DIARY 2008年8月


8月1日 彼女のオヤジに会わす顔がない

ドッキドキしながら彼女のお父さんに電話しました。鬱で田舎に引き蘢ってる彼女をなんとかして連れ出したいってお願いしたんだ。玉砕。きのうの日記にも書いたけど、鬱の人にとって友達や恋人のサポートってぜったい必要だし、僕が闘病中に出会った友達を誇りに思ってるだけに、残念です。どうしよう僕。男っぷりの見せ所だったんだけど。次の見せ所を作んなきゃね。
 6日連続学校の3日目。ビーグル犬レモンの自主トレ2時間。散歩があちかった。水をガブガブ飲むレモン。美味そう。ハンドシグナルでオスワリ・フセが出来るようになった。ふふん。あとはタテ。いちおう立つんだけど手をかける癖があるみたい。「シグナルを出す位置、ほんの数センチの問題だと思います」って先生。これが完璧にできるようになったら、今度は言葉と結びつける練習をする。

8月2日 賛成の反対なのだ

赤塚不二夫さん死去。赤塚マンガは通過してないけど、酒を愛し猫を愛し、タモさんを発掘した粋人として認識してました。4年前から植物状態だったとは知らなかった。合掌。
 今日は学校を休んじゃった。やっぱり6日連続は無理だったみたい。ほんとに社会復帰できるのかしら。その代わりと言ってはなんだけど、学校のサイトに載せる担当犬奮闘記を書いた。明日推敲して提出します。レモンの写真が見られるよ!

8月3日 I Love...

今日も体調がよろしくない。きのうに続いて学校やすんじゃった。猫がさあ、ふっと顔出して「あー帰ってきたの、ご飯くれ」っていうのも可愛いけど、犬が足踏みならして歓迎してくれるのはまた別の可愛さがあるよのう。明日こそレモンに会えますように。

8月5日 ヌーディストロード

きのうはビーグル犬のレモンと、ドガティスっていうのを体験してきました。犬用のピラティスです。胡散臭いと思うかも知れないけど、人間や犬をびっちり研究したオーストラリアのなんとか先生が開発して、きのうはそのなんとか先生直々のレッスンだった。今回は日本で最初のセミナーだって
 要するに、ピラティスと同じ発想で、犬のインナーマッスルをバランスよく鍛えるんです。そうすると最近多い関節不全の子が元気になったり、ほかの病気にもよかったり、なによりも飼い主とのいいコミュニケーションがはかれたりする。レモンもやってみた。ひいき目に見て3割できたってとこか。まずはちゃんとしつけられて、言うことを聞く犬じゃないと出来ないことがわかりました。でも偶然にロールオーバーを覚えた! くるんて横に回転する技です。数日ぶりにレモンと会えてよかった。

そんでその帰り。片手にレモン、片手にカバンの状態でレモンが道路におしっこして、その後始末をしてたらズボンがずるって落ちちゃった。岡田斗司夫か! どんだけ痩せたんだ自分。夜でよかった。

8月5日 過去は前へ前へと

前にもお会いした、近所の面白い会社の社長さんとお話してきました。社長さんが犬好きで、空いたフロアーで小型犬専用のドッグランを始めたんだそう。でもいろいろと問題もあって、パートナーを探している時にたまたま僕がメールを送った。社長さんはとっても穏やかな方で、音楽にも理解があって、僕が今までしてきたことがいろいろと繋がっていきそうな気配。このままあの会社でお仕事ができないかしら。その帰り道、すごい雷雨でロードがリバーになってた。ミシシッピリバーぐらいになってた。
 最近の都バスにはボックス席があって、生まれて初めて後ろ向きにバスに乗った。景色は前へ前へと去っていく。そしたら小学生の頃から乗ってた路線なのに、街が全然違って見えてきた。あれ、こんなところに新しい店が出来たんだーレベルじゃなくて、あれ、こんなところにガソリンスタンドあったんだーぐらいの発見があった。でも後ろ向きにバスに乗るのは怖いので、やめた方がいいと思いました。

8月6日 遠くまで行く、海を見に行く

今週の金曜日はオフなんで、自宅療養中の彼女を訪ねて、ついでに海に行っちゃおうかって話をしてます。必要なものはなんだろう。レジャーシート。帽子。水着。水中眼鏡。陽焼け止め。ビーチサンダル。デジカメ。タオル。タオル?
 タオル・タオル・タオル・タオル。今まで考えたことなかったけど、タオルって可愛い言葉だよね。人の名前みたいだね。僕、山下スキルをやめて、山下タオルにしちゃおうかしら。鈴木惣一朗さんに山下スキルって命名されて、実はピンと来なかったんです。でも前にライオン・メリーさんが「僕もあがたさんから命名された時は抵抗あったけど、もういい加減慣れましたよ」って言ってたんで、僕も山下スキルを名乗り続けてた。今週の金曜日限定で、僕は山下タオルです。
 そんな今日もオフ。必修の授業があるから予習しようと思ってスケジュール表を見たら、「休・講」の文字が。なんて素敵な言葉なんだろう。山下休講にしちゃうおうかしら。

8月7日 のっちが好きすぎて死ぬ

Forro Legalの松本研二さんが「のっちが好きすぎて死ぬ!」と叫んだ訳が、今日突然にわかりました。
 明日はオフ、彼女の実家に行く日。お父さんに差し上げるPaul Simonデモトラック集を作成した。乾いたギターが素晴らしい。あとはGeorge HarrisonとPhil Spectorがラリってギター持って遊んでるブートと、Bob Dylanのオフィシャルブートと、細野さんのカントリーのアルバムを持ってくつもり。お父さんは、音楽の話ができるというただ一点において、僕を評価してくれている。それ以外は評価されてない。彼女は海で、道端ジェシカみたいにジャンプを見せると張り切っている。晴れろー!
 赤塚不二夫さんの葬儀のタモさんの弔辞、よかったですね。「私も数々のあなたの作品の1つです」。本当にそう思う。タモさんの初期のアルバムを聴こうかな。

8月9日 Les Cafe de la Plage

そんな訳で (どんな訳だか) きのうは海に行ってきました。似合わねー! 砂浜を走ってあちちなんて。海の家ででっかい浮き輪を借りて波乗り、そんで転覆したり。砂に埋まってたら通りがかりの兄ちゃんに踏まれそうになったり。かき氷食べて舌を真っ赤にしたり。がらにもなくはしゃぎ倒しました。写真は僕の彼女です。道端ジェシカのジャンプ (おとといの日記) をイメージしているらしいけど、どうも違う。そして僕が砂に埋まってる写真は、とろんとした眼とだらしない眉毛が水中眼鏡に隠れて、思いのほか美男子に写った。普段から水中眼鏡して歩こうか。
 そんで彼女の実家に行って、カレーとビール。お父さんに差し上げるべく作成したPaul Simonのデモテープ集、ウケなかった。リリースバージョンの方がいいよってそっちの方が商業的に作られてるんだから。デモテープには曲そのものの素の輝きがあるんだよ。お父さんまだまだわかってない。

そのままお泊まりして今朝東京に帰ってきて、ちょっと休んで学校。グルーミングの実習をしました。ブラッシング→爪切り→耳掃除→肛門腺絞り→シャンプー→乾燥。フラットコーテッドレトリバーのムーちゃんが亡くなったことを知る。享年4歳。ついこないだ一緒に散歩に行ったのに。
 まだ体中から砂が出ます。サイババか! もう1回シャワーを浴びて寝るか。なんだかんだで気を遣って疲れた!

8月11日 ルーチン

ここ最近の日記と言えば、犬→猫→彼女→ジャスコのループで成立していると言っても過言ではない。これといって事件がないのはいいことです。きのうは彼女のことを書いたので、今日はジャスコのこと。ミネラルウォーター2リットル×6本セットを488円で売ってた! さすがはジャスコ。僕はさあ、水飲んで走るじゃん。車も水飲んで走ればいいのにね。リッター41円の水で。この僕にできることを、日本が誇る技術の結晶、自動車にできない訳がない。
 という訳で犬のことを。今日はレモンの自主トレです。しばらく自主トレの期間が空いちゃうので、集大成的なことをしたい。それから爪切りの復習です。どうだい僕と爪切りしないか。猫のことを。夏のニャンコはお日様の香りがして大スキー! 彼女のことを。14日から17日まで外出許可が出た。お父さんと音楽の話で盛り上がって信頼を勝ち得たか。ジャスコのことを。ジャスコジャスコ、ジャジャスコジャスコ。犬のことを。ワン! 猫のことを。にゃあ! 明日あたりはルーチン外のご報告ができるかと。マテ次号!

8月12日 ペルセウス、あるいは家事のできない男

今日はペルセウス流星群が一番よく見える日です。晴れてよかった。急いで外見て!
 メールやSkypeで、家事の話題で盛り上がりました。僕が18で一人暮らしを始めた時、家から持ってった本は「火の鳥」と「火の玉ボーイとコモンマン」と「今日の料理」。で、料理やってみてあまりのまずさに愕然として、料理のできる男を羨望の眼差しで見てた。お客さんが来た時に、ささっとおつまみ出せたらかっこいいじゃないの。でも出来ないんだ。これは手順を考える能力に関わってくると思う。どこから手をつけていいかわかんない。そこさえクリアできれば、家事は精神衛生上非常によろしい。ひとりでサンダルつっかけてジャスコに行ったり、ダイエットフードのこびりついたシンクがまっさらになったりすると、達成感でアドレナリンが出ます。あーなんか幸せカモー。

8月15日 優しく叱って

近頃どうも叱られ気味だ。調子に乗り過ぎだろうか。すぐに心が折れてしまいますので優しく叱ってください。

まずはビーグル犬レモンの自主トレ。オスワリ・フセ・マテがハンドシグナルで出来るようになった。ふふんと思ったら、先生から「山下さん立ってみてください」。あれ? こっちを見ない。見てくれないとシグナルが入れられません。「アイコンタクトも出来てないでしょう。山下さんのトレーニング方法だと基本に忠実じゃないからプロになっても通用しませんよ」。ハイ。
 それからイベント制作について。「紙のフライヤーやめてオンラインフライヤーだけにした方が、費用対効果が高くないですかね」「甘いなあ。それじゃ仲間だけのクローズドなイベントになっちゃう。スキルくん行ってないライブのフライヤーでもデザインがよかったりしたらとっておくでしょう。そういうのが頭の隅っこに残って、次につながっていくの」。ハイ。

きのうは彼女がやってきて、カレーパーティの準備をして焼肉でカンパイ! Amazonの空き箱が発見された。CDは月に3枚までって決められてるの。「いやシングルとDVDだからカウント外だと思って!」。無言。それが一番怖い。
 という訳で明日はカレーパーティです。 皆さんお好みの音楽を持っておいで。彼女が揚げたてのがんもでお迎えしたいと張り切っている。もちろんK.M.氏のカレーも絶品のはず。楽しみ楽しみ。

8月17日 極私的後夜祭

きのうは「K.M.氏の美味しいカレーとFUJI ROCK極私的後夜祭!」@我が家でした。18人もいらして、部屋が暑くて死ぬかと思った。酒が弱くなったのかいつになく饒舌になって、家主が一人で大騒ぎしてたような気がします。すいません。
 犬のことを熱く語ってたら日記にでも書け! と突っ込みが入ったんで書きますね。日本犬はみんなおんなじ顔をしてるのに、ヨーロッパの犬は本当に色んな顔をしている。それは愛玩犬としてのバリエーションを作りたかった訳じゃなくて、犬と人が共同で作業する文化が何百年もあって、少しずつ改良されてきたのだよ。それは21世紀になった今でもかわらない。レトリバーは猟師が撃った鳥を回収する仕事を、ピンシャーはネズミを見つけて噛み殺す仕事を、ダックスフンドは穴熊の巣に入って追い立てる仕事をしている。ダックスが吠えるのは当たり前なんです。だって吠えるように改良されたんだもの。日本ではそういう犬種特有の仕事をさせてもらえてない。トレーニングもコントロールもなってない。殆どの犬は愛玩犬として飼われて、ニート状態なんです。だから犬の本能を刺激するようなドッグスポーツをやらせるべきだ、それによって深まる信頼関係はただごとではないのだよ、と言いたかった。ハー長いね!

写真は解凍前のK.M.氏のカレーです。比較のためにハイライトを置いてみました。そして今年も鶏肉がほくほくほぐれて魔法の味がした。至福! うちの彼女はがんもどきを作った。もっちもちの美味でした。彼女、K.M.氏に誉めて頂いて、翌日になった今でも有頂天です。
 そして音楽の話。尽きないね。一時期音楽の話をすることに疲れてた時期もあったけど、本当に音楽を愛している人と話すのはやっぱり楽しい。 表現者としてのT.A.と感想家としての僕、立場の違いでどうなのよって。その間をY.S.がとりもつ18年前から全然変わらない構図。泊まり組は5人。これが濃かった。BOXは本当に素晴らしいバンドなんだけど、全然評価されてないのが残念。パロディをやっているようで実は非常にオリジナルだ。David Bowieが「Velvet Undergroundは全然売れなかったけど、聴いた人はみんな楽器を持ったんだ」っぽいことを言ったでしょう。日本でそれってBOXじゃないかなあ。

最後はみんな仲直りしてソウルメイト! なんつってバイバイ。K.M.氏、お手伝いしてくれた皆さん、とにかく来てくれた皆さん、本当にありがとう。今日は風が涼しくて気持ちいいね。ゆったり余韻に浸っています。

8月18日 ああ人は知るDNA

きのうはグースカ寝てたら従姉妹からメールが。何時に来るの? ってエー約束してたっけ。急いで親戚の家へ。こないだは抱っこできなかった姪っ子2 (3ヶ月) を抱っこしたら、赤ちゃんからは出てるね、オーラ的なサムシングが。これだけ弱く産まれちゃったんだから、守ってもらえるようにDNAレベルで愛されるようにできてる。30分ぐらい腕の中で熟睡してくれた。ほっぺをプニプニしても起きないの。
 今日は学校。久しぶりにビーグル犬レモンの自主トレです。前回先生に、「おやつが小さすぎます」って言われたんで、レバー系のに替えたら、これが美味しすぎたらしくて、ウホウホ猿みたいな声を出しながら知ってる芸を一通りやった。同級生爆笑。

帰りのバスで、前の席の人が「のだめ」読んでた。きのうの日記に書き忘れたけど、「のだめ」佳境に入ってますね。千秋センパイとRuiがくっつくことは絶対にあり得ないけど (あったら二ノ宮知子は鬼畜だ) 、のだめは恋を、音楽を、どうすんのさ! 次が待ち遠しい。

8月19日 miss the bus

学校がある日は一日仕事になってしまう。実習は2時間だけなんだけど、通学に片道1時間半かかるんです。っていうのはバスが30分に1本しかなくて、微妙に空いた時間をカフェとかで潰してるんです。バスから京急へ、理想的な乗り継ぎができれば時間は半分ですむはず。
 赤字路線のバスはマイクロバスにして、本数2倍にするべきだな。もちろんそれによって人件費も維持費もかかるだろうけど、普通に通勤・通学に使えるくらい魅力的な交通機関にしないと、ほんとジリ貧です。ラッピングバスも結局減ってきちゃったしね。そのうえにレポートだのおやつの準備、ユニフォームの洗濯とかしてると、ほんとに犬だけで一日が過ぎてっちゃう。イベントの準備ももう時間がないんだ。

オリンピックやってるらしいですね。1秒も見ないうちに終わりそう。やっぱりスポーツマンって生理的に苦手で。今日もケンタで時間を潰してたら、いかにもなスポーツマン集団が騒いでて辟易しました。どうせ飲んだら陰毛焼いて、女の子たぶらかして、テレビの中と彼女の前だけ爽やかに振る舞ってるんだろう。われわれ文化系男子の方が、真摯で紳士なのに!

8月20日 さよなら僕に仲間がいると勘違いさせてくれた人たち

僕の9年間にも及ぶ孤独で何も変わらない闘病生活と、それを根底から覆して社会復帰一歩手前にまで導いてくれた彼女に対する、親戚の理解のなさに失望しました。いわく、山下家が大変な思いをして維持しているマンションに悪い女が棲みついた、それによって大事な部屋が汚くなったと。違うんです。彼女はなんにもできない病人が9年間も独りでいたことに愕然として、とりあえず猫以外の話し相手になってくれて、僕の生活リズムを整えて運動をさせて、服のたたみ方からペットボトルのリサイクルまで教えて、僕が自発的に部屋を片付けるのを待っていた。それによって一時的に部屋が汚かった時期もあったかも知れない。彼女は深く傷ついて、自分も鬱病になって、実家に戻ってしまいました。
 そして僕が友達だと思っていた人たち。僕の酔っ払いメールとカレーパーティでの泥酔によって、殆どが去っていってしまった。その泥酔も、僕の抱える苦悩の歪んだ表出だった訳だけど。そういえば無断欠席の方も何人かいらしたしね。カレーパーティを開催できる心理状況か迷って、でも楽しみにしてくれてる人もいると思って、なかば無理矢理開催したんです。それがこういう結果になってとっても残念。

今日は昼過ぎまで冷静だったんだけど、病院に行ったら域値を越えてしまったようで、先生の前で号泣した。前に泣いたのは、片親で僕を育ててくれた母親が死んで、無職の鬱病の長男として泣いた時だ。そして病院のロビーで3時間爆睡。学校は当然休みました。でもこのまま退学にしないで、なんとか続けたい。彼女の思いに応えるためにも。ライブイベントももちろん開催します。音楽愛好家生命を賭けたイベントです。じんわりと心に染み入って、深く余韻を残すライブにしたいと思っています。それが実現できるメンバーです。
 とりあえず今日はとても疲れたので寝ます。

8月24日 音楽の夜、評論の朝

体調を崩したので、犬の学校に休学の申請をして受理されました。なので10月まで暇です。イベントの準備に全力を注ぎたい。10月からの担当犬が、またレモンだといいな。
 20日の夜は、K.K.さんからあたたかいお電話。僕はK.K.さんと知り合う前からその視点と文章が好きで、そんな彼女が僕を見つけてここまで親身になってくれていることに本当に感謝している。巡り合わせの奇跡だね。そんで号泣。おじさんの嗚咽を延々きかされて、さぞ辛かったと思います。

22日は、そのK.K.さんと、カレーパーティの主役で、カレーが重すぎて好きなCDを持って来れなかったというK.M.氏がきて、ひたすら音楽! 音楽! 音楽! 朝まで14時間? ほんっと音楽の話しかしなかったね。実に楽しかったです。
 新たな発見はK.M.氏が持って来たAllen Toussaint。全然新たな発見じゃない! って言われそうだけど、僕ブラックミュージック方面はほんと疎くて。もっとコテコテな人かと思ってたら、非常に洗練された気持ちいい音楽だった。K.K.さんが持って来たのは例によってレア映像の数々。三木鶏郎さんが自分の誕生日パーティのために、自分で編集してナレーションを入れたビデオが凄かった! 凝り性だね。締めはレアでもなんでもないんだけど、僕の青春Peter Gabrielの「Seacret World Live」を鑑賞。徹底的にリハーサルされて、演出されたステージ。彼も心が弱いから、ここまで作り込まないと人の前に立てないんだろうな。

人の音楽をとやかく言うなら自分で作ってみろよって人がいました。どうなんでしょう。僕には音楽の才能がない。才能がない人が音楽を聴いて語っちゃダメかな。ごく限られた天才がごく限られた天才の音楽を聴いて、「素晴らしい」「いやあなたこそ」ってやってても何の広がりもないでしょう。
 僕は淀川長治先生が大好き。でもあの人は根本的に誤解されてる。淀川先生にも嫌いな映画はいっぱいあったんです。やむを得ずテレビでそれをかけるときは、映画の本質と違うところを無理矢理誉めて、さっさと次週の予告をしていた。それを誰かが「どんな映画にも誉める場所がある」ってきれいごとにしてしまった。その反動か、彼の評論家としての文章は非常に辛辣です。僕は淀川先生と映画観が違うところもあるけど、彼のそういう人間臭いところも含めて大好きです。で、その淀川先生が映画を撮ったかっていうと撮ってないんですね。8ミリ1本撮ってない。

僕は坂根厳夫先生の教え子なんだけど、坂根先生は「評論家は作品作っちゃいけないんだよ、自分で作ると客観的な評価ができなくなる」って仰ってた。彼は工作少年だったから、もの作りの楽しさはよーく知っている。でも評論家になってからは何も作ってない。WWWに触れたのはたぶん日本で100番に入るくらい早かったんだけど、いまだに自分のサイトすら作ってないんです。ご高齢とはいえ、彼の知識と好奇心があったら簡単に作れるはず。
 僕はそこまでストイックになれなくて、才能が無いなりに本気で音楽作ってたし、誰も評価しなかったけど自分では気に入ってる。音源化されてる最新作は、ウクレレトリオだめポロンのために作った「だめポロンのテーマ」。ハワイアンのコード進行を取り入れて、夏らしいねくらいは言って欲しかったんだけど、メンバーの感想は「イントロのスネアが可愛い」ってそこかい! 正しく淀川スピリットだね。

でも評価されなかったことに対して不満は全然ないの。だって僕の自己満足なんだもの。だからみんなが聴くべき音楽を紹介する誰かが必要だと思うの。それを紹介する人は作家じゃなきゃダメかな? ものを作らない坂根先生、辛辣なこともいっぱい書いたけど、彼の本を通じて芸術に興味を持った人も、芸術家になった人もいっぱいいる。「遊びの博物誌」コミュ、もうすぐ6000人ですよ。美大で教えるべきことは、評論家を憎むことじゃなくて、酷評されても自分を曲げないメンタリティなんじゃないかな。
 僕は評論家気取りじゃないですよ。表現者にも評論家にもなれなかった。大林千茱萸さんの真似をして、感想家です。大林千茱萸さんは僕と違って才能と努力の方です。

8月25日 時間の終わる時

時間の終わる時-ルーセルが教えてくれた
作詞:もりおA.るもいの
作曲:もりおA.るもいの

時計の針が折れてしまったのか
こんなに長く一緒にいたなんて
いくつの朝をこうして踊ったか
サヨナラをするときがきたらしい
 夜明けの鐘が窓辺をたたく
 ねむいぼくらをそっとゆりおこし
 帰るとこなんてないぼくらにさえも
まつりの終わりはこんなに淋しいか
あんなに遠くからやってきたのに
トラックを乗りついで国境をこえてきた
いつのまにかであったきみとのおわかれか
 わかれにあげたカラコルムの石ジブラルタルの砂
  (森の中や海の底の) 地球のかけらさ
 ひとりづつあるきだすぼくらのための
生きて 君が 好きかって? 好きさ! 踊った キスした それだって! 好きさ!
一緒に いるのが 好きかって? 好きさ! それでも!! サヨナラ それだって! 好きさ!
生きてる 全てが 好きかって? 好きさ! ひとりで 泣くとき それだって! 好きさ!
イケナイ 君が 好きかって? 好きさ! いつかは!! サヨナラ それだって! 好きさ!
ただそれだけのことなのにさ

リズムが消えてもこんなにうれしいか これほど遠くまで来てみたからさ
ひとつひとつの国のあることを知った 信じられる旅のつかのまに
 あなたの胸のネプチューンの銛や アポロンの竪琴 孤独のかけらさ
 ひとりづつ歩きだすぼくらのしるし
ただつかのまのサヨナラだから

誰かがまた新しい言葉を 誰かとまた見つけあってる
誰かがまた遠くの風を 誰かと一緒に見つめあってる
ただつかのまに・・・今がそのとき

8月27日 急募

心が折れてしまいそうだったので、夕方になって自由業っぽいかたがたにカラオケのお誘い。結局M.A.さんとT.N.が来てくれました。ピッチャー何杯空けたことか。でも僕の現状には踏み込まないで、楽しい飲みにしてくれました。ありがとう。
 今日はジャジャスコジャスコに行って、猫のご飯と砂を買ってきた。テュリャテュリャテュリャリャ。そんで24日の日記に触発されて、久しぶりに音楽をやってみようかと。シーケンサーが新しいQuick Timeに対応してるか心配。いろいろ試してみますよ。時間はいっぱいあるしな。

ところで我々元カップルは新しいパートナーを探しています。
元彼氏:36歳 犬の仕事に就くべく学校...を休学中
好みのタイプ:ひこにゃん 年下で誠実で音楽を愛する方を希望します。
元彼女:27歳 Web制作の経験豊富。現在デザインの勉強中
好みのタイプ:どーもくん 年上で誠実で音楽を愛する方を希望します。
前に進まないとね。

8月29日 アイリッシュとビートルズ

きのうはなんとなく、F.T.くんに会わなきゃと思って連絡を入れた。思えばmixiに招待してくれたのもF.T.くんだし、K.K.さんとのパイプを作って世界を広げてくれたのもF.T.くん。彼はどうしても連絡がつかないイメージがある。「そんなことないですよ普通に連絡つきますよ」って言ってたけど、きのうは「携帯忘れてました」不思議な人。
 新宿で待ち合わせてお洒落なアイリッシュバーへ。こういうお店をいっぱい知ってるからモテるんだな君は。僕は女の子を大戸屋に連れていきます。もちろんモテの理由はそれだけじゃないけどさ。お酒もお料理も美味しく頂いて、さてどうしようかって時に飛び出したのがカラオケって案。彼さんは「宗教上の理由でカラオケはちょっと」ってそれ僕も言った、若い頃! 結局つきあってくれてよく歌ってくれた。いまは二日酔い、じゃなくてまだ酔ってます。またよろしくね。

8月31日 らるれい、らるれいよ

きのうはclammbon@野音でした。心配だったのは雨、家を出たとたんに降り出した。野音は傘の使用が禁止されてるので、雨具持参です。皆さんコンビニで500円で売ってそうな合羽を着ている。僕と同行のK.J.くんはフジロッカーなので、ゴアテックスのすごい雨具。勝ち誇って着たら、暑い! 500円に負けた!
 ライブは僕の大好きなナンバー「Good Time Music」からスタート。いつの間にか雨もあがってた。その名の通り、前半は古き良き名曲のカバー大会。そして懐かしのヒット曲。「ハレルヤ」でまた雨が振り出しちゃうお茶目さもまたclammbonです。まったりタイムを挟んで後半は最近の曲をガツンガツンと。「バイタルサイン」! 缶ビールガンガン飲んで踊った。そしてやっぱり出てきたTENORI-ON。僕も欲しいんだけどめちゃくちゃ高いんだよ。充実の2時間半でした。原田郁子は俺の嫁!

clammbonが残念なのは、ファニーなバンド名と、郁子さんが素敵すぎる点だと思う。ベースはブリッブリ、ドラムはひたすらタイトで、キーボードもポンポン飛び跳ねてるようでかなりテクニカル。本当はタフで先鋭的なバンドなのだよ。亀田誠治を呼び込んでヒットを狙った「サラウンド」、すごいいい曲なのに亀田誠治のアレンジが邪魔だ。ライブで3人の演奏で聴いた方がずっといい。椎名林檎も亀田誠治と組んでない曲が好きです。