DIARY 2007年9月


9月2日 運命の出会い

いとうまさみ@三軒茶屋Grape Fruit Moonに行ってきました。会場に入るなりいとうさん、僕の坊主頭を見て「髪が! 髪が!」って大笑い。大笑いされるのにももう慣れました。「でも日記の写真よりは伸びてきたよね」ってフォローになってない。いいんだよ別に。
 演奏は相変わらず、優雅でラウンジーな中に、ピリっと毒が光る。前はピアノが走りがちな印象を受けたけど、リズムキープがしっかりしてきたように思った。曲によってはiPodやリズムマシン、トイピアノを併用して。このリズムマシンが渋くてかわいいんだ。ピッポコパッポコいう中に甘いピアノが響き渡る「南国旅行」がよかったです。

ところで僕がネットを通じて最初に知り合った方、たぶん10年近く前になると思うんだけど、一時期は一緒にサイトもやってたことがあるサダナリヒロシさんに初めてお会いしてしまった。まさかいとうさんに紹介して頂くことになるとは思わなかった。感激の出会いになるかと思ったら、サダナリさんクールな方だった。会ってみないとわからないもんですね。

9月4日 ちょっと怖いホントの話

相変わらず寝たり起きたりの生活をしてます。ああ皆さん寝たり起きたりしてるのか。頓にたくさん寝たりちょっと起きたりの生活をしてます。今日は大事件が起きた。僕は野菜炒めを作って、凍らせたご飯を電子レンジにかけたんだ。あと30秒くらいまではっきり覚えてる。次の瞬間、眼が覚めた。あれ? 野菜炒め作ってる最中に寝ちゃった。と思ったら、ちゃんと食べたお皿とお箸がシンクに浸ってた。
 断言しよう。僕は第四種接近遭遇を体験したのである。宇宙船に連れていかれて、インプラントされた上で記憶を消されたのだ。最近多いらしいよ。怖いですね。...どう考えても若年性痴呆症だよね。アルコール抜きで記憶が飛んだの初めてかも。よし子さん晩ご飯はまだかの? あらもう召し上がりましたよおじいちゃん。みたいなのはまだいいけど、しもの世話までよし子さんにされるようになったらおしまいだ。第四種接近遭遇よりそっちの方が怖い。そして現状を鑑みるに僕はボケる。アルジャーノンのおはかにはなたばを。

9月7日 モリノダンス

大人になった鼓笛隊ことヒネモスのレコ発イベント@渋谷O-nestに行ってきました。いつも大箱を一杯にするヒネモス、当日券あるのか心配だったけどぎりぎりセーフ。所縁のあるバンドが一同に会した大イベントで、4時間の長丁場だった。恐ろしく幅の広い音楽性を持つヒネモスらしく、所縁のゲストも一筋縄ではいかない。DJで高らかに歌うエノケンの声に誘われながら、シャンソン+チンドン、歌謡曲+浅草サンバカーニバル、紙芝居+ギターなどなど。
 中でも正統派のCo-rchestraが気に入った。ボーカルの野々歩さんは齋藤紘良さんともユニットを組んでる方。喉の奥がキュッとしまるような切ない声で、アイルランド民謡と童謡の間を行き来する。フィドルとアコギとのコンビネーションも抜群。写真は珍しいCo-rchestra、ステージから観たCo-rchestraです。

ヒネモスは何度もおんなじフレーズで紹介しているけど、おもちゃの楽器と楽器ですらないおもちゃが、自由に、ひたすら自由に鳴り渡る。今回は全方位型ヒネモス、誰もッタッタさんの指揮を見てないという。
 お馴染みの即興コーナーは、ッタッタさんやお客さんがカンペにジャンルを書いてみせた。ニューオリンズ。これはクリア。演歌。珍しくッタッタさんのボーカルが聴けた。これもクリア。全裸で台風に吹かれた感じ。時事ネタ。なんとかトライしたけどできるかそんなもん! 風船ピアニカでバグパイプを再現したり、バルカン音楽のクレズマーを連想させたり、まんまトイポップだったり、ブラスバンドだったり、ほんとどこまでも音楽が好きで、冗談が好きな人たちだ。そしてそんな彼らが僕は大好きだ。

9月9日 墓とハサミは使いよう

祖父の墓参りに行った。...今日の労力を文字にするとそれだけのことなのか! いつもは街の明かりが灯る頃に目覚める僕が珍しく早起きして、親戚と車を3台連ねて祖父の墓参りに。墓参りっていったってあなた、お参りの前に巨大ハサミとノコギリで木をトリミング大会です。祖父は柿の木坂に1600坪の豪邸を構えたかと思いきや、いきなりニワトリ小屋 (比喩ではない、ほんとにトタンのニワトリ小屋) に引越したりと波乱の人生を歩んだ人物。その祖父が羽振りのいい時期に建てた墓なので、とにかく敷地が広い。墓石も3メートルはあろうかというほど。真夏のような雲の下、トリミング大変でした。幼い頃は毎週のように会っていた親戚たちと交わすのはいつも同じ話。
 帰りは我が家の披露会。しょっちゅうパーティをやっている我が家だけど、親戚に見せるのは初めて。疲れた。で、みんな帰ってばたっと寝て起きて今です。また昼夜逆転生活に戻るのだろうか。

9月10日 Hallelujah

秋山羊子@南青山MANDALAに行ってきました。ギターはなんと内橋和久さん。最初の2曲は内橋さんのギターに乗せてスタンドマイクで歌う。秋山さん痩せたなあ。やがてピアノの前に座り、いつもの点描画ピアノを奏でると、内橋さんはテルミンのような高らかな持続音で背景を描く。秋山さんが4分でコードを押さえると、内橋さんは即興の早弾きで間を埋める。その駆け引きが面白くて。やがて2人の音はどんどん研ぎ澄まされて削り取られて、アカペラになる瞬間も。
 秋山さんは録音物も面白いけど、やっぱり緊張感溢れるライブがすごい。秋山さんの音楽は、高橋信之さんや梅津和時さん、羽毛田丈史さんや内橋和久さんのような素晴らしい音楽家たちには届いてるんだけど、心あるミュージックフリークに届いてない気がしてもどかしい。僕の日記を見てる皆さん、ここまで何度も書いてるんだから一度くらいライブ観に行ってもいいんじゃないの。例えば今日彼女が歌った「Hallelujah」は、Leonard Cohenのオリジナルを超えて、John Caleの素晴らしいカバーや、それを発展させたJeff Buckleyのバージョンと比較してもいいと思うんだ。

9月12日 安倍さんのあだ名は決まってアベちゃん

所信表明演説から代表質問の間に辞めると言い出す安倍首相の責任感を疑います。記者会見聞いても何が言いたいのか全然わからない。で、次の首相が下手に人気出ちゃったりして、国民はまたおんなじことを繰り返すのか。民主党が必ずしもいいとも思ってないけど。
 今日はこれから映画版天コケを観てきます。タノシミダ!

9月12日 映画における理想的なサウンドスケープ

映画版「天然コケッコー」観に行きました。Yahoo!映画で調べたんだけど、着いたらレイトショーだけの上映だっていうんで、時間潰しにもう1本観た。
 時間潰しの1本は「ミルコのひかり」っていうイタリア映画。なんの予備知識もなく、隣の劇場でやってるのを観たの。これ、当たりだった。実話を元に描かれた話、銃の暴発事故で視力を失った少年が、全寮制の盲学校に入り、寮母の娘とささやかな恋をし、テープレコーダーと出会い、全身の感覚を駆使した冒険の...おっとその先は書けないな。とにかく映画における音の重要性に気づかされる映画でした。少年のやるせない情熱の行方と、古い体質の学校の中で理解ある先生を見つけるっていうのも僕のお気に入りのパターン。「ケス」とかね。映像も綺麗でした。

そして「天コケ」。田舎の人はみんないい人だ的な世界に落ち着くと見せかけてドキドキの心理描写。あの風景、あの人物、そしてなによりあの「間」、間違いなく天コケでした。原作への確かなリスペクトがあってこそ、スタッフ・キャストの目指す所にブレのない映画。あの抑えた表現が、原作を読んでない人にも伝わるかなって思ったけど、同行者が感激してたので大丈夫でしょう。
 そしてこの映画も独特のサウンドデザインが施されていた。Rei Harakamiさんの優しいエレクトロニカが田園風景によく似合う。それにみんなが色んな方向から好き勝手に喋る。その一言一言が重要に絡んで聴き逃せない。ラストシーン、くるりのバスドラが聴こえてくるとうわーってなる。コケッコーも可愛かったけど、にゃあも可愛かったです。映画って本当にいいもんですね。

9月13日 G.o.a.P.

きのうの日記の続き。「天然コケッコー」のパンフをじっくり読んで驚いた。山下敦弘監督って僕より年下なんだね。いつの間にか旬のアイドルが年下になり、旬のAV女優が年下になり、旬の女子アナが年下になり、旬のミュージシャンが年下になり、旬の漫画家が年下になり、旬の作家が年下になり、そしてついに旬の映画監督が年下になった。あと5年で亡父が年下になる。それを横目で眺めながら僕は無駄に年をとった。天コケ主演の夏帆さんなんて19歳年下ですよ。
 そう言えば、林未紀さんの「アイドルになりたい」ってシングルを聴いた。タイトル曲は小西康陽によるアキシブ系をコケにしようとしてコケたような、小西じゃなかったら速攻ボツを食らうような曲だけど、カップリングがMoonridersの「マスカットココナツバナナメロン」のカバーなんだ。あれだけMoonridersを敵視してた小西がこんなに素直にアレンジするとは思わなかった。お薦めはしませんが。

9月15日 Das Model

日テレをだらだらつけてたら、森泉が出てきて佐田真由美が出てきて長谷川潤が出てきた。区別つかないよ! あとごっちゃになるのがマリエ。マリエは金持ちなのになんであんなに必死なんだろう。ああいう「女子が憧れる女子」のよさって男子には全然わかんない。よね? 僕だけですか。歳のせいかな。男子が好きな宮崎あおいさんとか長澤まさみさんとか堀北真希さんとかは女子は好かんらしい。北乃きいかわいいよ北乃きい。
 男子が憧れる男子って誰だろう。妻夫木くんには割と好感を持って見ておるよ。嫌味のなさを演出する力があるよ。小池鉄平さんは紅白のマイク倒れ事件で好感を持った。ジャニーズ系はホスト臭くて好かん。

9月16日 ジャスコ

連休に短パンとサンダルでジャスコに行く幸せ。鈴木祥子さんの歌に「イトーヨーカドーのマタニティドレス着て」ってフレーズがありました。そういうのいいなってと思う。シチューの材料に、猫のための煮干しも買った。タマネギが1個19円でした。安いなあ。
 だけどうちの近所にはジャスコもイトーヨーカドーもないので、車で買い出しに行くんです。で、停車してたら後ろからベンツに追突された。保険会社にお勤めとかで、すぐに会社に連絡してました。あんまり知らないんだけど、そういう場合にも警察って介入してくるの? 100%向こうが悪くてもゴールド免許って剥奪されるの?

9月17日 ネズミに魂を売る

ついに僕もネズミに魂を売り払ってしまいました。厳密に言えば金を出してネズミを購入した。ネズミーランドに行ってきました。スプラッシュ・マウンテンがお休みで残念だった。カリブの海賊の激変ぶりに驚愕、後ろの席で大声で世間話をしてた関西弁の2人、ここは関西じゃなくて夢と冒険のカリブの海です。そういう話は関西でやってくれ。ハロウィン・ハッピーホーンテッド・パレードは見応えあった。ホーンテッド・ロッキン・ストリートは音楽がダメだった。エレクトリカルパレード・ドリームライツにはディズニーの底力を見た。Perry-Kingsleyの原曲に、各出し物のテーマ曲を絶妙に絡めて、光と音とを見事にシンクロさせていた。
 シーかランドかっつったら圧倒的にシーだな。

9月19日 遠くでラッパの音が響いたら

秋山羊子@渋谷Loopを観てきました。前回の内橋和久さんとのデュオ編成で一区切りついたのか、今回は新曲攻勢だった。サポートは岡本信彦さんvil. やっぱり秋山さんのサポートには持続音の楽器が似合う気がするね。内橋さんのギターもそんな感じだったし、梅津和時さんのサックス、田ノ岡三郎さんのアコーディオン、神谷きよみさんのチェロ。あんまりザクザク刻む音は似合わない。秋山さんのキーボードが繊細に刻んでくるから。新曲は...今後どう熟れてくるのか見守りたい。一度だっておんなじ演奏をしない秋山さん、今までもどんどん曲を成長させてきたから。つまり今日の時点ではいまひとつピンとこなかった。
 終わってから渋谷とんどん亭にて打ち上げ。内橋さんの裏話に笑いながら、まっこりをたらふく飲んだ。

9月21日 飲み過ぎたのは私のせいよ

きのうは前に勤めていた会社の引越し。お手伝いに行くつもりが、もう殆ど済んじゃったとかで、あとは冷蔵庫に残ってるビールを片付けるだけって言われて500ml缶5本飲んだ。千鳥足で中華料理屋に連れてって貰って、美味しい紹興酒をごくごく。料理も素晴らしい。そしたらお店のお兄さんが、スピリットみたいなお酒をサービスしてくれて、ちょっと舐めたら口から火を吹きそうに強かった。旨いー!
 ほんとは引越し完了&お披露目飲み会は今日だったんだけど、だるくて起きれない。結局タダ酒を飲んだだけで全く役に立たない元社員でした。すいません...。新事務所にも追々顔を出すつもり。

9月22日 口内炎治んないかな

あー口内炎治んないかな。

明日はageHaっていうオールナイトのイベントに行く予定。Afra、Tucker、スチャダラパー、石野卓球、井上薫、小林径、須永辰雄、高木完、You The Rock★と、僕の世代にもわかりやすいメンバー、サプライズゲストとしてK.O.さんが登場するとの裏情報もあり、楽しみにしております (写真はSketch ShowとK.O.さん) 。
 ところで沢尻エリカって女子的にはどうなの? ナイナイの番組で岡村さんに「世間的には沢尻会があるって言われてるけどどうなの」って聞かれて、「そんなのあるわけないでしょ、みんなメディアに踊らされ過ぎ」っておい。金髪のエクステもトンボみたいなサングラスも許すけど、敬語使う時には使え! っていう僕もK.K.さんにタメ口きいちゃうときある。

9月24日 ageHa

きのうから今日にかけて、ageHa@新木場Studio Coastのオールナイトイベントに行ってきました。自分がageHaに行くことになるとは思わなかった。都内とは思えない大規模なイベントでした。若い人が多くておじさんは戸惑った。渋谷からのシャトルバスで現地入りして、最初に観たのはスチャダラ+生バンドのThe Hello Works。耳が痛いバンド名だ。スチャダラは相変わらずスチャダラでした。一音に一音を当ててくる日本語のラップ。これならカラオケでも歌える! それから須永辰雄さん。安心して聴ける感じ。夜食を食べてたらテントからFatboy Slimの音が。You The Rock★のDJだ。DJといってもただかけるだけ、The Knackから最近の音まで、同世代なら誰でも知ってるナンバーが続く。そして井上薫さん、ラウンジーなイメージだったけど、DJではエッジの効いたテクノをかけるんだな。

高木完さんと思われるギターを擁するNomads EXのもう1人のギターは小山田圭吾さんだったのか、最後までわからなかった。締めは石野卓球さん。焦らされて焦らされて解放へと向かって行くプレイ。音楽はメロディとリズムとハーモニー、そんなのはウソだ、リズムだけでも成り立つんだぜ、と教えてくれたのは中学の音楽教師、野田先生であった。野田先生ありがとう、お陰でテクノも楽しく聴けます。

9月26日 仲秋のフライングソーサー

仲秋の名月の晩に、細野晴臣生誕60周年、いやいやUFO襲来60周年記念アルバム「FLYING SAUCER 1947」を購入。じっくり聴きました。奥さんこれ大傑作じゃないの。テクノな細野さんもファンキーな細野さんもトロピカルな細野さんもフォーキーな細野さんもアンビエントな細野さんも大好きだけど、これはなかった線だなあ。カントリーな細野さん。
 カントリーと言っても、細野さんを中心に日本を代表するミュージシャンがちょろっと弾いてみました的な気軽さ、狡いくらいに巧くって絶妙な隙があって、それが独特の浮遊感とクールな感触を残す、初めて聴くカントリー。2日で9曲録っちゃった日もあるんだって。秋山羊子さんのライブのサポートをしてた内橋和久さんも大活躍。カントリーってどうなのーと思ってる方にこそ聴いて頂きたい。

前作のアンビエントな細野さん、「La Maison de Himiko」も傑作だったし、60歳を過ぎてますます絶好調。残念な時代もあっただけに嬉しいね。

9月28日 動物のカニ臭い

雑種猫のメイがまたおしっこしたジョー。ジョーってしたジョー。メイのおしっこの匂いは生乾きだとカニくさい。
 いつからするようになったか思い返すと、前に使ってた猫トイレ用スコップが割れてからだ。今は目の荒いスコップで代用してて、それだと取りきれない感がちょっとある。ものすごく大雑把で無神経に思われがちのメイだけど、ことトイレに関しては非常にデリケートなのです。

9月30日 デジカメ壊れマンのうた。

デジカメ壊れマンのうた
作詞作曲:山下スキル


おいらがもっと若い頃 / デジカメをポッケに入れて
椅子に腰掛けたその時 / パキって音がしたものさ
 今日もデジカメ壊れマン / 明日も頑張れ壊れマン
だからおいらは言ったのさ / 丈夫なやつをひとつくれ
それでオリンパスを買った / 確かに丈夫だったけど
 今日もデジカメ壊れマン / 明日も頑張れ壊れマン

絨毯にデジカメを落として部品がひとつなくなっちゃいました。壊れたデジカメの写真は載せられない。なぜなら壊れているから。内部構造的には確かに丈夫だった。あーあ直しにいくのめんどくさいな。

今日は「幸せのレシピ」観てきました。タイトルに「幸せ」ってついちゃってるんだからハッピーエンドに決まってるし、主要キャストが揃った段階で観客はラストシーンを想像できるんだけど、こういうベタな作品にも購えないものがある。キャサリン・ゼタ・ジョーンズ演じる、才能はあるけど融通が効かないシェフが、ある日事故で姉を亡くし、姪を引き取ることになる。そんで...っていう映画。
 隣の外国人のカップルがケラケラ笑って観てました。こういう映画って笑って観るもんなの? 字幕では表現しきれない部分があるんだろうか。確かに人の心の機微とかすれ違いとか優しさとかを表現するユーモアはあった。本場ではこれはコメディ映画として扱われてるんだろうか。