DIARY 2007年8月


8月1日 月の下で踊れ

まだ苗場の山のなかで体に通した轟音のヴァイブレーションが残っています。東京かあ。月の下で踊っていた僕も、東京でMacに向かっている僕も、リアルなんだぜ! というわけで今年のFUJI ROCKレポートを少しの寂しさと共に書いてみました。音楽を愛する人、自然を愛する人が、苗場の森に何万人も集まって笑顔を交わす。この事実を一人でも多くの人に知って欲しくて、毎年こうしてライブレポートを書いている。
 今年分は、前夜祭→捏造と贋作→渋さ知らズオーケストラ→畠山美由紀 with Asa-Chang & ブルーハッツ→Sentimental City Romance→つじあやの→Ocean Colour Scene→Fountains Of Wayne→The Cure→Panorama Steel Orchestra→湯川潮音→高橋ちか→Upendra & Friends→Lily Allen→G.Love & Special Sauce→Iggy & The Stooges→Beastie Boys→The Wombats→Fermin Muguruza→ハッチェル特急楽団→clammbon→Battles→V∞REDOMS→The Chemical Brothersです。

8月4日 haircut 100

夏だねえ。金髪にも飽きてきました。いっそボーズにしてみた。バスルームで一人きり大暴れ。結果「お、おにぎりが欲しいんだな」っていう風情になりました。でも手触りがいいし涼しい。外出時は帽子をかぶって行き先で脱いで、みなさんをぎょっとさせよう。
 あとボーズにしたのがきっかけで直毛がくせ毛になっちゃったっていう声を2、3聞いたことがある。ひょっとしてくせ毛の僕がボーズをきっかけに直毛になることもあるのではないか。長年のコンプレックスが解消されるのではないか、との淡い期待もあります。

FUJI ROCK2日目から続く風邪が治らない。どんどん咳が酷くなって寝込んでます。きのうはバスルームで髪と格闘してたしな。

8月5日 小さなカラスはきっと君のこと好きだよ

くじら / 真黒毛ぼっくす@吉祥寺Manda-la2を見てきました。2月にこの組み合わせを初めて見てからずっと楽しみにしてた。
 まず登場したのは、最近中川五郎さんとの共演アルバムをリリースした真黒毛ぼっくす、「夏の思い出」夏が来れば思い出す、のカバーからスタート。ニューオリンズと東京と上海を結ぶリズムの洪水、その中に浮かぶ大槻ヒロノリさんは、痙攣みたいに腕を振るわせてタツノオトシゴみたいにそっくりかえって歌う。その言葉、その叫びひとつひとつから景色が一気に広がっていく。フィクションとノンフィクションの間にある、最大公約数の切なさを綴っていく。あがた森魚さんの正統な後継者だな、と思って聴いてたら「あがた森魚の歌を口ずさみながら」なんて歌詞が出てきてびっくりした。ゲストは美尾洋乃さんでした。

続いてくじら。正確にはひとりくじら。杉林恭雄さんの弾き語りだ。ギターのリズム感と声量に圧倒された。ひとりくじらは2曲だけで、バックに真黒毛ぼっくすを呼んだ。違った切なさがぶつかりあって、かつてのQujila Dragon Orchestraを思い起こさせた。
 杉林さんは真っすぐな日本語、正しい母音でロックを歌う。日本語のロックってこういうことじゃないの? そんで大槻さんとは違った方法で、透明なエロティシズムの風景をばっと広げてみせる。杉林さん「皆さん正確なアレンジで演奏してくれて...本人も忘れてたんですけど」っていうくらい、真黒毛ぼっくすによるくじらトリビュートの様相でした。高校生の頃に死ぬるほど聴いた「ナガラリバー」「カラス」「サボテン」「ドラゴン」、そして最近の「木星クラブ」や「バースディ」。いやー堪能しました。こうして好きな音楽がどんどん繋がっていくのは不思議だし嬉しい。

8月9日 凹凹 (ぼこぼこ) の旅

奥多摩へ一泊二日の小旅行に行ってきました。旅行記は得てして長くなりがちなので、皆さんに最後まで読んで頂けるべく短くまとめたい。

きのうは開通したばかりの圏央道を通って、東京ムツゴロウ動物王国へ。若い読者のために補足しておくと、畑正憲 (ムツゴロウ) さんという作家がいて、かつて北海道に動物王国を築いていく様が、テレビの特番でよく流れてたのだ。一時はバックパッカーの溜り場になってたって聞いた。その東京版です。でもこれが銭金に出てくる貧乏テーマパークの様相で、入園料1700円には正直引いた。テレビに出てきた犬猫や、飼育員の石川利昭さんが普通にいて、個人的には楽しかったです。石川さんは2000頭の犬を育てた経験から、マニュアル通りの犬の飼い方しつけ方に真っ向からノーをつきつける。確かに王国の動物はみんな生き生きしていて人懐っこくて、この人の言葉なら信じていいかも。
 その足で青梅のベリーコテージでブルーベリーアイスを食べた。果汁が濃厚でウママママーッ! で、多摩川の源流を辿って鳩の巣渓谷で一泊。窓を開けたら透明なリバーが!

今日はさらに奥地の日原鍾乳洞へ。関東一の規模だそうだけど、あんまり観光化されてないのは余りにもアドベンチャー過ぎるからじゃないだろうか。年間を通して11度の気温と、800メートルも続く激しいアップダウンに参った。ここで最初の凹 (ぼこ) 。坊主頭を鍾乳石に強打して出血した。あとで鏡で見たら、大きく「リ」の字に傷が出来てた。その帰り道、くねくねの山道で道を譲ろうとして凹。狭い駐車場でも2回ほど凹。1日で3回車をぶつける人も珍しいのではないか。全部自損事故なのでね。ゴールド免許に傷がつくことはないのです。でも精神的にはかなり傷がついたぞ。
 そして今度は奥多摩湖へ。美しい。名所のドラム缶橋 (写真) は日本三大がっかり観光地に入れてもいい。湖に登り降りする道が半端なく急な割には橋の景色は普通! しかもドラム缶じゃないし。くたびれ果てた。そんで中央道の渋滞にもめげず、なんとか帰ってきました。結局うちが一番いいね!

8月10日 「リ」の字の言い分

8月4日と8月9日の日記を噛み締めてから読んでください。僕の坊主頭に「リ」の字の傷が出来たのは、理不尽のリであると、理不尽な理由で髪を剃られた僕への鍾乳洞の神様の刻印であるとの見解が出て、なるほどと膝を打った。
 「トランスフォーマー」という映画を観た。最高に単純でつまらない映画だった。いいもんと悪いもんがでてきて、ボカーンドカーンやっていいもんが勝つ。ザッツオール。40年前の日本のロボットアニメの方がよっぽど含蓄がある。僕の映画鑑賞歴で言うと、「大霊界2」の次につまらない。シベ超とか好きな方向け。

8月12日 LoveだかArabだ

きのうは中川五郎 / R-O-M-A / 神谷きよみ@新中野弁天に行ってきました。よくぞ飽きずに似たようなライブに行くなーとお思いの方も多いと思うけど、同じ人を何度も観察して見えてくるものもある。ぼく程度の目ですらね。
 まずは神谷きよみさん。なんとR-O-M-Aのカバー「あれやこれ」をやった。アンニュイな表情で、こんなにいい曲だったのかとびっくりした。作者の安倍王子さんも「自分が歌うといい曲に聴こえないんだよね、あっオレR-O-M-Aの一色進か」とぼやく。続いて村松邦男さんの「冬の陽だまり」、これまた女性が歌うとこうなるのかとびっくり。やがてR-O-M-Aのメンバーが現れて本編スタート。神谷さんのノードエレクトロが、R-O-M-Aに70年代AOR的な風を送り込んだ。安倍曲=コミカル、村松曲=スウィートのイメージをずっと持ってたんだけど、それは歌い回しのせいで、神谷さんのカバーのおかげでそんな偏見も消えた。

舞台がはけて、中川五郎さんが一人で登場。フィクションなのかノンフィクションなのかわからない、聴いててドキドキするような歌を歌う。Bob Dylan的な、一拍にごちゃごちゃ言葉を詰め込む歌い回しが最初は気になったけど、その独特のタイム感がだんだん気持ちよくなってきた。アコギをかきならし、足を踏み鳴らし、全身全霊で歌う。その迫力に圧倒された。これがミュージシャンという生き物か。最後の数曲はR-O-M-Aと一緒に。ロックバンドがバックについても全然負けてない五郎さんでした。誰よりも高くジャンプ!
 その後ダラダラと打ち上げに。中川五郎さんは生粋の女好きだ。それも愛すべき女好きだ。そんな中川さんが、おじさんである僕のことを覚えていてくださって嬉しい。なんだかんだで5時間以上弁天にいたのかな。帰りはF.T.さんに送って頂いた。ありがとうございました。そんでシャワー浴びて爆睡。

8月13日 ☆に願いを

長澤まさみさんのスキャンダルが流れたり、ファクトリーレコーズのトニー・ウィルソンが亡くなったりする今日。広島から出てきたN.N.に会ってきました。すごく大人の雰囲気で、落ち着いてみえた。僕も年相応の落ち着きが欲しい。長澤まさみさんのスキャンダルに動揺している場合じゃない。六本木のUSHIO.っていうこだわりのお好み焼き屋さんに行きました。油を一切使わない、永田農法の食材でふわふわに焼き上げる独特のお好み焼きだった。体にいいことをした気持ちになるね。でもお客さんが全然入ってなくて心配になった。旨いですよ!
 帰ってきてからペルセウス座流星群に関する日記を読んで、いま庭の芝生に寝っころがって見てきました。大きいのがさーっと2つ見えた。流れ星に願い事を唱えられるほど頭の回転の早い人は、大抵の願い事が叶うと思った。

8月16日 日々これ出発

服部善視バースディライブ@池ノ上Bobtailに行ってきました。服部善視って誰だ。それはラララBobtailの守り神。いつもおんなじ席からステージを見つめる常連さんです。お客さんもあそこまで極めるとバースディライブを開いて貰えるのだね。

まず登場した上原貴之さん。鼻にかかった自然な発声が気持ちいいシンガーソングライター。ギターの音がすごくちっちゃくて、っていうのはPAのミスじゃなく個性として、おもしろかったです。次は金森浩太さん。アコギでインストを弾いた。嫌味なく清廉なギターを弾く人だ。すごい早弾きもあったりして、いわゆる上手いギタリストなんだけど、それよりも言葉なしで静かな情景を見せる感性に感動した。
 トリはお目当てmayulucaさん。僕の坊主頭を見せたら「あっおにぎりだ」って。ギターが危なっかしくて緊張してるのかな、と思ったらマイクにおでこをゴンって。それでふっ切れた感じはありました。サポートの前原孝紀さんがキラキラ音響派ギターでアルペジオをつけたりハモったり、その中を放物線を描いて飛んでくるような優しい歌声。トータルでいいものを観た。服部さんおめでとうございます。

8月18日 72000

店構えで適当に選んで入った店が猛烈に高くて冷や汗をかいた。ワイン72000円で出す店が実在するのか! 西麻布はデンジャラス。でもなーんだ、3800円のコースがあるじゃないですか。安心して食べた。金銭感覚麻痺してる。イベリコ豚のDonguriってお店。大変フレンドリーかつ美味でした。

8月19日 mus mus

彼女とその古いお友達と、新丸ビルのmus musっていう蒸し料理の店に行ってきました。和洋中問わず、とりあえず蒸しとけと。100度以下の熱なので、栄養的にもいいんだそう。
 彼女のいないところでお友達に、「彼女から紹介したい人がいるって言われたのは初めてですよ」って言われた。ほんとかいな。それはどう受け止めればいいのか。

8月21日 外は真夏日、中は洪水

外は真夏日、中は洪水なーんだ? 答え。クーラーが壊れて水がびじょびじょびじょびじょ。昔ジョビジョバっていたよね。もう大変です。いちおうレジャーシートと桶を置いてるんだけどそんなの関係ねえ。どんどん溢れ出している。マンションのメンテナンス会社に電話したら「あーあれそろそろ寿命なんですよね」ってエエー! 暑さに極端に弱い僕、この夏を乗り切れるんでしょうか。続報マテ。
 壊れたクーラーの写真を載っけてもしょうがないので読書中にもたれかかってきた老猫ネモの写真を。きのう飛行機の爆発事故があったじゃん。乗客乗員は全員無事でしたって何度も繰り返してるけど、ペットとして貨物室に取り残された犬や猫はいなかったのだろうか。胸が痛む。

8月23日 音楽は本当に大切か

5年間に渡って購入したきり放置していた、いわゆる積んどくCDをちゃんと聴こうと思った。とりあえず積んどくタワーを崩してみた。写真で伝わるだろうかこの迫力、ダブルベッドに50センチの山ができてます。ネットで音楽買う時代にね。しばらくは床で寝ることになりそう。
 CDやレコードってさ、聴くときより買うときの方が楽しいよね。みんなそれを認める勇気がないだけじゃないかな。コレクションが増えていくのは嬉しいよ。山下達郎さんが、買い集めたレコードを1日3枚聴くとして、一生で聴き終わらないほどレコードを買ってしまった、みたいなことを言ってた。でも今は、聴く欲に目覚めてます。とりあえずサクサク聴けるシングルから聴いている。数年前のヒット曲をステレオで聴くと意外といい。

8月25日 Song Cycle

ビストロ・スワンプ Vol.3に行ってきました。音楽監督 : 長門芳郎さん、料理監督 : 大林千茱萸さん、現場監督 : 川村恭子さんのトリオで、ミュージシャンの得意料理を再現しながら、そのミュージシャンにまつわる話をしようというこの企画、今回はVan Dyke Parks編。Van Dykeと親交の深い長門さんがホームパーティに招かれた時に食べたスープが忘れられなくて、今回この企画のためにレシピを送って頂いたという。ニューヨーク、アルゴンキンホテルのセネガル風スープをベースに、料理好きのVan Dykeがアレンジしたもの。
 大林千茱萸さんは3日もかけてこのレシピを完成させた。「シンプルなレタスのサラダも添えて。ワオ!」とのコメントに従って、大林シェフが腕によりをかけたドレッシングを制作。パンもスタッフの方の手作りで、どれもこんな値段で食べちゃっていいのかしらってくらい美味しかったです。

長門さんと川村さんのお話は、いつもの通りあっちに行ったりこっちに行ったり。長門さんのVan Dykeエピソードをひっくり返すとオールナイトイベントも可能なだけに、そこから話題を厳選するのに苦労されたみたい。初来日から先月の来日までのライヴ風景、バックステージ風景、Van Dykeが音楽を担当したりちょい役で出演した映画などなど、盛りだくさんな内容でした。ところが長門さんが持ってきた映画「Popeye」のDVDが、リージョンの関係で再生できなくてがっかり。僕はサントラ持ってますけどね。うふふ。Harry Nilssonが歌ってるんだ。
 ミニライブは寺尾紗穂さんと中森泰弘さん。寺尾紗穂さんは初期の五輪真弓に通じるたおやかな感触。あの周辺の御縁で、大林宣彦監督の次回作の主題歌を担当してるそう。僕はカップルの仲介はしているけど、いい音楽の仲介も果たしたい。ほんと。そんで中森泰弘さんのステージは、バンドの中の非ボーカリストがソロで歌う時のマジックに満ちていた。

終演後、スタッフでもないのに打ち上げに同席。川村さんのお気遣いで、残りのスープを頂いた。はー旨かった。最近日記を更新しないことで有名なK.M.氏がスタッフをしていました。お元気そうでした。

8月28日 誰がマンボに「ウッ」 をつけた

落ちてます。最近の読者のために説明すると、朝青龍が発病しただのしそうだの言ってる鬱病です。まずくなると自己防衛反応で睡魔が襲ってくる。ここ数日は、もう一日中寝てる感じで。
 きのうは何日かぶりに彼女と食事。テキーラも飛び出してハイになった。ちゃっちゃらちゃーらちゃ、テキーラ! と、ちゃっちゃらちゃーらちゃ、ウッマンボ! の区別がつかないよ。思いっきり文系頭の2人、なぜか次元の話で盛り上がった。1次元がX軸でしょ、2次元がY軸でしょ、3次元がZ軸でしょ、4次元が時間軸だとすると5次元は時間軸が無限の可能性に広がるパラレルワールドだとか、じゃあ6次元はなんだとか。パラレルワールドを跨ぐ変化だろうかとか。理数系の人には聞かせられない会話だ。

そんで今日は寝てました。23日の日記で紹介したベッドにぶちまけた積んどくCDの山は、分類してまたタワーに戻った。でも床で寝るのが気持ちよくなっちゃった。枕に耳をつけてると、猫が歩くとっとっとっていう足音に気づく。猫は静かに歩く生き物だから、普段は全然わからないんだよね。

もとい! : 朝青龍は解離性障害でした。

8月30日 山頭火











地球温暖化とここ数年の猛暑傾向は直接関係ないとはいえ (直接関係ねえ! 直接関係ねえ!) 、僕がちびっこの頃は35度を超えることはまずなかったように記憶している。連日の猛暑日が去ってふと心に余裕ができ、山頭火の気分で一句捻ってみた次第 (全然捻ってねえ! 全然捻ってねえ!) 。
 今朝から弟一家の犬、ラビを預かっています。彼女は床面のどこもトイレだと思い込む特技がある。今のところお粗相はないけど、注意深く見守りたい。うちの猫、メイもお粗相癖があって、彼の場合ひとの気を引くためのパフォーマンスなんだ。迷惑であることにかわりはないが。
 積んどくCDの消化は...しばしお休み。ここ数日の体調不良の原因は、CDの消化に対するプレッシャーだと思ったから。9月に親戚が集まるので、それまでに少しは見栄えをよくしておきたい。

8月31日 ほんとのこと知りたいだけなのに

ほんとのこと知りたいだけなのに、夏休みはもう終わり。人生が夏休みのような僕には関係ないことだけど、夏休みがもう終わります。今年は31日が金曜日でよかったね、のび太くん。君は将来メガネロックをやると思う。そしてジャイアンとしずかちゃんはノイズユニットを結成する。ボエー。
 未来少年コナンをまた観てます。もう人生で何回観るのかと。観るたびに新しい発見がある。制作現場は毎週クオリティの高い作品を放映することで、てんやわんわの行き当たりばったりだったらしいけど、全てがひとつのテーマの元に、あの結末に辿り着くべく計算されているかのように思える。素晴らしい。素晴らしいです。
 弟一家から預かっているトイプードルのラビは、うちの雑種猫のメイが怖い。メイがラビのケージに入っててラビがそれに気づかなくて、鉢合わせてうわー! とかやってます。日本は平和だなあ。