの」が登場。指揮者のッタッタ氏は「明」「暗」「→」の紙をあっちに向けこっちに向けて指示を出す。時に「→」が客席に向いたりするから気が抜けない。音楽ってさあ、こういうことでいいんじゃないの?
 終演後、いとうさんとッタッタ氏に感動を伝え、F.T.氏と軽く食事。今日のライブの楽しさや女の子のこと、インターネットのこと、好きな数字のことなど話す。「4とか6とか8とか偶数って好きじゃないんだよね」「あーそう。僕は6は嫌いじゃない。3の倍数ってよくない?」

F.T.氏と別れてふと思い立ち、シモキタと言えばこの人、に電話。僕は基本的に方向感覚はいい方なんだけど、どうもシモキタで迷う才能がある。ご迷惑おかけしました。お邪魔したら某バンドとディレクター氏が熱く語り合っていた。音楽に対する愛、人に対する愛、そのリスクについて、とかなんとか。作詞・ボーカル氏は、トラックを聴いて俺に何を求められてるのか悩み苦しみ分析するという。作曲・ギター氏は、トラックには愛を込めてるけど、その先のことは信じてるし何も求めてないよという。その果てしない繰り返しを笑って見てました。
 素晴らしきインターネットのおかげで、僕のような凡人でもたくさんのミュージシャンとお会いできる昨今だけど、いわゆる芸能界の嫌らしさというものを殆ど感じたことがない。皆さん一介の音楽好きの視点をちゃんとキープしているのがとても嬉しいしかっこいい。僕もこのまま50とかになってもいいかなと思った。

4月20日 右から左から誘われるサラウンド

「Subject: TBS番組『儲かりマンデー1月9日放送』録画してませんか。」という詐欺の構図の見え難いスパムが飛び交う今日。clammbon@青山円形劇場みてきました。その名の通り、直径7-8メートルくらいのまんまるいステージを客席が囲む小さな劇場。ステージの段差がほとんどなくて、手を伸ばせば届きそうというか実際届いたと思うんだけど、大人の配慮で伸ばしませんでした。
 やがて暗転してclammbonの3人がステージに立つ。客席を背にして互いに向かい合う恰好。それはロック研の部室のような、一介の音楽好きがセッションを楽しむ風景だった。目と目を合わせて音を通わせあったり、時にイタズラを仕掛けて2人を驚かせたり。clammbonの創造の秘密を垣間見るような不思議なライブでした。正直最初は音の定位感がしっくりこなかったんだけど、だんだんそんなことはどうでもよくなってしまった。

実験的な近作を中心に、「はなればなれ」「シカゴ」「246」と、胸焦がす初期のポップソングを折り込んでいく。最小限の照明で世界を広げていく演出も素晴らしい。郁子ちゃんはどんどん発声が素直になっていくなあ。ピアノも音が削ぎ落とされて、ミニマルにしてリズミカルだ。ベースのミトさんは長髪の処理方法を模索してたら、テレビでJoey Ramoneを見て「これだ」と思ったという。ベースという楽器の可能性を押し広げるトリッキーなプレイでした。ドラムスの伊藤大助さんは相変わらずどっしり構える感じ。個人的にはもっとタイトなチューニングの方が好みよ。
 郁子ちゃんがピアノに向かう度にばっちり目が合ってしまった。ドキドキ。きみの目のなかにも僕が写るなんて! でも同行のA.Z.a.T.o.i.も同じことを言っていたので、近隣の人はみんな「自分と目が合った」と思い込んでいたかも知れない。ほんとは僕と目が合ってたのにね。

終演後、A.Z.a.T.o.i.と魚料理のお店でお喋り。サーモンがとろけそうに旨かった。「clammbon、中学生の時に大好きだったー」ってええー。おじさんはclammbonがデビューした時、20代後半でした。

4月24日 Earth Day Love & Music Day & Your Birth Day

22日はEarth Day Love & Music Dayを観てきました。まずはKilling Timeが登場。彼らを見るのは実は初めて。複雑に入り組む変拍子とポリリズムの洪水に戸惑いながらも身を委ねた。やがて小川美潮さんが加わる。相変わらず天真爛漫な彼女だけど、その天真爛漫さの質が大きく変わっていた。かつての素頓狂な女の子は今や天女のようなおおらかさを身につけていた。暖かい霧に包まれるような瞬間だった。
 続いて登場したのがCarnation。僕はこのバンドが大好きだ (った) 。5人の鉄壁のアンサンブルとポップなメロディ、琴線をくすぐるせつなさと色気。諸事情により2人が脱退してからの彼らは「荒くれ」を標榜してはいるけど、やっぱり無理は隠せない。特にこの日はPAが悪くて残念なステージでした。うねるリズム隊の魅力がどこかへ吹き飛んでしまった。

そしてPantaさんによって高らかに紹介されたMoonridersは、致命的な問題を抱えていた。これまでも意表をついたライブを展開してきた彼ら、1曲目は敢えてドラムレスなのかなと思ったら2曲目が終わってもドラマーのかしぶち哲郎さんが登場しない。ここで鈴木慶一さんから、体調を崩して欠席することになったとの報告が。「ゴールキーパーなしでサッカーやってるような状態だが...この特殊なシチュエーションを楽しんでってください」。突然の大事件に対処できる底力には頭が下がる。けど、またしてもPAの悪さが不幸に追い討ちをかけた。楽器の分離がなってなくて、何をやってるのかよくわからない。
 アンコールはMoonriders+Carnationで「夜の煙突」「Frou Frou」。お約束ではあるけど、この残念なイベントを取りかえすにはこれしかなかったんじゃないでしょうか。

終演後、成り行き上Killing Timeファンの皆さんと飲み。会話の糸口が見いだせなくて同行者と抜け出してカラオケ。かしぶち哲郎さんの病名は公にしていいのかな、命に別状は全然なさそうなのでご安心ください。
 今日は母方の祖母 (関係がいい方) の誕生日パーティであった。僕は例によって外出に勇気を要し、花の1本も持たずに祖母宅に向かった。生協の払い込みをさぼっていたらついにパンフが来なくなり、食糧難の昨今。なので祖母宅でたらふく食った。何しに行ったんだ僕は。1歳半の姪がなついてきた。嬉しいね。

4月26日 鉄道に詳しい桜井さん

今さらだけど兵庫の電車事故、きっついですね。身近な日比谷線が事故を起こした時よりリアルに怖い。電車ってあんなにペラペラになっちゃうんだ。後ろに乗ってたってシートベルトとかしてないもん、100km/hで衝突したらぶっとぶよ。
 事故の原因は諸説紛々だけど、前の駅でオーバーランした遅れを取り戻すためにスピードをあげてたんだとしたら、この運転手の心境は他人事とは思えない。僕もあわてて転ぶタイプなんで。

事故当日の昼間に「笑っていいとも!」をやってたフジテレビ、「いいとも」は生放送の看板番組だから仕方ないけど、その後に「ドラゴンボール」の再放送をやってる場合だったんでしょうか。
 あと民放各局に出演して自説を興奮気味に語る「鉄道に詳しい桜井さん」。高速走行からの急ブレーキで車輪がロックして「せりあがり現象」が起きたという説は、素人的には納得してしまいそうではあるけど、彼自身の佇まいに電波な風格がある。今の段階で原因を特定してしまうリスクについて考えてないところとか。鉄の人の見解を求む。

29日追記: 事故の原因はJR西日本が主張する置き石でも、桜井氏が主張するせりあがり現象でもなく、転覆脱線説が有力になってきた。桜井氏はテレビ画面から消えた。

4月29日 生き甲斐に似た何か

きのうは高田渡お別れ会@小金井市公会堂、今日は小川美潮@川崎市市民ミュージアム、そしてKaraoke Kalk Night@代官山Unit. Marz。に行くつもりだったのに体調が悪くて全部キャンセルした。
 渡さんとこには酒でも持って行きたかった。平日の昼間なのにお客さん1000人以上集まったって。愛されてたんだよね。小川美潮さんも是非見たかった。川崎市市民ミュージアムはステージの後ろがでっかいガラス張りになっていて、夜の庭に月の光が入って素敵なんだ。あそこに美潮さんを置きたい気持ちはよくわかる。Karaoke Kalk Nightは今ごろやってるはず。初期のKaraoke Kalkレーベルの慎ましさが僕は大好きだったんだけど、いつの間にかお洒落アイテムになってしまい、たぶん僕が行っても居場所はなかったと思う。

花粉症だか鬱だか風邪だかわかんないけど、頭痛と咳と不安感に襲われて、ベッドとパソコンの間を行ったり来たりしています。数十時間起きて数時間寝てメール見て数時間寝て数十時間起きて。病院だけは、予約時間に激しく遅刻しつつもなんとか行った。作業所に通うことを薦められた。
 作業所。正しくは精神障害者小規模作業所という。そういう方面の方々が集まって、袋詰めとか公園の清掃とかお絵描きとかをして、生き甲斐に似た何かを恵んで頂くNPO法人です。たぶん通ったら楽しいし変われるとは思う。思うのだが。そこから抜け出せない自信があるので今はこのままで。そして昨夜は久しぶりに骨董通りミーティング。出かける前は気が重かったけど、お酒を飲んでくだらないお喋りをしてるうちにちょっとは晴れたかな。気ぃ遣わないのがいい、気ぃ遣わないのが。

件の鉄道事故。107人の命は今や、JR西日本の労使間の駆け引きの材料にされている。労組の主張を信じるならば、JR西日本の「教育」は小3レベルの虐めだ。そして夕刊フジが森昭雄氏にインタビューして間違ったコメントを手に入れている。いわく、事故を起こした運転手について「大事な場面で倫理的な行動がとれず、キレやすいというのはゲーム脳の特徴とよく似ている」と。
 森昭雄氏の「ゲーム脳の恐怖」という本は、主観だらけの脳波分析の末に「テレビゲームをしてる人はα波が出てるから危険だ」と主張する怪文書です。彼の脳波分析の間違いっぷりはこちら、斎藤環氏に聞くゲーム脳の恐怖。そして論旨の破綻っぷりはこちら、トンデモ「ゲーム脳の恐怖」に詳しい。α波を出してリラックスしたいのでゲーム機買ってきます。