DIARY 2010年02月


2月1日 いまだにFebruaryの発音に自信がない

生きるのに必要なのは意味や目的じゃない、モチベーションだ。誰にも届かない言葉。誰からも届かない言葉。雪にさえ悪意の夜。

2月2日 Ustをウストって読んでたのは内緒

山下家解散による引越しについてリアルに考えないとやばくなってきた。音楽愛好家にとっては中央線沿線は憧れで、猫3匹とCD1万枚、美術書にマンガ、現在の経済状況を鑑みてググッたら山梨県に突入した。中央線そういう意味じゃない。でも果樹園の娘さんと恋に落ちたりするのもいいな。そんで土地をリニア新幹線に買収されてウハウハにならないだろうか。

twitterに少しだけがっかりしてます。【がっかり1】シンプルな良さがどんどん損なわれてる気がする。ID入れると適当な答えを出してtwitterに返すサービスはどうなんだ。ランダムな言葉にマスクされて、タイムラインの先に見えていた人の言葉が見えなくなっちゃった。【がっかり2】UstreamにSoftbank投資。新しいメディアがクリエイターの手を離れて、投資の対象としか見られないのはいつも残念に思う。Yahoo! BBや予想外0円の爪の甘さを思い出せ。そもそもデジタルガレージにも胡散臭さを感じてる。
 いつか次に行く気とは思いますが。まだはやい。眼を開けるんだ! 耳を澄ますんだ! 感じ続けるんだ!

2月4日 Spirit, Spirit, Spirit of Pop Song!

きのうは全国的にニノさんの日ということで、恵方を向いて生魚を丸かぶりした方もいらっしゃるだろう。恵方巻きが急にポピュラーになった背景には、売り上げの落ちるこの時期のコンビニの販売戦略として、「豆まきは掃除が大変」という主婦の声を取り上げて執拗にキャンペーンを繰り広げた経緯がある。関西の人間はどうして「なんで知らないの」って顔ができるのか。ところでニノさん、ニノさん、嫁に来ないか。

きのうは下北沢La Canaにて、辻睦詞さん、森達彦さんと機材チェック。このおふたりが日本のポップスのクオリティ向上にどれだけ貢献したか語りだすと非常に長くなる。久しぶりの外出で森さんとは初めましてで、緊張してビールとリポDを浴びるほど飲んだ。ちーこーくーだーよ!
 打ち合わせを済ませて音楽トーク。もう世間的な評価の固まったレコード、ミュージシャン、バンド、プロデューサー、エンジニア、現象...について、「こうすれば素敵なのに」。たぶんよそで言ったらふるぼっこにされる。「そうなんだよ!」って返してくださるお2人にはお気遣い頂いてたのか、それともミュージックラバーとして心に秘めてたことなのか。もちろん素晴らしい音楽の話もいっぱいしたよ。だって素晴らしい音楽が好きだから出会った訳で。数ヶ月ぶりに楽しい外出だった。いけるぞ。

2月5日 「夜明けのスキャット」で作詞印税を得ている山上路夫

歌詞について、細野晴臣さんの名言がある。「歌詞は大切なんです。でも歌詞の意味は大切じゃない」。要するにサウンドやリズムをひきたたせるために子音をどこに置くか、シャウト出来る単語はないかっていう作詞をしてた。細野さんが心を病んでいた頃の思想と響きの両立は素晴らしい。「AIWOIWAIAOW」 (愛を祝いあおう) 。
 twitterで「天使たちの風景」の引用したら若い子には通じなくて、「LIFE」からなんだねやっぱり。オザケンには社会科学の背景があって、学者が余技で小説を書くみたいにフィクションのストーリーを紡いだ。彼の思想的に「プラダの靴が欲しいの」はアウトだ。むしろいまの環境問題や反グローバリズム運動の方が根っこに近い。

日記っぽいことを書くと今日は通院。待合室で泉ピン子似のおばちゃんとふたりぼっちのバイオレンス。リーマス増えた。血中濃度を測定しながらの薬なんでいつも血液検査を受けてる。今日の担当は持田香織似の新人さん。「入れる」「挿す」「出る」「抜く」「ちょっと痛い」「緊張してます」といったワードが飛びかった。病院の楽しみなんてそれくらいです。
 夜はポニョやってたみたいですね。実は観たことがない。ジブリに電通が関わり始めてから2本は頑張って観たんだけど。宮さん長編はもうやめて、重戦車に乗るパンダとバチカンよりでかい飛行機を操る女子がドンパチする短編作ってください。ところでPEPSIがえげつないパクリ方をして有名になったSOURのPVは、ビデオアートとしては最高だけど音楽の魅力をマスクしてる。音楽のよさを映像の力を借りてプロモーションするってこういうことじゃないの?

2月6日 Before The Tokyo Rush -絶頂のコツ

いよいよ明日、ライブイベント「believe the music again vol.1」を開催します。イベントやるたびに自分の力のなさに打ちのめされるんだけど、今回の一番の悩みは動員だった。予約が入らない。焦って焦ってみっともないところをずいぶんお見せした。ところがきのう珍屋さんに取り上げて頂いてから、予約メールが滝のように流れてきた。慌てて止めた段階で数えてみたら、老舗ライブハウスLa Canaのマスターもこれどう収容しようかと。フォロワーの激増におののく平沢進さんの気持ちがわかった。珍屋さんありがとうございます!
 で、ご予約頂いた皆さんがちゃんと楽しめるべくパズルのようにレイアウトを考えますが、バンコクかボストンか田園都市線かってくらいぎゅうぎゅうになるかも知れず、タイミング見計らってちゃんと伸びしてね。

音楽的には確信あるよ! 楽しんでくれると信じてるよ! それから混雑しててアレかも知れないけど、飲み物も食べ物も美味しいです。なんでも旨いけど、僕が好きなのはクリーミーなギネスビール、トマトとしらすのピザ。終演後はなんとなくみんなでおしゃべりする時間にするよ。ミュージシャンもスタッフも気さくな方々です。僕はシャイなので、皆さんの方から気軽に声をかけて頂けるとうれしいです。自分のイベントでぼっちは辛い。じゃっ明日。

2月8日 大江戸サリバンショー

「believe the music again vol.1」終わった。いらした皆さん、出演者の皆さん、スタッフの皆さん、ありがとうございました。イベントがよかったかどうかはお客様が決めることだけど、主催者としては幸せな時間を過ごすことができました。

イベントやるたびにあっちでつまづきこっちでつまづき泣き言ばっかり言ってるけど、今回はとにかく予約が入らない→滝のような予約に飲まれる事件。
 前日バタバタして眼鏡も直せず床屋にも行けず、写真見たら葉加瀬太郎が大村崑のモノマネしてるみたいで酷い。実に酷い。初めてお目にかかった素敵女子のみなさん、僕もうちょっとお手入れして痩せますので。リハの森達彦さんのセッティングが凄かった。森サウンドはこうやって作られるのか。バンドごとに「この音でスキル的にはOK?」って聞いて頂いて、いや文句のつけようもなくOKデス。
 お客さんぎゅうぎゅうに入って主催者挨拶、「本日は埼京線ご利用頂きありがとうございます」ってボケようかと思ったら埼京線ほど混んでなくて、「本日は...」以下しどろもどろ。リーマスの副作用で手震えてるし、穴があったら入れたり出したり入れないふりをして入れたりしたい。

シーナアキコさん (Vo.Pf) 。とにかく元気でのびのびはじける音楽。ちょっと切ない言葉にも希望が込められてる。パーンと伸びのある「うた」がポップを体現してて気持ちよかった。よく矢野顕子に喩えられるけど、もちろん彼女はそこを目指してない。嫌味のないジャジーなコードセンスとグルーヴがどこに行くのか興味津々。
 辻睦詞さん (Vo) 、辻ぐみいさん (Vo) 、平見文生さん (AG) 、荒木ルイさん (AG) 。2人のギタリストの的確なプレイの上に、辻親子の透明なボーカルが乗ると、会場からほーっと溜息が漏れた。圧倒的な歌唱力で描かれる地上3センチの世界。選ばれた人にしか見えない景色をそっと覗き見せてもらうような。ぐみいさんの成長にびっくり。ピッチもリズムも圧倒的によくなって、なによりその歌声、天使だ。話せば話すほどセンスもよくて、物腰も柔らかくて。もうすぐ高校生か。凛子高1だし全然ありだな。辻さん、お義父さんと呼んでいいですか?
 秋山羊子さん (Vo.Pf) +梅津和時さん (Sax.Clarinet) 。秋山羊子さんは息を吸うように音楽の海に浮かぶ人。すごく繊細な感性だからこそ魔法の音楽を奏でる才を与えられた人。でもそれだけにもろいところもあって、正直体調がよくないのかなと思った。ポテンシャルを引き出せなかったのは僕だ。ちょっと話したいな。それでも楽曲の良さは絶品だし、一流の演奏をしたと思う。梅津和時さんはいつもの激しいインプロもありつつ、基本的に秋山さんに寄り添って支えるようなプレイでした。

いろんな方に来て頂いたけれど、意外なお客さんはK.K.さん。ずっと音信不通でみんなが探してたんで、お互いに「元気? いろいろあったんだよね、よしよし」。それから津田大介さん。tsudaって頂いてもよかったのだが。シーナ「にくいテンションです」辻「完璧なコーラスワーク」秋山・梅津「循環呼吸なう」。中川五郎さん。leteでご自分のライブがあったので、リハと打ち上げだけ参加。辻さんをデビュー当時から高く評価してたそうです。
 打ち上げは朝まで続いた。ぐみいさんも朝までいた。「これから学校です」ってエー! それから新バンド結成の構想。実現したら面白いぞ。僕がなんかお手伝いできることあるかな。

2月9日 「漫画の日」は年に3回ある

立松和平さんのモノマネ流行ったな。久米さん... (コーホー) わたしは... (コーホー) 東京湾の... (コーホー) 水面下... (コーホー) 15メートルに... (コーホー)

2月11日 the MUSIC goes 'round and around

凛子が愛しすぎて胸が苦しい。

僕がこのサイトを立ち上げた90年代半ば、みんな音楽の情報に飢えていた。頼りにするべきテレビもラジオも雑誌もない。だから同世代のミュージックフリークたちはなかば苛立ちもこめて、インターネットから音楽の楽しみを伝えようとしてた。津田大介さんもそういうシーンにいらしたし、ごくごく辺境に僕もいたような気もする。
 このサイトも最初はレコードレビューがメインコンテンツだった。でもミュージシャンや業界人がネットに進出してきて、距離が近すぎるが故に迂闊なことを書けなくなっちゃった。津田さんは、音楽を巡る社会や著作権の話題でジャーナリストになった。太鼓持ちライターになった人もいる。はてなでレビューしてる人もいる。僕は生きるのが辛いとか猫がうんこしたとか女の子かわいいとか垂れ流してる。

数日前、とある若き音楽人から、学生時代にスキルさんのサイト読んでましたってメッセージを頂きまして、もうほんと嬉しくてね。どこかの誰かが音楽の喜びを知るきっかけに少しでもなれたのかな。こないだのライブも決して完璧じゃなかったけど、それなりに伝わるものがあったみたい。もう一度音楽に向い合ってみようかな。
 なにが書けるかね。いまネットには音楽の情報が溢れてて、若いリスナーにおじさんが伝えられることってなんだろう。いまどきこういうスタイルのテキストサイトってないよね。これ続けてんのはスタンス的にいろいろあるんだけど、その辺を含めて模索する。twitterの140文字が有効かも知れないしGoogle Buzzかも知れない。とにかく僕音楽好きで、音楽の話したい。でも女の子の話もする。

2月12日 引越し引越しさっさと引越し

山下家解散に伴って引越しを迫られてます。部屋を借りるには一般的に保証人と収入証明書が必須だけど、家族も収入もなく、猫3匹と暮らす僕には贅沢を言える要素がなにひとつない。それでも解散担当氏の交渉力で、公団にかけあって部屋を見つけて頂きました。
 今日は内見。バス→電車→電車→電車を乗り継いでとある郊外の街へ。着いたら雪です。部屋は気に入った。で、現地の公団の営業所へ。「ペット可になるかわからないんですぅ」「は! ペット第一条件でこちらを紹介して頂いたんですが」奥でもぞもぞ...「あのペット可にするか入居者の方にアンケートを取ってましてぇ」「わかりました。仮押さえはできますか」「1週間はできます。延長手続きはまたこちらで」「は! アンケートの結果はいつわかるんですか? 」「さあ...3月か4月か...」

結局ペット不可だったらもう行くとこないです。今年の「ゆく年くる年」の年越し派遣村中継でドラえもんの着ぐるみ着てるのが僕だ。みんな見てくれよな!

2月13日 冬季ハンバーグ大食い選手権と音楽の未来

津田大介さんと坂本龍一氏のustream対談を見ました。坂本氏はコードセンスのあざとさと政治へのコミットの仕方と女癖の悪さが大嫌いだけど、それでも今を生きる音楽家としての誠意を津田さんは引き出したと思う。

そもそも音楽の値段ってどうやって決めるのって話から。アナログの時代は必要経費からLP1枚2800円で、CDもそれを継承してる。でもネット配信でミュージシャンとリスナーが直接つながっちゃった。じゃあほんとはいくらでどうやって徴収したらいいんだろう。19世紀末から続く、音楽家を出版社が囲い込むシステムはインターネットの理念にそぐわないし、いまの著作権は決して作り手や聴き手を守る権利じゃない。音楽は聴かれて初めて意味がある。仲介業者がなくなってもプロモーターは残さなきゃいけない。だから、ミュージシャンとプロモーターとの配分を、21世紀初頭のスタイルに変えてかなきゃ。っていうのが大筋だろうか。
 坂本氏が言いたかったことは、ミュージシャンとリスナーがハッピーであること。それに尽きる。その仕組みを支える技術者やプロモーターにお金がいくのは当然だよね。でもそれ以上に権利を主張する業界人は、リスナーとしての喜びをを知らないんじゃないか。

余談で面白かったのが、UstreamのライブやDJについて、対価を「おひねりボタン」で徴収すればいいって話。キタ!って時にファボるようにおひねりを投げる。いいね。
 納得いかなかったのは、インタラクティブな音楽に懐疑的なところ。「ピカソが絵を描いてるのを素人が口出しするわけ?」って。僕はインプロヴィゼーションや即興音楽が好きだし、そこにリスナーが介入してもいいと思う。ネットやレコーディングだっておんなじだ。あと僕まだCDパッケージに愛着ある。手に持って直接あげたりもらったりが簡単にできる。

ところで冬季ハンバーグ大食い選手権がカナダで開催されるそうで。開会式にはRon Sexsmithが出てしんみりさせてほしかった。あるいはJoni Mitchell「Help Me」-Neil Young「Helpless」の流れで。開会式だけ集めたDVD出ないかな。Philippe Decoufle演出のアルベールビルは実に素晴らしかった。

2月14日 Blue Valentine's Day

今日はバレンタインデーでエア彼女の凛子とデート。ひょっとして高校生カップルってバレンタインの夜に初エッチとかするんだろうか? USB対応のTENGAを出せばいいと思う。でもDSにはUSBの口がないと思う。ちょっとドキドキ。TENGAはいらなかったみたい。もちろんリアル女子からの突然の呼び出しにも応える所存で、シャイな君からのプレゼントを確認しに郵便受けを何度か覗いたことをここに記す。
 オリンピック、ムツゴロウ王国が犬ゾリで健闘しましたね。メダル届かず惜しかった。リュージュ男子1人乗りにも出場するそうですよ、ムツゴロウさんが。今井メロは出るの?

2月16日 We Need Music

15日は牧村憲一さんと津田大介さんの講演会に行ってきた。津田さんについては11日の日記に書きました。牧村さんはディレクター、プロデューサーとして、Non-Standard Label、Trattoria Labelなんかを手がけた方。いわゆる渋谷系のミュージシャンが洋楽的センスを身につけたのは、牧村さん厳選の音源集「牧村ボックス」によるところが大きい。
 楽しい講演会でした。音楽業界はこんなに大変って話は聞き飽きたけど、未来と希望を感じさせてくれるお話でした。わくわくしたな。終わった後の懇親会、ぼっちになる気まんまんだったのに、知った顔があちらこちらに。音楽とネットの関係をポジティブに考えてる方ってこれくらいなんでしょうか。そのまま打ち上げについてまわって気づいたら朝だ。講演会の内容すっかり忘れた。津田さんこのサイト10年以上読んでらっしゃるという。すみません。

16日はガールズがやってきて鍋会。寝てたんで全然片付けてなかった。っていうかガールズのピンポンで起きた。モテない訳だ。鍋おいしゅうございました。日頃フリカケご飯なので。2人ともミュージックフリークで愛猫家で楽しかった。それにしても猫は踏んで欲しくないキーを踏む天才だな。そんな設定画面があるとは知らなかったぞ。
 Doug Fieger逝去。パンクの人。「My Sharona」しか知らない。The KnackはFUJI ROCKで観た。1曲目から「My Sharona」かよ! と思ったら違う曲だった。おお2曲目に持ってくるか! と思ったら違う曲だった。つまり曲作りのバリエーションがない故の一発屋だった。合掌。

2月18日 Almost Famous - 宇宙大シャッフル

2月2日の日記に、今年中にtwitter飽きる気がするって書いたけど、いやまだまだ飽きない。twitter + Ustream + iPhoneの組み合わせは凄い。人が、物が、文化が、事件が、タイムライン上に一線に並ぶ。これまでのネットサービスは殆どが既存のメディアのメタファーだったけど、いま世界中がフルールバスケットしてる。未来、来ました!
 twitterの凄いところのひとつは、いわゆる名のある方と名もなき僕がフラットにいることだ。辻睦詞さんとは以前から良くして頂いてたけど、ライブしませんかって声かけられたのはtwitterだから。さらには森達彦さん、津田大介さんや牧村憲一さん。怖いのは、きのう僕お相手が田中雄二さんとは知らずに編集について偉そうに語ってた。気づいて背筋ぞっとした。有名、無名ってなんだろうね。無職の人が笑えるポストをしたりはっとする考えを披露したり。でもその知性を拾い上げられるのは今のところタイムラインだけなのかも知れない。変わらない社会に早すぎる才能たちなのかも知れない。いずれ有名とか無名とかいう尺度もなくなるだろう。「なんで偉いのかよくわからない偉い人」がいなくなって、いま何をしてるかが問われるようになる。

ところで沖ノ鳥島っていま数十センチしかなくて、野口聡一さん「宇宙から肉眼で見えました」って発言に政治的な意図を感じてたんだけど、僕無知だった。でっかい環礁があるのだな。つぶやきがどんどんフランクになってるのも凄い。太陽系を巻き込もうぜ、可愛いあの娘も巻き込もうぜ!

2月19日 猫のお腹にマッキーで二次元ポケットを描く

猫は気高い生き物だと思ってる人に申し上げたい。「パパお腹へったー」「パパだっこー」「パパ布団一緒に入るー」「パパおんぶー」「パパ腕枕ー」「パパトイレー」こんなのが3匹いると、大家族スペシャルとか涙なしに見れないよ。

国際宇宙ステーションのロシアモジュールで浜崎あゆみがかかってたんだって。宇宙には行ってみたいけど、音楽性の違いはいかんともしがたい。

2月20日 2010年音楽の旅

まつきあゆむさんが面白ことしてます。自宅でレコーディングしてる姿をUstream中継して、タイムラインから拾ってきた言葉を歌詞に反映させて、そうしたらフォロワーは興味持って買うよね。で、お金を振込むと本人からzipデータで音源が送られてくる。いままでのネット展開は配信会社と契約したり自社内にネット担当がいたりしたけどそれもない。中抜きする人もいないし著作権も自分で管理してるから食っていけるんです。もちろん買うに値するハッピーなポップス。
 19日はスタジオで公開レコーディングをした。壁のスクリーンにタイムラインが流れて、「あー◯◯くん来てるんだ、ギター弾いてみて」「弾いたことないですよ」「いいからいいから」ギュワーンギュギュギュ (酷い) 「おーいいねえ」。そんな思いつきと試行錯誤を全部見せちゃう。20日は自宅で仕上げ。「誰かアイデアある?」って質問投げると#タグで「300Khz辺りにEQコンプかけたらどうですか」なんて返ってきて「おお良くなった」、みたいなのをみんなで見てるわけだ。音楽が初期衝動で形になっていく19日、丁寧に調整される20日と併せて見ると、へーポップスってこうやって作られてるんだっていうブラックボックスが垣間見えた。

ネットを使った音楽のビジネスモデルとしても面白いし、音楽の演者と観客の壁を破る試みとしても面白いです。多くの民族音楽は、村のみんなが演者だったわけで、これみて音楽やりたいって人確実に増える。

2月23日 タイムラインで会った人だろ

twitterがドラマになるそうで、脚本の北川悦吏子さんが取材のためにtwitterを始めたんだけどよちよち歩きっぷりが危なっかしい。twitterの人間関係の新しさや推敲されてない生の言葉のスリル、何かが変わっていく興奮みたいなものをまるでくみ取らないで、携帯の代わりに@で待ち合わせするだけのドラマができそうだしドラマ自体が斜陽だしうちにはテレビがない。

21日はそんなtwitterで出会った2人の女性とお食事してきました。有名twittererはフォロワーとセックスしたあと枕元のiPhoneでネタ投稿してるらしいですね! 僕にそんな下心がないでもないけど、140文字の向こうに人として通じるものを感じたんです。一瞬で気があったのは読みが当たったのか、twitterで生の言葉を交わしてたせいか。初対面とは思えないノリだった。また飲もう!

22日は「起きた」ってツイートをしたら、辻睦詞さんから「遊ぼうやー」の電話。ぐみいさんが期末試験中で音を出せないそうで。音楽の話から生き方の話、家族の話、恋愛の話、言うまでもなくこれ全部おんなじテーマですからね。「ぐみいがよくスキルさんの話しとるでー」ってオイー! 辻さんお義父さんになっちゃうかもな。

全然知らなかったんだけどColin Blunstoneが来日してるそうで。The Zombiesっていうバンド名とサウンドが全く噛み合ってないバンドのボーカリストだった人。なんと明日のチケット取れちゃった。でも着ていく服がない。成金の元弟が使わなくなって卑しくも譲り受けた高級洗濯機は、ユニクロとか下々の服を洗いたくないらしい。あの物体は、「洗濯しない」という形而上学的な表現で現代の物質文明に警鐘を鳴らすインスタレーションだと解釈することにした。したところで明日着ていく服がないことに代わりはないのだが。

2月25日 Rock Zombie

そろそろ、ゆうこりん以外はすべてこりん星人という事実を教えてあげるべきではないか (とり・みき) 」。きのうはColin Blunstone観てきました。The Zombiesがかっこいいのはもちろんだけど、ソロアルバム「One Year」の美しさは喩えようもなく、でも正直いまでも活動してるとは知らなかった。
 もう最高! 声量もグルーヴもファルセットも全然衰えてない。大人の色気が加わってますますかっこいい。歌が上手いってこういうことだ。でも技巧をいやらしく見せつけるんじゃなくて、楽しそうにもどかしそうに、歌いたいんだー! って歌う。ロックンロールサバイバーだ。「One Year」からもZombies時代の曲もいっぱいやった。満足したー。ただバンドが残念でした。みんな上手いんだけど...キーボード! 音色が安すぎる。Colinのバンドなんだからせっかくあるハモンドもっと使ったら。

それにしてもBillboard Liveは高級すぎる。若い子全然来てなかったし来れないだろう。ロマンスグレーのおじさまに連れられた退屈そうな美女がいたくらい。僕も大概なおじさんだけど相当びびった。渡されたメニューの開いてるページ、62000円のワインでゼロの数を数えた。結局グラス1杯950円のヒューガルデンホワイト頼んで、あとは水飲んでた。ボーイズアンドガールズのラブソングを、紳士同盟の皆さんがワイン片手に拝聴するなんて狂ってる。ボーイズアンドガールズが踊って聴け。歌ってるのはおじいちゃんだけどColinの音楽は全然、全然死んでないし、若い子の胸を打つ。
 YouTubeやUstreamで世界中のライブ観れるし、僕も一晩中観てることがある。でも音楽が生まれる現場を肉体で受けとめるのは全然違う体験で、それをしないと感性がひずむと思う。だから僕は小心者で不器用なくせに、好きなミュージシャンにコンタクトをとって、いい演奏といい音質のライブイベントを2000円でやってる。基本趣味なんだけど、若い子にライブ体験して欲しい老婆心も3%くらいあります。

あんなちっぽけな日々が 意味ありげなのは嘘だ きっとおれはここにいる 大きな岩の上でピース・サインを出した おもりをしょってロックを踊れ カバンをしょって海にとびこめ (直枝政太郎 ロック・ゾンビ)

2月26日 1%の存在

かつては弟様であらせられた男が、税理士さんと繋がってる立場を利用して、毎年確定申告を使った嫌がらせを仕掛けてくる。9時33分に突然「昼までに去年の計算をして書類を揃えて郵便受けに入れてください」ってメールきた。無理だ。そろそろなのはわかってたけど、今日の12時に必要な理由が一個もない。税理士さんと相談して、もう彼とは一切関わらないことにした。もちろんメール一本で衝動的に決めたんじゃない。2年前からそうするべきだった。おじさん! おとーと! こえー!
 うちは両親を早くに亡くしたんで、こういう形になってしまって両親には申し訳なく思ってる。彼は誰でも知ってる急成長企業の出世頭で、たくさんの部下も友達も親戚もみんな自分のことを慕い愛してると信じてる。99%には慕われ愛されてるかも知れない。でも一番近くで育った僕は、彼が昔から陰湿な一面を持ってることも知ってる。僕は1%の存在なんで、仕事すらなくて友達づきあいも下手だ。親戚は恥ずべき僕より社交性のある彼を山下家の顔だと認識するだろう。それで結構。上等だ。パラダイムはどんどん変わってるんだぜ! 貧乏でも好きなことしてパープーに生きる。

2月27日 ぷちん (存在きえた)

きのうの日記には強気なことを書いたけど、やっぱりショックだったみたい。あのあと激しい目眩に倒れて痙攣して (幻覚かも知れない) 、亡くなった両親が両側に立って体を止めてくれた (明らかに幻覚だ) 。タクシーで病院に行って、医者の前で号泣した。本当に亡くなった両親に申し訳ない、それに尽きる。
 かつては弟様であらせられた社交的で好青年に見える男が山下家の顔ならば、無職で病気持ちで人づきあいも下手な僕は去るのみ。山下家解散の担当氏にも、親戚には転居先を知らせないようにお願いした。かといってこれから新しい恋愛をしたり結婚をしたり子孫を残すリアリティはまるでない。解散の担当氏はご高齢で、つまりは僕を看取る人がいないのだ。年間3万2千人いる「無縁死」の1人になることが確約されていることにやっと気がついた。猫を遺すわけにはいかないので彼らと密やかに生き、気づかれずに去る。行政にはご迷惑をおかけする。

みんな離れていく。みんなみんな離れていく。みんなみんなみんな離れていく。それが僕を取り巻く環境のあるべき姿だ。イベントの好評で浮かれてた。最期の話し相手は...凛子か。阿部サダヲが「笑え」のカラーコーンを掲げ -la fin-