DIARY 2013年5月


5月1日 I've never known a girl like you before.

きのうは藤岡みなみさんの新バンド、藤岡みなみ&ザ・モローンズの初ライブに行ってきた。バッグにPANDA 1/2の缶バッチつけたままだった。行きの電車で気がついた、あぶなかった。PANDA 1/2脱退から半年、寡作だった前のバンドの反動なのか、どんどん新曲をアップロードしてたモローンズ。曲は気に入ったけど詰めが甘いような気がしてたんだ。ライブ観てそんな懸念は払拭された。初ライブにしてロックバンドとしてのグルーヴやばかった。メンバーは藤岡みなみさん (Vo) ヒロヒロヤさん (Key) ネロさん (G) の3人、つまりリズム隊がいない。レコーディングではヒロヒロヤさんがベースを弾いて、ドラムは打ち込みだったみたい。初ライブに向けて、リズム隊を加えた5人で相当リハしたんじゃないかな。みなみさんものびのびしてた。
 終演後、みなみさんとお話する機会が。「リズム隊をメンバーに迎え入れる予定はないんですか?」なんて出過ぎたことを言ってしまった。「待遇面次第ですねー」って冗談で返してくれた。頼んでないのに僕のアイコンのポーズしてくれた。ええ娘や。

ほかの出演者は水曜日のカンパネラ、ウィスパーボイスの椎名林檎みたいな、でも飄々とした策士みたいな、その芸風を貫いて欲しい。南波志帆さん、LD&K系列の黒髪の少女ってイメージだったけど、ステージ上の彼女はすっかりアイドルであった。完全に振り付けられて、熟れたMCでフロアを煽り、肌の汚い男たちが腕を挙げて踊る。キラキラして素敵だったけど、生バンドで聴きたい。3人目はAZUMA HITOMIさん、本人のキーボード、足ベース、リボンコントローラー、エフェクター、MacBookで四つ打ちのデジポップを繰り広げる。歌謡曲っぽいメロディを歌いあげちゃうのが気になった。最後の曲は本人の生ベースで、天井間近にセッティングされたバスドラはセットだったのか稼働したのかよく見えなかった。
 つまりはガールばっかりのイベントだったんである。そういえば朝ドラで人気の能年玲奈さん、バンドやってるらしい。水色のムスタングを選んだのはなんで? って思い返したら「ソラニン」の宮崎あおいさんか。

今日は安部王子さんのベースレッスン。明らかに練習不足でした。ほんとうにお恥ずかしい、申し訳ない限り。技能的なレッスンというよりは、コードやリズムの歴史からフレーズのなりたちを教えてくださる。技能は自分で練習するしかない。今日知ってびっくりしたのは、9世紀にキリスト教会が、シンプルだったヨーロッパの民謡を体系化して、グレゴリアン・チャントにまとめあげるときに参考にしたのが、トルコやインドの音楽だってことだ。
 ところでイヤホンって洗濯すると音がしなくなるんだ、知ってた? (´-`) .。oO 音楽なしの移動つまんない。Walkmanが発売される前、もちろんゲームも携帯もなかった頃、みんな電車の中でなにしてたんだろう。帰りに電機屋に寄った。クラッシック音楽に合わせて指揮の真似事してたおばさまが店員さんに威張ってた。クラッシック! クラッシック! 店員さんや業者さんや駅員さんや近隣の国々に威張る人は、みんな自分と同じように血が通って、泣いたり悩んだりして生きてることに想像が及ばない人だよ。買ったイヤホンは癖があったけど、iPhoneのイコライザーでなんとか許容範囲になった。アプリも試してみよう。

「ロックバンドらしからぬ姿」になっちゃってダイエット休暇してるギタリストがいるらしい。日本のロック観、日本のロックファン。海外にはBlack Francisという凄い人がいてだな。日本にも澤部渡さんっていうかっこいいデブがいる。どうでもいいけどDev Hynesって人もいる。「彼、ダイエットに失敗して本気でロックに取り組んだら面白いよね」って安部王子さん。
 おととい公開した牧伸二トリビュート音源は完全に滑った格好 (´-`) .。oO 21時に作り始めて、なんとかその日に間に合わせてあのクオリティで出した勇気をですね...。基本的にG, D7, Cのスリーコードなんだけど、イントロだけA9, D7, G6で、僕の拙い演奏ではのっけから間違えた印象だ。しかも3億年ぶりのウクレレで、きれいにシャッフル弾けなかったんでひたすらダウンストローク。歌も全然歌えてない。1番は「やんなっちゃった節」の原曲で、19世紀にPrince Leleiohoku (本物の王子様) が書いたハワイのラブソング「Ta-Hu-Wa-Hu-Wai」、2番はその曲にRalph Freedが英語詞をつけた「Hawaiian War Chant」、3番は牧伸二さんのバージョンに僕が詞をつけました。追悼にやり直しはないんで、ブラッシュアップする気はない。

5月5日 2ndDTDJ

今日は仕込まれた飛び入りとしてDJします。19:00より武蔵小山JANIE JONESさんにて。チャージ無料です。
 久しぶりなんでちゃんと作りこんで臨みます。自分でも予想だにしないセットリストができた。新しい扉を開いたのではないか。12日のイベントとはまったく違うポップなセットです。張り切ります。穏やかなマスター、居心地のいいお店、美味しいご飯。ぜひ遊びに来てください。

で、そのための仕込みに励んで日記を休んでたのかっていうとそうでもない。ソファーを迎え入れることにしたのだ。いつもベッドに寝そべってMacBook開いてんの、どう考えても体に悪い。でもメインの机がいわゆる家具調こたつで、オーディオや家具類もその目線にセッティングされてる。つまり普通に椅子を買うと家具を全部入れ替えなきゃなんである。そこへ「ソファーでいいじゃん」っていう天啓が降りてきて、届くまでに部屋の掃除をしてた。
 あとは何してたのか...自分でもわかんないよ (´-`) .。oO

5月2日は忌野清志郎さんと青木達之さんの命日。自分の余命をわかってラストアルバムで「RCサクセションが聴こえる」って歌った清志郎さん。FUJI ROCKを愛した清志郎さん。いま生きていたら、この世の中を見て何を歌っただろうか。
 「嫌韓中右翼やレイシストは処女厨と一緒」っていうブログが話題になった。言葉遣いが下品だけど、書いてあることは面白い。女性に処女であることを執拗に求める人は、たいてい童貞だ。それとおんなじように、中国や韓国の人々を知らない、おんなじ人間だとわからない人がレイシズムに陥りやすい。想像力の欠如だ。

5月3日は憲法記念日。日本国憲法の作成に携わったBeate Sirota Gordonさんのインタビューが興味深い。「世界中の憲法を改正して、平和を謳った『9条』を」の一言が重く響く。江川紹子さんの「改憲バスに乗る前に」。改憲議論の前に、憲法についての大事な話をわかりやすくまとめてる。
 前にも紹介した、「通常『みんな (多数決) で決める』のが民主主義だが、憲法には『みんな (多数決) で決めてはいけないこと』が書いてあるのだ。少数派の人権を多数者=権力から守る叡智が立憲主義 (nogamiさん) 」っていうツイートを思い出す。

にこにこぷんのじゃじゃまるの中の人とピッコロの中の人が結婚したらしい。ポロリは実生活でもそういう役回りなのか。
 ハー俺がわかりやすくて腹黒くてあざとかったら人生どんなに楽かと思うよ。腹黒さやあざとさは別にいいけど、わかりやすくなりたいとは切実に思う。

5月6日 Summer Day, Summer Beach, Summer Sun

きのうは武蔵小山JANIE JONESさんにて、3億年ぶりになんちゃってDJやりました。遊びにきてくださった皆さん、本当にありがとうございました。JANIS JONESの早乙女さんと皆さん、主催者のMさん、誘ってくださったUさん、ありがとうございました。
 カフェDJとしては振り切ったボリュームで、様子を伺いながらのプレイでした。セットリストはこんな感じ...。

Sound & Vision / The Sea And Cake
Sur Ton Repondeur / Notre Dame
Trouble You Cause / Guther
Remember / Lali Puna
Mr. E's Beautiful Blues / Eels
Friends Of Friends / Hospitality
My Name Is Yozoh / Yozoh
Let's go travelling / Waa
Funny Feelin' / Ya-To-I
Another Satellite / XTC

Sei Mesi Di Felicita' / Armando Trovaioli
Big Yellow Taxi / Maire Brennan
My Name Is Jack / Manfred Mann
Life Is Good / I Used to Be a Sparrow
Das Modell / Robert
Tour De France / Kraftwerk
- ツルっとフランス子守歌 / ペダル踏也 [電気グルーヴ]
- Tour De France / Kraftwerk
Neon Lights / Luna
Bad Worn Thing / Wire
Peek A Boo / Devo 2.0
C.M.C. [Live] / The Roosters

1周目は穏やかなポストロックとエレクトロニカをさらっと。2週目は美しい映画音楽から始まってだんだん頭おかしくなって、最後に「C.M.C」をどうしてもかけたかった。「Tour De France」と「ツルっとフランス子守歌」のマッシュアップはもう10年以上やってる定番ネタ。
 いやー楽しかった!! こういうのをやりたいんだよ僕は。飲んで喋って終電のがして、友人に車で送って貰った。こんな田舎までどうもすみません。武蔵小山に朝までいたら、今週1週間は昼夜のリズムが狂ってた。写真は隠し撮りされてタイムラインに流れてた僕のDJ姿。やっぱり無駄に乳がでかいな。いまなら揉み放題 ヽ(・ω・)ゝ☆

で、(出来る範囲で) かっこいいオレ、でブースに立ちたくて行き掛けにジーンズ買った。デブ時代のダボダボのジーンズ、ベルトしないと3歩で足元まで落ちるサイズで、そこだけヒップホップの人みたいだったの。古着屋で働いてたお洒落な友人にアドバイスを貰った。いろいろ回ると疲れちゃうから定番のリーバイスショップで、店員さんに「スラっとしたいんです」って相談すること、向こうはそれが仕事なんだから恥ずかしがらずにしっかりと!! わっわかった、やってみる。
 初めてのお使いくらいの感じでジーパン長短2本買った。僕にもできた!! サイズは38から30になってた。でで、次はシャツのダボダボが気になる罠。

同世代やちょっと下のロックフリークがときどき思い出す、「3x20 Music From British Independent Record Companies」っていう新星堂の作ったコンピ。凝った選曲と確かな解説で、いま聴いてもいいなって思う。新星堂ってそういうお店だった。レコード屋さんがリスナーを育ててた時代のことだ。
 Cedric Brooksが亡くなった。サックスプレイヤーって紹介されてるけど、レゲエから中南米へリズムの冒険をした方って印象。

5月8日 星の歴史、人の歴史、愛の歴史、歌の歴史

きのうは素晴らしいものを2つ観た。ひとつは4月27日の日記で紹介したマーティン・スコセッシのドキュメンタリー映画「サバイビング・プログレス」、もうひとつは七尾旅人×櫻井響×CANTUSの全員ボーカルバンド、VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE!の初ライブ。

VOICE!...については「凄い」という頭の悪そうな形容詞以外まだ浮かんでこない。渋谷duoはガラガラで、新しいことが起こるのはこんなタイミングなのかも知れない。ライト兄弟の初飛行を見たのが2人だけだったみたいに、ガラガラのduoで僕は観たよ、声の新しい可能性を。

最初に登場したのはオルタナ聖歌隊CANTUS。美しい歌声とハーモニー、天使みたいな佇まいに心奪われるけど、よく聴くとアレンジメントがかなりおかしい。曲によってはずっと通底音を歌ってるメンバーがいて、あれ循環呼吸…ってことはないよねえ。次に登場したのはヒューマンビートボックス櫻井響さん。サンプラーで声を重ねてジャズからサンバへ、ケチャへ、ソウルへ。グルーヴの気持ちよさはもちろんだけど、アラビアの微分音階を歌いこなすピッチも凄い。続いて七尾旅人さんが登場。喘息の咳が辛そうで、マイクに頭を打ちつけては不甲斐なさに迷う。でもそんな緊張感も、「知能指数の低そうな客」の緩い空気にだんだんほぐされていった。

「ぼくらのひかり」は、歌による意思表明の新しい形だ。震災や原発事故に対して被害者面をしたり、無責任に励ますのは簡単だ。でもいまのロック・ミュージックにできること、語るべきことはもっとほかにある。七尾旅人さんは原爆が落とされた1945年から福島での事故が起きた2011年までを、架空の物語を通じて丁寧に描いてみせた。僕たちを焼き尽くした光をカイロにわけて、新しい光に変えなければ。いまは寂れたこの町に、新しい力を招かなければ。
 「原子力の平和利用」を最初に提示した人たちは、それが危険なことはわかっていたはずだ。でも安全だと説明しなければ仕事を失う。説明しているうちに自己暗示にかかって、ついに危険を口にする人はいなくなった。いま歌うべきことは、「全部嘘だったんだぜ」の一言で済むようなシンプルなポーズじゃない。

休憩を挟んでついにVOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE!が全貌を現した。46億年の歴史絵巻を声だけで鮮やかな景色にした。エフェクトをかけた七尾旅人さんのカラフルな歌声、櫻井響さんの確かなグルーヴ。即興。擬音。そしてそれを彩るように、自分たちのテンポでハーモニーを奏でるCANTUS。演奏は30分以上続いたと思う。ロックオペラでありポエトリーリーディングであり、でもなにかに喩えることのできない、声による表現の新しいフェーズを目撃した。呆然とした。そしてこれは大事なことだけど、僕は彼らの演奏をとてもポップだと感じた。
 VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE! VOICE!は、これからもどんどん変貌して、いろんな景色を描いてくれると思う。ぜひ子供に観て欲しい。もちろん子供の心を持った、あるいは子供の心を忘れた大人にも。

「サバイビング・プログレス」の話をするよ。ネタバレですよ。
 この映画の前提はとっても簡単。人類の歴史のうち99%は狩猟生活をしてて、その時に培った闘争心と瞬発的な判断力 (短期的な利益追求に走る思考) は僕らにも残っている。5万年前に作られた脳というハードウェアで、文明を手にした先に行き着いたのが、いまの経済至上主義だ。でもそれはもう破綻して、人間は滅亡への道を歩み始めている。

それに対して、この映画は明快な答えを用意していない。用意できるほどお気楽な状況ではないってことだ。いろんな人のいろんな意見がカットアップされていく。遺伝子操作で藻からエネルギーを取り出せる、これこそが未来の姿だって言う人。地球の資源がなくなったらほかの惑星に行けばいいって言う人 (かのホーキング氏だ) 。地球の天然資源が生みだす利子だけで暮らせるように、人類がダウンシフトするべきだって言う人。でも暗に言いたいのは、5万年のハードウェアのOSをアップロードして、長期的な視座に立って思考しなくちゃってことだと思う。
 ただそれを、「神の視点」って言っちゃうのはちょっと気になった。本当に長期的な、俯瞰的な視点に立って人類が生き続けるには、神を畏れる心がないといけないと思うんだ。

はー語りすぎたな。映画は単館で1日1回の上映で、でもお客さんは数人だった。たぶん経済至上主義の暴走に加担してる人は忙しすぎて観れないし、観てもピンとこないと思う。で、その1回の上映が終わってVOICE!...が始まるまでの3時間、PRONTOで独りで粘るのは精神力との戦いであった。
 前髪を自分で切ったらパッツンになっちゃった。森おじさん。森魚さんの帽子の中身。ちょっとなに言ってるかわかんないです (´-`) .。oO
 TOKYO ROCKSが流れて時間ができたBlurが、香港でレコーディングしてるそうだ。ステヤンなにかしらの役に立った。今日びっくりした映像は実在する無限階段。1分40秒くらいから見て。
 写真はGoogleストリートビューに映った新種の猫。

今日ぐっときた言葉は「パチキス」...寝ますね。

5月9日 シェーさせていただきます

人のアラ探してばっかり よくまあつかれないもんだ
泣いた子供を笑わせるには 花でも咲かそうか そうだ

そして僕には落ち込むことばっかり舞い込んでくる。都合のいい仮想敵か憂さ晴らしの皿か。よくまあつかれる。
 グローバリズムとナショナリズムはコインの裏表だ、内田樹さん「日本の現在地」。植物は隣の植物の声を聞いてるかも知れない。

ソファー届いた ヽ(・ω・)ゝ☆ ちょっまっ俺より先に座るな。

5月13日 落ち込むなと言われて落ち込まないくらいの信念があったら最初から落ち込まない

きのうは3億年ぶりのなんちゃって主催イベント、「believe the music again vol.2 夏音。oO 記憶喪失」やりました。遊びにきてくださった皆さん、Ustreamを観てくださった皆さん、出演してくださった皆さん、渋谷guestのコバカツさん、本当にありがとうございました!!
 メンバーにはDJ初級者もいたけども、みんなリスナーとして耳が肥えてるんで、選曲サイコーでした。特にM.Y.さんのMacBookを使ったパフォーマンスは、アイデアとユーモアに溢れてて、パク...参考にしたいなと思いました。僕のセットリストです。

Flim / Aphex Twin
Dzil Duet [Traditional] / [Unknown]
Underground-Cocek [Traditional] / Goran Bregovic
Can You Dig It? [Fatboy Slim & Simon Thornton Remix] /
 The Mock Turtles
Outrageous / Paul Simon
Rainin' Through My Sunshine / The Real Thing
We've Only Just Begun /
 The Frank Cunimondo Trio Feat. Lynn Marino
Stepping Stones / G. Love & Special Sauce
Bed Bugs / TriBeCaStan
From A Logical Point Of View / Robert Mitchum
Blue Light Yokohama / 種ともこ

Green Grass Of Tunnel / mum
Living Proof / Cat Power
Masengo / Mulatu Astatke & The Heliocentrics
Andadura / 細野晴臣
Tenere Taqqim Tossam / Tinariwen
Sunshower / Dr.Buzzard's Original Savannah Band
Ensemble of Wolof Tribe [Traditional] / [Unknown]
Ready Set Loop / SBTRKT
The End Of Time / Computer Magic
Material Girl / Petty Booka

で、イベントは成功だったかというと...今後の課題をあぶりだす結果になった。
 とにかくお客さんが来なかった。いろんな箱で動員記録を作ってたのもいまは昔、「人脈の老化」がひとつのキーワードかも知れない。みんな社会的に責任ある立場になって、趣味に時間やお金を割けない事情が伝わってきた。僕たちはいろんな世代の人とつきあいたくても、若い人たちはそう思ってなかったりね。同世代で閉じこもっちゃうのはもったいないと思うけど、いまの僕たちが若い人たちにとって魅力ないんだったらしょうがない。
 もうひとつ、お客さんがずっとスマホいじってるのも気になった。もっと積極的に話しかけたりイベント性を高める工夫をして、お客さん同士を繋いでいくべきだった。好きな曲をかけるだけだったらUstreamでいいわけで、やっぱり笑顔を見たいから外でやったんだよね。こういうこと書くとネガティブって言われちゃうけどさ、「ポジティブじゃない奴は人生損してる」みたいなベッキー的強迫観念で生きてる人も大変だろうと思うよ。人生は損得でできてるんじゃない。
 とにかく少し時間をおいて、リベンジさせてください。まずは僕らが魅力的なおじさんになるところからだ。

10日にはKraftwerk、11日にはKen Stringfellowのライブを観にいった。どっちも素晴らしいショーだった。感想はあした書きます。今日は疲れた。寝ます。

5月14日 おれ音楽好きすぎてきもい

遡って10日はKraftwerk観てきた。「おじさんはテクノをKraftwerkから語りだす」みたいな言われ方するけど仕方ないんだよ、Kraftwerkは歴史じゃなくて時空の始まり、ビッグバンだからさ。現代音楽の領域にあったシンセサイザーの可能性を根本から覆して、テクノって美学に昇華したわけだ。いまのテクノはKraftwerkの掌の上から一歩も踏み出してないよ。めんどくさいのは70年代末にテクノポップっていう紛らわしいムーブメントがあり、その直撃を受けた世代が暑苦しいということだ。

僕が観にいったのは「Trans-Europe Express」を全曲演奏する日。大好きなアルバムなんで速攻チケット取った。S席Aブロックはそういう暑苦しい世代で溢れてて、昔話してるおじさんうるせえなと思ったら開演20分前に泥酔で連れだされた。彼のKraftwerkは幕があがる前に終わった。開演!! 表打ちで手拍子かよ…。ベースライン絶叫かよ...。Kraftwerkのクールネスと温度差すごいよ。
 でも3Dメガネが音楽に集中させてくれた。鈴木慶一さんのレポートを引用するね。「3Dメガネはいい効果を生みます。孤立して観ているのですが、たくさんの映像が目の前に浮遊する。さらに孤独感を増すんです。人間は孤独であり、たくさんの情報を目の前にしているが、結局宇宙空間でひとりぼっちなんだなあと思ったのです。ただしコミュニケーションは取りたいと言う強い意識があるんですね。すべての曲が人間レクイエムに聞こえました」。さすが、これにつけくわえる言葉はない。

即興で演奏されたVOICE! VOICE! VOICE!の3日後に、完璧に構築されたKraftwerkのショーを観るギャップ。「ドイツ人でありKraftwerkである私たち」を演じる4人を呆然と眺める日本の私だった。チープでキュート、微動だにしないメンバーが奏でるダンスミュージックの享楽を堪能した。
 「Radioactivity」ではFUKUSHIMAの名前を挙げて、「いますぐやめろ」と日本語で歌ってみせた。自分たちの素性や思想を伏せて、徹底的にイメージコントロールしていた20世紀の彼らは、放射能の性質をただ淡々と歌詞にした。そんなウィットを楽しんでもいられない21世紀の現実を突きつけられて、大きく心が動いた。素晴らしい、素晴らしいライブだった。

11日はKen Stringfellowを観にいった。フロントアクトは柴田聡子さん。真っ直ぐ届く美しい歌声、不思議な押さえ方なのに安定したギター、シンプルなのに出自がわからない印象的なポップソングがポロポロとこぼれ出た。そんでトレードマークのメガネを取ると可愛いっていう少女マンガみたいな事実。続いてのスカートは、澤部渡さん弾き語りのスタイルで。ご本人は自分がロックじゃなくてポップであることを常々強調してる、そのこだわりを知りたい。テンションを多用した「わかりにくい」タイプのポップソングなのに、小気味よく刻むギターのリズムとイケメンな歌声にぐいぐい引き込まれた。
 直枝政広さん。アコギで名曲の数々を、胸かきむしる瑞々しいポップロックを奏でる。僕の美意識の根っこを作った方の一人、枯れる気配が微塵もないのは凄い。「俺は歯並びが悪いんで...澤部くんみたいに口笛吹きたい。澤部くん入れるかな?」。やっぱり直枝さんを聴いて育っただろう澤部さん、口笛はもちろんコーラスまでばっちり入れてきた。

ついに主役のKenが登場。ギター1本でオフマイクで歌い出して反応を伺う。ポップソングが大好きで仕方ない、悪戯っぽい笑顔がはじけた。やがてピアノの前に座ってポロリポロリ。もっと前においでよって椅子をステージにあげてお客さんを呼び込む。美メロに続く美メロ、乾いた歌声が描き出す音像に客席が揺れた。柴田聡子さんを招いて、客席の真ん中でデュエットも披露した。近いよ!! Ken近いよ!! 直枝政広さんともデュエット。遠いよ!! Ken遠いよ!! わかりやすいおじさんだった。
 終演後に出演者の皆さんとお話できた。Kenには「あなたのサインが欲しいけど、ここにあるCD全部持ってるから買うもんがない」って言ったら、「まだ東京でライブあるから全部持ってこい、全部にサインしてやる」って笑ってくれた。嬉しい。死んでもいい。嫌だけど。twitterの皆さんにもやたらと声をかけて頂いた。なんでかと思ったらこの写真、柴田聡子さんの後ろでスポット浴びてるのが僕です。ずっと光ってたらしい。どうしてこうなった。大満足でお店を出て、何も考えずに来た電車に乗ったら各停だった。通り過ぎてった特急が終電だった。ありがとうございました (´-`) .。oO

今日はイベントの片付けをしながらたまってたCDを聴いた。チャイはソファーをいたく気に入って、メイはやっぱりお布団が好き。僕はソファーの前に寝そべってtwitterしてた。それにしても、CD750枚売却しても減った気がしない我がCDラック...査定額には満足してる。
 Tomato n' Pineってアイドルグループのアルバムがシティポップとしてすごくいい。良くて売れないパターンに陥らないといいなってtweetしたら、「もう解散したよ」ってレスきた。1時間前にファンになったのに、瞬殺で解散きた。

息苦しさ漂う社会の空気って記事。レイシズムは日本人の「得意な振る舞い」によって静かに広がっていく。マクドナルドのハンバーガーの腐らなさ、保存料やばいって写真がちょっと前に流れてきた。でもあのサイズのバーガーは、湿気が抜けてどれも腐らないらしい。マクドナルドを敵に回す俺ってロハス、みたいな空気あるけど、「こうあって欲しい」を信じる前に検証するのは大事だなー。警視庁が振り込め詐欺の新しい名前を「母さん助けて詐欺」に決めた。いちおう用意していったC案が通るパターンのやつや。
 猫が靴下の匂いを嗅いで口ポカンになる理由フクロウの体重の測り方がかわいすぎる (*´∇`*)

長いな!! 最近の日記は長いな!!

5月15日 スーデラ節

きょうは幼馴染みじゃないけど幼馴染み的なアレと一緒に、実家のあったあたりを散策。ひさしぶりにのんびりした。いつも暇なんですけど、いつも暇なんですけど!! 気分的にゆったりできたな。
 長いこと廃墟になってたかつての実家は、来週には取り壊されるっぽい。知らなかった。子供の頃に通ってたピアノ教室、おたまじゃくしを取りに行った根津美術館。長いこと工事してて新しく建った建物が素晴らしくて、コレクションも当然のように素晴らしかった。3000年前の中国の青銅器から琳派の屏風絵まで。東洋美術の教養がないんで、構図やデザインの斬新さに、ゴーギャンやセザンヌの気分でびっくりした (喩えが尊大) 。おたまじゃくし取ってる場合じゃなかったな。

つまり僕の実家があったのは西麻布だとか南青山だとかいう場所。住んでた頃は嫌いだった。住所いうと驚かれてお坊ちゃま扱い受けるしさ。大昔、なんにもなかった頃からあそこに住んでたんだよ我が家は。周りの商店街や長屋街が、美容院やブティックに置き換わっていくのも寂しかった。故郷が長渕剛的な野望に潰されていく気分だった。
 経済的な事情で離れざるを得なくなって3年、ようやく客観的に眺められるようになった。確かに外から見れば、お洒落で楽しい異空間だ。あんな街に生まれ育ったのに、僕にはお洒落な要素が1ミクロンもない。あの頃の近所の子供たちはみんなお洒落な要素が1ミクロンもなかった。ほんとだよ。カフェを見つけてはぐうたら休憩。こういう時間が欲しかったんだわ。

帰りの電車で立派なサラリーマン様に「音が漏れてる」って怒られて平謝りしたけど、ほんとは遮音のためにヘッドフォンしてただけで音楽はかけてなかったんだ。そんな人生です (´-`) .。oO 平日にTシャツで電車に乗ってる茶髪のおじさんはそれだけで罪だ。Facebookを中心に生息してる、山下をdisりたすぎる「インターネット良識派」の皆さんもそうだよ。仮想敵として都合がよかった僕が、だんだん本当に敵に見えてきて幻聴に怒ってる。誤解を解く気も、復縁を望むほどの関心もなくなった。
 僕が不器用なのは生まれた時から、ミルクを飲み込めなくて病院に連れ込まれたんだぜ。おおよその動物が本能的に持ってる嚥下中枢が機能しなかった。要領のいい方々にとっては僕の言動は理解できないし、苛立たしい存在なんだろう。

他種を「家族」に受け入れる動物たちって記事。自分が猫を家族に受け入れてるから疑問に思ったことなかった。いまだにフリーダムさには驚かされるけど。イヌとヒトは共に進化したって記事もいい。
 Harry Nilsson、未発表曲が50曲も入った17枚組ボックスセットが出る。エー買うのか...買うしかないよなあ...。Paul McCartneyのステージでファンがプロポーズした。サイコー!! だけど断るに断れない雰囲気だ。

5月17日 出かけよう...この部屋は暇すぎる

暇すぎて猫に遊んでもらってる。

やることがないんで必然的にインプットの日々。ベース弾いてライブ行ってベース弾いてライブ行って。明日はCANTUS、ERにも行きたいし柴山一幸さんや谷口マルタさんにも行きたい。Computer Magic来日するのか...ローソンチケットわかりにくくていやだな。当日券で入れるかな。
 石野卓球さんのインタビュー「808 Stateやアシッド・ハウスを最初に聞いたときに、Residentsとかを最初に聞いたときを思い出して。聴いてはいけないものを聴いてしまった」っていうのは面白いね。僕も80年代のメインストリームの音楽には違和感があって、もっと古いものを聴きつつ新しいものを探してた。Lamb Of Godのライブでファンが事故死した。バンドの声明と遺族の対応が誠実でいい。ロックのあり方が変わろうとしてる。大友良英さんがドラマのテーマ曲で1位を取ったそうだ。テレビないけどドラマが面白そうなのは伝わってくるし、能年玲奈さんがバンドに加入してくれるなら、アジカンのコピーバンドになることも辞さない考え。でもその前に大友良英がなにものであるか、いろいろ聴かせて反応を観察したい。

デイリーポータルZの黎明期のパソコン誌の記事を読んだ。驚いたのは、今は「スペースバー」って言わないという事実だ。もうひとつ驚いたのはタモさんの変貌だろうか。僕が初めて触ったコンピューターはIBMのメインフレームで、FORTRANっていう言語を紙のカードに穴開けて入力した。コマンド1行がカード1枚、並べて重ねて読み込ませるとなにかしら実行してくれる。カードの束を落とすなよ、落とすなよってフラグに忠実に、落とした。順番がぐちゃぐちゃになって穴開け作業からやり直した痛い思い出。

TANITAの体組織計によると僕の体内年齢が20代に突入した。敢えて書かなかったけど最初に乗った時は56歳って言われた。優しい嘘を覚えろよって思った。レイディオエキササイズ最強 ヽ(・ω・)ゝ☆ 自慢かってば自慢ですよ。大自慢です。ご機嫌です。

5月19日 光のからだ

きのうは熊谷充紘さんの企画するシリーズイベント「光のからだ」の第1回を観てきた。

若葉のエコー」ってサブタイトルがついて、レギュラーとして聖歌隊CANTUSとお菓子のnicolas、ゲストにコトリンゴさん。下北沢の富士見ヶ丘教会は70年以上も信仰を見守ってきた趣深い建物。陽のあたる緑の庭で、マカロンを食べながら聖歌を聴いた。CANTUSは古典的な聖歌も歌うけど、太田美帆さんのお茶目でエッジの効いたアレンジで、カラフルな解釈を聴かせてくれたりもする。でも一番の魅力は、穏やかで仲良さそうな佇まいかも知れない。ゴーゴーコーラス部と鳥の声を交えての演奏を楽しんだ。
 会堂に入って数曲歌ってコトリンゴさん登場。初めて聴いた。柔らかくても確かに耳に残る歌声、でも楽曲は非常にアカデミック。新作はストーリー仕立てのコンセプトアルバムだそうで、そういうのが好きだった時期もあるけど、正直いまは3分で完結するポップソングを愛したい気持ち。でもいい意味で、間違いのない天啓の音楽。窓の外ではさっきから飛び回る鳥の声、そして小さな子供の声も聴こえてきた。最後はCANTUSとゴーゴーコーラス部を交えて、足踏みや手拍子の立体的なリズムも楽しい演奏。いい時間だった!! 晴れてよかったね。
 で、お陽さまを浴びると死ぬ体質の僕は、美しい時空間に当てられて体がジャンクを欲して、駅前でシャカシャカポテトを貪り食った ヽ(・ω・)ゝ☆

夜はババカヲルコさんに声をかけていただいて、四谷天窓のライブイベント。トマト焼酎「ラ・トマト」っていうお酒を飲んだ。想像以上にトマト、スッキリして旨かった。
 最初に登場したSeattle Reese'sさんは、女性SSWシーンでは珍しい瑞々しい青春ポップを歌う。この界隈は、主観的な情念をダダ漏れさせるシンガーが多くて疲れちゃうのだよ。伸びやかでグルーヴィーな歌声と、コケティッシュな存在感に魅了された。続いて登場したババカヲルコさんは、ダークな世界観なんだけど客観的で創作的で、表現者としてアイデアに溢れた方。あの言葉にあのメロディ、あのピアノをぶつけた時の化学反応を悪戯っぽく聴かせる。何度かお会いしてるのに、ほんとうのほんとうはどんな方なのかなかなか見せてくれない。全部持ってっちゃったのはトリのAo-Neko。コミックバンドを装いながら、山本加津彦さんの曲の完成度、川島葵さんのエンターテイメント性、確かな演奏力で聴かせる策士集団だった。終演後「かっこよかったです!!」って声をかけたら、「感想『かっこいい』であってます?」って聞き返されちゃった。あってますあってます、そういうのすごくかっこいいです。
 今月はライブ行きすぎてインプットがショートしてる。今日も行きたいライブがあったけど、消化不良気味だったんで家でぐったり、楽器をポロポロ爪弾いた。アウトプットしたい!! ちょっと前から頭にあるメロディを曲に仕上げるよ。

砂漠にゼロから巨大都市を作って、1週間後に全部燃やしてしまうパフォーマンス「Art & Culture of Burning」のレポートを見た。美しくて楽しそうで泣きそうにせつない。そして重い。David Grubbsの新譜が素晴らしい。
 「東大で一流の音楽レッスンを始めたわけ 最初から良いものだけに触れる」はクラッシック!! の嫌な一面を象徴するような記事だな。音楽は蒼氓の声から始まった現象で、いわゆる俗的なものも体験しないと耳も心も育たないし、ちっぽけな七等星だってちゃんと輝いてるんだぜ。
 Alan O'Day逝去。山下達郎作品の英語詞をほとんど手がけてた方。本国でもヒット曲や提供曲がいっぱいある。楽曲のクオリティは高いけどサウンドへのこだわりが薄くて、デモ盤→1st→2nd...と時代をくだるごとに残念なプロダクションに翻弄されていった。

玉川上水の森が、戦前に立てられた道路計画のために伐採されようとしてる。5月26日に小平市で住民投票がある。でも小平市長は、投票率が50%に満たなかったら開票さえしないと言ってる。小平市民でも知らない方がいっぱいいる。ぜひ声をあげてほしいな。
 政治家の暴言が続いて、反応するのも辛い。「日本の恥」とか「所属議員への迷惑」とか果てしなくどうでもいいので。その言葉によって、世界の誰かが胸を痛めたり死んでいくことが問題なので。

楽しい音楽を聴こう。「心が折れそうになった時に見る川合俊一画像」を見よう。

5月22日 涼しくて少し暑くて、飛行機ですごしてるときの感じ

もうあったかいうどんの季節じゃないなって、あったかいうどんを食べながら思いました。

きのうはベースのレッスン。また付け焼刃のコソ練で臨んだ。やっぱりマメで根性がないと楽器は身にならないな (´-`) .。oO まさかのタイミングで安部王子さんに見て頂けることにならなかったら、とっくに投げだしてたと思う。
 で、僕のベースは完璧にぶっ壊れてた。店頭ではどうにもならなくて、メーカー修理に出した。そのつなぎとして、安部さんが見たこともないベースを貸してくれた。ダンエレクトロってメーカーらしい。かわいいピックガードはいかにもハサミで切り貼りしました的な、安倍さんが自分でつけたんだろう。家に帰ってこれ弾いてみて、大変なことに気づいた。ずっとぶっ壊れベースで練習してたんで、弾いた音は勝手に減衰するものと思ってた。つまりミュートって概念がなかった。いや厳密には、押さえてた弦を半離しすることでミュートっぽくしてたんです...。開放弦はいろんな意味で開放しっぱなしだった。ものすごい基礎的なところから再スタートだわ。

夜中に急な呼び出しを受けて、夕暮れ団地のはずれのスナックに行った。お客さんこういうところ初めて? 状態で緊張したけど、カラオケがあったんで歌ったら楽しくなってきた。小さくてもステージで歌うのは気持ちいいな。スナックのお客さんにロックやファンクは受けなくて、「熱き心に」や「愛のさざなみ」を歌ったら、こんな時間に起きてていいの? っていうおばあちゃんに受けて意気投合のハグ。午前3時とかだよ。スキルはスナック遊びを覚えた!!
 で、愛されるおじさんと愛されないおじさんの境を明確に目撃して、なんで僕が愛され側なのかわからなくて怖い。っていうのはどこがきっかけであっちサイドに落ちるかまったく見えないからだ。あのおじさんのあの言動がダメで、俺はなんでオッケーなのか。俺もあんなこと言うぞ、普通に。

Vampire Weekendの新譜やっと届いた。こうきたか...期待してたものとはだいぶ違うけど、すごくいいな!! Van Dyke Parksの新譜もやっと聴いた。サイコーすぎる。細野さんやハナレグミも届いた。まだ聴いてない。Ustreamさぼってる間にずいぶん新譜がたまっちゃったな。今週末にでも久しぶりにやるか。
 The DoorsのRay Manzarekが亡くなった。むかしキスした女の子が教えてくれたバンド。その娘は同時代の音楽しか聴いてなかった僕に、Oldies But Goodiesな音楽をいっぱい聴かせてくれた。で、自分がバンドを組んでベーシストがいませんよってなった時、Ray Manzarekができる人を探したのだ。見つからなかったから僕がこうしてベースを弾いている。

5月27日 わからんちんどもとっちめちん

お風呂の給湯器が一日一度パッヘルベルのカノンを歌うので、この部屋に住んで一番聴いた曲はカノン。

23日は柴山一幸さんのライブへ。デビューから追っかけてるポップマエストロで、アルバム全部サイコーだけど、今年出た3rdアルバム「I'll be there」とタイトル曲は、今年のスキル的レコード対象上半期邦楽部門で、数々の話題盤を押さえて暫定1位、サイコーのサイコー。満を持して初めてライブに行ったら、おい客が僕しかいないぞ。楽屋からは楽しそうな笑い声が聞こえてくるのに客席のぼっち感。っていうかリアルにぼっち。開演直前にポツポツ入ってきてほっとした。
 ライブかっこよかった。柴山さんはアルバム以上にエモーショナルで、Beautiful Daysと名付けられたバンドは一体感あって骨太で、理想的なポップロックだった。ただステージの現役感とくらべて客席の現役感が...。Beautiful Daysのパフォーマンスはホールサイズで充分に映えるし、もろもろリアルに考えてもLa mamaくらいは埋めていい。次のライブは7月8日下北沢440、対バンはCOILの岡本定義さん、L-Rの黒沢秀樹さんです。お薦めします。アルバムのPVもぜひ聴いてみて。100枚売れれば御の字、なんて音楽じゃ全然ないんだよ。届かないのか、これが。

対バンは青木孝明さんと河野薫さんのデュオ、Expos。本来ベーシストの河野薫さんがピアノの前に座って、それぞれの持ち歌を交互に歌う。ボーカリストに目覚めた河野さんの歌は雄々しく、長年歌い続けてる青木さんの歌は表情豊かで、ギターの巧さは異常。4人編成のBand Expoもぜひ観てみたい。そして主催者の綿内克幸さんと、中野トオルさん、三沢泉さんのトリオ、綿内組。綿内さんが組んでいたwebbってユニットは、Flipper's Guitarより先に日本でハイクオリティなネオアコを演奏した。イケメンだしソロで売れちゃうのかと思ってた。久しぶりに観たけど、甘酢っぱいポップスにゴリゴリのベースとグルーヴィーなパーカッションが気持ちいい。
 この3人の共通点は、Metrotoron Records出身であること。メトロトロンは優れたアルバムをたくさん出して、みんな今でも現役のポップフリークだ。綿内さんが企画を立てた時、同窓会をやりたかったんじゃなくて、同じスピリットを持ってる人を集めたらたまたまメトロトロンになったんだろう。その社主、鈴木博文さんも観にいらしてた。声をお掛けしたら「久しぶり、随分すっきりしたね」って言ってもらえて嬉しかった。で、僕の話はそれだけ、博文さんによくお会いしてたころに僕と一緒にいた女性の話を振ってきて、さすが永遠のプレイボーイだなと思いました ヽ(・ω・)ゝ☆

24日はわがベースの師匠、安部王子さんと元Sugar Babeの村松邦男さんの双頭バンド、R-O-M-Aのライブ。まずは対バンの青山陽一さんが登場。青山さんもメトロトロン出身だ。エレキギター1本で気持ちいいリズムを刻む。途中から安倍さんやR-O-M-Aの選抜メンバーが加わってバンド編成に。ベースかくあるべし。青山さんとのグルーヴの交歓に体が揺れた。
 R-O-M-Aのステージは、村松さんと安倍さんがそれぞれの曲を交互に歌う。コミカルなようでいて、ロックの髄を知り尽くした2人の本気がヘビーなサウンドに昇華した。村松さんと青山さんのギターバトルとか胸アツすぎて、安部王子さんのベースはサイコー過ぎて、「はー練習します」って声掛けて返ってきた。
 テンションあがって帰ってデモ録った。師匠のベースに感化されたこの日のテイクは自分でも気に入ってる。バンドの反応は...やっぱり僕はわかりにくいのか。猫はわかりやすいな、自分が一番に愛されるべきとしか思ってない。

もうひとつ勝手に告知をすると、僕の友人hajimepopさんの新バンド、NENDOESのライブが6月8日に青山月見ル君想フである。デモがここで聴ける。hajimepopさんはメジャーの眼にとまりながらも体調を崩して苦節十余年、才能と売れることは関係ないんだなと痛感させられるミュージシャンの1人。もどかしいね。気に入った方はTHINK SYNC INTEGRALのサイトからLet's 予約。
 僕の上下10歳くらいから嫌悪されてる「わかりにくいオブわかりにくい」バンド、Moonridersが、いまになって若くて耳の肥えた人たちに普通に聴かれてることをほんとに嬉しく思う。

あのさ、Facebookでの自分の立場をもう一度明らかにするよ。僕が馴染めないFacebookを使い続けているのは、諸々の活動の告知のためです (馴染めない感覚は、僕が語るよりとり・みきさんのこのコラムが的確です) 。この立場に対して「俺にいいね! してくるのも宣伝なのかな」なんてピントはずれな嫌味を書かれたりもした。僕は友達でいたい方とだけ友達でいたい。これを期に、義理でつながっていた方々とはFacebook上の関係を断った。そんで、もちろんだけど心から賛同できるポストにだけいいね! を押してるよ。よくわからない話題は調べてからいいね! を押してる。つまり、虚礼としての「いいね!」文化に違和感があるのだよ。
 僕はtwitterでもよくファボる。これも特定の誰かに対する好意の表明や、Facebook的な虚礼じゃない。「この言葉、好き」のハードルが低いだけなんだ。って注釈をつけないと自意識過剰なガールからブロックされる最近のtwitterも少し息苦しい。

みんな、民主主義に飢えている」小平市の住民投票に挑む哲学者、國分功一郎さんのインタビュー。小平市で、戦前に立てられた時代にそぐわない道路計画から、武蔵野の森を守る住民投票が行われた。小平市長は直前になって、投票率が50%に満たなかったら民意とみなさないので開票しない、と宣言した。
 市のサイトでは、住民投票のお知らせは下の下の階層にこそっとあった。告知の段階から市民団体が頑張って、50%には満たなかったけど市長選の投票率と同じくらいいった。いろいろおかしいし残念、でも大健闘だと思う。これから大きく取り上げられて、「民意とみなさない」投票率で選ばれた市長が動かざるを得ない状況に持ち込めないかな。

最近よく聴いてるのはEgberto Gismonti、手に入るものどんどん買ってる。Beach Boysの去年のライブ盤、いま思い返してもいいライブだったな。賛否両論の新人バンドPeace In Love、僕は大好き。ネットで見つけたUnkown Javanese Gambangan acetate 78 rpm、メロディが引っ張る落ち着いたガムラン。邦楽ではハナレグミの「ラブリー」サイコー! 藤岡みなみ&ザ・モローンズの新曲「世界の名前」は、みなみさんの想いとバンドが見事に合致した大名曲。
 Boards of Canadaの謎のメッセージに従って渋谷に集まった人たちの様子。Yoshikiっていう失神芸人が「音楽は消耗品ではない」なんていいことっぽい話をしてる。いやいや、音楽は時間に関わる表現なんで、その瞬間に輝く「消耗品」でいいと思う。

資生堂のCM「市役所の恋」は夢のある話だ。どこに夢があるかというと、17時に帰れる職場の存在だ。違う。しばらく恋を忘れていたけどもう一度恋をしてみる妙齢の女性の、意外な出会いと始まりの予感がいい。
 「山手線はどこ行きなのか」デイリーポータルZ的な視点は大好きです。Facebookのターゲット広告、男40代ビンビン実感ってサプリの横で微笑むフリー素材のモデルさんはなにを思うのか。なまけすぎのナマケモノ、自分を見るようだ。さかなクンさんのよき加齢と落ち着き (写真) コラと思って紹介したけどガチなのか。

久しぶりの日記で書きたいことがたまってた。長いな!! ほんと長いな!!

5月31日 INPUT / OUTPUT

猫がモニョモニョ言ってるので返事してやると、またモニョモニョ言う。返事してやる。ものすごく満足気に、得意気にこっちを見る。でもお前の言ってること全然わかってない。

3日続けてライブに行ってきた。28日は民謡の大御所、伊藤多喜雄さんのイベント。最初に登場したcokuriさんのバンドは、課題の民謡をなんなく歌いこなした。オリジナル曲で聴ける、日本の情緒とソウル・ミュージックの融合も気持ちよかった。
 続いて登場したのは、mueさん (vo,g) 磯部舞子さん (vl) 熊坂路得子さん (acc) 熊谷大輔さん (per) がこの日のために組んだユニット。このユニットのリハの様子を聞いて、素晴らしい予感がしたんでイベントに来たんだ。当日のリハのあと、irodori (回文) っていうバンド名がついて、活動を続けることに決めたそう。アイリッシュであったり、ジプシーであったり、世界のフォークロアを軽くまたいで穏やかな時間を届けてくれた。mueさんのボーカルは日本の民謡とは対極の、ひたすらまっすぐまるく心に入り込んでくるスタイル。伊藤多喜雄さんが何度も真似してたけど、あれは男の子が好きな女の子に意地悪するパターンのやつなので。

でで、伊藤多喜雄さんである。世界のフォークロアが大好きなのに日本の民謡に触れてこなかったのは、民謡のコンテストって審査員がストップウォッチを持って「こぶしやねばりやしゃくりが何秒に何回だったから合格です」って類のものだって聞いてたから。完璧に死亡してる。伊藤さんはそんな日本民謡協会から破門されたんだそう。で、体の中から湧きいずる、生身の歌を歌う。高く深く伸びやかな歌声、こぶしとは微分音の気持ちよさであり、リズムを食ったり残したりのグルーヴの匠でもある。メンバーは尺八とドラムで、ドラマーさんはおそらくフリージャズの方。よく雅楽の演奏家が、親しみやすく西洋音楽を取り入れましたみたいなことをやるけど、得てして致命的にださい。伊藤さんは民謡を鍛錬したからこそ、音楽の、歌の心地よさの真芯を捉えて見事に融合していた。
 なにより感動したのは、観に来てるおじいちゃんやおばあちゃんがみんな手拍子して一緒に歌って、下手なロックコンサートよりずっと盛りあがってたこと。民謡、生きてる。世界中のみんなが歌を作って歌えばいいのに。そういうもんだよ音楽って。MacやiPhoneに標準でGarageBandが入ってて、これで充分だし簡単で使いやすい。で、SoundCloudにあげたらいい。iPhoneなくても河原で歌ったらいい。

29日はComputer Magic。NYの宅録少女。かわいくてポップなのにナード感があって、Nicoを思わせたりもした。生ドラムを入れたのは大正解。曲によってはシタールも入って、期待してた以上に躍動的で楽しいライブだった。ボーカルの処理もアルバムより好き。あのアルバム、Mix直して再発してくれないかしら。何より揺れるミニスカートと太もも!! フロントアクトのDJみそしるとMCごはんは、料理のレシピをラップするガール。トラックも自分で作ってる。たどたどしいラップは女子グルーヴと呼ぶにふさわしかった。あざとい。あざといとわかりつつ引きこまれてしまった。
 30日はPhnonpenh Modelやecho-U-niteで知られる谷口マルタ正明さんのアコギ弾き語りライブ。清濁あわせ飲んでイマジネイティブな言葉を、自由なギターと全身のグルーヴで歌う。キャリアが培った音楽的基礎体力を、飄々と見せつけるステージに圧倒された。Phnonpenh Modelはテクノで、echo-U-niteはサイケだそうで、マルタさんの世界がどう展開するのか興味がある。みんなこういうの観て感じたらいいのに。ほんとにそう思う。

最近おおよそのライブを「サイコー!」って書いてる。前はよく「ダメだった」って書いてた。それが観て伝える者の責任だと思ったから。いまはサイコーじゃないライブについては何も書かない。評価しないものに対しては語らない、と言えば淀川長治さんの名前が浮かぶけど、実はテレビでつまらない映画を解説する時は、映画の本質とまるで関係ないところを褒めて、すぐに来週の映画の紹介をすることで意思表明してた。そして文筆業においては、非常に毒舌家だった。「嫌いな人に会ったことがない」のを信条にあげていながら、「実は大嘘」って舌を出すお茶目な人だった。だから信頼してる。
 僕が最近つまんないライブやレコードの話をしないのは、そんなたいそうなもんじゃなくて、思い出して言葉にすんのがめんどくさいんだ。INPUTに時間を割きすぎて、OUTPUTより睡眠を優先させてんの。つまんない話は削ってる。だから僕がサイコー!って書いたものは本当にサイコーだし、みんな聴いたらいいと思います。

bloodthirsty butchersの吉村秀樹さんが急死した。「俺はもう少しやることがある、たとえ人の為にならなくとも、もう少しやることがある。何故ならって聞くな! 世の中にはクソみたいな音楽が溢れかえってるから、死ねない」。日本でそれができる稀有な方だったと思う。

ところで最近、酔っ払うとバンドにLINE投げる癖ができちゃった。バンドはあくまでバンドなんで、そのへんの線引があやふやなのはまずいと思っておる (´-`) .。oO