DIARY 2012年7月


7月2日 めくるめくミラーボール乗って水星にでも旅に出ようか

きのうはUstreamやった。我が家は名曲の宝庫だな、敢えて最近聴かないCDからピックアップしたんだけど、そこはそれでキラーチューン満載のセットリストができた。問題は僕のお喋りだ。もともと喋るの苦手な上に、モニターに向かって独りで喋るのは本当に難しい。隣にいてあいづち打ってくれる美少女を切望する。放送終わったら終電ないけどそこはそれ。

tofubeats feat.オノマトペ大臣の「水星」に胸かきむしられてる。お二人と縁の深いS.R.さんに「一廻り下の才能を素直に認められるうちは老害じゃないですよ」って言ってもらえたんだけど、いや老害なんだよ。配信版の「水星」のジャケットがピンとこない。80年代っぽい画風で話題の若手イラストレーターさんの作品なんだ。80年代のダサさをリアルに体験した世代には画面の外の余計な景色が見えてしまう。僕が彼らくらいの頃、60年代のソフトロックやモッズに影響を受けたバンドを、年配のひとたちは「なんで今ごろ」って目で見てた。いま僕それやってる。
 老いることは恥ずかしいことじゃないし、同世代や年配の人とおつきあいするのと同じに、若い人ともおつきあいしたい。僕の日記やtwitterをみると、若い女の子とよく会ってるように見えるらしい。もし会っててもモテてないので。僕の本心とは別に、無難で枯れたおじさんとして扱われてるので。気の合いそうな女の子とは概ねつきあいたいと思ってる (男女交際って意味ですよ) 。でも運命や相性で対象が絞られたら、ほかの子はただの友達になる。女性で、知り合った時に恋人候補と友達候補にわけるって人がいるけど、その感覚ちょっとわかんない。

7月3日 あの子が気になる動画の中、あと少しだから臆病になる

吉川友さん、である。瀕死のハロプロ最後の切り札である。正統派美少女なのに喋りがちょっとおかしい。藤岡みなみさんみたいに、尊敬するとかつきあいたいとかいうおかしさではない。いろんなトークをごっそり見て、トータルでなんだかよくわからないのだ。テレビの司会者が「新曲はジャケット違いで4種類もでるんですね」って振ると、「このタイプCってのは本気の笑顔ですよ」とか言っちゃう。アイドルとしてはこれアウトだろう。セーフな人を思い出す。PUFFYが言ったらセーフだ。
 PUFFYは奥田民生さんの戦略がよかった。当時イギリスでシャンプーってデュオが流行ってて、リンスって名前でデビューさせられそうになったところを、同じ事務所の奥田民生が「そりゃ酷いよ」って拾ったらしい。かくしてPUFFYはだらだらしてていいことになった。ロックはだらだらしてていいのだ。希望のない世の中で無理に頑張らない、でも悲観的にもならないで今日をだらだら生き延びる。吉川友さんもハロプロ根性論じゃなくて、ルックスとキャラクターのギャップを売りにできないか。できなかったら我がバンドのセンターに抜擢する。僕が売り出す。

虎岩正樹さんが違法DLと二次制作が生みだす音楽ビジネスの可能性について書いている。Katy Perryがリークを装って新曲の動画をアップしたところ、熱心なファンがそれをネタに二次創作して何百万ものビューアーを集めた。これは音楽に対する冒涜だろうか。レコード会社やミュージシャンは「違法動画」を削除する権利を持ってるけど、削除しない権利も持ってる。彼女は削除しない権利を行使して、意図的に二次創作物で話題を作るプロモーションをした訳だ。で、この曲はキャピタル・レコードでは43年ぶりのヒットを記録した。
 「それを好きな人が全く参加できないコンテンツが死んでいくのは当たり前。世界中でそれを正そうとミュージシャンを始め、音楽業界が必死になって新しい試みにチャレンジしている。そんな中、日本はこの10月から勝手に参加したヤツは一律に罰するという選択に出たわけです。更にパロディさえも取り締まろうと言う動きが今日本では出はじめています。笑いの文化、二次創作を国が法律で取り締まるようになったらこの国の文化は本当に終わります」。

やんごとなき事情で4台めのこれを購入した。全部ビニールケースに入れ替えてるんでこの容量の数倍はある。いやいやコレクター気質というのが好きじゃなくて、僕は本当に聴きたいものだけ買ってるつもりなんだ。

映画「Back To The Future」で描かれた未来は今年のことだって。「現代の」ドクとマーティの再会の写真がこれ。

7月4日 男の子の日なので安静にしてる

はー、棚を一つ増設してCDを整理したぞ。これが埋まるようなら売却や譲渡も検討しなくてはならん。いろいろ思い出したんで、上半期ベストをYouTubeへのリンクつきで発表します。

10. Carlos Aguirre / Orillania
9. Clark / IRADELPIHIC
8. It's A Musical / For Years and Years
7. Jherek Bischoff / COMPOSED
6. Regina Spektor / What we Saw from the Cheap Seats
5. Kishi Bashi / 151a
4. The Narcoleptic Dancers / NEVER SLEEP
3. Hospitality / HOSPITALITY
2. Carlos Nino & Friends / AQUARIUSSSSSSS
1. Jhameel / CONTRAST

次点 : Adhitia Sofyan, The Beach Boys, Best Coast, Bobby Womack, Bright Moments, The Chieftains, Fanfarlo, Jason Mraz, Kathleen Edwards, Mouse On Mars, Pascal Pinon, Paul Weller, Rufus Wainwright, The Shins, Spiritualized, V.A. / Pet Sounds Revisited, 小沢健二, 篠原ともえ, tofubeats, トンチ

街の中に音楽を

7月5日 名前をつけて

上野のパンダに赤ちゃんが生まれた。思ったより早かったな。藤岡みなみさんが「今日、明日うまれても不思議じゃない」ってブログに書いてたの、当たった。双子じゃなかったから石原慎太郎に「センセン」「カクカク」って名付けられなくてよかったな。
 パンダの名前 : ちいちい
どうか。シメシメ、とか。ンダンダ、とか。ざわざわ、とか。ぱみゅぱみゅ、とか。パンダは尻尾が白いとことかデザイン的に興味深い。

今年一番の新しい才能、Jameelが来日してる。明日ちいさなカフェでライブする。観に行きたいけど明後日の我がバンドのリハに向けて著しく練習不足だ。Jameelたぶんあっという間に大ブレークして次はドームかもしれない。でもいまバンド楽しいんだー。
 あと体調がよくないってのもある。メンタルをやると、電車に乗るのが辛い。こないだ主治医に「イヤホンすれば苦じゃなくなった」って言ったらすごい進歩だねって。でもラッシュに重なるとダメだねー。家でベース弾いてるほうが楽しい。

ヒッグス粒子発見。宇宙が質量を持つ理由、銀河が星が人間が存在する理由がわかるかもしれない。48年前に存在を予言していたヒッグス氏は、その論文をCERNに却下された。今回ヒッグス粒子を発見したのがそのCERN。写真は発表を聞いたヒッグス氏と発見した研究者。

マンUってなんだかわからないけどすごくエロい。

7月8日 夢のないあなたへこの歌を届けよう

きのうは雨の中ベースを背負ってバンドの練習。課題曲はYo La Tengoの「Tears Are In Your Eyes」とTalking Headsの「Heaven」。難しすぎていろいろやばい、いろいろやばい、フリーダイヤルいろいろやばい。録音して聴いてみた。なんだ、わりとバンドっぽくなってきたじゃないか。次はBlurの「Song 2」をやる。いずれオリジナルも出していきたいな。

きのうの練習は、遥か加計呂麻島からA.K.くん上陸記念だった。島の話をいっぱい聞いた。生きることの残酷さ、力強さ、誰もいない海に浮かぶ月。我々の街の生活は、生き物が通過するべき経験をずいぶんと省略してきた。
 A.K.くんはおととい場違いな飲み会に呼ばれて島の話をしたという。そこにいた人々にとってのロマンチックは、夜景見ながら飯食って、「このあとホテル取ってるんだ」って鍵を見せるような、なんだかベタすぎてアレなものらしくて、A.K.くんの生活に好奇はあるけど興味はなかったと。で、日本の多くの人たちはまだそういう夢から醒めないと。ほんとかよ。バブル崩壊からもう20年だよ。僕も学生時代の知り合いと会ったら、会話が成立しないと思う。この日記が支持されないのも当たり前だ。僕は2012年のリアルを書いている。

薪を割ってヘトヘトになって風呂入ってジャガイモかじって、膝の猫と月を見ながらギター爪弾きたい。「何をしあわせと思うか、何を面白いと思うか。このふたつをたくさん見つけて大事にするだけでずっとしあわせで面白く生きられると思う。そんな甘い世の中だと思ってる (error403) 」そう、世の中って甘いのだよエラーくん。

FUJI ROCKが近づいてきた。しかし宿を取った人と連絡がつかない。誰かテントにおじさんを混ぜてください。僕のタイムテーブル案はこんな感じ。移動時間を全く考えてない。

7月9日 野生の力

猫がものすごい深い眠りに落ちてる。こいつに野生の力はもうない。一緒に駆けまわったり喧嘩する相手が必要だ。

細野晴臣さん65歳。お誕生日おめでとうございます。「Birthday Party」このレコーヨ死ぬほど聴いたよ。
 細野さんは世界屈指のベーシストだけど、ベース弾きながら歌うのは難しいとこぼす。自分のステージではギター持って歌ってる。ベースのグルーヴとボーカルの譜割りのずれが、ベースという楽器の存在意義のひとつでもあり、リズムの魔法でもある。ベース弾いてリードボーカルとれる人、ぱっと思いつくのはPaul McCartney、Sting、はなわ。あっはなわに出来るなら僕にも出来る気がしてきた。

僕が突然バンドを始めたことに驚いてる人がいる。いつも手探りで思いつきだ。このサイトを始めたのもそう。いまベースを安部王子さんにレッスンして頂いてるのはこのサイトのおかげだし、若い音楽関係の方に「読んでました」って言って頂くことも増えた。前はディスクレビューっぽいサイトだった。だんだんレビューするために音楽を聴くようになって、本末転倒だわーってやめちゃったけど。ミュージシャンのインタビュー読むと、よく「近所のお兄さんの影響で音楽に興味を持った」ってパターンがあるじゃんか。僕はその、なんだかよくわからない近所のお兄さんになりたかった。という意味で夢は叶った。学生時代、僕の音楽語りを聞いてくれる人なんてキヨコとT.N.と相川くんしかいなかったからな。
 手探りでやってきたことが形になっていくのは嬉しい。僕は音楽と同じくらい女子を愛してるし、折にふれて書いている。「山下さんの日記読んでました、つきあってください」という素敵女子の出現が待たれる。

だいぶ前の話だが、6月27日の日記に「海水力発電」ってどうなの? これ科学的にあり得なくない?って書いた。同じ疑問を持ってる方がいた。大飯原発はクラゲが大変だそうで、いっそクラゲでバイオマス発電したらどうか。

バーベキューに誘われてしまった。BBQ!! BBQ!! リア充かしら。どうしよう。...だめだわ私にはドレスがないもの。

7月10日 ひとりひとりは優しいのに

最近、もうすぐ日本にきて働くインドネシアの青年とチャットしてる。すげーなインターネッツ。「日本人はあんなに漢字覚えててすごい」って言うんで、「10年くらいかけて覚えていちおう読めるけどもう書けないよ」って応えておいた。
 いつか宗教の話をしてみたいと思う。チャットでは禁句だそうだけど。ムスリムがなんであんなに命を粗末にするのかわからない。わからないから知らなくちゃいけない。クレバーな彼ならば、客観的にイスラム教のことを教えてくれそう。どうかな、やめたほうがいいかな。

ナショナルジオグラフィック「光をコントロールすれば時間は止まる?」アメリカのコーネル大学は40ピコ秒時間の「穴」を作ったそう。読んでも8割方わかってないんだけど、コーネル大学で時間が止まったってことは僕の時間も宇宙の時間も止まったのかい?

著作権の切れた映画をUstream配信する「午前0時の映画祭」が面白そう。第一弾は「市民ケーン」。日本中の人がジブリ観るみたいに「市民ケーン」観る。「バラのつぼみ」で2chサーバーダウン。

7月11日 インラインで失礼します

「インラインで失礼します」という言葉を知った。インライン...そしてそれは失礼なのか。インライン関数で失礼します。インラインアセンブラで失礼します。インラインスケートで失礼します。ガー。

ベースのレッスン行ってきた。先生が僕の日記読んでた。偉そうにベース論語って実際だしてる音がアレだ。恥ずか死ぬ。いまの課題はミュートと小指。美しいフォーム。いろいろ考えてるとどっかがずれてガリって音出しちゃう。
 Lol Coxhill逝去。カンタベリー系のサックス奏者。Kevin Ayersの一連の作品で有名。子供たちの歌声や街の喧騒を大雑把にコラージュした「Ear Of The Beholder」ってソロアルバムが楽しくて大好き。

上野のパンダの赤ちゃんが亡くなった。生き物が亡くなるのはつらいな。この日記を読んでるそこのあなたもだ!! 100gちょっとの小さな存在がこの数日間で日本をどれだけほっこりさせたか。かたや和歌山の「アドベンチャーワールド」っていう施設では、12頭のパンダを繁殖させてそのうち11頭を無事に成長させていることはあんまり知られてない。

小沢一郎の新党は「国民の生活が第一」っていう、マンガの架空の政党名だったら編集さんに「これはちょっと」って言われちゃう名前に決定した。すごいよね、いままではなにが第一だったんだっていう。それがお前の仕事だっていう。鉄道会社の名前が「人を運ぶ」だったり本屋の名前が「本を売ってる」くらいすごい。

7月12日 だーいすきなのはー! ひーまわりのたねー!

考えたくないけど老眼きてるきがする。おっぱいとか書いてる場合じゃない。

友人によると、東京新聞の集金員は女子高生っぽい奨学生が多いという。新聞は20年ほど取ってないが、俄然興味が湧いてきた。いや、報道姿勢が、報道姿勢が。地方紙の方が本質に突っ込める性質がある。全国紙ほど目をつけられないし、そもそも全国紙は戦争中に大本営発表を守ったところが残ってると聞いた。NHKの集金員は幸薄そうな顔の人を採用するらしい。幸薄そうなおばちゃんには払いませんって言いにくいから。

夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」って訳した話は有名だけど、本当は「あなたといると月が綺麗ですね」って訳したらしい。どうなのかねそれは。僕が言ったら完全アウトだよね。

松永孝義さんが亡くなった。Mute BeatやLonesome Stringsで活躍したベーシストです。残念。

7月13日 猫がでますよ

今年の春にネモとクリマロが亡くなって、メイと二人暮らしをしてたんだけど、なんの因果か突然新しい猫を引き取ることになった。祖母がボケて自分の猫の世話ができなくなったんだ。たぶん10歳くらいの、人に全く懐いてない女の子。メイはメイって名前だけど男の子なんで、性格も性別も反対で心配といえば心配だ。2週間でスキル大好きって言わせたる。
 で、お披露目したいと思ってるよ、8月のどこかの週末に。新しい名前もつけたい。いまの名前はキラキラすぎる。ミーっていう。ミーミー鳴くからミーだって、その発想はなかった。「国民の生活が第一」くらいなかった。

今日はマッサージ→医者→薬局→床屋。僕の頭には中央に山脈がある。ものごころついた時からある。いや今もものごころついてる自信ない。で、それ乱視が原因で疲労物質が溜まってるんじゃないかって。ものごころつく前から乱視だったんじゃないかって。いやまだものごころついてないんだけど。
 薬局の看板娘いなかった。寿退社...。そんなわけないだろ。髪切ったら中のプリン体が露出して久しぶりに黒い。赤入れてみたけどだめだなこれはブリーチしないと。

デモ活動について小沢健二さんが面白い見方をしてる。日本の社会運動がいまひとつ冴えない背景は前にもリンク張った國分功一郎さんのこれに共感。
 それから橋下徹が文楽への予算を切るって話から、文化ってこういうもんだっていう小田嶋隆さんのテキスト。最初にすっごい長いCM流れるけど頑張って読んで。

Weezerの5年くらい前のアルバムが叩き売られてたんで買ってきた。ボーナストラックでうっすい日本の歌謡曲カバーしてた。日本の制作担当鼻がもげればいいのに。

7月15日 前の人は他人、横の人は他人

きのうは旧友、くまさんのうちに行ってきた。電車で片道2時間半。iPhoneでオザケン聴いた。すごくちっちゃくドアノックダンスした。
 趣味は人間観察って人の過剰な自意識を憂うくらいには自意識過剰な僕だけど、2時間半電車に乗ったら人くらいしか見るもんないよね。夏帆さん似と成海璃子さん似のガールズを眺める幸せ。降りて安岡力也さんが乗ってきた。車内の空気が一変した。降りてせんだみつおさんが鼻ほじったり爪噛んだり。オタクの集団が乗ってきて車内でツイキャス始めた。僕映ってた。オタクってほんとにステレオタイプな格好してるね。降りて原田知世さん18歳って感じの妖精乗ってきた。はい、電車楽しいです。

くまさんはネズミとピーナッツの国に住んでいる。お酒買って飲んで飲んで、そして僕はしゃべりすぎた (uh ah) 。日本のこと、社会のこと、原発のことから音楽やマンガや女の子のことまで。王様の耳はロバの耳みたいに、ときどきくまさんに会っていろいろ喋る。くまさんはうんうん聞いてる。で、飲み過ぎて泊めてもらって翌日も喋って、人んちで二度寝して帰ってくる。
 郵便受けに不在連絡票入ってた。明日はライフワークの郵便待ちの予定。

もずくうまい。

7月16日 リターンキーに猫の足

死んだ目で「クソワロタwww」ってつぶやいてるみなさんこんばんは。初夏の青空、草の匂い、扇風機で二度寝。そんな日々さ、そんな日々さ 毎日Ahh...
 最近憑き物が取れたような僕である。数ヶ月前までは考えて考えて日記を書くということをやっていたんだけど、いまはtwitterを眺め、猫を揉み、ベースを弾いてるだけで楽しく一日が過ぎていく。プール行きたいけどめんどくさい。ベランダでプール開きという手もあるな。

林雄司さんのツイートで、ニュージーランドにプカプカ海峡やオレオレロードがあることを知った。辿っていったらオレオレって街があるのだろうか、Googleストリートビューを進んだら、果たしてマンガプルプルロードに辿り着いた。ニュージーランドすごい。

ある種の化合物を酒で煮ると超伝導物質になるらしい。残りはスタッフが美味しく頂いたと思う。

残念女子超面白い。

7月17日 拒絶

祖母が飼い猫の世話をできなくなったんで僕が引き取ることになったよ、の日記を書いたけど、引き取れないことになったよ。絶縁状態の弟が、兄には渡したくないって里親を探してきたそうだ。いま僕もちょうど猫を探していたところだし、ピリピリと生きてきた祖母の猫に穏やかな時間を与えられると思ってたんだけどな、それ以前に人間関係の構築で躓いた。

猫がこないのは本当に残念だけど、かつて弟と呼ばれた男の人格も残念だ。彼のあるべき社会像・家庭像から逸脱した僕を、必死に蹴落として体面を保つことが、彼の小さな世界の業務なんだろう。彼は自分の人格と価値観に自信を持っているけど、その一方で無意識のうちにこういう世界の終わりに不安を持っている。高度経済成長期的なマッチョイズムはもう破綻してるし、少し遅れて彼の体面も破綻する。親戚全体古き悪しきエリート指向で、得てしてそういう人々が世にはばかる。僕浮いてる。彼らの価値観が崩れた時に、手を差し伸べる器は僕にないよ。
 弟のマッチョイズムを、僕は弱いなと思う。彼はそれを認めるどころか、気づいてさえもいないだろう。弱くて不安なのはみんな一緒なんだ。ということを曝け出せる関係になった時、それを愛と言う。猫愛も恋愛も人類愛も、弱さを見せない愛なんてものを僕は信じない。

この日記を読んでる中にも僕を憎んでる方がいる。僕が日本的な空気を読むっぽいアレが嫌いなこと、メンタルな事情で過激な言葉をかけちゃったこともある。こう見えても山下が本当は愛で生きているという可能性、その愛の定義が残念ながら皆さんとちがう可能性を鑑みて、大目に見てやってください。

モータウンのセッションベーシスト、Bob Babbitt逝去。Stevie WonderやMarvin Gayeの演奏で有名。A4用紙でCDを包む方法

猫はまた探すよ。家庭のバランスとして、猫1匹と人1人は難しい。うちに来るはずだった祖母の猫については、幸せな日々を祈るしかない。

7月19日 WATATTA

毎日暑い。もげる。いろいろもげる。そんな時には藤岡みなみさん提案のこのセリフ、「やっぱ沖縄きてよかったなー!!」。そうか、沖縄だから暑くて当然なんです。
 猫を引き取れないことになってがっくりしてる。きのうもきょうもずっと寝込んでた。猫がこない事実より弟の陰湿さと、それに気づかない世界に驚き失望している。体育会系が支配する金と嘘の世界もいつか突然終わるのだろうか。もう破綻した概念に縛りつけられた人たち。子供の頃、冷戦は終わらないしベルリンの壁は崩れないと思ってた。もうすぐ音楽の世界がやってくると信じたい。

僕は一時名刺の肩書きを「ロマンティスト」にしていた。いまは日和って肩書きなくしてる。いまいちどロマンティストを名乗ろうか。社会の変貌を願うロマンティスト。得てして「ロマン」という言葉は罵りの対象になりがちだ。「ポエム」とか「中二病」とかね。小沢健二さんが指摘した、「信者=Believerって言葉を悪く捉える国はほかにない」って話と同じ事だ。ロマンを持ち、言葉を綴ることはなにも恥ずかしいことじゃない。
 我が町に空港や原発が来れば盛り上がると考えてる人もある意味ロマンティストで、むしろ彼らのほうが詩人よりも現実を見てない。3.11になにも学ばないままトップに立ってる人も、「道徳教育先進校」を名乗っていじめの存在を認めたくない人も、現実を見てないロマンティストだ。

忌野清志郎さんの「WATATTA」って曲は、価値観の変化を歌っている。
 俺は河を渡った Oh 渡った
 暗い夜の河を 渡った 河を渡った
 ドロ水を飲んで おぼれそうになって
 助けられたりして そう俺は河を渡った
 俺は考え方が変わった Oh 変わった
 いくつもの河を渡った 俺は渡った
 なぜなの? 君と渡りたかった

そう、俺も河を渡った。

7月23日 ベースを抱えたジャイアン

日記書いてない間なにをしてたのか。バンドだよ。予期せぬトラブルとかあって、前日の段階で課題曲のコードを拾ってなかった。いわゆる一夜漬け。前任のベーシストを (お察しください) でお引取り願って、自分がベースを名乗り出た以上、彼よりいいベーシストになんないと話にならない。夜が明けて電車に飛び乗れ。左に座ったイケメンが、僕からついただろう猫の毛をつまみ、そして捨てた。
 スタジオはなんだかんだで楽しい。ベースアンプの前に立って弦をはじくと風がおこる。我々は轟音トイポップバンドですので。バンドのカラーを決めるグロッケンの音をどう拾うかが課題だな。それ以前に僕のベースが課題なのは言うまでもない。自分でバンドを立ちあげて、ほかのメンバーが僕の成長を生暖かく眺めてるいま。終わってハイボールごくごくおかわり。次の課題曲はVelvet Undergroundの「Pale Blue Eyes」だ。

きのうはUstreamやった。3週間ぶりなんで新譜スペシャル。つまり平均すると、一日一枚レコーヨ届いてるよ。聴いても聴いても未聴CD山脈が隆起するタイプの魔法だよー。既に持ってる音源を聴きこむってことをしたいんだ本当は。
 木曜日からFUJI ROCKだよ、驚いちゃうね。支度もしなくちゃだしタイムテーブルも吟味しなくちゃいけない。かつてPatti SmithがFUJI ROCKのステージに気高く立ち、向かいの丘を指さして「Beautiful Mt.Fuji...」って呟いたのを思い出した。予備調査はそれくらい大切だ。

ここ数日の心に響いた言葉たち。
 小沢健二さんの原発問題に対するテキスト。「しかし、原子力技術の実情を良く知る権力者たちや、ビジネス界や科学界は、『原子力で安い発電ができる時代になった』なんて絵空事を、少しも信じていなかった。エネルギー政策ではなく、軍事外交政策だ。正当な歴史を注意深く見ると、『原発問題』ってのがあるとしたら、それは軍事問題のように思える。たぶん、そうだ」
 田中泯さんいじめを見ている君へ。「君は、大人の『見せかけの本音』を見抜いているだろう。言い訳で身の回りを固めた大人たちの姿をカッコ悪いと思うだろう。君は親や先生や友達の前ではカッコよくふるまうだろう。でも、周囲に知人がいない孤独なときにこそ、カッコよく生きてほしい。僕が思う『カッコいい』の意味は、自分の生きている理由を自分で考え、自分の意思で行動できることだ」
 ウルグアイ、ムヒカ大統領のスピーチ。「質問をさせてください:ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ。根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということ」
 勝川俊雄さん漁業の乱獲についてのまとめ。「漁師は乱獲、小売りは乱売、消費者は乱食。この国の魚食には持続性という視点が欠落している。消費者は、自分たちが食べている魚の持続性について、真剣に考えないといけない。消費者・納税者の意識が変わらなければ、業界も、水産庁も、これまでのやり方を変えるはずがない。消費者には、消費活動に対する道義的な責任が発生するのは、当然なこと」。

ここからは軽い話題。
 800年前に持ちだされた曽我兄弟仇討ち縁の仏像が山形で発見された。ルンバよりずっと未来っぽいゴミ箱。その発想はなかった。ピアノという楽器の可能性。ぞくぞくした。インディージョーンズのテーマをアカペラでカバー。楽しそう。

「#死ぬまでに聴いたら確実に損すると思われる邦楽」ってハッシュタグつけて揶揄してる君のオンガクもレコ屋では邦楽の棚に置かれるのだよ。シーユー。

7月24日 オスプレイよりオスプレイ運んでる船のでかさが気になる

女性は我々が思うほど男性の目を気にしてない。痩せてるのに「痩せたい痩せたい」言ってる娘に「男は痩せすぎないほうが好きだよ」ってのはトンチンカンもいいとこで、男の目を引くために痩せたいんじゃないの、可愛い服を着るために痩せたいの。メイクもそうだ。自分がしたいからそうしてる。「男はナチュラルメイクの方が好きだよ」ってのもトンチンカンで、そういうのすると変な男がいっぱい寄ってきてめんどくさい。
 ところで僕はモテたくてダイエットしてるよ。

ちょっと前の産経新聞に、無記名で酷い社説が載った。卑怯を絵に描いたようなレトリックだ。これに対して毎日新聞が、記名でやんわりと軌道修正した。記者は藤原章生さん。23日の産経新聞に「陸上自衛隊が統合防災演習への協力を23区へ要請したら11区が拒否した」って記事が載った。これも指摘された中野区が「事実無根なんで記事の訂正を求めている」って声明を出した。
 昔は家で取ってた新聞しか読まなかった。ネットでいろいろ読み比べられるようになったのはいいね。産経新聞は全国紙で、これしか読んでない人は世界をそうとしか見れない。

今日はマッサージ行ってきた。体調の経年劣化についていろいろ試したけど、これが合ってるみたい。施術が終わると我ながら眼の輝きが違う。隣の小学校教師の店員さんへのナンパが凄かった。「ホタテ好きなの、親戚が青森で養殖してるから招待するよ」「肉好きなの、実家が足寄で牧場やってるよ」「温泉好きなの、今日終わったら伊豆行っちゃおうか」この店そういうのありなの!?っていうかナンパのスケールのでかさにびっくりした。

ファボる楽しさってさ、やむを得ずいかがわしい画像サイトに出会ったとき、この写真は保存する、しないを分別する楽しさに似てる。で、保存したやつ結局見返すこともないの。

7月25日 森の中で歌は生まれた

電球きれ太。オッスおら電球きれ太。

普段は極度のインドア派で、郵便受け見に行くのもめんどくさい僕だけど、FUJI ROCKに行ってくるよ。タイムテーブルはこうなりそう
 フジのどこかでぽつんとなった人は、twitterのsukiru_qlにメンション飛ばすかLINEのsukiru_qlにトークくれ。上のメニューのメールフォームも届くはずだよ。もちろん直アド直電知ってる方はそれでもいいよ。

生活や体調の都合で4年ぶりのFUJI ROCK。興奮してる。ネットとレコ屋とライブハウスで完結してるミュージックフリークにとって、FUJI ROCK信者もまた揶揄の対象になってる。なにかを信じる気持ちはとても好き。とは言ってもだ。いまさっきまで支度が全然できてなかったし、手をつける気力がなかった。あんなに楽しみにしてたFUJI ROCK。まる4年、入院以外の外泊をしてないんで、不安な気持ちに押しつぶされそうだった。なんとか荷物をまとめたんでこれからネルよ。
 Stone Roses終演後、ビール屋の前で鉢合わせるNoelとLiam。「おっおう」「おう」「よかったな」「よかったな、俺達がやりたかったのはこれだよな」「喧嘩してる場合じゃないな」「飲もうぜ兄弟」 → Oasis再結成、なんてドラマがあったりなかったりして。言うほど僕、Oasisに興味なかったりして。

スイスが違法ダウンロードを法的に認めた。ってことは違法じゃないんだけど、それと同時に政府が発表したコメント「新技術をアドバンテージとして生かせる人が勝者となり、その進歩に取り残されて、旧来のビジネスモデルに従い続ける人は敗者となる」。すごい、いろいろ正しい。

伝説のクソゲー「スペランカー」の音楽が子供の頃から好きだった。あれFrancois de Roubaixの「冒険者たち」を意識して作ったらしいよ。ISSの夜景が美しい。現実は時にSFを超える。

7月30日 きのうよりもーーーーっと!

FUJI ROCKから帰宅。歌は森で生まれて、人もきっとそう。たまにリアルに触れないと感覚にぶっちゃう。死ぬほど疲れて死ぬほど音楽に溺れたい。音楽産業終わったって言われてるけど、若いミュージックフリークは充分に補充されてるよ。幕間に、一番大きなステージのモニターにオリンピックの開会式のPaul McCartneyの映像が映って、みんなで「Hey Jude」歌ったよ。
 最後にやってもうたiPhone水没ババーン!! 本体にそんなに未練はない。ただFUJI ROCKで撮った写真と、あとでレポート書くために、ステージごとに吹き込んだボイスメモを吸い上げたい。iPhone水没した時は、電源入れたり振ったりしちゃダメらしい。家中のシリカゲルを集めてきてジップロックに密封して、パソコンや周辺機器の上でほんのり温めるといいらしい。僕は...振った (´Д` )

きのうの夜から頭を巡るアンセムは「踊る理由」。最後に片想いっていうバンド観てさ、文化祭みたいで甘酢っぱいの。僕の10代は真っ暗だったんで、あんな青春を送りたかったしいまから取り返す。そう、いままでのFUJI ROCKは音楽の神様に選ばれた人たちをただ崇めてたの。でもさ今年は「自分が出たい! あそこでベース弾きたい!」って思った。ヘッドライナーになりたいとは思ってないよ、会場にいっぱいある小さいステージで、どこの者とも知れず演奏したいのだ。
 歳くってから動き出す奴は、それまでの鬱屈した想いが溜まってるから醜いほどに本気だよ。恥ずかしいことはもうおおよそ済ませたよ。40で初めてのバンド組んで、それで出ちゃおうよFUJI ROCK。ほかのフェスはレコード会社ごとに枠が決まってるけど、FUJI ROCKは上手くなくても知名度がなくても事務所やレコード会社に所属してなくても、音楽の魔法と運命で声かかることあるっぽいよ。正攻法で鍛えあげていくより、アマチュアイズムを貫いたほうが受け入れられる土壌がある。

でで、リアルな話、我がバンドには楽器を演奏しながらリードボーカル取れる人がいない。誰か歌いませんか。女性がいいな。いままでの経緯を鑑みるに、僕という特殊な生活形態や考え方のことをある程度理解して頂ける方でないと難しい。メンボサイトに登録とかではない方法で、運命に身を任せてあなたの歌声が聴きたい。
 歌はね、ピッチやテンポが正しく取れなくてもいいんだよ。よれよれの歌声が誰かの胸を打つことだってあるんだよ。歌うのが大好きで、音楽性や人間性が合えばオッケー。いまのメンバーもUstreamやtwitterで偶然出会ったわけだし。運命は必然じゃなくて偶然で出来てる。ほんとにそうなんです、ほんとにそうなんです。

7月31日 早くもクーラーに頼る都会の暮らし

リモコンってあれがみつかればこれがなくなり、クーラーと扇風機が同時についたっきり消せなくて寒かったりしますね。あー文明社会。でもFUJI ROCKのリストバンドはまだ左手に。今日は快晴、フェス用具類を洗って干した。26日に聴いてたCDの続き、Esperanza Spaldingの歌声が日常を彩ってる。でもうちの低音が強すぎるオーディオにいよいよ耐えられない。で、たぶんこれ機材のせいじゃなくて部屋の特性のせい。
 メイがひなたぼっこして、いまは板の間で寝てる。布団で寝なさいよ。あちいからかよ、それとも寝室のクーラーが寒いからかよ。FUJI ROCKの期間中に猫を預かってもらってた動物病院に、「人1人と猫1匹だと家庭のバランスが悪いんで、もう1匹一緒に暮らす猫を探してる」って相談してみた。「成猫は貰い手がいないからすぐに紹介できますよ、ただメイちゃんほど人懐っこい猫ちゃんは診たことないですよ」って言われた。非常にすぐに、猫増えるかもよ。

Nothing Ever Lastsって米日混成バンドは、事務所に所属しないで、ライブ映像も音源も無料で配信してる。一度事務所に声かけられて、でもオーディションに落とされたことがあるそうだ。でもこんなニッチなミュージシャンたちが、ネットで地道にファンをふやして、もっと見たいと思わせてる。いまのミュージシャンは世界を変えられないけど一瞬の喜びを共有できるし、大金持ちにはなれないけど工夫すれば食っていける。
 ボーカルのnelはBBCで日本の音楽を紹介してる。AKBとジャニーズの寡占状態にある日本のヒット曲はバカにされてるそうだ。大衆に受ける音楽を作るのは「サラリーマンと変わんないじゃん」。でもそれは業界の構造だけの問題じゃなくて、日本人のリスナーは音楽の楽しみ方を知らない。みんな聴いてるから、流行ってるから聴く。ミュージシャンは自分が楽しむためじゃなくて、金のため会社のために演奏する。

数の論理の現状を書いた「世界はもうマネー・ゲームのツケから逃れることはできない」って記事は、「仮にグローバル経済が末期癌だったらどうなるのか。もちろん、最終的には経済が停止するのだから、現代の社会が音を立てて崩壊していく」と締めている。僕はいっそ末期癌であれと思う。博打うちどもの崩壊の音はやがて、美しい音楽に取って代わられるだろう。