DIARY 2012年10月


10月1日 おはよう10月

今日でコンパクトディスク30周年。SPの時代が25年、LPの時代が25年、CDも全盛期は25年だな。配信いいんだけどさ、一律mp3じゃなくて、値段違っても高音質でジャケットとクレジットがPDFでついてくるバージョンを選べるようにしてくれないかな。

地震が頻発してる。気になる。

10月2日 「SBのイー社買収劇」という見出しにみる、カレー粉会社がショッカー派遣会社を買収した感

今朝何食べたか忘れるのは物忘れだけど、今朝飯食ったか忘れるのは認知症だそうだ。ところで僕は今朝薬を飲んだだろうか。

ここ数日また暑い。こないだの寒さで出てきた秋の虫がやむを得ず鳴いてる。工事中の夕暮れ団地は窓が開けられない。猫が部屋にはいってきて「えっクーラー入れてる」って顔した。そんでびっっったり寄っかかってきた。彼女かよ。あちいよ。お前は暑くないのかよ。
 お天気いいんで河原に散歩にでかけたい気持ちがないでもない。タクシーで。いやむしろ河原が来い。

今日は深層心理に触れる夢を見て酷く疲れた。夢のなかで (亡) 父ちゃんに会いたいって泣いた。あの頃の父親、あの頃の先生、あの頃の上司の年齢を考える。みんな年下だ。年を取るのは悪いことじゃないけど、自分の変化より周りの目の変化のほうがずっと大きいのは困った。もうあんまり年いわない。
 同い年くらいのおじさんが「君はまだ若いからなんでもできる」なんて羨ましそうに言うの、隣で聞いててアホかと思う。自分がいま踏み出さない言い訳でしかない。僕は10代の頃より今のほうがずっと楽しいし好き勝手やってるよ。

来年の終わりにやってくるアイソンって彗星は、満月よりも明るくなる可能性があるらしいよ。
 プリンストン大学、アリゾナ大学、スペイン宇宙生物学センターの研究によると、生命体が岩に乗って宇宙を移動した可能性があるらしいよ。地球の生命が宇宙からきたかもだし、地球の生命が宇宙に行ったかも。

10月3日 恋にバンドに頑張ります!!

明日のベースレッスンに向けてマッサージ行ってきた。マッサージ屋さんにはマッサージ屋さんっぽいイージーリスニングがかかってるんだけど、向かいの雑貨屋さんでかかる有線にかき消されてしまう。選曲のコンセプトがわからない。チープなバブルガムポップからX-JAPANの英語カバーまで、特殊過ぎて曲順まで覚えた。何曲か気になる曲がある。「Cecilia」を豪快にパクったトロピカルナンバー。ひたすら「タカタッタカタッ」ってスキャットで押し通すラテンナンバー。マッサージ屋さん「うちの店にタカタっていうスタッフがいたんです」吹いた。選曲、というものを仕事にしてみたい。
 さて問題は明日のベースレッスンだ。僕がベース張り切りすぎることが、忙しいメンバーのバンド参加へのハードルをあげてる気がする。ベースはもちろん好きでやってるんだけど、前のベーシストを [お察しください] で解雇したがゆえのベーシスト就任なんで、自分でも自分のハードルあげすぎてるとこある。

高野寛さん「虹の都へ」のデモ音源を聴いた。この曲はミズノのCM曲として大ヒットして、スキー場の酷いスピーカーでかかってた。だからこの言葉の持つ内向性や狂気や、優れた音楽性に気づいたのはずいぶん後になってから。アルバムを買ってやっと納得した。そのアルバム「CUE」と次の「AWAKENING」は、BOOKOFFでTRFと同じくらい叩き売られてるんで、ぜひ買って聴いてください。もちろん近作も素晴らしい。
 PANDA 1/2が毎週放送してたUstream番組が自然消滅して半年、そういえば新しいスケジュールも入らない。ひょっとして活動中止...藤岡みなみさんを我がバンドに迎えるタイミングかと思ったら、きのう突然Ustreamやった。久しぶり過ぎて探り探りだったけど楽しかったー。あの2人が僕は好きだ。で、発表された新曲のPVはいままででいちばん藤岡みなみさんの可愛さが出てる。もちろん曲は超ポップ!!

WOWWOWのBeach Boys来日特集に僕と鈴木慶一さんが映ってたらしい。年配のお客さんが多い中で、年齢不詳の僕が全曲歌い踊るのが面白かったのか、どっかのカメラにまるまる2曲くらい抜かれてたのは気づいてた。

この映像を見ると、ライオンも猫の仲間だってよくわかる。声を聞いてうちの猫たちが甘えに来た。

最後の一文までまじでどうでもいい記事。先頭はやっぱり運転手だろうか。

10月4日 頭んなか、もじゃもじゃもじゃ

ベースのレッスン行ってきた。レッスンの前日はいつも緊張して眠れない。趣味でやってることなのにね。安部王子さんはすごく優しいんだよ。ただ昔から本当に尊敬してるミュージシャンだから、畏怖の念が空回りしちゃうんだよ。夜中からベースをケースから出したりしまったり。新宿西口の路上でアルコール摂取して、でもじっくり向かい合うとうわー弾けねえってなる。変わり果てた姿で無言の帰宅。気圧で耳おかしいし頭おかしい。ガイアが俺にハヨネロと囁いた。
 インポスター恐怖。僕はインポだったのか。しかし漠然とプラス思考にしろと言われても、できないできないできない!!

週末は朝霧JAMに行くよ。初めてだから痛くしないで。Lee "Scratch" Perry, Dirty Projectors, Narasirato, Dustin Wong, Tommy Guerrero, Oki Dub Ainu Band, Open Reel Ensemble...いくつ観れるかな。

10月8日 恋のキャンプサイト

恥ずかしながら帰って参りました、朝霧JAMからこんばんは。音楽の原初を観たかも知れないし今を観たかも知れない。そして間違いなくヒトを観た。素晴らしい体験だった。同行者の皆さん、出演者の皆さん、スタッフの皆さん、お客さんや富士山、ありがとう助かったよ。富士山の存在感は凄いな、信仰の対象になる訳だ。そしてフェスガールは可愛いな、アウトドア慣れしてないアウトドア感がいい。白い肌を太陽にさらす感じが。僕は柄にもなく陽に焼けた。どうしようかこれは。
 観たバンドは順番に、Open Reel Ensemble, Dustin Wong, 鎮座Dopeness & Doping Band, Tommy Guerrero, Wilco Johnson, Lee "Scratch" Perry, 七尾旅人, あらかじめ決められた恋人たちへ, Hypnotic Brass Ensemble, Dirty Projectors, Narasirato。全くノーチェックだった鎮座DopenessやHypnotic Brass Ensemble、フェス映えする気持ちいいバンドだった。楽しみだったOpen Reel Ensembleも圧巻のステージ、大好きなDirty Projectorsはおうちで聴くこととする。

メインステージの大トリにNarasiratoを持ってくるところに、朝霧JAMというイベントのおおよそが表れてると思った。たいていのフェスは、最後に音楽産業の事情でいうところの大御所、数字的に売れてなくてもいわゆる格のあるバンドが出てくる。朝霧JAMでは、南洋のソロモン諸島からふんどし一丁のおじさんがわらわらやってきて、竹笛と太鼓で踊り狂う。コールアンドレスポンスも何語だかわからない。ペポポトハーって言われたらペポポトハーって返す。で、踊りも見たことないけどみんな真似する。レインコートとパーカー着て臨んだのに、こっちも踊ってたら暑くて最後はTシャツだ。
 アワグラウンドとアワカルチャーとアワミュージックはアワアイデンティティだ、ジャパニーズはどうか!? \イエーイ!!/ ドゥユーラブミュージック!? \イエーイ!!/ それですべてオッケーじゃんか。眠りに誘うような音楽も、緻密に組み上げられた音楽も大好きだけどさ、たまにはバランスとらなきゃじゃんか。

小学校のキャンプ合宿から数十年ぶりのテントも楽しかった。草に寝そべって富士山に見守られて、朝のお湯が沸くまでの時間。夜には灯りを囲んでシュラフにくるまって、恋の話や音楽の話。なんでか男女男女交互に並んで寝たんで、ちょっとドキドキしたしBeckii Cruel思い出した。いつも猫抱いてる位置に、抱いてはいけない女の子の背中。
 もうすぐリストバンドを切ってお外が似合わないいつもの自分に戻るけど、どっかに置いてきた青春を、なんだかんだで取り返してるよこの人生。

10月9日 希望はないけど諦めてもいない

楽しいことがあると反動がくる。朝霧JAMの疲労と、楽しんでしまった罪の意識に苛まれて鬱状態にある。普段は社会のあり方に疑問を投げかけつつも、いわゆる社会の基準で「ふらふらしてる」自分を申し訳なく思ってしまう。つよがり言っててもだめなものはだめだー!!

身の回りでクラシックが流行ってる。たぶん聴くコツがわかれば面白いんだと思う。理論は数学で演奏は鍛錬で、出会えばなにかしら魔法が起きる。僕が聴かない、聴けない理由はいくつかある。
 ■ 1 クラシック一族に育ってしまった。評論家、指揮者、ピアニスト、声楽家、プロデューサー。上の世代への反発心が少なからずある。 ■ 2 クラシックファンのスノビズムが苦手。音楽史はクラシックと共に始まり今に至ると思ってる人。僕は5万年の伝承音楽が好きだし大衆音楽が好きだ。 ■ 3 楽譜至上主義、指揮者至上主義、技能至上主義の封建っぽさと体育会っぽさが苦手。アマチュアイズムが好き、ユーモアが好き、自由な発想と演奏が好きだ。 ■ 4 サビ以外の部分をどう楽しんでいいのかわからない。音楽的アイデアの焦点が絞られてるのが好きだ。

つまり。僕の中の制約がクラシックの制約をダメだっていうメタな構図にある。その壁は壊さなきゃいけない、僕はクラシックを聴いたほうがいいと思ってる。最初の一枚だけじゃなくて、地図を見せてくれると助かる。
 Glenn Gouldはイケメンだ。でも坂本龍一や菊地成孔に通じる顔だと思った。もじゃもじゃしてうまく説明できないけど、攻撃性ってキーワードかもよ。外に向かって攻撃的な顔による攻撃的な音楽は、わかりやすいわけだよね。僕はどうしても、細野晴臣さんや鈴木慶一さんの顔や音楽が生理的に好きなんだよ。っていう観点からもういちどサジェスチョン頼む。

10月11日 「インスピレーション信じてます!!」って言いながら理詰めで迫るガールはめんどくさいね、って話から最後は女性賛歌に持ち込む長編日記

僕は名刺の肩書きにBeliever (信者) って言葉を使ってる。小沢健二さんは「信じるって言葉を否定的に使うことはない」って言った。僕もそう思う。信じることは尊い。でも信者という言葉をどうも信じきれない日本の文化は、たぶん「インスピレーション信じてます!!」って言いながら理詰めで迫るガールと少し関係がある。

9日の日記に書いた、Glenn Gouldの話はちょっとした物議を呼んだ。Glenn Gouldの信者である「インスピレーション信じてます!!」って言いながら理詰めで迫るガールに怒られた。「山下さんはGlenn Gouldの魂の純粋さをわかってない」と。でも魂の純粋さはGlenn Gouldにだけ宿るもんじゃない。いろんな人に宿る。それに僕は、Glenn Gouldの魂の純粋さを否定した訳じゃない。そのガールが「音楽性が顔に出てる」って言ったから、顔の感想を書いたまでだ。実は演奏はまだ聴いてない。ひょっとしたら明日には、Glenn Gould最高!!って日記書くかも知れないよ。いまの僕は、一番魂の純粋な音楽家はBrian Wilsonだと思ってる。けどそれを共有できない人に怒ったりしないよ。
 大切なのは「真実はひとつじゃない」ということだ。ださいことの中にも真実はあるし、そもそも本当に大切なのは「真実」だろうか。と、嘘っぱちのモンキービジネス、ロックンロールを「信じてる」僕は疑問に思う。

過去にも似たような経験をしたことがある。僕はMoonridersというバンドが大好きだけど、Moonridersマニアの女性とは距離を置いてる。Moonridersのメンバーは常に視座をアップデートして、いろんな音楽に耳を傾けてる。リーダーの鈴木慶一さんとは、いろんなライブハウスでお会いする。最先端のエクスペリメンタルミュージックから音楽史上の大御所、日本のアマチュアバンドまで。Moonridersマニアの殆どの女性は、Moonridersとそのファミリーの音楽しか聴いてない。
 一度だけオフ会に行ったことがある。話題はメンバーのゴシップ的なことばかり、ほかのことには関心がない。正直居心地わるかったけど、大人の事情で「まあまあ楽しかった」と書いた。怒られた。「Moonridersのギタリスト、白井良明様がスパークリングワインを差し入れてくださったありがたいオフ会なのに、『まあまあ』とはなにごとだ、全面的にマンセーしろ」と。僕はスパークリングワインを差し入れる白井良明さんより、ギターを弾く白井良明さんが好きなんだ。

その人々ともうつきあいはないけど、ネットのそこここでたまに存在を見かける。メンバーを美化したイラストを描いて誉めあってる。彼女らはたぶん、鈴木慶一さんがきのう観に行ったDirty Projectorsってバンドのことを知らない。
 「お前もPANDA 1/2の藤岡みなみさんに鼻の下を伸ばしてるじゃないか」って言われるかも知れない。でも僕は、藤岡みなみさんの見てる世界と音楽に興味がある。みなみさんに鼻の下を伸ばしてる自分には興味がないんだ。イラストも描かないし、スパークリングワイン差し入れされても困る。もしも今後PANDA 1/2の感性が鈍ったり、音楽がつまらなくなったら、リアルタイムのファンを辞めるだろう。原田郁子さんややくしまるえつこさんやチャットモンチーやYUKIや、Juana MolinaやBjorkやPatti SmithやtUnE-yArDsやJoni MitchellやSally SeltmannやLiyana FiziやElizaeth MitchellやOlivia Merilahtiについてもそうだ。
 で。これは自分の音楽の楽しみ方が正しくて、女性たちが間違ってるって話じゃない。楽しみ方が違う、という話だ。

何人かの女性に「モテるのは簡単だけど、それやるとつまんない男にも声かけられてめんどくさいからやらない」って聞いたことがある。これ本音だと思う。それに対して男は本当にモテない。どうしたってモテない。男女の比率はそんなに違わないはずなのに。くまさんから明快な答えを頂いた。
 「男は別に女性一人に好意を集中させなくてもいい生物学的構造ですから、世の中の女性に向けられている好意の数は、男性の人数の数倍はある。男性は女性からonly oneになることを求められますから、厳しい」
 なるほど。この日記を振り返るに、藤岡みなみさんがいいだとか、緒川たまきさんがいいだとか、果ては薬局の看板娘がかわいいだとか、いろんなこと書いてる。女性はその熱意を、例えばGlenn Gould 1人に注いでいるのだ。

僕はいろんな女性に興味を持つけど、浮気をしたり、したいと思ったことがない。これから誰かとつきあい始めたとして、薬局の看板娘に「おだいじに」って言われたら、だらしない顔をすると思う。でも看板娘とどうこうしようとか、つきあってる人がいることを隠して近づこうなんて、これっぽっちも考えてないんだ。前にこう書いた。
 「気の合いそうな女の子とは概ねつきあいたいと思ってる (男女交際って意味ですよ) 。でも運命や相性で対象が絞られたら、ほかの子はただの友達になる。女性で、知り合った時に恋人候補と友達候補にわけるって人がいるけど、その感覚ちょっとわかんない」。
 つまり、ただひとつのやすらぎのためにいろんな女性に興味を持って、その好奇心をいろんな音楽にも向けてる。どこかに本当に自分好みの音楽があるんじゃないかって宝探ししてる。でも音楽は時代と共に変わってくから、永遠に自分好みの音楽なんてないのはわかってる (真実はひとつじゃない) 。女性は一緒に成長できるから、永遠の愛情というものを信じてる (それが誰かはまだわからない) 。

僕の肩書きがBelieverである所以はここにある。綺麗事だろうか。

10月13日 悲しみで花が咲くものか

twitterやってると社会的に困った奴ばっかりで、働きすぎの日本の社会がめでたく崩壊したかと錯覚しがちだけど、おそとにでると全然そんなことない。

きのうの日記について、件のGlenn Gould好きすぎるガールからは「もっと、もっとだよ!!!」ってリアクションを頂いた。山下はまだ混沌の中にいて、もっと突き抜けた方がいいって意味だけど、発言の主旨は汲みとってもらえたんじゃないかと思ってる。つまり。信じるのは尊いこと。大切なのは、客観的な視点を保っているか、信心を周りに押しつけてないかってこと。
 頭の中のもじゃもじゃを、中途半端な状態で放り出してんのは自分でもわかってる。僕はなんだかんだ言って、もじゃもじゃするのが好きなんだ。ある人に「あなたはインスピレーションで間違った方を選ぶ」って言われて、その通りだなって思ってから、もじゃもじゃ考える自分を否定しなくなった。「インスピレーションで生きてます」って人は、インスピレーションだけじゃ生きられないってわかってて強がり言ってんだと思う。

勘ぐりあい騙し合い、ばっかりしてたらヒトはとっくに絶滅してる。どこかで信じ合い協力し合ったから生存してる。って意味で世の中そんなに甘くない。そしていま、我々は絶滅の危機に瀕していると言えよう。
 「マジメか!!」 真面目なんです。健全か不健全かってば圧倒的に不健全だけど。ハイこの話おしまい。

ある政治家が「最近鬱病になる教師が増えてるそうですが、国会議員には鬱になるような心の弱い人間はいません」って得意気に語ったニュースで、医師が「鬱になりやすいのは心が弱いのではなく、責任感が強く仕事熱心な人で...」って解説をつけたらしい。いま世界には3.5億人の鬱病患者がいて、精神疾患は厚労省の五大疾病としても認められた。

超大掃除した。女子が突然きてもちょっと待ってって言わなくていいレベル。低反発マットも届いたんで、お泊りにくればいいと思う。ところで7000円払って買った低反発マットのサイズが違った話聞く?
 ゴッホの「糸杉」やゴーギャンの「水浴するタヒチの女たち」くる。イームズ展ある。Van Dyke Parksくる。

エキセントリックなものを崇拝して、それ以外を排除する人がわりとおおい。「研ぎ澄まされてること」より「粋であること」に音楽の喜びを感じるのは、僕がTokyo Shynessだからだろうか。Biff Rose「Molly」

10月15日 網戸の脆弱性

40過ぎてDJを始める人が増えてるらしい。懐かしい曲を共有するために、同世代の小さな世界に籠ってる。そういう人がいるのは実感としてわかる。僕がそうじゃないイベントを開いても若い娘を集客できないし、DJとして呼ばれることもめっきりなくなった。同類と思われているのだ。
 僕らやもう少し上の世代は、10代で洋楽 (産業ロック) に出会って、大学まで聴き続ける人が多かった。で、就職と同時に振り分けられた。音楽の奥深さに触れた人と触れない人と。触れた人は就職しても、40になっても音楽の海を泳いでる。比率は少ないけど、母集団が大きいんで人数的には珍しくない。
 就職して音楽を聴かなくなった多数派も、かつては音楽を聴いていた、自分は音楽好きだって自負がある。でも現役感はまったくない。新しい音楽を知らないし、新しい音楽の楽しみ方、価値観のアップデートもしてない。例えば当時は戦前のジャズを聴くとか、歌謡曲をエキゾティシズムで聴く、なんて文化はなかった。小林克也の紹介する新譜がすべてだったんだ。彼らはいまでも「80年代の新譜」を「80年代の耳で」聴いてる。もったいないな、と思う。
 ああ、僕はいつまでもつのかな。

Glenn Gould、YouTubeでいろいろ観た。面白い。例えばこんな風だ。「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」と「グレン・グールド 27歳の記憶」っていうドキュメント映画のDVDを買った。

猫がいつものように哲学的な顔でなにも考えてない。でも僕の不調を察知して優しい。チャイが僕の進む方、進む方に歩いて行くのは追いかけっこだったのか。ルール理解してなくてごめん。

オーストラリアの元兵士が、地上39000メートルからのスカイダイビングに成功した。ほぼ宇宙なんで気密服が破れたら体液が沸騰する。マイナス57度になるんで気球のプラスチックフィルムが危ない。きりもみ状態に陥る可能性がある。超音速でなにが起きるかわかんない。その孤独と勇気を思う。

おっぱいおっぱい。

10月16日 金色の空気

薄々気づいてはいたのだ、頑張れば多摩川まで歩けることに。3度目の秋が来て今日、ふと散歩してやらないでもない、と思ったのだ。金木犀の香りにいざなわれてっぽくもあった。てくてくてくてく歩いて、着いた。イメージとしてはシロツメクサの河川敷に寝っ転がって遠くにススキが揺れて、ときおり電車が橋を渡る...カタンコトンみたいなの。一面ブタクサかよ、座るところもないよ。しばし立ち尽くして写真を撮って、どうしても写り込むマンションと工場に頭を抱えて。空が広いなあ。ここまで歩いてきたってことは、同じだけ歩いて帰らなきゃいけないってことだ。…バスに乗った。
 バスは楽しい。こっちに越してからうちと駅と市役所くらいしか行き来してなかったからさ、「プレイタイム」みたいな不思議な景色を回って、ここどこだろうって不安になって、角をひとつ曲がると最寄駅に着いてた。果たしてこれは散歩だったのか。

CDが売れないことに関していま一番リアルな考察

10月17日 ラララ泣くんじゃないと

結婚を前提とした片想い

からの大失恋なう

10月20日 体重計はもう少し優しい嘘を覚えた方がいい

チャイが背中でマッサージしてる。メイは窓の外みてる。Phewさんが七尾旅人さんに「猫、いたいとこの上にのっけるとなおるよ」ってtweetしてたけど、これは本当。心が痛い時は心に猫を乗っける。

きのうはtwitterの若い友人の出演するDJイベントに行った。素晴らしい選曲。美味しい料理。素敵なガールたち。楽しかった。ありがとうございました。twitterにはネカマしかいない伝説あるけど、僕がtwitterで知り合ったガールはみんな非常にかわいいよ。
 その流れでオルガンバーへ。なんと小西康陽さんといろいろお話ができた。なんだ、小西さんすごいいい人。音楽への想いが真っ直ぐな人。酔ったふりして音楽誌が怖くて聞けないようなことズバズバ聞いちゃったんで、話の内容はここには書かない。

みんな忙しいね。楽しそうにしてるやつが許せない的な空気がこわい。忙しさのジェットコースターに乗ってるとまわりが見えなくなる。国家が破綻するかグローバル社会が破綻するまでは止まらないと思う。若い世代にはすごく期待してる。傍観者じゃなくて当事者として、新しい社会を迎えたい。
 っておおげさな話じゃなくて、もうすぐ僕はひとつの決断をするよ。

赤ちゃんクマを育てたらとてつもなく巨大になった話。ネズミは歌い、新しい調べを覚える。

忘却力!!

10月21日 さよならリグレット、もしくは恋愛魔法陣の脆弱性について

団地のどこからか、爆音でくるりが流れてる。たぶん留守の家で、猫がリモコン押したんだと思う。

失恋して出会いに飢えてるっぽいキャラでいたらまじでひかれた。
 普段からあの娘がいいこの娘がいい言ってるけど、僕がほんとうに片想いをしたのはこの40年で4人だけで、そのうち3人にはちゃんと告白した。結果はいろいろだ。で、4人目に出会った娘には恋愛できない事情があった。あまりにもさらっと言われたんでさらっと受け取ったし、手の施しようもない。だから意外と落ち込んでもない。

その娘への僕の気持ちは伏せたままいつか消えて、平然と話せるようになるよ。だいたい僕、前の彼女といまでも仲良しだよ。人として尊敬できて、空気を共有できるから恋をしたんで、その関係が恋愛じゃなくなっても尊敬や空気が消えることはない。
 そういう人とは縁があったら出会えるし、縁がなかったらどうしても出会えない。素敵なガールに出会ったらテンションあがるけど、そんなに恋愛魔法陣 脆弱な年齢でもない。

今日は暑かった。これからUstreamをするよ。ぜひご覧ください。

10月22日 暇って素晴らしい

本来僕は暇を愛する人間であり、そのように人生の舵取りをしてきたつもりだ。いつのまにか趣味に心を割きすぎて、趣味にかける時間と人間関係のプレッシャーに負けそうになってた。きょう、久しぶりに「暇って素晴らしい」ってつくづく思った。音楽聴いて猫揉んで、これ以上の幸せがあるだろうか。

きのうはUstreamやった。楽曲による視聴者の増減には関心があるが、そもそもの視聴者が少ないことはあんまり気にならなくなった。選曲にもお喋りにも気負いがなくなったと思う。もちろん見てくれるのはありがたいんで、むかし見てつまらんと思った方も、次回は成長した僕をよろしく。

侍誠會っていう暴走族のメンバーが掟を破ってリンチにあったという。掟とは「足立区の外に出てはならない」。足立区の外は何があるかわかんないからな。

最近みつけたちょっと洒落たCM映像。LF wheresMissLowry音楽はマイカ・ルプテさん。Unlock the 007 in you. You have 70 seconds! 売上に繋がるとは思えないけど。

10月23日 なんで猫はなにしても許されるんだろうって考えたけど許してるの私だった、もしくは暇の素晴らしさとは要するに

進化の果てに暇はある。世界平和のために音楽にできること、から自分のために音楽を奏でること、は進化だ。金のために働くこと、から自分のために時間を使うこと、は進化だ。世の中そんなに「しなくちゃいけないこと」は、ない。

前にも引用した、動物行動学の名著「ソロモンの指輪」にあった「真の文化を持つ暇さえない現代文明人の少々ばかげた忙しさは、動物には全く縁がない。勤勉の象徴であるミツバチやアリでさえ、一日の大部分を何もせずにすごす」っていう一文との出会いは、趣味の人間関係にさえ頭を悩ませてた僕を随分身軽にしてくれた。
 猫はなにかのためにうんこを製造するだろうか。自然に出るのだ。意図的になにかに貢献してない猫は不幸だろうか。うちの猫は幸せだと思いたい。そして結果として周りの人を幸せにしてる。一日の大部分を寝て過ごし、猫じゃらしが近づいてきたら手を差し伸ばす。暇の中の変革を的確に捉え、飽きたらまた暇に戻る。

本を開くと中から三次元の世界が現れる360°Bookが素晴らしい。20世紀の歴史的資料にオンラインでアクセスできるGoogle Cultural Instituteがすごく面白い。

これか、例のゴーストライターの誤爆は。

10月25日 薄いiMacで大根の桂剥きしたい、もしくは暇の素晴らしさもう一声

暇についての日記、すごいアクセス叩きだしたが意図は伝わってるだろうか。
 貨幣経済っていうルールに則ってると、それが宇宙のすべてのような気がしてくる。宇宙人グレイがインフィールドフライを気にしてるだろうか。宇宙人ベムがオフサイドを気にしてるだろうか。宇宙的にはなくてもいいんだそんなルール。「でも会社辞められる訳じゃないしね」。簡単に辞められるよ。
 坂口恭平さんが10年前に現れたら、ゴミ屋敷の主人や街の発明おじさんとおんなじ扱いだったと思うんだ。いま彼の話に真剣に耳を傾ける人がいるってだけで、この10年すごい価値観進化した。正しい進化かはわかんないよ、ただ価値観の多様性を認められる時代になった。もうすぐだよ!!

twitterに悲観的なことしか書かない女性をミュートした。僕なりに彼女に声かけたけど届かなかった。彼女の人生を思うに、人を愛したり信じたりが困難なのはわかる。でも「愛なんて綺麗事、どうせあるのは肉欲だけ」って呟いたって、寄ってくるのはちんぽこ男ばっかり、メビウスの輪だ。人は彼女が思ってるより、愛したり信じたり尊敬したり感謝してる。っていう世界への入り口を自分から閉ざしてる。
 twitterで流れてきた自閉症の子供の言葉。「僕はがんばって賢くなる」。つまり「笑顔である事。幸せである事。正直である事。誇りを持つ事」

新しいiMacは薄さのために光学ドライブを排除した。誰もiMacに薄さなんて求めてない。次はMacBookの番だ。僕はいまだに好きな音楽をMix CDにして配ってる。隣に最高にドン臭い光学ドライブを置くか。民生用アナログカッティングマシンがあればな。
 Appleの光学ドライブ嫌いはジョブズの生前からだし、iOSのMapを自作したのもジョブズの意志のような気がするけど、そういう意表をついた方策を成功に持ち込むのも彼の手腕だった。

10月28日 山に登る決意がある者だけ多摩急行に乗りなさい

佐藤博さんが亡くなった。Tin Pan AlleyやHucklebackのピアニスト、キーボーディストだ (事実上松任谷正隆さんはCaramel Mamaのキーボーディスト、佐藤博さんに替わってTin Pan Alleyってバンド名になった) 。続くYMOは、細野晴臣さん+佐藤博さん+林立夫さんのバンドになるはずだった。代わりに入って座りしままに天下餅を食ったのが坂本龍一だ。それからも細野晴臣と交流を持ちつつ、ファンキーなキーボードを活かした素晴らしいアルバムをたくさんリリースした。特に打ち込みのセンスは「素粒子レベルのリズムへのこだわり」と評された。最近は青山テルマのプロデュースで大成功。スポーツ新聞の見出しが酷い「ドリカム音楽監督の佐藤博さん」て...「リポビタンCMタレントの王貞治さん」みたいな。
 「後ろ向きに歩くより、前向きに歩く方が楽。嘘をつく言い訳を考えるより、正直な方が楽。諦めるより、やりたい事を続ける方が楽」。楽だから真っ直ぐ歩んだ音楽も、音楽人生も素敵だ。

Bass, Bass, Bassの日々。26日は安部王子さんの個人レッスン。いままで僕は必要以上に緊張してたのだ。安部王子さんほんとにずっと尊敬してるベーシストで、僕なんかが教わっちゃっていいのかしらって。前回のレッスンの時に安倍さんがいつも教えている音楽学校の話を伺って、ひょっとして僕は心意気的にはいい生徒の部類なんじゃないかと思った!! 初めて前の日ぐっすり寝てレッスンに臨めた。真摯すぎることは時に自分を無駄に追い込む。
 27日はバンドの練習。スタート時間に誰もきてないっていうね (´-`) .。oO モチベーションとプライオリティの問題だ。メンバーにとっても魅力的なバンドじゃないと。お試し加入メンバーのカッティングギターとアンデス、ヴィオラが加わって方向性が開けたかな。お休みメンバーのキラキラエフェクトギターとグロッケンの可愛い音色が加わったら、相当オリジナルなバンドになる。まだまだ発展途上なんで、メンバーチェンジを繰り返しながら音楽性を固めてくつもり。いろんな方が関わってきたけど、完全アマチュア志向っていうのはキープしたい。

石原慎太郎が都知事を辞任して新党を結成した。中途半端なリセット願望と中高年の石原軍団信奉、日本的父性信奉が合わさって、意外と議席を取っちゃうんじゃないかって危惧してる。都知事の座は、自民党総裁になりそこねた石原伸晃が世襲するんだろうか。
 イタリアでは、こんな政治なら犬に任せたほうがましだってフレンチブルドッグが知事選に立候補したらしい。都知事選には猫を出したらどうか。うちの猫は賢くて慈悲深い。当選の暁にはお抱え運転手の座を手に入れたい。

藤岡みなみさんのトークショーにいった。「前もって入場料を振り込んだ方はこちら」って言われて座った席が一番前。本屋さんの一角なんで、ほんとに目の前にみなみさんがいる!! でもそれを意識させない。オーラがな...ステージのない会場でも客席とのけじめをつけるプロ意識。
 内容は成都でのパンダ飼育体験のこと。前に観にいったスリランカ紀行のトークは感動的ですらあった。今回はだいぶリラックスして、笑いのセンス炸裂。休憩時間に、構成を考えてMacBookの画像ファイルを整理するみなみさんの姿に真摯さを見た。

15日の日記に、若いミュージックフリークに壁作られてる感の話を書いた。僕は若い頃から、歳を重ねても感性の衰えない恩師や上司や音楽家を尊敬してきて、我ながら無理なくフレキシビリティを維持できてると思う。でも若い人に期待されてるのは「20年前わたし産まれた頃のお話をして ねえダーリン、わたしあなたの話とっても大好き お金で虹が架かる空」、つまり思い出話的なことなのかなってジレンマがあるよ。

10月29日 iPhone音声認識の限界

iPhoneファイブを買った。尻と話した。未来きた。この日記は音声入力機能を使って書いている。多分いろんな意味でどちらかると思う。なうとか口に出して言うの恥ずかしいなう。
 ソフトバンクショップでiPhoneの後をくださいって言ったらiPhoneファイブですねとたしなめられた。どっちだってえーやん。ファイブは男性の手のひらにフィットする大きさで持っているだけで楽しい。の小さい方は両手で使う感じかなぁ。動作も早くて気持ちいい。おすすめ。この夏に2g電波が停波して医療機器を誤動作させる携帯電話はなくなったそうだ。

寒いのでデロンギを出した。こないだまでクーラー入れてたのに。猫があったまっている。僕もあったまっている。今夜は月がきれいだった。
 テリーキャリアがなくなった。70年代に活躍した優しいソールを歌うシンガーソングライター。しばらく音楽活動を休んでいたけれどフリーソウルとして再評価されて最近またアルバムを出していた。残念です。
 ナショナルジオグラフィックで入手した科学的な豆知識を披露する。足の臭い人はかに刺されやすい。僕はこの夏1度もかに刺されませんでした。僕はこの夏いちどもかに刺されませんでした。大事なことなので2度言いました。ほらと散らかった。で始まる分が苦手みたい。猫たちがはよ寝ろと囁いている。誤変換はイマジネーションの入り口。

(句点はテレ入れました)