DIARY 2005年6月


6月2日 睡眠欲に溺れて、または細野さんとあーたくし

すいみんすいみんすいみんすいみんすいみん過剰。ふと目覚めたら時計は5時を指していて、早起きしたと思ったら杉崎ちゃんじゃなくて木村太郎さんが出てたり。東京湾の群発地震とか韓国船の行方とか、金正日の料理人はなんでいつもエベレスト登山みたいなサングラスをかけてるのかとか気にならない訳じゃないけど、そう薬がきついのだよ。飲んでも飲まなくても調子が悪い。
 生協から届く冷凍食品についてくるドライアイスをボールに浸してコポコポコポ。それをぼんやり眺めてるうちに今日もまた終わってしまった。みんながみんなを悩ませる、みんなは心を痛めてるー。

細野晴臣さんが犬童一心さんの新しい映画の音楽を担当する。漏れ伝わってきた情報によると、「銀河鉄道の夜」っぽいらしいです。僕の細野さんへの入り口は「銀河鉄道の夜」でした。YMOは好かんかった。今でも好かん。世界の坂本が好かん。音楽もメディアへの姿勢も好かん。
 サントラとはいえ細野ソロ名義のアルバムって「N.D.E」以来じゃないですか? HISも楽しみ。なんだか順番に再結成してますね。次はFOE名義のアルバムが出ると妄想。Swing SlowやHAT名義の新作は聴いてみたい気もするけど、そろそろ歌モノのソロアルバム出してくんないかしら。

6月5日 アミーゴ・アミーガ

Moonriders@恵比寿ガーデンホールに行ってきました。夏めいた空の下、会場につくと年齢層高ーい。ユリイカの「十代にムーンライダーズを聴かせる」座談会を読まねば。「Telstar」の色んなカバーがひたすら流れる嫌がらせのような客入れは、今でも彼らの意地悪なユーモアが健在だと感じさせてくれた。
 トラは坂田学さん。かちぶち哲郎さんのソリッドな演奏とは対照的な、バタバタと手数の多いドラミング。それに併せてベースもキーボードも動き回る。1人入れ替わるだけでバンドってこんなに変わっちゃうんだ。ただ、鈴木慶一さんが「夢精と言えば...」と喋り始めた瞬間にドラムが先走ってそのまま演奏に入ってしまうあたり、阿吽の呼吸とはいかない感じもありました。夢精と言えばなんだったんだろう。

激しいインプロあり、バイオリンの弓を股間にあててアレに見立て、本体を擦り付けるアレげなパフォーマンスあり。「ヤッホーヤッホーナンマイダ」では客席を3分割して「ヤッホー」の掛け合いを促す。往年のナンバーはマンドリンとアコギが効いたアミーゴな感じで。
 アンコールは「Who's gonna die first」と「Beatitude」を英語バージョンで披露、そしてサプライズゲストとしてかしぶちさんが登場して「Frou Frou」を、ギター弾きながら歌ってるような歌ってないような、痛々しいものを見ました。病名はこの時も明らかにされなかったけど、命に別状ないと知らない方々はかえって心配したかも。言っちゃった方がよかったかも。

同行のマユコと、100人のひととすれ違ったらそのうち2人は自分と何らかの関係があるなんて話をしていたら、たまたま2人の友人を発見。S子さんとN氏だ。アミーゴ・アミーガ! 合流してガーデンプレイスのカフェでタイカレーを食べた。「マイルドな味わいでお子様でもお召し上がれます」って書いてあったのに辛い...。好き嫌いはおおよそないけど辛いもんだけはだめだ。大汗をかいた。

6月8日 ヒルズに恋して

Ah…だるいです。恋愛障害者認定テスト。「中程度の恋愛障害が見受けられます。恋愛能力を高めるためには結局恋愛をするしかないのですが、そのための恋愛能力を高める必要が...と堂々めぐりに陥ってしまうかもしれません」。
 陥ってます! 陥ってます! 「90%以上の方は健常者ですのでご安心ください」ってどういうことだ。僕は数%しかいない恋愛障害者なのか。障害者手帳出るかしら。こういう人間のちょっとした不具合、でもそれを指摘すると差別になりかねない不具合について、人は目をつぶりすぎじゃないだろうか。例えば不細工な人は人生損してるから不細工障害者手帳を、背が低いとか髪が薄いとかそういう障害者手帳をさ、出すべきなんだよほんとは。手を差しのべるべきなの。

という訳で手を差しのべて貰った。またしても麗しのマユコとデート。六本木ヒルズに行ってしまった。美術館でファニーな作品に笑って、52階の展望室から夜景を眺めて「おもちゃみたい」だなんて。バブリーな視座から眺める東京は、異邦人の幻想に耐えうる美しさでした。でもそうじゃない東京を愛したい。
 最近は、僕の鬱の発病の大きなきっかけになった事態がさらに悪化し、それを食い止めるために動かなきゃなのだが考えただけで気持ち悪くなって寝込む。今日はサッカーを30秒くらい見た。なので非国民とか言わないでその銃を下げてください。「国を挙げて」感が気持ち悪い。サッカー業界のつんく的な人が色んな国の選手をシャッフルして、赤組とか青組とか作ればいいのにな。

6月12日 Shout! Shout! Let it aloud!

僕は数年後に、この叫ぶ少女に「伯父さん」と呼ばれ、雨傘を片手にナンセンスの世界へ連れて行きたい。さらに十数年たったら2人で酒を飲み交わそうじゃないか。
 親戚に会いまくりの週末。僕の鬱病の一番のきっかけになった人と久しぶりに話す。にこやかに穏やかに。偽善だろうか。で、反動で激しく凹む。んー! 今日は会いやすい親戚と天ぷらを食べた。体調悪くて嫌な汗をかいた。でも姪は可愛いね。自分にもそんな感情が残っていたのかと思う。彼女の好物は枝豆と小魚だって、将来酒飲みに育ちそうじゃないか。彼女の父親、つまり僕の弟は酒を飲まないので、いつか彼女と2人で酒を飲み交わしながら、パパには言えない相談事など聞いてみたい。

6月14日 S.A.C.D.

スーパーオーディオラウンジというイベントに行ってきました。鈴木慶一さんと和田博巳さんがSACDで好きな曲をかけながらお喋りするっていう緩い企画です。
 1曲目の「Ruby Tuesday」からノックダウン。木管の息遣いまでリアルに聴こえてきます。Jeff Beckはマルチチャンネルを駆使してSF映画みたいに音が飛び回るミックス。Moonridersの「No.9」は、映画用に作られただけあってものすごい情報量。オリジナルは80チャンネルくらいあったそうで、それをステレオ2チャンネルに押し込むことに無理がある、と仰ってました。楽器の分離のよさを考えると、作り手の意識としてはマルチチャンネル化の流れは避けられないのかも知れないね。

で、聴いているうちに目眩がきて視界がホワイトアウトした。うーん! 倒れる前に楽屋で休ませてもらって、そのままタクシーで帰宅しました。昼頃から目眩がしてたと言えばしてたんだ。僕が帰ってからかけたPeter Gabriel「Up」が凄いよかったそうです。自分が情けない。

6月16日 Musical Baton

ELEKTELのpolymoogさんからバトンが回ってきました。音楽についての4つの質問に答えて次の回答者5人を紹介するという企画。ボケようがないんで普通に書きました。アンケート自体はすごく簡単なんだけど、次の回答者を探すのがたいへん。計算によると、14ステップ目で全人類に行き渡るそうです。ええーっ。早く探さなくちゃだ!

■ Total volume of music files on my computer:
234.4MB:ほとんど合法的に入手したMP3ファイルです。変換してCDに焼きます。コンピュータで音楽を聴くことはありません。
■ Song playing right now:
「246」クラムボン:けだるい雨の日にはこんなせつないのを聴きたい。
■ The last CD I bought:
「minimum-maximum」Kraftwerk:良くない訳がない。
■ Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me:
1「You Still Believe In Me」The Beach Boys:コンソールボックスの前に座るBrian Wilsonの強烈な「ひとり」が、宗教的な安堵感さえ呼び起こす。僕が音楽に求めるポップさと儚さとユーモアを蒸留したような曲です。
2「Don't Trust Anyone Over 30」Moonriders:冬の海まで車をとばして24時間砂を食べていたい、長い線路をひとり歩いてそっと枕木に腰をおろしたい。僕の人生観をちょっとだけ変えた曲です。
3「I Keep A Close Watch」John Cale:究極のラブソング。
4「I Know Where Syd Barrett Lives」Television Personalities:究極の現実逃避ソング。
5「Wonderful Life」Black:究極の一発屋ソング。
あくまで今現在のセレクションです。1時間後には全く違っているはず。

6月19日 Bistrot SWANP

筋肉の衰え著しく、寝たきりも間近かという昨今です。下北沢ラ・カーニャにて、Bistrot SWANPなるイベントを見てきました。スワンプロックを聴きながら、ミュージシャンの得意料理を再現しようっていう企画。元ネタはDon Nixの自伝に載ってる友人たちの書いたレシピ。これがどうしようもなくアメリカンで大雑把で、どこまで忠実に再現したもんか悩んだそう。この日のメニューはSteve Cropperのレシピによるクリームソースのパスタ、そしてMike Utleyのレシピによるブラウニー。大変美味でした。料理監督は大林千茱萸さん。
 食事をしながら長門芳郎さんと川村恭子さんのお喋り、そして貴重な音源や映像を楽しむ。Sam And Daveの異様なテンションに笑ったり、そのパフォーマンスがBlues Brothersに引き継がれてることに気づいたり。細野さんの「泰安洋行」が海外で評価されていたって話は初めて聴いた。Maria Muldaurがカバーする話もあったんだって。

中盤は小宮やすゆうさんのライブ。ごく初期のシュガーベイヴに作品を提供してきた方だそう。先月30年ぶりの復活を果たしてから2度目のステージ。ブランクや年齢を感じさせない甘いハスキーヴォイスにびっくりしました。曲はカバーが中心。昔は人の曲をカバーすることに責任を感じてオリジナルを歌ってきたんだけど、最近ようやく責任を全うできるような気がしてきたと言う。英語の発音も自然でスマートで、日本にもこんなミュージシャンがいたんだなあ。実力だけではなかなか日の目を見れないこの世界の不条理。
 後半のお喋りタイムはMG'sをバックに歌う忌野清志郎さんの貴重なリハ風景など。清志郎さん絶好調で、すき焼きの日の子供のようでした。彼は本当にMG'sが好きなんだな。主催者のみなさん、お手伝いのK.M.氏、A.Z.a.T.o.i.お疲れ様でした。長丁場だったけど非常に楽しかったです。

6月24日 やぐちひとり

矢口真里さん、モー娘をクビになってからの方がよく見かけるようになりました。ハロプロマニアの方々はまた違ったご意見をお持ちだろうけど、一般的なバラエティ番組愛好家としてはそんな印象。今日は「元祖! でぶや」に出演して「まいうー」を連発してました。モー娘をでぶやに出せないもんなあ。とっくに旬を過ぎたグループにしがみついてるより、1人のほうが小回りが効くような気がします。卒業メンバーで新グループを結成したら、現行のモー娘より人気が出そう。

将来 読み返した時のための参考資料。2005年6月現在の...
現行メンバー:吉澤、高橋、紺野、小川、藤本、亀井、久住etc...
卒業メンバー:市井、後藤、安倍、辻、加護、矢口、石川etc...

6月26日 笑い虫

梅雨だというのに日照りが続く昨今です。オクノちゃんの結婚パーティ「Saitocno Wedding」に行ってきました。今年に入ってから日記に結婚のことばっか書いてるな。大変な結婚ブームだ。個人的にはオクノちゃんと、互いの恋人の不在を嘆きあったあの居酒屋の夜がきのうのようだけど、彼女はちゃんと家族を見つけ、僕はまだ1人でこうして日記を書いている。
 てくてくと会場に辿りつくとまずはその広さに驚き、客人がスペースを埋め尽くしてゆく様に驚き、2人の人望の厚さに驚きました。170人くらい入ったと小耳にはさんだ。それでも知ってる顔ぶれは数人しかいなくて、縮こまって開演を待つ。若い2人だけに客層も若めで、Young Alive In Loveなムードが漂ってました。ここでナンパにいそしむくらいの根性があったら僕も結婚ブームに乗っていたかも! おじさんはもういいよ、そういうのは。

SAKEROCKのハマケンのMCでパーティは華やかにスタート。まずはトクマルシューゴさんの、変則チューニングのギターに導かれた浮遊感のある歌世界。そしてSAKEROCKが登場。トロンボーンを放り出してスキャットに突入するハマケンの高揚感。アルバムの評価も高い彼らだけどやっぱりライブ、ハマケンの満面の笑みが音楽の楽しさを体現しています。エンターテイナーっぷりに嫉妬した。僕は性格が暗いので。終演後、落ちていたセットリストを拾ってしまった。ところどころに「笑むし」の文字が。「MC」のことだと気づくのにずいぶんかかった。確かに「笑むし」と呼ぶに相応しいMCっぷりでした。
 カントリータッチのCo-rchestraに続いて、新郎齋藤紘良さん率いるSaturday Evening Post。ユーモアと透明感が共存するフォークトロニカユニットとして注目してたんだけど、久しぶりに見たら4人編成の生バンドになってました。紘良さんの音楽世界がこのコンボに収まりきれてない感じがした。

暖かくて素敵なウェディングの夜を終えて、同行者たちと六本木ヒルズのバーでクールダウン。だんだん六本木ヒルズに対する敵対心が薄れてきてるのはいいことなのか悪いことなのか。で、家に帰ったらまたしても別件の結婚報告メールが。ここまで続くのは絶対に少子化対策の一環だと思います。

6月30日 水中キャンプ

ずうっと通ってた公営プールに駐車場があることに気がついた。1時間に数本あるかないかのバスをひたすら待っていた日々はなんだったんだろうか。
 プールってちゃぽちゃぽ平泳ぎしてるだけで健康になったみたいな錯覚できるからいいよね。ほんとは週に2回くらい行きたい。可燃ゴミの日に合わせて火・木で通うか。今年に入ってからはだるい→寝る→筋肉落ちる→だるい→寝る→筋肉落ちるの無限ループで、現在の体脂肪率はタローだかジローだかいう野球選手の打率より高い。物置きからバイク型ダイエット器具を引っぱり出してこようかなあ。

泳ぐのは好きです。スキーと水泳くらいだな、人並みにできるのは。数年に一度、僕にテニスを教えてくれようとする人が現れるんだけど、1時間くらいやって申し訳なさそうな顔で「別のことしようか」と言われる。まずラケットにボールが当たらない。当たったらフェンスを飛び越えて道路に転げていく。
 プールのいいところは頭の中をからっぽにできる点に尽きる。胎内回帰的な安心感でしょうか。音響的にも好きです。水音に深いリバーブがかかってマルチに聴こえてくる。そっと背泳ぎを決めて浮かんでいたいの。