DIARY 2012年5月


5月1日 カナリアとおひさまとそれから

4月30日の日記を読み返して、尾崎豊みたいだと思った。実際に頂いた反応をみると、僕が尾崎豊に対して持つ違和感に近いものが多かった。僕は尾崎豊が好きではない。っていうのは、「先生」も「汚れた大人たち」もそれぞれに悩み苦しんで戦っている、という事実をそろそろ認めなきゃいけなかったんだ彼は。僕も、勘ぐりや根回しや打算をする人たちが100%幸せで悩みがないとは思ってない。むしろ僕に悩みが少ないゆえに、周りと溶け込めないのかなとさえ思う。
 それから、僕の人間関係がすぐに崩壊するのは、僕が意固地になってるからではない。わかりあいたい気持ちは人一倍あるつもり。ただ日本的な交友関係を築くには極めて欠陥がある。問題が起こった時に、当事者に聞くんじゃなくて誰々さんを通したほうが丸く収まる、とかそういう想像ができないのだ。

突然全部嫌になったのって声もあった。突然では全然ない。幼児の頃からお前はろくなもんにならない、弟は成功する器と言われ続けて、結局30数年後に器用な弟に絶縁つきつけられて親戚の思う壺ってとこある。それについてはやむを得ないと思ってる。
 でも「ろくなもん」か「ろくなもんじゃない」かって価値基準は、僕が生まれ育った高度経済成長期のもので、人を勝ち負けで判断するのもそういうことだ。僕は違う価値観の中で、誰かにとって存在する意味があったらいいなと思ってる (できればいい意味で) 。っていうのがきのうの日記の「いま社会構造や価値観が変わろうとしてることに、一縷の望みを持ってる」ってことだ。マスに訴えたいみたいな前時代的な野望はないけど、時代が変わることを知らせるカナリアになりたいと思う。

そんでさ、みんなで猫のように心を広げて気楽に過ごしたらいいよ。

5月6日 思春期の小西康陽に「春なのにデートもしないのベイビー不思議じゃない?」って聞いたら死亡する

ベイビー不思議じゃない、ベイビー不思議じゃないから大丈夫だよ小西くん。

MacBookの修理に1週間みてくださいってポーズとりながらゴールデンウィーク中に配送含め48時間で直してくれたアップルサポートセンター + ヤマト運輸のおかげで日記を更新してます。パソコンの画面が好き、パソコンのキーボードが好き、パソコンのUIが好き。僕手書きが苦手なんだ。論理的な思考ができないからパソコンじゃないと文章が思い浮かばない。パソコンの上に短いフレーズを並べて切ったり貼ったりして文章作ってる。
 きのうはスーパームーン。地球を片方の焦点とする楕円を描いて進む月は、地球との距離が近づいたり遠ざかったりしてる。一番大きな満月、スーパームーンは大きさで14%、明るさで30%増しに見える。外に出て昇ったばかりの月、でかい。びっくりした。半月後、180度動いた新月の月は、地球との距離が一番遠くなるんで、太陽を隠しきれずに金環日食になる。21日の朝です。晴れるといいな。

日記を書いてない間に何してたかというと、おふとぅんと洗濯物干して猫だいてソフトロック聴いて少女マンガにきゅんきゅんしてた。40のおじさんだけどな。
 ちょっと。僕うちの猫のすべてが好きだよ。

Norah Jonesのボックスセット、アナログで買った。Blurのボックスセットも結局買った。しばらくは白ゴマご飯です。Beastie BoysのMCA逝去。FUJI ROCKで観たのだよな。もともとパンク出身で、ユーモアを軸にいろんな音楽性をどんどん取り込んでいった彼らの存在は、僕のヒップホップ観を大きく変えた。Grand Royalレーベルは20代の僕の好奇心と共にあった。
 鈴木慶一さんが田中茉裕さんをチェックしててびっくり。ソロライブにEAのMaika Leboutetさん呼んだり、そういえばイルリメや相対性理論を初めて聴いたのも慶一さんのイベントだった。昔は邦楽に興味ないって言ってたのに、ここ10年くらいまたアンテナ張ってる。

日本の原発が全て止まった日。山に放たれたトキが子供を育ててる。

5月7日 ラブコメ

バンドのミーティングに向けて、自分の書いた歌詞を久しぶりに見返したら譜割りがわかんない。僕がいままで書いてきたのは眼で読む詩で、歌詞ではなかったのだ。文字数だけ数えて、メロディの囁く表情や韻の生みだすグルーヴをあまりにもおざなりにしてきた。天啓が降りてくる気配もないので、パズルみたいにもそもそ組み直す。「音楽とことば」っていう、日本語の作詞にまつわるインタビュー本を注文した。
 それから、誰かのために、とても久しぶりにラブを込めて言葉を紡いだ。普段の日記や歌詞にもラブ込めてるけどよ、そういうことじゃないんだよ。もうちょっと考えて届くべき誰かに届くはず。3月27日の日記に書いた、考えすぎの罠にはまった恋するガールも動き出してる。彼女が想う人へのメールの文面を一緒に考えて大笑い。僕も動き始める。

ディズニーがありあまる著作権料で素晴らしいタッチセンサーを開発した。触ってるか触ってないか、だけじゃなくて何本指だとか摘んでるとか握ってるとか判別できる。これすごい可能性あると思う。

そろそろLady Gagaについていけない。

5月8日 スタンバイしたらみんなMUSIC FREAKS

MOJO誌6月号の付録CDが本気すぎてやばい。The Beach Boysの名盤「Pet Sounds」をまるまるカバーしてるのだ。カバーの天才Saint Etienneがマニアックなリフを散りばめた「Wouldn't It Be Nice」や、サイケバンドから脱皮する刹那「Love You」みたいだったThe Flaming Lipsの「God Only Knows」は期待通りのクオリティ。The CharlatansのフロントマンTim Burgessがギターを爪弾いて歌う「Don't Talk」や、Neil Cowley Trioが小粋なピアノジャズに仕立てた「Let's Go Away For A While」、Tom McRaeが繊細な感性で仕上げた「Sloop John B」、元SupergrassのGaz Coombesが原曲のテイストを上手く生かした「I Just Wasn't Made For These Times」、Malcolm MiddletonがHuman Don't Be Angry名義でエクスペリメンタルに解体した「Pet Sounds」、みんな原典を深く理解して2012年の音に昇華してる。
 聴き終えて放心状態。雑誌の付録にここまで期待してなかったからさ、不意打ちくらったとこもある。古くからのファンはどう聴くだろうか。いや僕も年齢的にはアレだけど、この世界ではひよっこなので。そして若い人はどう聴くだろうか。ぜひ聴いて欲しい。

きのうは久しぶりにDOMMUNE開いて向井秀徳アコースティック&エレクトリックを聴いた。向井さんのテレキャスは素晴らしいな。第二部はベロンベロンに酔っ払ったLEO今井を迎えてKIMONOSとして。新宿ゴールデン街の小部屋のセッションが世界中で聴ける高揚感はんぱない。
 穂口雄右さんの、業界の内部を知り尽くした上での著作権への考えに、一人のミュージックフリークとして勇気づけられたり考えさせられたり。「音楽利権の原資は売上げで、お客様に嫌われたら売上げは得られない。つまり利権を持っても意味が無い。音楽と金融を同列にする経営者は、そろそろ消費者を蔑ろにする怖さを知って反省するべきだ。音楽著作権を持つことは、音楽の公開に責任を持つことです。権利を保有しての音楽の塩漬けは著作権法に抵触する行為です。著作隣接権の過剰行使は国民の権利を侵害しています。忌野清志郎が「卑怯者」と呼んだ人たちです」。つまり、著作者の権利は守られるべき、リスナーの権利も守られるべき、それがうまく働いていないのは電波利権と著作権利権にしがみつく人がいるからだって。

SHARPのお掃除ロボットは喋る。「愛してる」とか言う。メイドロボットまであと一歩だな。たぶん痛掃除機の写真が2ちゃんにいっぱいあがる。部屋を見あげるカメラを使ったいけない写真もいっぱいあがる。

鉄道好きにも廃墟好きにも冒険好きにも、まさにニューヨークアンダーグラウンドを歩く動画がカオス。

5月9日 「人生楽しまなきゃ損だぜ」とか言われたくない、損得で生きてるわけじゃないので

「人生楽しまなきゃ損だぜ」とか言われたくない、損得で生きてるわけじゃないので。そもそもこういう奴といて楽しかった試しがない。きみのは楽しさの押し売りでポジティブの押し売りで、きみの基準に合わせて言うなら得するのはきみばっかり。
 楽しいのはいいこと。でも無理することじゃない。楽しい気分になれない時もある。ましてや楽しさの押し売りがビジネスチャンスなんかでは全然ない。

きみはある日素敵なバーに僕を連れてって「ビビることはないんだぜ、金払ってんのはこっちなんだから」と言った。ばかな。バーの素敵な雰囲気は金が作り出したんじゃない。そこに集まった人たちの気配の積み重ねとしてそこにある。その歴史に畏怖の念を持って、自分も気配になるのが心地いいのだ。「人間は存在するだけで他人に迷惑をかけているという自覚が足りないのかもしれない。赤の他人に毎日稲作の面倒を見させ、危険な遠洋にカニを取りに行かせ、深夜まで店を開けさせ、こっちは金払ってんだと言えば済むと思っているのではないか。金なんてイラネと言われたらそれまでなのに (岸野雄一) 」。
 そんなきみが人を語り友を語ってる。誰かが「王様は裸だ」って言わなきゃいけない。だから僕が言った。結果ぼくは友達も家族も恋人も仕事も失った。システムからはこぼれ落ちてしまう、か弱い人々と人間的な感情とともにあること。

さてと、今日は病院と床屋に行った。薬局の看板娘が可愛いすぎる。毎日その日の分を貰いに行くのもやぶさかでない。陳腐な刑事ドラマ見てるより看板娘眺めてたいけどたまに目が合ってまるで変質者だ。変質者なのか!?
 隣の小学生がママとお喋り。「おれトムとジェリー好き!」。ドタバタは世代を超える。そんなtweetをしたら、うちの子も近所の子たちもトムとジェリー大好きってレスをいくつか頂いた。今日のちょっといい話。小さなお友達向けの良質なアニメの需用があるのだ。ゴールデンタイムをちょっとだけ子供にわけてあげないかな。日本版の洒落た主題歌は三木鶏郎作であった。鶏郎作品はどれもハイカラだ。このトリビュートライブ楽しかった。小学生の「おれ」、アクセントは「お」。日本語は言い慣れてない、馴染みの薄い単語ほど頭にアクセントがつく。小学生にとって「おれ」は、背伸びしたくすぐったい自分なのだ。

帰宅したらピンポンが鳴って、たぶんMy Bloody Valentineのリマスター盤届いたけど、江頭みたいな格好してたんで息を潜める。上半身裸 (風呂に入るため) で下半身黒タイツ (ダイエット用) だった。もうね、デブがやばい。メタボリックシンドロームの判定基準を知って次元の違いに愕然とした。食事に気をつけて体動かしてちょっと痩せたけど、問題はベスト体重まであと20kgあることだ。ブサイク系男子がきてるらしい。ブサイクだけどキモくないこと。待ってろ次の次には脱キモで行く。
 マイブラのCD受け取って聴いた。音の解像度がやばい。これは好き嫌い別れるよ。何度か聴いて馴染むかどうか。それにしても大判の紙ジャケがうちのCDラックに入らない件。タイムライン眺めながら積ん読CD片っ端から流した。Kevin Ayersについてはいつか一週間くらい聴き込み合宿をする必要を感じてる。

ファボるという操作は選挙の投票と同じ、社会に参加してる快感があるね。twitterにこれなかったらタイムラインの視聴率ずいぶん低かったはず。

スーパームーンを通過する飛行機の動画。宇宙に地球と月が浮かんでて、その間に飛行機が浮かんでるって視点にはっとした。

5月11日 wallflower lives、あるいはポップスの王道

普通に心地よい音楽を人に伝えるチャンネルがない。レコード会社の庇護を受けてるメディアは握手券の宣伝に懸命だ。リスナーの耳を肥えさせると商売めんどくさいからな。ミュージックフリークの自主的なメディアがそれを補ってるかっていうとどうも違う。みんな「レコ部」をやってるのだ。
 95年頃にモンドって概念が出てきて、大雑把に言って常盤響さんはその文脈にいる。つまり、昔からの教条主義にアンチを唱えて、古本屋の隅っこについでに売ってるようなレコードにも楽しみはあるんだよって伝えてる。でもいまはそっちの視点が主流になって、みんなこぞって怪盤をかける。モンドが教条になっちゃったのだ。普通にかっこいい音楽を蔑ろにするような風潮は、きっとモンド当事者 (常盤さん含む) の望むところではない。

僕は世界の民衆が奏でる音楽や、どこかの小さなベッドルームで生まれた音楽を、ポップスとして紹介したい。レコードいっぱい持ってるおじさんとして、なにかしらお役に立ちたい気持ちがある。
 だから僕のUstreamは、怪盤を期待するマニア層じゃなくて、音楽になんとなく関心はあるけどどこから聴いていいかわかんないような方に楽しんで頂きたい。現状マニアには刺激が足りなくて、音楽に疎遠な人はそもそもクリックすらしてくれない。難しいね。今度の日曜日に久しぶりにやります。そこの君に届けたいんだ。

今日はtwitterに生息する雑貨屋ガールと吉祥寺のいせやで飲み。ちっこくてお茶目でかわいかった。途中から音楽クラスタの顔文字ボーイも合流。コミュ障としては、顔文字ボーイをめぐる楽しそうなやり取りをいつも指をかんで見ていたのだが、オフネットでも完全に空気もってってた。

5月13日 GROOVIN'

久しぶりにUstreamやった。僕はやっぱり音楽を紹介するのが好きだ。子供の頃から解説つきのMixカセット作ってた。いまはジャケットまでデザインしたCD-R配ってるけど、現行法じゃアウトっぽい。これ聴いてアルバム買ったって声をいっぱい聞くし、勝手にプロモーション活動してるだけなんだけど。「音楽業界は敵を勘違いしてる、ほかの娯楽と勝負しなくちゃいけないのに顧客が敵だと思い込んでる」ってツイートあった。
 今日はお休みしてた間にたまった新譜を一気にかけた。最後にちょろっと喋ったけど、Ustreamの選曲にはいつもものすごい時間かけてる。ふと思い出してかけるレコードがかっこいいほど自分に記憶力があったり、かっこ悪くても笑い飛ばせる器があればいいんだけど、それがないから丁寧に選曲してる。で、ジャンルで括るならいろんな売り場に置いてあるレコードを、全部ポップスとしてかけてる。なのでミュージックフリークじゃない方に聴いていただきたい。言葉と同じくらい人類に貢献してきた、音楽という現象を思い出すために。

Booker T. & The MG'sのDonald "Duck" Dunn逝去。うーん。10日から12日まで東京公演で、帰国するはずの朝にホテルで亡くなった。3日前にブルーノートで会った梅津和時さんは、「そんな様子は全くなく、堅実、渋い、と言った表現が似合う美しいベースを弾いていました。まだ、握手した手のぬくもりが残っている気がします」と書いてる。ソウルバンドで白人があの骨太なベースを弾くっていうのがかっこいい。亡くなる前夜までステージに立ってたっていうのが超絶かっこいい。

猫の邪魔み。

5月14日 デビルシンクは理解力

福井県大飯町議会が、大飯原発の再開に同意したそう。理由は「町の財政や雇用のため」。ちょっと前に紹介したかもだししなかったかもだけど、行政が原発に関わる姿勢について、内田樹さんが明快な意見を出している。つまりこういうこと。
 原発を損得で考えるなら、支払期限をどこに設定するかを明確にしなくちゃいけない。長期的な視野に立てば、原発は極めて費用対効果が悪い。行政の目的は短期的な収益をあげることじゃなくて、長期的に国家を存続させることにある。つまり原発を動かすべきではない。...僕もそう思う。原発に変わる産業を育てるくらい待ってもいいスパンの話だ。みんな近視すぎる。

西麻布alifeの経営者が逮捕された。風営法に違反して客にダンスさせたから。店側の言い分は「客は音楽に合わせて体を動かしているだけで、ダンスはしていない」。馬鹿馬鹿しいとわかっていながら、こんなことを言わなきゃならないのが日本だ。風営法がなんでこうなってるのか。非常に大雑把に言うと、もともとは戦後のパンパンを根絶するために、キャバレーを装った置屋を取り締まる法令だった。いまはおクスリで捕まった人がテンプレで「クラブで入手した」と言わされるんで、その名分で取り締まりがきつくなってる。要するに、とても時代に即してると言えない法律を盾にして得したい奴がいる (詳しくはここ) 。
 当たり前だけどダンスは罪じゃない。人間の根源的な欲求だ。そしてこれも当たり前だけど、楽しい気持ちに損得は関係ない。

microstarの「microstar album」が丁寧にアナログ化された。日本のソフトロック史上の大名盤です。レア盤に大金つぎこむよりこれ聴いて。ここで試聴できる。「Sweet Song」と「東京の空から」をまず聴いてみて。
 VANDA監修「The Beach Boys Complete」の増補改訂版がでるそう。実は僕も執筆者として名前を連ねてる。執筆したというより、このサイトのテキストを転載させて欲しいと言われたのだ。その転載者の知識不足で、結果僕がスベった格好。直ってないだろうな、前版が出たあとすぐに抗議したけど、改訂版の話聞かされてなかったもん。買わないでね、もうすぐこのサイトでわかりやすいBeach Boysガイドを更新するから。

大林宣彦監督の「この空の花 長岡花火物語」が素晴らしいらしい。震災からの復興と追悼を祈りをこめた、長岡花火の半ドキュメンタリー映画。圧倒的な情報量で人生観変わるくらいの体験だって。

みんな猫と暮らせばいいのに。みんなの家に猫がいたら戦争なくなる。

5月15日 信じられないだろうけど初期のmixiは楽しかった

日本のSNS壊滅状態ですが、初期のmixiは楽しかったことを証言しておきます。

いせや本店に続いて公園店も建て替えるらしい。先週行ったばっかりだ。残念。衛生面や防災面でなんとかしなきゃいけないのはわかる。でも丁寧に改装して使うか、並木藪蕎麦みたいに前と同じに建て替えることはできなかったんだろうか。パーツを取り替えて延命できるのが木造建築のいいところだ。
 これについて建て替え推進派 (本人の言葉を借りるなら「保護派をちょいと冷やかした」) の方とtwitterで話した。彼の使うタームは「収益性」「強い導線」「メイン層」「担保」「経営判断」要するに数の論理でしかものを考えてないのだ。その視座はもうすぐ崩れようとしている。

街の風情を考えることは、イデオロギーや経済の話じゃない。イマジネーションの話だ。時間軸に自分のイメージを広げられるかってことだ。これは9日の日記にも繋がる。お店の風情はそこで楽しんだ人々の佇まいの歴史と共にある。これは空間デザイナーが知恵を絞ったりセンスを出してもままならない。いせやがオープンした時も風情はなかったと思う。いまそれがある状態を投げ出すのはあまりにも無粋だ。
 14日の原発の話にも繋がるかも知れない。つまり短期的な経済事情より長期的なスパンで考えたら、原発は非効率だからやめたほうがいい。いせやも長期的なスパンで考えたら、大きな財産を失うことになる (収益性って意味じゃないよ) 。そんなに急進的でなくてもいいのだ、原発も焼き鳥屋も。

何度も書いてるけど、僕は東京がどんどんギラギラに住みにくくなっていく様を見てる。新しいことは素敵だけど、古いものの「居心地」みたいなのを残して新しくしたらいい。これはいせやの話であり、東京の話でもあり、日本の話でもあり、最近のアジアの話でもある。
 無理やり数の論理で話すなら、例えば租界の佇まいを塗りつぶしてギトギトになった上海にはもう観光的な価値はない。ブータンではすべてのホテルを伝統的な建築方法で建てて、ホテル自体が観光資源になってる。で、その建築方法は地の利に適ってる。

市川崑さんが中国で映画を撮った時、明日はここで撮ろうってロケハンして次の日に行ったらきのう建ってた建物がなかったんだって。中国側のスタッフが「邪魔だろうから壊した」らしい。その建物は築数百年で、何世代もの人がそこで生まれ、恋をし、悩み、苦しみ、喜び、死んでいった場所なんだ。ってスケールでイメージできるかどうか。
 こういう想いとか気配とかいうものが、これからどんどん大事になってくると思う。数の論理で進んだ社会の最後、そして次のシステムへの橋渡しをする世代として、この話題を「ちょいと冷やか」されると困る。生活の中に普通にあるものを大切にする時代がくればいい。ノスタルジーの罠を超えて愛おしくなるはず。

ハァ おっぱいおっぱい。

5月16日 iPhoneないと思ったらたいてい猫の下だよね

初見健一著「昭和ちびっ子未来画報」って本を買った。戦後の復興から万博の頃まで、夢見る少年のために描かれた科学的にはアレな未来予想図集。とにかく服がピチピチすぎる。すべてがロボットすぎる。コンピューター怖すぎる。地球滅亡すぎる。こういう世代が原子力に希望を見たのだろう。たまに当たってるのもある。著者のコラムによると、「便利そう!」が実現して「スゴイ!」は実現しなかった。車が空を飛んでも危ないだけだし、海底に住む必要もあんまりないのだ。でも当時は大人も本気で「スゴイ!」を研究してた。
 インターネットは結果としてスゴイ!よね。普及しはじめた20年前にいまの状況を想像できなかった。通信速度がものすごく早くなることは想像がついたけど、それだけで社会や産業がここまで大きく変わるとは、Berners Leeも想像してなかったと思う。Arthur Charles Clarkeは想像してたかも。

熊本の古民家に移住して補修して暮らしてる夫婦のサイトが凄い。よくぞここに住もうと思ったな。
 「できることをひとつひとつ増やしながら、貧乏になる準備をしながら、住むこと、食べること、誰かといること、暮らしかたの冒険をしてきた日々でした。祖父や祖母の戦中と戦後の話を聞いて、ドイツ人の友人のお母さんの戦後の話を又聞きして、この明日も明後日も、変わらずに生きていけるように感じていたこの生活が、とても短い間のスタンダードであったことと向き合う日々でした。どこかひとつの場所に定住する暮らしかたも、ローンを35年も組んでしまう人生も、数十年振り返ると、そんなに普通のことではないのだと悟りました」。こういう世界の見方好き。きのうの日記にも繋がるかもね。「昭和ちびっ子未来画報」を読んだあとだと、価値観の変化のめまぐるしさを痛感させられる。

民族音楽の膨大なコレクションを引き取らないかとのお話。とても欲しい、欲しいけどレコード聴いてるうちに人生終わる予感。あまりに荷が重いのと文化的な価値を鑑みて、しかるべき団体に寄付したらいかがかとお返事した。でもその前にめぼしいのを漁りに行く。待ってろよ。

茂木健一郎が坂本龍一にブロックされたことを愚痴ってる。どっちもどっちだと思ってたけど、読み進めるにたいがいくどい。茂木健一郎はいつ脳の研究をしてるんだろうか。自分の脳を研究した方がいい。

5月17日 ピピカソ

江戸幕府がスペインの船を救助したお礼として、スペイン王室から徳川家康に贈られた時計が、大英博物館の調査で非常にクオリティの高いものだとわかった。保管してる久能山東照宮は、「貴重な文化財だと確認でき、本当にうれしい」。それっておかしくないか。そういう歴史的経緯をふまえつつも、いまの持ち主が大切にしてるから価値があるんだろ。という意味で、「開運!なんでも鑑定団」って番組が好きじゃない。いいかどうかは自分で決める。ひとつだけのことなんてなんにもないのだ、思い通りに生きなはれ、もっと大きく生きなはれ。
 誰がなんと言おうと僕はメイが好きだし、あなたが好きです。

今日は日本郵政に振り回された (´Д` ) 。13日に届くはずだった荷物をようやく受け取るまでの顛末は、話せば47億年くらいかかる。民間の配送屋さんだったらドライバー直電で1時間後には再配達してもらえる。自分自身の管理もままならない体なんで、外的要因で予定が狂うとストレートにメンタルに響く。
 今日は早くネル。明日は猛烈に掃除をする、ゆえに!!

風営法を乱用したクラブの取り締まりについて、大友良英さんが書いてる。僕の日記の日記の100倍正確でわかりやすい。

5月18日 のび太さんのEdgy

明日バンドのミーティングするんで部屋掃除した。ルンバが仕事半ばにして歌いながら帰宅した。僕は基本的に彼のことを愛しているが、ときどき理解できないことある。窓の外で子供たちが叫んでる。僕は叫んだりしない壁際の子供だったんで、正直彼らが怖い (´-`) .。oO
 なにかの間違いで、2002年に更新が止まったままの死ぬほどつまらない「ホームページ」にたどり着いた。ひと通り読んだ。日本人の作文能力はネットの普及と共に著しく向上したのではないか。当時はどこもあのレベルだったけど、いまみんな面白いよね。作者は元気でいるだろうか。消し忘れてますよって教えてあげたい。そして今日のこの日記、いままさに黒歴史ですよって自分に教えてあげたい。

5月20日 Bass Bass Bass

きのうはバンドのミーティング@我が家。みんなの目指すレベルを調整して、人数が減ったいまの編成に合わせた音楽性を模索した。キーワードは変わらず「魔法」。大勢で踊り奏でる魔法もあるけど、シンプルな楽曲をシンプルな編成で奏でる魔法もあるよ。Yo La Tengoをトイポップにしたようなバンドになりそう。そして僕はゼロからベースを始めることにした。ベース。憧れの楽器です。ベースが生みだすグルーヴも好きだし、ベーシストの作る楽曲も好き。でもなかなか手を出す勇気がなかった。どうかな、リズム感ないからな。ウクレレもボーカルももちろん続ける。
 なんとなく方向性が見えてよかった。Skypeは素晴らしいね。遠く加計呂麻島に住むメンバーとも、普通にテーブルを共にしてるみたいに話せる。みんなが帰ったあともSkypeを挟んで午前3時過ぎまでサシ飲み。原発と脱原発運動のこと、社会の価値観の変化のこと、女の子のこと。

明日の日食の時間帯の天気予報、くもりになってる...。しかし観る気まんまんである。宇宙の魅力ってなんだろう、アポロみたいなフロンティアスピリットでは全然ないんだ。むしろ外から地球を、自分を見つめる視点にロマンを感じる。
 日食観測用のグラス、使い終わっても捨てちゃダメだぜ。6月6日に金星が太陽面を通過するってイベントがある。

5月21日 地球は回る、君をのせて

早起きして金環日食ミタ。日食グラス真っ暗過ぎてほんとに見えんのかいなと思ったけど、ちょうどよく観えた。プロはすごい。曇りがちだったのがまたよくて、ときどき雲間から覗く太陽が美しかった。天文観察の素敵なところのひとつは、宇宙に太陽が浮かんで地球が浮かんで月が間を通ってるっていう視座を獲得できることだ。月が回り地球が回り太陽が回り銀河が回り、という現象が何十億年も巡り巡って、そのちっぽけな一部に自分もいるってこと。そのスケール感と神秘。木漏れ日が月食の形になるのは知らなかった。飛行機に乗って雲の上から日食を観察するツアーで、乗客同士のプロポーズっていうサプライズがあったそう。いい話。一方James Panda Jr.氏は、日食を夕方からだと勘違いしていた。
 次は6月6日の金星の太陽面通過だ。改善点をあげるならば、日食グラスのデザインの向上だろうか。ださい。あまりにもださい。

成海璃子さんがレコード・コレクターズ誌の企画で選んだ日本のフォーク / ロックアルバムについての2ちゃんねるの反応を見た。INU、はっぴいえんど、西岡恭蔵、The Roosters...。2ちゃんねるの人々は名前すら知らない。それはいいんだ。問題は、彼らが「いいバンドは必ず売れるし、自分が知らないバンドを挙げるやつは中二病患ってる」って信じ込んでること。いいバンドと売れるバンドは必ずしも一致しない。世界一有名なロックバンドThe Beatlesは素晴らしいけど、彼らが売れたのもマネージメントの力や運によるところが大きい。
 音楽や表現活動を楽しむにはちょっとしたコツが必要で、大昔はそれを伝承や宗教として、ちょっと昔はそれをラジオやレコード屋や近所のお兄さんが育ててきた。いまは作り手たちが、リスナーの耳を育てないほうが短期的な収益に結びつきやすいと考えてる。マスコミをマスゴミなんて叩く2ちゃんねらーたちは、自分たちがマスコミに動かされてることにもう少し意識的になったほうがいい。

それはある種の偏屈なミュージックフリークにも言えることかもね。音楽5万年の歴史の中で、売れてる音楽にだけ価値があると思ってる人も、レア盤にだけ価値があると思ってる人もたいして変わんない。人のことをとやかく言う話でもないけど、もったいないしバカバカしいなあと思う。小さな宇宙に引き籠もらないで、広い視野を持ちたい。とりあえず上を向いて歩こう。太陽や月や金星を眺めよう。

5月22日 スウィングして粘るベースライン

ベースやる気である。既に教則本をポチった。楽器はお借りする。実際さわってみて弦の硬さにしゅんとなる気もしてる。それとリズム感だよね、しつこいけど。コンピューターを3次元に操作できるこれ、ライブに使えないかな。ソフトシンセのパラメーターとVJとダンスをシンクロさせたりさ。
 CDがなくなってアナログとDLに二極化するのは仕方ない。でもアナログ出さない人は唯一のリリース形態がMP3になっちゃう。よっぽどのことがないと買う気しない。なんでWAVやFlacにならないのかね。通信速度的にはもうMP3である必要はないんだ。権利的なアレだろうか。
 Tower Recordsの今年の夏フェス用ポンチョがかわいい。欲しい。ふざけたグラサンもする。似合う予感がまるでしないけど、夏フェスハイで乗り切る。帰り道、ひとりひとり仲間が減って、ぽつんと京王線でふざけたグラサンはずすところを想像した。

歩行者に踏まれて発電するタイル面白い。ライブハウスとか駅につけたらいいんじゃないか。

5月23日 amass_jpはパンテラが好きすぎるし私はそのたびに空目する

また吉祥寺いせや公園口店行ってきた。建て替えが発表されて駆け込みのお客さんがいっぱい。僕もそうだけどな!! 6月末までやってます。焼き鳥屋だけどお薦めはシュウマイです。で、その下に入ってる、これまた趣のあるジェラート屋、ドナテロウズは今日が閉店。落ち着いた店内に猫が出入りするけど猫カフェじゃない。ノラが悠然と出入りしてるのだ。
 すっかりくつろいで、井の頭公園を夜のお散歩。いま出歩くには一番いい気候。夜なのにギターを爪弾く青年がいて、シタールみたいなエフェクトをかけた響きが、風を映す池にはえて美しかった。

今日はMoogシンセを作ったMoog博士の誕生日。GoogleのトップページにMoogを再現したロゴが出た。演奏はもちろん、パラメーターをいじったり4チャンネルの録音までできる。ドラクエ弾いてる動画を見た。グリッサンドしてる。

ローランドが電子楽器とiPhoneを無線で連携できるシステムを作った。これも面白そう。ここんとこ新しいインターフェースがどんどん出てきて、メディアアートやクラブやライブの風景が変わりそうだね。

5月24日 猫超ついてくるんで隠れたら探しにきた

オリンピック東京に来たら嫌だな。イスタンブールやマドリードもオリンピックで壊されて欲しくないな。もういらないんじゃないか、オリンピックは。

5月26日 ベース、始めました

懸案のベース、ついに始めました。バンドメイトのM.Y.さんから永久貸与を受けた。どんなベースか聞かれても困る。4弦で低い音がでます。ウクレレの標準的なチューニングと同じ四度チューニングなんだけど、全体的に二度違うのでウクレレの運指は (あんまり) 役に立たない。最初の課題はきれいな音がでないこと。ポジションを変えるたびに左手でノイズがでちゃう。それから指が開かない。ウクレレとフレットの幅が3倍くらい違う。
 でも楽しいよ。座って黙々とベース弾く→ピンポン鳴る→立ち上がる→足しびれて転倒→悶絶→宅急便帰る。ストラップ買わねば。ボディにカタカナで「ジャコパス」って書きたい衝動にかられている。あるいはけいおん! シールをベタベタ貼って、痛ベースにする。しない。

知り合いの遺品であるところの、世界宗教音楽ライブラリー50枚届いた。楽しみ!! 午前中にベースとウクレレとボイトレ、午後にCDを聴きながらインターネッツ、涼しくなったらお散歩生活を目指す。ストイック!! ストイック!!

無関係の写真を一本に繋いだムービー、ぐっときた。通底するのは人生の重み、それぞれの人生のほんのひとコマにも物語があるって事実が説得力を増してる。制作の動機は単純だったかもだけど、結果として深みのある映像になってる。

5月28日 青空は天気雨

ここ数日 早寝早起きしてるんだけど案の定の寝落ち。二度寝三度寝よろこんで。早寝早起きは体に悪いんじゃないか? 人間は本来夜行性なんじゃないか?

きのうは毎度おなじみ音楽Ustream「おふとんの中からお送りするbelieve the music again」やりました。選曲微妙だったかな。ずっとベース抱えて選曲に時間を割かなかったから。

The Millenniumの8枚組ボックスが出るらしい。言っとくけどオリジナルアルバム1枚しか出してないバンドですからね。これ以上いくら注ぎ込めば許してくれますか?

Noel Gallagherがなんの因果かミュージックステーションに出させられた時のことをブログに書いてる。これ普通の反応だと思うよ。日本のテレビおかしいよ。

ももクロをエッチな目で見てる人っているんだろうか、という意味でアイドルとして新しすぎるしブレがない。

5月29日 四度寝から起きたしGoogle日本語入力で一発変換できるのは三度寝までだった

ベース弾いてる。いまの課題は右手の人指し指と中指でリズムが取れないこと。親指だったら安定するんだけどな、ベースは人指し指と中指を交互に出して弾くものとミューズに定められし運命なんだ。どうしてだろう。これをマスターしといた方が後々神の御加護があるんだろうか。
 世の中には努力というものが好きすぎる人がいる。この努力というものも、才能のうちであることが科学的に証明された。ヴァンダービルト大学のマイケル・トレッドウェイ氏の論文によると、死ぬほど退屈な作業をさせてPETスキャンとったら、左線条体と前頭前皮質腹内側部が「継続は力なりなのよ」、島皮質が「つまんないからやめちゃえば」って言ってることがわかった。天使の声を快楽に変えて継続できるかは体質、つまりは先天性の才能らしいよ。

原発再稼働を決めた福井県大飯町の新谷欣也議長が、「記者会見が遅れた理由は」「うんこしてたから」、「一言コメントをお願いします」「あ」、「集約できた形になりましたが感想は」「集約できましたという感想です」って応えたそう。虚構新聞かと思ったら映像あった。小学校の児童会長でもリコールされるレベル。死ねばいいのに。
 つねづね原発の可否については科学ベースで話そうよ、と言ってる僕だけど、この国が科学ベースで話すには乗り越えなくちゃならないバカバカしい壁がいっぱいある。おいおいみんな、21世紀だぜ。私利私欲のために甘いこと話してる場合じゃないんだぜ。

5月30日 ノーヒットノーラン

僕の人生なにかしらヒットを飛ばしたこともないし、最後に走ったのいつか思い出せないくらい走ってないので、ノーヒットノーランで褒めて欲しい。

ベースやってる。amazonからシールド届いた。これでネット上の練習用オケと自分の演奏が一緒に聴ける。相変わらず人指し指と中指の粒が揃わない。でもこれができないと弾けるフレーズが限られちゃうそうなのだ。ヒント : 尊敬するベーシスト、いかりや長介氏は全部親指で弾いてる。だめですか。地道な練習か。ベースに限らず楽器って難しすぎやしないか。もっとイメージした音がすっと出る楽器を誰か発明してくれないかな。
 オタマトーンデラックス欲しい。音階を弾くのは無理そうだけど、なんだか暴れた音が欲しいときにかわいいかなと思う。

音楽家や音楽評論家がその立場を利用して政治的な発言をする。それはいいんだ。でも音楽は楽しいもんだぜ!! 楽しいことを伝える仕事なのに楽しげなことを一言もつぶやかないのはなんか意図があるのかなと思う。まずあなたが楽しそうじゃない。だんだん目的がずれて、結局は政治家にでもなりたいのかね。
 かっこ悪くても粋でいたいけど、自分で粋っていっちゃうのが一番無粋な罠。蕎麦につゆは必要で、でもつけすぎると旨くない。先っちょだけつけるのが粋かもしれないけど、薄めたつゆで出汁の味と蕎麦の香りを同時に楽しむのが合理的ではないだろうか。

Facebookで一番よくわからないのが「あいさつ」って機能だ。別にコメントをつけられるでもなく、相手のTLに挨拶マークがでる。これでどうしろと。でもなんだかんだでFacebookのTLを快適にカスタマイズしつつある。

猫が猫じゃらしくわえてポンポンしてきた。無視したら一旦置いて、またくわえてくるっと回ってポンポンしてきた。出なおしてきましたのポーズか。やむを得ない。