DIARY 2014年5月


5月5日 子供の頃から独りで遊んでた (悲しいことはどこにもない)

バンドを解散させました。バンドをやってみたいっていうのはボッチな子供の頃からの夢でした。ステージに立つことはなかったけど、何回かスタジオに入って楽しかったし、身分不相応 充分すぎます。おおくの方を巻き込んでしまって申し訳なく思っています。そして42歳になってもボッチはボッチだと深く理解しました。
 僕はキモいので、そもそも人前に出るとかおこがましかった。バンマスを名乗るとかおこがましかった。楽器がちっとも上手くならなかった。なにより僕の発達障害が、バンド内のコミュニケーションを阻害してた。「察しろ」「空気読め」が病的にできない、ということだ。メンバーのやりたい音楽、そもそもみんな音楽が好きなのか、バンドをやりたいのかわからなくなってしまった。

この病気でいままでたくさんの「友人」に汚い言葉で罵られ、縁を切られてきた。10年20年来の友人にも、「私だけは味方だから」ってガールにも、唯一の肉親である弟にも。たぶん彼らなりに「察しろ」「空気読め」のメッセージを送っていたんだろう。「みんな自分がdisられてないか確認するために山下の日記を読んでる」って人がいたんで、「みんな」という団体は今日の日記にほくそ笑んでるだろう。
 僕は名刺の肩書を「ビリーバー」にしてるくらい、人を信じたい。でもそれを名乗らなきゃいけないくらい信じることが困難な過去があり、いつ誰に拒絶されるかわからない恐怖の中に生きている。今回は比較的早めにメンバーの傍観状態に気づいたんで、大事に至る前にたたむことができたと思ってる。わかんないよ?

もうひとつできないことがある。「手紙は暖かくて心が通じるけどメールは通じない」「会って話し合った方が理解できる」って圧力だ。僕は自分の考えをまとめるのがとっても苦手。高校時代までほとんど誰とも会話せず、放課後は独りでレコード屋の試聴機に向かってた。大学でインターネットと出会って、ようやく僕にも人格があるってことを周囲に伝えられるようになった。
 会って話せばわかる人、白い便箋を前にして筋道立てて手紙を書ける人こそ「冷」静で論理的な思考の持ち主だ。僕は会えば黙っちゃうし、言いたいことの断片を打ち込んで並び替えて、なんとか筋道を作り出す。頭の中の出来が悪いんで、言葉をいったん頭の外にだして整理しなくちゃいけない。小学校の卒業文章、僕のページは白紙だった。大学にコンピューターがなかったら、とても卒業できなかった。

果たしてそれは「孤独」だったのか「孤立」だったのか。

5月5日 5月病 SIDE-B

twitterの友人 (と呼ばせてください) 、やっぱり生き難い日々を送ってるA仔さんから貰った種が芽を出した。大原由衣子さんのライブを観に行った。相変わらず艶っぽくて伸びやかな歌声を堪能した。ずっと楽しみにしてた細野晴臣さんのライブは、体調が悪くて行けなかった。S席のチケット...なにより細野さんに申し訳ない。

「美味しんぼ」で福島に行ったメインキャラ一行が鼻血を出して大騒ぎになってる。福島の人はみんな鼻血を出してるって。「美味しんぼ」のごく初期のエピソードに、山岡がホームレスとジャンクフード食って旨い旨いってシーンがあった。いまはどこどこ産のなになに以外は偽物、福島に行くと鼻血が出るっていう。印税収入と共に作者の思想が変わっていく様を眺めるマンガだ。

Paul Simon夫妻が過激な夫婦喧嘩で逮捕された。新聞の表記は「サイモン歌手」。肩書はもちろん「サイモン&ガーファンクルの」。日本の保守的なフォークファンにはSimonのソロ活動は理解できないし、能動的なリスナーは中村とうようの怨念下にある。Paul Simonは圧倒的にソロがかっこいい。海外では現役のミュージシャンとして若いリスナーがちゃんとついてる。
 クロスレビューサイトやってた時に、Paul Simonの当時の新作を題材に提案したらすごく嫌がられて、でも結局みんなは満点つけて僕はつけなかった。Paul Simonとしては当然のクオリティだったから。

100年前のロシアで撮られたカラー写真が圧倒的な美しさ。四川大地震で避難してるパンダが寂しさから鬱状態に陥り、飼育員さんが苦心してる。動物にも「面白い」って感覚があると思わせてくれる最高の犬動画。チンパンジーが火を起こしてマシュマロを焼いて食べる
 現代芸術家の國府理さん一酸化炭素中毒死。機械への憧れを景色に昇華する、好きな作家だった。

安っぽい色のものはみんな寛大だ。こんぺいとう、かき氷のシロップ、おもちゃの指輪。昔二十円で売っていた、にごったゼリーのような消しゴム。安っぽい色は、春に似ている (江國香織)
希望を持って生きねばならぬ、という価値観は捨てた方がいいし、本当はこの世は生きるに値しない (宮撫x)
生きてるだけで丸儲けだけど世間の人はみんな生きてるんだから「儲け」の度合いの差が結果的に負債のように迫ってくることもある (ダ・ダ恐山)

DJみそしるとMCごはんがArabakiで落としちゃった、黄色いBのワッペンがついたえんじ色のキャップが見つかりますように。

5月6日 時間の濁流の外で

バンドやってみたいっていうのは30年来の夢で、なにか実績を残すこともないまま解散の決断を迫られた。困ったのは楽器の処分だ。ギターなら独りで遊べる。ベースがぽつんとあっても虚しいだけだ。またバンドをやりたいってばやりたいさ、でも自分はバンドやっちゃいけない人だって痛感した。つまりは身の程知らずだった。
 また寝込んでた。4月の終わりからほとんど寝込んでる。天気図的に困っちゃったな。屈辱のデブによる過度の食事制限も脳に負担をかけてる。気づいたら42歳だ。地球が太陽の周りを廻ったところで心は老いてる気がしない。でも体は確実に老いてる。そして相対的に、「心の老いた人」として扱われる機会が増える。酷く疲れた。

きのうは「青春」ってキーワードで画像検索して自虐を楽しんだ。こんな日々は一瞬も訪れなかったし、今後も絶対訪れない。「ボッチ」でも検索してみた。ボッチにもヒエラルキーがあって、楽屋ではしゃぐアイドルグループの後ろでノリについていけずに真顔で突っ立ってる娘がいた。でも彼女はステージに立てば喝采を浴びる立場にある。僕は休み時間は机に突っ伏して、起きるふりだけは上手くなった。
 遠足のお昼ごはんの輪に入れずに、独り小さくなってお弁当をかき込んでる子供がいた。自分を見てるようだ。こんにちは。君は42になってもそんなもんだよ。楽しむべきイベントの痛みは、かぶってる帽子にさえ申し訳なくなる。おそらく親御さんが今日の遠足楽しんでって用意した運動帽。そしてみんなで食べるために用意されたお弁当。もしも俺の帽子じゃなかったら、サッカー部のキャプテンの帽子だったら、太陽の下で誇らしげに光を浴びていただろう。

猫は残酷なほどに優しい。

話はものすごく変わる。流行りの顔ってあるなあって思うのは、全盛期あんなに輝いてた広末涼子さんの当時の写真を見てもピンとこないこと。現役時代にはほとんど話題にあがらなかった神崎かなえさんの往年の写真が去年くらいからRTされまくってること。本田翼さんは旬の顔だよな。能年ちゃんは表情の豊かさが今後どっちに発展するか、新垣結衣さんのピークがポッキーのCMかと思ったらその後ぐいぐい伸びたみたいに。有村架純さんは普遍的な顔立ちで、大人びたらますます魅力を増すだろう。演技力やタレント性はまったく知らないけど、ルックスは長く愛されそう。そういう意味でも50年以上も第一線にいる吉永小百合さんはすごいな。
 何を言ってるんだ俺は (´-`) .。oO

きのう、全国で横に伸びた虹 (環水平アーク) や、いろんな天文現象が観測された。今朝、東京で震度5弱の地震があったらしい。東日本大地震の東京の揺れと同じだ。僕は衰弱して眠ったまま、まったく気がつかなかった。飼い主と再会した犬の号泣。もっと愛しあおうぜ。
 韓国で地下鉄の事故があった。先月の客船の事故での乗務員の責任放棄が問題になってるけど、きのうは譲り合い、子供を優先して避難させたそうだ。チョンがどうこう言ってる2ちゃんの方々は都合が悪い話題はスルーかな。

5月7日 わたくしという存在

愉しみの種をみずからむしり取ってしまう42歳にいつか光が当たる確率。うちに猫が存在する確率。ただ妄想の温もりを抱いているのかも知れない。僕が存在する確率は67%くらいで、誰かの悪夢かも知れないし悪夢なら早く覚めてくれ。と願う僕は10日近く寝込んで自殺する夢しか見てない。
 この世のすべてに申し訳ない。どうせ誰かを幸せにすることなんてないんだから、これ以上暴走する前に早く死なせてくれないかな。

5月8日 I am still alive.

I don't believe in human beings. I just believe in cats.

5月9日 I am still alive.

I don't know the deft way of life. It is rubbish.

5月10日 I am still alive.

Person who trample the person who was trampled by the another person.

5月11日 I am still alive.

I watched Mars and the waxing gibbous moon.

5月12日 I am still alive.

I became a debilitating condition.

5月13日 I am still alive.

I can't control my mental state now. Probably I should be hospitalized.

5月14日 SIDE-A 負け犬のたましい

バンドは解散してからがめんどくさい。元メンバーから立て続けに僕の価値観を根底から侮辱する言葉を頂いた。2人とも教育関係者。僕みたいについでに生きてるおじさんへの眼差しを、自我を形成する時期の生徒たちにも向けていたとしたら。大人の発達障害について。理解して欲しいとは言わないけれど、せめてこういう人が存在することは認めて欲しい。
 楽器売らなきゃ。見てると申し訳なくなるんだ。なんでうちに買われてきちゃったのか。まっとうに扱われれば、スポット浴びていい音を奏でたのに。猫たちの優しさにもときどき申し訳ない気持ちになる。

ドワンゴとカドカワが経営統合する。そのステップが見える去年の記事「情報化社会で真の知識人はコミュ障の人間」。川上量生さんはマスとマニアの狭間から何か生み出そうとしてる。
 「まさに今、知識じゃなくて情報の社会になっているというのを僕なりに言い換えると、知識が情報によってのみ込まれている時代なんです。昔は情報が少なかったから、みんながそれぞれ自分の頭で考えていたけど、今は情報がたくさんあるから、みんな自分で考えなくなっているわけです。何か与えられた知識を借りてきて、それが自分の知識だと開陳する人たちが増えている。そんな情報化社会においても知識人たりうる人はどういう人かと考えると、やっぱりこれは『コミュ障』だなと思っているのです
 自分で考えたいコミュ障なのに、残念ながら面白くなかった者として、川上さんの決断を彼方から応援したい。

関係ありそうでないんだけど。歩きスマホは物理的に危ないって話をみんなする。危ないね。それと同じくらい、大量の情報がおおよそどこにいても手に入る (≒情報を流してる) のも危ない。人間の情報処理能力的に、街を歩いててもリアルを観ることがない。ガラケーのフタを閉じる操作は、儀式的に重要だった。iPhoneなるだけ見ないようにしてる、してるんだけど気づくと見てる。
 「日本のアニメーションはね、観察によって基づいてない、ほとんど。だから、オタクの巣になるんだよ。だから、表現の幅が狭くなる (宮撫x)

マレーシアに駐在してる友人の娘さんの歴史教科書が面白い。何年に何がありましたって時系列を覚えるんじゃなくて、なんでナチスが台頭したのか、なんで日本軍部が台頭したのか、因果関係を教える。日中韓が「善」と「悪」で揉めてるのは史記文化圏だから。教科書問題もそこだ、善悪の表記で論争になる。そんで日本の殆どの歴史教師は、「時間がなくなっちゃった」の茶番で近代史を教えたがらない。
 日本史で忘れがたいターム「六波羅探題」が、いまの僕らに与えてる影響なんて、砂粒みたいなもんだ。善悪の前に因果を理解することで、やっと歴史が未来を照らしだす。

5月14日 SIDE-B 長い休符の狭間に

若田光一さんがISSからロシアに降りてアメリカに向かってる間、僕が移動したのは布団と台所2往復だけ。

2週間寝込んで、細野晴臣さんのライブもとり・みきさんヤマザキマリさんのイベントもチケットを無駄にした。出演者のみなさんに申し訳ない。どっちも素晴らしい公演だったみたい。
 後藤まりこさんが、もうすぐなくなる想い出の渋谷AXで、ワンマンライブを企画してる。事務所を抜けて後ろ盾がない今、キャパ1700名、売上400枚。路上ライブの演奏に胸が締めつけられる。誰か動けない僕の代わりに行ってくれ。ついでに僕のためにブッキングされたみたいな今年のFUJI ROCKにも。
 Paul McCartneyの武道館公演、10万円から4万円だそう。想い出を10万円で売る男じゃないと信じたい。48年前の武道館公演と同じ値段のC席1500円 (25歳以下限定) が、アリーナ最前列でありますように。
 夢の中で研ナオコさんのジャズアルバムというものを聴いたらめちゃくちゃよくて、起きてググったら実在した。ヤフオクで入札した。ビッグバンド系なんで夢の音源とは違うけれど。

ここ最近の気になった記事。精神病を会話で診断する時代は終わった、脳をスキャンして見えてきた正体。この治療を受けてみたい。福島から首都圏へ避難した半数以上の方にPTSDの可能性がある。もはや「鼻血マンガ」と呼ばれる美味しんぼについて、現場で医療活動をしてる医師の声。「美味しんぼ」を撤廃しろって声があがってるけど、それは「はだしのゲン」を撤廃しろと同じロジックなわけで。長尾謙一郎の「クリームソーダシティ」がなんらかの圧力で連載終了した。
 あんまり知られてない母の日の起源と歴史のこと。Facebookを読めても、現実は理解できない人たち「新たな『非識字者』」って過激な言葉を使ってる。日本にもいっぱいいるね。シリアで放置された猫を救う「猫大佐」と呼ばれる人物のこと。世界の「Sunrise」ツイートを動画化。「Sunset」バージョンも観てみたい。プーチン大統領が安部首相との会談中に新記録。完璧に飽きてる。宇宙の歴史130億年をCG化

先月 谷川俊太郎さん / 松本大洋さんの「かないくん」ってマンガを30人くらいにプレゼントした。正直みなさんに喜んで頂けた訳じゃない。返品が2件あった。好き嫌いは当たり前だ。参考文献として、企画者の糸井重里さん、デザインの祖父江慎さんを中心にした制作ドキュメントを。糸井さんという人は、丁寧に心に訴えかけつつも、ちゃんとこの島のルールで稼ぎだしてるのが凄い。

5月16日 おそらく誰にも届かないヘルプです

4月末より布団からほとんど出られず、猫の世話も自分の世話もまるで成立していません。努めて客観的に見て入院したほうがいい状況なんですが、今かかってるクリニックで紹介されるだろう病院は「カッコーの巣の上で」みたいなところで、とても病状が改善するとは思えません。かといって転院する気力も選択肢もありません。
 おおくの人がザマミロ、自業自得だと思うでしょう。でも猫に罪はない。せめて猫だけ衛生的な環境に置いてやりたいのです。

今日の気になった記事。「10代の頃感じたうつや怒りが将来の結婚生活を脅かす」独身者としての日常生活も困難です。「いじめの加害者、成長後は健康」そうなんだろうなと思います。「猫が猛犬に体当たり、飼い主の子ども救う」動画の最後、怪我の様子は閲覧注意。猫は優しい生き物です。
 「集団的自衛権、安倍首相は憲法解釈をどう変えたいの? 口語訳してみた」国民の56%が支持する内閣が考えてることです。

5月19日 Free As a Bird ≒ FAB

体調は改善するどころか、独りではなんにもできないんでただ衰弱を待つばかり。自殺するんならフラッシュストレージの中の恥ずかしいファイルを整理するんだけど、このまま孤立死するんだろうな、なんて猫を抱く。猫ってそういう危機を察知すると、おしっこひっかけてまで起こそうとするからね。そのまま3日放置してようやく風呂に入ってシーツを洗ってる間の日記だ。毎日夜半を過ぎると頭が少し動いて、いつまでも午前3時だったらいいのに。
 タイムラインに並ぶ5月の輝ける景色、そして結婚式の写真。子供の頃は自分もいずれ結婚するもんだと思ってた。恋愛や結婚なんて、もう宇宙飛行士を目指すくらい遠いところにいっちゃった。統計的に独身者は既婚者よりおよそ10年寿命が短いそうだ。独りで生きるのはとても辛い。これから治療を受けてもう一度「人」の世界に挑むのか、開き直って精神障害者として介護施設に入って、なにをなすこともなく死んでゆくのか。その分岐点にいると思う。

来日中のPaul McCartneyがウィルス性の炎症でずっと公演を休んでる。去年の東京ドームではあまりの現役感に驚いたけど、もう71歳だしな、心配だ。80年の来日の時はこんなことになって、どうも日本とは相性が悪い。薬でふらふらしてると言えばASKA、覚醒剤の陽性反応が出ても容疑を否認してるらしい。迷わずに...Say Yes。
 月と人を重ねあわせて幻想の世界を描き出す「Moon Games」っていう写真集が美しい。浄化フィルターでできた「飲める本」水のあるありがたさ。石巻の高校生が書いた詩「潮の匂いは」、僕はあの津波についてなんにもわかってなかった。ハイチ沖で見つかった沈没船がコロンブスのサンタマリア号かも知れない、「右」の知性と「左」の知性が冷静に話し合う毎日新聞の対談「安倍政権と保守」こういう記事が読みたかった。岡村靖幸 w 小出祐介「愛はおしゃれじゃない」岡村ちゃんの不器用さを想うと胸が苦しくなる。

洗濯が終わった。おおくは望まない、ただ平穏な日々を僕に。

5月20日 Forever YoungとOld Man

子供の頃、小泉今日子さんがサブカルを経ていい中年女優になるとも、テレビで泣いてた松田聖子さんがMichael Jacksonみたいな顔になるとも、原田知世さんが変わらないまま30年を経るとも思わなかった。おんなじように、いつかは能年玲奈 (50) になることに気づいてない人がおおい。

今年の自分、衰弱を思うに「加齢」が大きなキーワードだって気づいた。42歳の壁が僕にとってものすごく大きかったんだ。2月にtwitterで若い音楽クラスターに叩かれて、あの時の彼らのモチベーションは「おじさんキモい」だった。バンドの元メンバーにも「山下さんは古き良き自分たちの時代を奪われたことに怒っている」って言われ方をした。「ふわっとした言葉を使うよね、ぜんぜんわかんない、筋道たてて説明して」矢継ぎ早の詰問に疲れ果てた。
 僕は、新しい物事に興味を失わない恩師や、表現者たちを指針にして生きてきた。身の回りの42歳がどれだけ閉塞してるかを実感して、自分は開けていたいと、そこだけは気をつけて生きてきた。そのポイントを敢えて攻撃して、若さっていう圧倒的な正義の視点で踏みにじった訳だ。でも拠り所にしているアイデンティティがとても脆い。言い放った彼女が、原田知世さんみたいに歳を重ねるとは思えない。

バンドを組んだ一番のきっかけは、中川いさみさんの実録マンガ「ストラト!」だ。中年期を迎えた中川さんが人生を振り返って、やり残したことにゼロから取り組む。同じ音楽好きとして、人前に出るって発想がなかった僕にとっても、やり残したことはバンドだったのかもしれない。「ストラト!」の連載が終わっても、中川さんのバンド「ストラト☆ダンサーズ」は存続してる。僕がやってみて、手元に残ったのは可哀想なベース1本だけだった。
 よく音楽雑誌のインタビューで、「自分は人格が崩壊してるから、音楽がなかったらどうなってたかわかんない」って言う。あるいは病気の体験談として、「あのとき家族がいなかったら」って言う。音楽がなかったら、家族がいなかったら、こうなる。音楽雑誌や医療雑誌は、実例として取材に来ればいいのに。

友達に薦められて、Alubomulle Sumanasara翁の原始仏教の本を読み漁ってる。共感できる部分もできない部分も、まだ噛み砕いて自分のものにできない部分もある。でも根底にあるのは「生きることに意味を探してはいけない」ってことだと思う。
 自我に意味がないとして、生命に意味を見出すならば、繁殖して遺伝子を遺すことだ。きのうの日記にも書いたとおり、独身者と既婚者では平均寿命が約10年違う。人間の体や精神は、独りで生きるようにはできてない。翁は「仏教は宗教ではない」という。仏陀の発見について議論する場であって、全知全能の神を信仰するわけじゃないと。ならば翁に問いたい。なにを遺すこともなく、なにを成し遂げることもなく、終了した人生について。

twitterで、ネガティブの底から這いあがったA仔さんに聴いてみた。きっかけはなに? 「わからない。要因はひとつでないし他人から見たら旦那に出会ったことが、なんだろうけどそれは違う気がする。おいしいや楽しいや綺麗を、何もひん曲げずにスッと受け止めるのってさ、難しいよな。常に疑っていれば期待通りにいかなかった時、やっぱりなって思えばいいんだもん
 「個人的には逃げて何が悪いんだと思っちゃうけどね。正常とはなにかと今問われたら、もしかしたらある程度都合のいい場面で目をつむること、つむることが出来ること。な気がするし、それが出来ないあなたは失格ですだなんて、なんてひどいんだと思うもの
 なるほど。原始仏教に通じると思った。心を軽くしてあるがままを受け入れよと。

今年一番の出会い、絵本の「かないくん」が展覧会になった。体調次第だけど...行きたいな。ほぼ日のかないくんコンテンツ。「詩人と漫画家と、絵本。」「『かないくん』ができるまで」も読んで欲しい。かないくん展の感想がここにある

5月22日 苦しみの根源

個としての僕は、ほかの生命を殺生し、水や空気を消費する。それでも生きているのは、なにかしらバトンを受け取って、それを渡すため。一番わかりやすいのは繁殖して遺伝子を残すことだ。共に暮らす社会のバトンや、精神を豊かにする文化のバトンもあるだろう。
 僕は世界から受け取ったバトンを誰に手渡すことなく、バトンゾーンを超えてしまった。これまでなんの役にも立たなかった、これからなんの役にも立たない、存在するだけで迷惑な肉塊だ。ケミカルな治療で救われるはずもない、救われてはいけない肉塊だ。

5月27日 ASKAを思い起こすと脳裏に浮かぶ赤井英和

怒りの元はいつも、悲しみ、悲しみ。

体調が悪すぎて病院に行けず、病院に行けなくて動けなくなる。布団の中で衰弱して久しく風呂に入ってないのはともかく、猫にごはんをちゃんとあげられてないのは本当にまずい。取りあえず保健所に介護の要請をしたいけど、電話の受付が17時で終わる。メールくださった方ありがとうございます。おいおいお返事いたします。
 twitterで僕になりすましてるアカウントがある。削除要請はしたけれど、途中からやり取りが英語になって、ひょっとしたら受理されないかも知れない。twitter社に免許証のコピーまで送らされて、連絡1本ない。こんな無名なユーザーになりすますなんて絶対に知り合いの犯行で、世界のなにがどう転んでも悪いのは僕でいいんだろう。

安倍政権の軍国主義化をマスクするように、芸能ニュースが流れてくる。一介のシンガーの覚醒剤騒動と国民の命運が天秤にかけられて、覚醒剤騒動が勝る。初めてチャゲアスちゃんと聴いて、思ったより悪くないなって。アレンジは酷いけど曲はそうでもないかなって。彼ら実はブルーアイドソウルをやりたかったんじゃないだろうか。残念ながら演歌フォークの血を薄められなかったけど。
 フォークといえば、さだまさしのコラ画像がタイムラインに流れた。音楽史上の名シーンにさだまさしを混入させるもの。さだまさしはガチで好きだよ。ソフトロック聴く人はレア盤に大枚はたくより、バーゲン箱から100円でさだを拾ったらいいよ。聴かせたい「雨の夜と淋しい午後は」って曲、なぜか音源がネットにない。

Sir Paul McCartneyは日本公演をすべてキャンセルして26日に退院、チャーター機でイギリスに帰った。実は彼の日本でのソロ公演を、全31回中17回キャンセルしてる。去年観れたのはラッキーだった。お大事にどうぞ。そして鼻血マンガについて福島の農家の方が書かれた記事「除染無意味論のニヒリズム」がリアル。この辺の話はとり・みきのトリイカ!「鼻血とヤクと自作自演の底に」に痛快にまとめられてる。
 そしてAKB48の握手会でファンが刃物を振り回し、メンバー2人とスタッフ1人が大怪我した事件。ご本人はほんとうにお気の毒、一生のトラウマだよな。握手券付CDビジネスモデルの限界だ。新曲は初日で140万枚売って、そのうちプレイヤーに乗ったのは5%もあったろうか。
 同じ日にスガシカオさん、DL販売は利益がなくて、CDが売れないと次の作品に繋がらないとツイートした。CDに握手券を封入してはどうか。そしてアイドルオタクの皆さんには、CDを買い占める金でアイドルイベントを企画した方が、ずっと長く一緒にいれるし覚えてもらえるしコストパフォーマンスがいいと申し上げたい。

音楽関係の記事、トップシンガーたちの声域を比較。iPhoneの着信音をRemixkyokaさんのインタビュー。
 動物関係の記事、猫に関する76の真実。自分を猫だと思ってるふしがある犬。殴られても蹴られても猫好きな犬たち。立ち振る舞いが人間化した動物たち。踊ってるような動物たちのポージング

いわゆる2ちゃんねるの名スレで感動しちゃった。陳腐になりがちなテーマだけど、ヒロインがいきいきと描かれてて説得力がある。でも吹石一恵さんで思い出すのはこの歌声。カンヌ映画祭のリポート、ゴダールの新作について。アニメーターが日常生活にキャラクターを添える。
 アジアの主要国の指導者がみんなナショナリストになった。村井元首相が憲法解釈変更の動きを批判した。右傾化する人達が根本的に分かっていない一つの事実のこと。前に書いた、靖国参拝は内政問題じゃなくて外交カードだって話に通じる。福島原発事故、吉田昌郎所長が語ったこと。ローマ法王が中東歴訪でほかの宗教との対話を深めてる。

くっついたら はがすんだよ。

5月31日 鶯

毎日22時頃になるとうぐいすが鳴く。昼間も鳴いてるかも知れないけど、僕が気づくのがその時間って意味だ。いま午前5時。ケキョケキョ。太陽が深く沈んでまた明るくなるまでの数時間、僕は僕でいられるようになった。FUJI ROCKまで2ヶ月弱、日が暮れた頃に起きだすペースでいいからやっぱり行きたいな。

集団的自衛権のニュースをマスクするように、次から次へとゴシップが流れる。皇室と出雲国造家の結婚。遥か神話時代、現在の天皇家に繋がる大和朝廷と、出雲の勢力は敵対関係にあった。やがて大和朝廷が地上を、出雲が天界を治世することで話がまとまった。だからかつての出雲大社は96メートルの高さがあったと言われている。神話的には出雲国造家の先祖、天穂日命は天照大御神の子供って設定になってる。
 神話から遠く離れても、なんだかそういう政略結婚的な摺り合わせをしてるのだな。もし報道の通りの恋愛結婚だとすると、2人が出会ったのは32歳と17歳の時で、条例的にアレな話になってくる。

毎度ご紹介してるとり・みきのトリイカ!ではこういう解釈をしてる。「激闘! ヤマト対イズモ」つまり、出雲大社は大国主命を鎮めるために大和朝廷側が建てた結界だから、天皇家と出雲国造家は敵対関係ではないんじゃないかと。
 とり・みき先生はマンガ家なので、この連載だけじゃなくてマンガもぜひ読んでください。アイデアのインデックスみたいな作品たちは、ページを開いて即爆笑っていうより、じっくり読み込んで仕掛けに気づいてにやり、頭の中がすっきりする感じ。近いうちに、畏れ多くもとり・みき論を書いてみたい。

音楽に関するリンク。細野晴臣さんのインタビューシリーズ「大きな文化の固まりが地下に埋もれている」、「説明できない衝撃を受けると、やってみたいと思う」。マッスル・ショールズのドキュメンタリー映画ができた。後藤まりこさんのもはや伝説のAXワンマンレポート「お前ら、全員死ね! それで、もう一度ボクと生き帰ろう」noteはたぶん作為的に、読みがいのあるポストへのリンクを遠ざけてる。独りで「やさしさに包まれたなら」久しぶりにニコニコ動画の良心を観た。コーラスやる人ってどうして眉毛あげてドヤ顔で歌うのかしら。
 リンクは張らないけど、27日の日記に紹介したスガシカオさんの「できればCDで買って」発言に対して、「ビジネスマンとして頭が固い」とか「原価率を下げて対応するべき」ってコラムを読んだ。もう少し表現文化に敬意を持ったらいいと思うよ。福岡市が電話の保留音をASKAの楽曲からデフォルトに戻した。デフォルトは...Carpenters。Richard Carpenterは薬物界の大先輩であらせられる。

動物に関するリンク。有名な友達を持つ猫ジェンガで遊ぶ猫。はるかぜちゃん「ブラッドハーレーの馬車」捨て猫の話。ネズミが回し車を回すのはそういう趣味だから

ソース不明。日本が残業手当をゼロにする口実は「時間に縛られない働き方ができ、子育てや介護をする女性も働きやすくなる」、実情はご存知の通り。フランスでは正社員の就業時間を週35時間に制限した。理由は失業者を減らすため。「残業でこなしていた仕事分、他の人を雇わざるを得なくなるから」。
 オモトピア「もう『噛んだ』って指摘するのやめませんか」。笑って流す読み物だけどうっかり本質を突いてる。先月事故死された國府理さんの展示記録映像「相対温室」。つくづく残念です。