DIARY
2019年2月
2月3日 花かむり雨かむり
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「みじめであわれなあなたもいつか誰かに愛されますように、私はお断りしますが」って世界中に言われるような人生にも音楽の喜びはある。
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好きなクリエイターや作家さんが橋本治さんの訃報に大きなショックを受けている。不勉強ながら僕は読んだことがないのだ。
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29日。猫を揉んで猫を揉んでまだ半分夢のなか。
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夜。さわひろ子ワンマン「花かむり雨かむり -雨かむり編-」@幡ヶ谷36°5へ。
裏にすごく観たいライブがあったんだけど、花かむり編を観ちゃったら最後まで見届けたい。心から観てよかった。早くも年間ベストライブ候補だ。
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さわさんの音楽が好きなのはもちろん、お話の中に歌を折り込むさわさんのライブのスタイル、素敵なお話の続きがどうしても気になった。前編は、花の国の王女さまと雨の国の王子さまの淡い恋の話だった。お互いに自分の国を出ると、名前を失いあぶくになってしまう。2人は国境を越えて、でも離れ離れにされてしまう。さて。
後編は雨の国の王子さまの冒険。国を出て花の国の王女さまと逃避行をする。王女さまとの別れのあと感情を失って「雨」の涙を作れなくなった王子様、雨がなくて枯れてしまいそうだった王女様。2人は名前をなくし、あぶくになって...海と呼ばれるようになるのはずっと先のお話。圧倒された。
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音楽家としてのさわさんは、わらべ歌みたいだったりブルーズの香りがあったりジャズの香りがあったり、宇宙を漂うような壮大なバラードもあれば日常の心象風景を描き、胸躍るポップチューンもある。よく聴くと丁寧なコードワークで変拍子が出てきたりもするんだけど、あくまで自然で普遍的。和歌の世界みたいなきれいな日本語を使って、でも過去を歌ってるわけでは決してない。やっぱり普遍的なんだ。
全身を使って伸びやかに表現する世界が喩え辛い心情であっても、聴いて心に残るのは、喜びと幸せなのは、ほんとうに稀有な存在だと思う。喜怒哀楽のうち、怒や哀を歌って共感を得るのは簡単だ。喜や楽を素直に伝えられる表現者は少ない。歌ってる内容が哀であっても、残るのは幸せなんだ。
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この物語はもちろんフィクションで、遠い昔の話だ。でも聴いて、「その感覚わかる」って思ったんだ。喩えるなら映画「この世界の片隅に」を観て、遥か戦争中の物語だけど、すずさんの存在を確かに感じて、生活の息吹を感じたのとよく似てる。それはこうの史代先生、片渕須直監督、のんさん、コトリンゴさんといった方々が、全身全霊を注いだ結果にほかならない。それと同じ「わかる」、王子と王女の心と分断された国々と、2人の逃避行の末に生まれた海という存在を確かに感じたんだ。
さわさんの表現はそれほどまでに洗練されて普遍的だ。映画「この世界の片隅に」が口コミで大きな評価を得たように、さわさんの表現するお話と音楽は「心」というメディアを通じてひとり、またひとり共感を得るだろう。
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ギターの那須寛史さんは、アコギにエフェクターを噛ませて、映像的な音を奏でる。エフェクターを操る足元を見たかった。キーボードの久保田拓馬さんは堅実なプレイ。3度のコーラスが作れるエフェクターがきれいだった。ゲストのaroさんはもっと突き詰めた、尖った表現。心弱き者に寄り添い、悲しい歌で希望をくださる方のように聴こえた。さわさんの “海里” を3拍子にカバーした演奏が特に素晴らしかった。
終演後のBGMが中学生でも知ってるオールドロックのスタンダードで、スタンダードはスタンダード足り得る名曲だな。
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30日。猫たちが追いかけっこに誘ってくる。ニャーニャー言いながら部屋を何周もして、お腹出してゴロゴロするまでが1セット。それを何回も繰り返す。こういうの動画に撮りたいんだけど、まず部屋片付けなきゃ。
果てしない片方だけの靴下の山。靴下が片方ずつなくなるのは、両方なくなったらなくなったことに気づかないからだ。深遠な話だよね。
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美人女子大生カウンセラーさんとのセッション。ここ何回か重苦しい雰囲気で、今日も悩みを抱えつつだったけど、穏やかで楽しい時間を過ごせたかな。僕の問題の核は孤独と自己肯定感のなさで、そういう意味でダイエットちゃんとする。28日の日記に書いた、鬱と自分の存在意義の話。僕がカウンセラーさんに訴え続けてきたこと、この日記で21年書き続けてきたことそのものだった。自分自身がつまらない存在だと思い続けてきた。
医者に薬を増やされた。抗鬱剤を貪り食ってきたからストックが尽きてたんだ。いまの僕に起きていることを、主治医とカウンセラーさんにしか話せないのがもどかしい。話せる時が来たらここでも話す。みんなの参考になると思うんで。
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夜はあーたのライブに行く約束をしてたけど、また行けなかった。いままでライブに行き過ぎてたな。体調をみながら減らしていく方向で。
ところでライブに行くことを「参戦」っていうの、ずぅぅっと違和感がある。闘う音楽があってもいい、けど本質はLove & Peaceであって欲しい。
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31日。抗鬱剤を貪り食う。ぜんぶ気圧のせいだ!!
多摩シティ大雪注意報。積雪5cmの予報。もっと積もれー!! 靴を買い替えたばっかりでよかった。ハーゲンダッツ白雪姫の林檎 -カスタードとともに-が美味しかった。
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最近のチャイは僕が起きると横にきて、なでる前からゴロゴロ言う。なでると「うにゃ」って言う。メイはデロンギにひっついてるか、布団の中に入ってる。
すごく楽しみにしてたパール兄弟のライブ、体調的に諦めた。バカボン鈴木さんがウッドベースを弾く、特別なアレンジの素晴らしい夜だったみたい。
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愛妻の日か...わが妻となってくれる女性が現れれば、猫たちに捧げるのと同じくらい大きな愛を捧げるのにな。若い頃から疑問なのは、身の回りに人のいい彼女のいない男性がたくさんいる。でも彼氏のいない女性はほとんどいないんだ。数が合わない。
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1日。モンゴルの大草原で遊牧民が歌う壮大な歌に感動して、ShazamしてiTunesで買ってDJで使おうとする夢を見た。音楽好きとして心が汚れてるなと思いました。
2月の目標は「めげない」。年間目標の追加「存在意義のかけらを探す」。
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amiinA@赤坂BLITZへ。
赤坂BLITZといえばKRAFTWERKを観に行って、開演前に泥酔者が "DENTAKU" を絶唱してつまみ出されてた思い出。この日はSerphさんがゲスト出演する。10年近いキャリアで人前に姿を現したのは2回。周りのオタさんがSerphさんを知らない。「音源だけ出してライブしないらしいよ」「さよならポニーテールみたいなもんか」だいぶ違う。
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BLITZが埋まったことにまず感激。ライブは圧巻だった。
古文書をかたどったプロジェクションマッピングされた大道具、ページをめくると、SerphさんやTHE CHERRY COKE$やNETWORKSやピアノを前にしたmlyuちゃんやサプライズゲストが飛び出してきた。SerphさんはかぶりものをしてMacBookを演奏、さすがにサポートの女の娘も可愛いなと思ったらamiちゃんだった。念願の生バンドでのamiinA、もう当たり前のように素晴らしかった。
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異様なまでの音楽性の高さ、確固たる世界観と演出力、パフォーマンス力、弾ける笑顔、ぜんぶ知ってた。でもぜんぶ今までを超えてた。夢中になって腕をあげた。amiinAはますます音楽に舵を切ってきた。amiinAのライブにはいわゆる「ヲタ芸」がない。みんなちゃんとライブを聴いてる。その核にいるのはamiinAの2人の存在感で、そこはブレない。ってことがすごく嬉しい。休み明けの春が待ち遠しいな。
あまりにも凝った演出とゲスト陣で開場が30分遅れ、すべてが30分押して特典会は労基法的に23時で閉店ガラガラ。2人がちゃんと目を見てハイタッチしてくれたんでおじさんは満足です。これも今年のベストライブに入る可能性充分。
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3日。久しく長い睡眠が取れなかったのに25時間寝た。疲れがたまってたみたい。家のこと、音楽のことやりたかった。結局フェルメール展に行けなかったな。
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世の中のことを。「土星の1日の長さが判明、太陽系で唯一謎だった」。何光年先の惑星の自転速度までわかってるのに、土星はガス惑星で、地軸と磁軸が完全に一致してるんでわからなかったそうだ。土星内部の重力の歪みが輪に共鳴する現象を測定してやっとわかった。「『月の石』は地球最古の石だった」アポロ計画で月から持ち帰った石が、太古の地球から弾け飛んだものかも知れない。
新たに見つかった映像と未公開オーディオをもとに制作されたドキュメンタリー映画「APOLLO 11」のトレーラー映像が公開された。
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ジブリのフリーペーパーに松本隆さんの特集があって意外だった。ジブリにしろ松本隆さんにしろ、表層的なわかりやすさの裏に深遠な、苛立ちにも似たメッセージ性のある表現者について、鑑賞してないのに食わず嫌いでdisる人には辟易する。
森アーツセンターギャラリーで「ムーミン展」が開催される。「アイドルと付き合える確率は小惑星が地球に衝突する確率と同じ」。「TOHOシネマズ日本橋設備点検のため営業中止 再開日未定」。なにが起きたか大喜利になってる。
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小島慶子さん「#MeToo が嫌いなあなたへ」。#MeToo運動は女性の権利を高めて男性を脅かすものじゃなくて、社会のシステムを変えていこう、我慢が美徳って文化も変えていこうって運動だよって話。素晴らしい記事。
同じく小島慶子さん「弱みをオープンにして、男らしさの呪いから自由に」。Toxic Masculinity (有害な男らしさ) って概念がもう30年前にあったら、あの地獄の男子校生活は、その後の人生はもっと生きやすかったかもしれないな。
2月8日 I've Not Got A Friend
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トータス松本が「声の小さいやつは言いたいことがないと思うんや」って言った時、激しい拒絶感があった。不器用に生きる者、心の弱き者に対する想像力が致命的に欠損してる。僕は声の小さき者の声に耳を傾けたい。
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ある女性シンガーソングライターが、「シンガーソングライターおじさん (女性シンガーソングライターを追うおじさん) に言いたいのは、私たち友達じゃないんで」って言った。それはまあよくわかる。
でもかつて、ミュージシャンとファンがミュージックフリーク同志として、完全プライベートでお互いの家で飲んで音楽談義をしたり、遊びに出掛けた時代があった。ミュージックフリークがスポットライトを浴びる側になるか、鑑賞する側になるかは多分に運やタイミングによるものだ。その輪は友情だったし、恋愛に発展するケースもあった。
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いま、男性ミュージシャンは集客が難しい。特にシンガーソングライター系の出演者が全員女性で観客が全員おじさんな状況は不幸だ。出演者もファンも男女半々が健全だろう。「シンガーソングライターおじさん」を作り出したビジネスや、おじさんを片手で転がす対応をしている彼女らに、それを咎める資格はない。
その「友達じゃないんで」発言をした女性シンガーソングライターが、主催イベントの出演者を分析する動画を観てげんなりした。表現者が表現者を批評するのはとても難しい。表現者と鑑賞者とそれを結びつける評論がバランスよく存在するのがいい。考えるってとても大切で、得るものは大きいけど失うものもあるんじゃないかな。自説を朗々と断言する彼女に、僕はトータス松本を感じた。
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3日。節分。福は内 鬼は外。
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かねこきわの@恵比寿天窓SWITCHへ。きゃのんはフロントアクトで1番手。久しぶりの大きなハコに緊張してる風だったけど、それがいい方向に向いてグルーヴを感じた。きゃのんの音楽の宝箱を、わかりやすく届けられたんじゃないかと思う。
”ワンピース” の深いリバーブは、きゃのんのボーカルの新しい可能性を引き出したかも知れないな。全体に渡って、PAさんが素晴らしいイベントだった。
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続いて姫乃たまさん。著書は拝読してて、そのクレバーさとは打って変わったゆるふわなステージの完成度に目を奪われた。はんなりとMCをするそのテンションと発声で、自然に歌う。あんなノーブルなボーカリストはなかなかいないよ。
久しぶりに観たつるうちはなさんはますますぶっちぎって光になってた。中学時代から音楽活動を始めて幾星霜、ついにメジャーデビューするそうだ。初めて弱みを歌ったって新曲がどかんと響いた。
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知り合いがたくさん関わってる脇田もなりさん、DJがNachuでどうもどうも。ソウル風味のシティポップを歌う姿は、その若さから放たれてるとは思えない色気を感じた。
川嶋志乃舞さん。雅楽とポップスの融合っていろんな人が取り組んでるけど、違和感なくカッコいい人は歴史上まれ。それは三味線奏者としてもガチであり、ポップの感覚を自然に身に着けてる世代だからできる芸当。未来の伊藤多喜雄さんになって欲しい。
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恵方巻きを食べる動画を観た。どう考えても異様だろう。関西の人はほんとにずっとこんなことしてたの? 記憶を捏造してない? Wikipediaを信じるならば、僕の世代では関西でも一般家庭には普及してないはずなるんだ。
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4日。20℃...普通に暑いよね。夜は4℃までさがった。参った。昼間は2月なのに窓を全開にして猫を揉んで、夕方になって薄着で出掛けたら寒かった。
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Teenage Fanclub@Zepp Diver Cityへ。
O.A.は曽我部恵一さん。生ギター1本の演奏の迫力はもちろん、Teenage Fanclubへの想いが伝わってきてすごくよかった。浪人時代に ”Catholic Education” を毎日のように爆音でかけて血肉にしてたそうだ。
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そしてTeenage Fanclub登場。楽しかったー!! 痛快で切なくて、「しみじみニヤニヤしとるんじゃ」ってライブだった。
彼らはサウンドの変遷はあったけど、基本的にいい曲を書いて演奏する、それだけをやってきたんだよね。でで、一時代を築いていまも新しいファンを獲得してるのは幸せなことだ。“The Cabbage” “Alcoholiday” “Everything Flows” “The Concept” ぶちあがった。サポートのキーボーディスト (女性) を含めたコーラスワークも見事だった。
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ライブを観ると1stの曲も新曲も同じ美意識で繋がってた。いいメロディがあれば、コードや構成や演奏で奇をてらわなくてもちゃんと成立する。日本のポップスはいじりすぎだ。ポップを貫く強い意志を感じた。
そしてユーモア。彼ら自身も楽しそうに演奏してたのがすごく良かった。メンバーやスタッフさんとの親密な距離感。そして本編を “Everything Flows” で盛りあげておいて、アンコールは “Broken” で消え入るように終わらせるセンスにも笑った。
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Teenage Fanclubを観ると優しい気持ちになるね。もちろんGerard Loveがいてくれたらって想いはあるけど、確かにTeenage Fanclubを観たぞと。この日のチケット、実はなんとなく取ったんだ。観に行って、自分がどれだけTeenage Fanclub好きだったか思い知らされた。一番聴いたアルバムは “Bandwagonesque” でも “Grand Prix” でもなく、”Songs from Northern Britain” だと思う。
先週からさわひろ子さん、amiinA、Teenage Fanclubと、年間ベスト級のライブを続けざまに観てる。
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5日。根拠のない鬱。そしてMacBookの調子が悪い。DJ中に壊れるパターンはやめてほしい。「ソフランなら毛糸洗いに自信が持てます」って歌いながらソフランでセーター洗おうとしてた。アクロンや。
夜になって部屋を大掃除した means 猫の写真や動画を気兼ねなくアップできる。
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6日。雨のウェンズデイ。ぜんぶ気圧のせいだ。
美人女子大生カウンセラーさんとの憩いの時間。日々にいいこと悪いことあるけど、通底にまだ書けないもじゃもじゃした大問題があり、いつ明けるかわからない状態に困ってる。帰ってきてふて寝。ウーヤーター (可燃ゴミをだしました) 。
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7日。夢の中で読んでるマンガの続きが気になって仕方ない苦行。脳の半分は話の続きを考えて、脳の半分がそれを首を長くして待ってるという。
障害福祉センターのフィットネスプログラムに行った。去年まで本当に動いてなかったから、週に一度だけでも運動する機会があるのはいいなって。問題はバスが25分に1本しかないことだ。電動アシスト自転車買うかなあ。
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猫に毛づくろいされた。僕をなんだと思ってるんだろう。
細馬宏通さんのラピュタの食事シーンの考察連投が面白かった。自分の発見の発表の仕方は、丁寧な物腰と言葉使いが好きだ。もちろん細馬さんは学者で物書きでプロフェッショナルで、某女性シンガーソングライターと比較するのは酷だけど。
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8日。調子悪い。抗鬱剤を貪り食った。
"Is life always this hard, or is it just when you're a kid?”
“Always like this.”
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FUJI ROCKの出演者発表第一弾。The Chemical Brothers, Death Cab For Cutie, James Blake, Jason Mraz, Gary Clark Jr., Mitski, Toro Y Moi...。Mitskiはレッドでワールドレストランまでぎっちりの可能性あるな。James BlakeとToro Y Moiはホワイトで入場規制だろうな。Weird Al Yankovicを呼んで「ミンナキマシタ」って年があってもいい。
レッチリが下の方にぽつんと書かれてて話題になった。よく見たらRed Hot Chilli Pipers。バクパイプでロックの名曲を演る。“We Will Rock You & Eye of the Tiger” 。本家レッチリより面白いじゃないか!! 絶対盛りあがるやつ。
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猫が「ヒューマン元気でてきたじゃねえの」って言ってる (たぶん) 。
最近お酢を飲んでる。四半世紀前、日本愛酢党っていう泡沫政党があって、政見放送でひたすらお酢の効能を宣伝してたのが頭に残ってたんだ。日本愛酢党の母体はミツカンじゃないけど、結果としてミツカンすごい得してる。
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世の中のことを。「山本和奈さん『週刊SPA!』への抗議署名を呼びかけた大学生」。「日本で言うところの『意識高い系』? その言葉、本気でなくしたい」。「女性が声を上げるだけでマイナス評価になりがちな日本社会。ネットには『この子、就活できないね』『内定取り消されるべきだ』といった声があふれた。一方、複数の海外企業からは『採用したい』と連絡が」。意識を低く無難に生きる日本社会。僕も意識高い系disで叩かれる。
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「あえてマスクなし対応好評 市役所、風邪の職員は」。「体調が悪い職員には『窓口対応をさせない』『自宅で休ませる』ことを徹底」ならいいんじゃないの。
人相学では人柄は口元に出るそうだ。僕はマスクをされると、なにを考えてるのか読み取れなくて恐怖を覚える。で、相手が家族でも誰だかわからなくなる。耳の不自由な方は口の動きを見て会話するそうだ。
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「北磁極の動きが加速、原因不明、あまりに急激」。「あまりに急激なため、グーグルやアップルが地図に利用している世界磁気モデルも急きょ更新されました」。「今後どうなっていくかはまったく予想できません」。
「紙からスマホへ。東村アキコさんが「縦読みマンガ」の無料連載を始めた理由」。マンガ好きのスマホ好きとして、時代の狭間にあっていろいろ考えさせられる記事だった。「新しい機能性ポリマーの開発に成功」。「傷つけたり、切断したりしても元に戻るゴムの新素材を、理化学研究所などのグループが開発しました」。
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「首相『森羅万象すべて担当』でも統計不正報告書は未読」。見出しが秀逸。「統計不正の報告書は『読んでいない』と明かした安倍晋三首相。国民・足立氏が『残念』と返すと、『総理なので森羅万象すべて担当している』と説明」。「総理大臣でございますから、神羅万象すべて、担当しておりますので」。
森羅万象を一人が担当できるならばほかの大臣や、神さえもいらない。各担当大臣を代表して指揮監督するのが総理大臣だよね。彼は「森羅万象」の意味を知らんのではないか。「立法府の長」発言と同じく、自分の職務を知らんのではないか。
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「柳瀬氏、NTT系の社外取締役に 加計問題で追及の元首相秘書官」。嘘をついて安倍を庇ったやつは出世する。行き先がNTTというのも香ばしい。
「『産まなかったほうが悪い』発言から考える、誰かに支配され、見失ってしまうこと」。「気になるのはこの人の言葉の足らなさ、使い方の雑さです」。何度辞任してもおかしくないような暴言の数々を「麻生節」って報じる神経がわからない。
2月14日 煮干しの日
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今日は全国的に煮干しの日であり、それ以外の何物でもない。
自分が愛される可能性については何十年か前に諦めた。自分の存在意義も断念しつつあり、もしかしたら、を微かに期待して生き延びてきたけどそろそろ限界かな。そもそも自分はこの世に存在しているのかを疑ってるフェーズにある。
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MacBookが壊れた。場違いなDJイベントをMacBookでこなす予定で準備をしてた。そのデータだけはサルベージした。イベントが終わるまで修理にもだせない。
何十万円ぶんかのアプリが無駄になる可能性が高い。データはTime Machineにイレギュラーな形で残ってるけど、28年間作りためてきた音楽データ、想い出の写真、僕がパソコンに出会ってからの痕跡が消える可能性もある。
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まだ詳しくは書けないけれど...右から左から誘われるサラウンド、でミサイルが飛んでくる人生。その中を盾もなく独りで歩いてきたんだぜ。
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9日。雪の予報。都内では積もったところもあったみたい。多摩シティは降らなかった。つまんないな。いくつになっても雪遊びしたい。
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猫は神の使いかよって時となんて構ってちゃんかよって時がある。ここ1週間は甘えてくれるのがありがたくて、それが彼らなりの優しさなのかもな。
「夜廻り猫」にもそんな話があった。老夫婦と暮らす猫がわざと我がままを言うことで、その老夫婦には構ってあげる用事が増えて、家庭が華やぐ。
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小麦を潰して粉にして水でこねて寝かせて細く切って茹でたら旨いんじゃないのって考えた人天才だな。
新宿に出てタワーレコード、メロスは新宿駅がわからぬ。nombres@新宿御苑サウンドへ。対バンがいまひとつで、なにより態度がでかかった。nombresは相変わらずベテランの最高の演奏。だけど思うところあってしばらく距離を取る。
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手塚治虫先生の命日。60歳って遥か彼方に思ってたけどそうでもないな。その中で遺した作品の密度たるや。「神様」手塚も悩み、嫉妬し、怒った。
若いマンガ読みには手塚を読めと言いたい。僕もおおよそ後追いだよ。ご存命だったらいまの時代に何を描いただろうか。
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10日。楽しみにしてたきゃのんのライブ、体調不良ですっ飛ばして寝込んでた。風邪気味でもあったし抑鬱がひどかった。猫抱いてうずくまった。
普通の猫は鼻を触ろうをするとよけるんだそうだ。鼻と鼻をくっつけるのは猫同士の挨拶だから。うちの猫たちは僕が寝転んだら、まず鼻をくっつけにくる。で、満足そうな顔をする。僕をなんだと思ってるんだろうか。
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11日。相変わらずの抑鬱。猫は曇天でもおひさまの匂い。安心する。
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MacBookの不具合。この日から3日間に渡って、アップルサポートと電話してあれやこれや確認する作業をした。アップルサポートやアップルジーニアスの知識と親切さには毎度頭がさがる。時間がかかったのはSoftBankの回線が遅かったからだ。
最初の症状はOSを認識しなくなったこと。OSを入れ替えたけど改善がみられない。Time Machineからのデータ復旧もうまくいかない。で、HDに物理的な損傷があると。
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タイムラインはグラミー賞の話題でもちきりだった。Childish Gambinoの "This Is America" がRecord Of The Year、Song Of The Yearをはじめ総ナメ状態だった。白人に偏ってるグラミー賞としては大変な快挙だ。
ヒロ・ムライ氏がグラミーを取ったのはChildish Gambinoのコンセプトによるものだけど、ヒロ・ムライ氏が村井邦彦氏のご子息であることはもっと語られていい。
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Best Alternative AlbumはBeckが取って、David Byrneは取れなかった。St. VincentからSteve Gadd Bandまで受賞。Album of the Yearは去年の雪辱があるからBlack Panther The Albumが取って欲しかったな。パーティーにはJoni Mitchellが現れたそうだ。
グラミーにはグラミーの、アカデミー賞にはアカデミー賞の癖というか偏りが確実にあり、そもそも表現に絶対の評価基準なんてない。
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エレクトリックリボンのpippiがブログで全身脱毛症を告白した。同じ病気を持つ人へのエールとして、新聞記事や、明日にはテレビでも取り上げられるみたい。
谷口ジロー先生の命日。所縁の深かった久住昌之さん、竹中直人さんの対談が公開された。夜空には笑顔みたいな月が。
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12日。猫の匂いを嗅ぐ。もう1匹の猫の匂いを嗅ぐ。2匹並んで匂いを嗅がれてる。昼間の予定をキャンセルして引き続きMacBookの復旧。わかったことは、Mojaveの読み方がモハーヴェで、砂漠の名前だということだ。
DPZの古賀及子さんのお子さんに対する視線が、基本リスペクトでよい。絶対いい子に育つ。古賀さんちの子になりたい。
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夜はamiinAの長期休暇前のほんとうに最後の出演、新宿タワーレコードでのリミックスアルバムのリリースイベントに行った。辛い時はamiinAのことを考える。amiinAが100万枚売れないこの国はどうかしてる。
amiinAのファンも男女比バランス良くなるといいな。男女問わず楽しめると思うんで。リハ観ただけでほっこり。音楽や世界観やパフォーマンスのクオリティの高さは言わずもがな、あの2人があの2人でいるだけで大きな力を持つ。
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本番はSerphさんがアレンジした “sign” から。代表曲 “Canvas” “Jubilee” “Caravan” はもちろん、シングルのカップリングで個人的に大好きな “soar” をやってくれたのが嬉しかった。稲穂たなびく日本的な叙情を湛えた曲で、でもダンスはヨーロピアンだった。
トークはSerphさんの素顔について。瞳がくるくるで可愛いらしいお兄さんなんだそうだ。イベント満喫しました。ゆっくり休んで春にまた会おう。ところでタワレコのお姉さんとのチェキは特典券何枚だ!?
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またがっくりする知らせが。運の悪い人生。酒が飲みたくなった。堀之内time Tokyoへ。独りで飲みに出るなんてほんと珍しいことだ。音楽不毛地帯の多摩地域に、音楽好きが集まるお店ができたのはありがたい。午前3時頃までバカ話して飲んだ。
1月28日のSIDE-Bに書いたとおり、鬱の概念が変わりつつある。僕が鬱病と診断を受けた19年前は、投薬治療で治るって言われた。でもいま鬱の原因は、本人の自己評価の低さ、存在意義を見出せないことによるって考え方みたい。障壁はますます高くなった。
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13日。美人女子大生カウンセラーさんとの時間。ここに書けないこともいっぱい話した。重苦しい雰囲気になっちゃった。パートナーが欲しい、結婚経験者と生涯独身者では平均寿命が9歳違う、それだけ独りでミサイルを受け続けるのはストレスフルで困難なんだ。カウンセラーさん「伸びをしましょっか」「もいっかい」。
僕は話し言葉が本当に苦手で、頭の中で理路整然と文章を組み立てられない。SNSでは文章を切り貼りして筋道立てて説明できるから、そのぶん人を追い詰めちゃうのかなとも思う。そして文字として残ってしまう。
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小島慶子さん。「不遇な人の話を聞いて、それは本人の努力が足りないからじゃないですかと訳知り顔で言う人がいるけど、あなたがどれだけの立派な努力とその成果を誇っているのか知らないが、思うようにならなかった人生を生きた人を貶める資格なんて誰にもないからな。心ないよ、ほんとに」。
夜は楽しみにしてたぎがもえかさんのライブがあった。もちろん行けなかった。
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14日。眞踏珈琲店。「皆様、煮干しの日おめでとうございます。本日、お一人様でご来店された方には美味しいチョコレートを。カップルでご来店された方には珈琲とは全く合わないであろう煮干しをプレゼントいたします。奮ってご来店ください」。
ちゅ〜るをあげる動画撮ってる人はどうやってるんだろうって考えたんだけど...みんなは家にほかの「ヒト」がいるのだね...。生きる歓びとは。
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世の中のことを。「過去5年間は史上最も暑かった、米政府機関が発表」。「まるで温暖化というエレベーターに乗り続けているようです」。今年はエルニーニョでさらに暑くなる。NASAが正式にオポチュニティにさよならを言った。14年の功績。
「みずほ銀行のATM休止を描いた映像が壮大すぎる」。「マイクロソフト、企業にInternet Explorerの使用をやめるよう要請『IEは技術的負債もたらす』」。Microsoftという一企業が人類に与えてきた害悪を思う。
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自民党大会で安倍晋三が「悪夢のような旧民主党政権に戻すわけにはいかない」って言ったことに対して「石破茂氏、首相の民主政権批判演説に不快感」。
どう考えても悪夢は安部政権だろう。人類史上例のない憲法破壊、憲政史上例のない公文書改竄、下落しつづける実質賃金、500兆円超の日銀国債引受け。官僚が自殺に追い込まれる一方で友達は優遇され、準強姦事件を揉み消し統計不正で経済を偽装した。
内田樹さん。「首相が民主党政権を『悪夢』の罵倒したことについて『言論の自由』を言い立てています。残念ながら、彼は『言論の自由』という概念をぜんぜん理解できていないと私は思います」。内田さんの言論の自由についての考察。
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「首相、改憲は自衛隊員募集のため 9条明記で意義訴え」。いままでの憲法で自衛隊員はどうやって募集してたの? 「菅官房長官、結果に関わらず工事推進の考え 県民投票告示を受け」。日本の民意は知らん、属国としてトランプの犬であり続けると。
「『日本の総理、小学6年生並みで情けない』立憲・枝野氏」。どう考えても6年生の方がまっとうだ。#枝野は6年生に謝れ ってタグがトレンドのトップになった。
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音楽のことを。「ポップ・ミュージック、ここ数十年でより悲しくなっているとする研究結果が発表される」。Queen “Bohemian Rhapsody”、The Beatles “Hey Jude”、David Bowie “Life On Mars?” の録音で使用されたピアノは全て同じ、トライデント・スタジオの1898年製のベヒシュタインなんだって。
2月26日 カリプソ娘に花束を
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日記の間があいちゃった。MacBookの修理をしてたり、人からみたらそうとう時間があるはずなのに、頭の中がもじゃもじゃしてるうちに無為に時間がすぎる。
ここ半年くらい僕を苦しめてきた人物がIQ3、サボテンと同じくらいだとわかった虚しさもある。なんで「被害者」と「犯人」が仲良く「せいぜい生きて」やらなきゃならんのだ。僕は7ヶ月間もの間、サボテンの憎悪の塊をくらい続けてきたんだ。
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石川浩司さん。「猫は『なんで自分は生きてるんだろう』なんて考えない。でも猫の存在価値を否定する人はほぼいない。人も同じ」。
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15日。猫としばし朝の歓談。チャイはお喋りが好きな猫だ。メイは人が好きな猫だったけど、うちにお客さんがほとんど来なくなっちゃって、申し訳なく思ってる。そうこうしてるうちに老けて寝てる時間が増えた。
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あっこゴリラさんのブログはバイタリティがあって聡明でとても面白い。彼女はいつもわくわくしてる。僕にもたまにわくわくすることはある。でも自分が必要とされている感覚っていうのは47年間一度も感じたことはないな。
CoCo壱番屋の創業者の壮絶な人生が記事になって、環境が彼を強くしたって評があがった。壮絶さに怯えて生きて、弱くなるケースもあるよ。発達障害って言うと「すごい才能あるの?」って聞かれることがある。発達障害の99.9%は凡人です。
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NUMBER GIRL再結成の知らせ。FUJI ROCKのGreen Stageから小さなライブハウスまで何度も見た。
おじさんはなべてキモい。でも生まれた時は天使のような赤ん坊だったし、OMOIDE IN MY HEADを抱えて心に見えない翼を持ってるんだよ、いまでも持ってるんだよ。向井秀徳さんは同い年です。その後アヒト・イナザワ氏が自身のバンドでネトウヨ丸出しな歌詞を書いて炎上した。足を引っ張るなよな。
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翌日は場違いなところでDJをする。いままでアナログでDJしてたから、最悪レコードと針さえ持っていけばよかった。初めてMacBookでDJやろうとして、MacBook壊れてソフト触れる状況になったのこの日だし、ケーブル周りなにも考えてなかった。
とりあえずの環境で練習したらケアレスミスで音が止まること3回。緊張してきた。
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好きなクリエイターの創作意欲に、こっちの吸収力が追いつかない。音楽、映画、マンガ、絵画、演劇、それぞれに好きな作家がたくさんいたら当たり前なんだけど。
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16日。生活のリズムが変拍子バリバリのプログレになってる。気圧も急降下で普段なら絶対に出かけない体調だけど、自分が出演するなら出かけないわけにはいかない。行きがけにケーブルを買うつもりが、情弱都市、多摩シティ唯一の電気屋が潰れてた。
里本あすかさんの生誕祭。セットリストはこんな感じ。
- 愛のチャンピオン号 / Snakeman Show
- コント。Acid PauliがDJの1曲目に使ってたのをパクった
- Beinbaug / U Sein Thilo
- ミャンマーの民族音楽
- To-Bwe-Yodaya / Hsaing Waing
- 同じくミャンマーの民族音楽。去年末くらいから未踏の地、ミャンマーを掘るシーンがアツい
- In C / Africa Express
- Terry Rileyの名曲をアフリカのマリでBrian EnoやDamon Albarnが参加してカバーした音源
- What’s The Use Of Feet If You Haven’t Got Legs / Telefon Tel Aviv
- テクノの名曲
- Fast Slow Disco / St. Vincent
- オルタナミュージックの才女のシングル曲
- How Many Lovers / Jhameel
- バークレー卒のポップスター
- Verdens Beste By / Razika
- ロシアのガールズパンクバンド
- Starlight / ラブリーサマーちゃんと芳川よしの
- ラブサマちゃん極初期のコラボ曲
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いま自分の好きな音楽を紹介する場がなくて、アイドルオタクをポカンとさせるのも楽しいけど、ほんとうはちゃんと音楽の良さを理解してくれる層に届けたい。
体調的に自分の出番が終わったら帰るつもりだったのに、午後になって気圧があがって打ち上げにも参加、始発で帰った。
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17日。疲労困憊で寝てた。DTMが青春ドラマのテーマになるらしい。マンガから30年遅れて根性要素のない文化部ノリ、「光画部」をやるのかな。
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18日。しばらくバタバタしてたんで猫とゆっくりする時間を作った。ちゅ〜るを与えてブラッシングをしてしばしのお喋り。
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Mona recordsでぎがもえかさんが出演するオーデションライブへ。もう2次審査なのかな? 3次審査なのかな? 選ばれたバンドばっかりで心地よかった。前のバンドは体型からしてスカートフォロアー、その席にはスカートがいるよって言いたいし、澤部渡さんみたいな可愛いデブはレアなんだなとじっと我が腹を見た。最後に登場した9人編成の男女混成バンドオレモリカエル、こんなのやりたかった。青春じゃん。
大雑把に前半のバンドが好みだったけど、平日の早い時間なんで圧倒的に後半のバンドが有利だよな。
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もえかさんは中盤に登場、強烈なスカートフォロアー (概念) のあとでガットギター弾き語り。圧倒的に音圧が低い柔らかな世界に、溜め息がもれた。手応え感じたな。
彼女の歌は、ささやかな言葉に込められた意味性があとからじんわりと伝わってくる。パートの終わりごとにリタルダンドする演奏は、ゆっくりページをめくるようで、一遍の詩みたいな音楽だ。相変わらず美しかった。
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終演後、水野谷みきさんが立つバーに行ってお喋り。水野谷は才女でいいやつ。
オーストラリアから帰ってきて東京3日目、なにをするか考えてないんですって女性客に水野谷が役者の道を勧めたら本人乗り気で、座長に連絡してオーデションを受けることに。役者が誕生する瞬間を目撃したかも知れない。
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19日。気圧の底。25年前に受けた圧迫面接の夢をいまだに見る。抗鬱剤を貪り食った。「いま大学で『叱られ方』を教える動きが始まっています」。「自分の成長の糧というか、受け止めるパワーというか、そういう精神面を養って欲しい」 アホか。
理不尽に耐える叱られ耐性は奴隷根性と同じ。そんなパワーを養ったって独善的な世代をブーストするだけだ。あーた / 鮎牛蒡のライブに行くつもりだったけど寝込んでた。
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20日。相変わらず調子が悪い。病院のハシゴと美人女子大生カウンセラーさんのカウンセリングを休むくらいには。
有名な元アイドルが交際0日で婚約したそうだ。たまたま玄米を食べて育った環境が似てたから。数々の恋愛を繰り返して、交際0日でこの人と一生暮らせるって思えるのはどういう心境だろう。雲間に十六夜の月。
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21日。朝からアナログレコードをかけると日々にゆとりができる。
病院のハシゴ。いつもの処方箋薬局が駅ビルごとお休み。自立支援法の適用を受けられない。別の薬局に処方箋だして、ちょっと外に出て戻ってきたら「できあがるのは夕方です」ってそれじゃ困る。救急車乗った時も思ったけどこの国の医療おかしくなってるよ。
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処方箋を返してもらって障害者福祉センターのフィットネスプログラムへ。やっぱり腹筋が圧倒的に弱いな。汗だくになった。そのあと面談。ありがたい。
こういう施設は税金で運営されていて、ある程度の条件を満たせばただで使える、ということを医者はもっと啓発していい。
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Twitterの同病者と、男子校時代は暗黒だった話で盛りあがった。休み時間を寝たふりでやりすごすためにバスタオルを枕に持っていってた。部活では他校との交流もあって、恋愛や結婚に至った人もいたみたいだけど、「山下はうちの学生としてみんなの前に出したくない」って言われて、会合がある日は独りで帰ってた。
だから、47歳を目の前にしたいまでも女子高生には緊張する。女子高生のアイドルさんには子鹿みたいに対応する。相手が卒業した途端にフランクになる。
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夜はTune-Yards@渋谷WWW Xへ。
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開場して最前列のウーハーの前。航空障害灯みたいに点滅してるアナログシンセが美しい。素晴らしいライブだった!! 大胆で豪快で自由で、繊細でユーモラスでキュート!! 音楽の触れてはいけない魔法に触れた。恍惚に陥ってた。去年のFUJI ROCKは躍らせるセット、今度はもっと進化して聴かせるセットだったと思う。
Merrill Garbusはボーカル、ウクレレ、キーボード、ルーパー、叩くと何か起こるパッド (本人が細かくスイッチングしてた) を演奏。そして異常に正確なビートを刻むドラマー、アナログシンセ (モジュラーシンセ?) とベースの3人。
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Merrillの叫ぶようなボーカルはもちろん、高音の美しさも目を見張った。特性の違う2本のマイクを使いわけてた。ルーパーの使い方も見事の一言。ウクレレはそもそもバンドがMerrillのウクレレ弾き語りから始まったことを思い出させてくれた。
Merrillの、米国の白人女性としてのアイデンティティが...っていうインタビューを読んだけど、そのコブシはネイティブ・アメリカン的だと思った。あるいは白人音楽に触れたばかりのアフリカのトライバル感。Youssou N'Dourなんかよりもっと泥臭いの。
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そこからクラブミュージックの真ん中を見据えたような演奏だった。ステージも客席も笑顔しかなかった。とてつもなく新しいものを共有してる連帯感で笑うしかないの。
音楽の可能性を広げていくミュージシャンがやっぱり好きだ。日本のシンガーソングライター、恨み節ばっかり歌ってるような人は、Tune-Yardsでもなんでもいいけど、音楽っていう表現を拡張していく人々の演奏を目の当たりにして打ちのめされた方がいい。
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夜、北海道で大きな地震がおきた。去年から続いてるな。
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22日。猫の日。猫アイコンのネトウヨをよく見かける。彼らの猫がいじめられてないか心配だ。猫写真の収集がはかどった。猫だけはほんとうに神が作りし生き物だと思うけど、たぶんに冗談で作った。
忌野清志郎 “ぼくの目は猫の目” あんまり知られてない清志郎さんの猫の歌をすごいメンバーで。しょこたんだいすきはるおみ “ネコブギー” 。
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はやぶさ2の着陸ライブ配信をネットで観た。Brian Mayが天体物理学者として登場した。着陸は見事成功。一番の難関を乗り切ったな。地球に帰るまでが遠足です。
工場から帰ってきたMacBookの復帰作業をもそもそ続けた (26日現在も続けてる) 。
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23日。悪夢じゃないんだけど...あなたの名盤10選を教えてくださいって言われて頭を抱える夢を見た。ずいぶん前に選んだのはこれです。風がすごい カフンカフン( >д<)、;'.・
久しぶりに訪れるBeatles聴きたくなる期。そしてそのたびに思う、アナログでぜんぶ揃えるべきか。自分がBeatles Ageだったらな。好きなバンドがものすごい勢いで進化して音楽の可能性を広げていくのをリアルタイムで体験したかった。
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さわひろ子 / イナダミホ@高円寺U-hAへ。
さわさんは相変わらずお話と歌をサンドイッチするスタイル。この日のお話は「ドッペルゲンガー」。いつになく日常的な展開だと思ったら、自分の人生の主人公は誰かっていう普遍的なテーマに着地して溜息が漏れた。
前の日に企画色の強いライブに出演したみたいで、それゆえにさわさんらしい世界が強調されたステージ。ちょっとスモーキーで柔らかい歌声の描く心情は僕のイメージする人間さわひろ子さんを大きく飛び越えてた。女性は役者であるな。
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イナダミホさんは大胆なアレンジなのに疾走感溢れるポップチューンに乗せて、等身大の感情を歌う。そのエピソードだけ拾うに苦難も多かっただろうに、希望の歌にしてしまうところが大好きだ。引きこもりからの脱出を歌った “ハロー、新しい墨” が特に響いた。
ところでイナダさんはステージマヨネーズを持ってきてた。喉が潤うかと思ったけど酢がきつくて失敗だって。声楽家の方が、クラシックの声楽はイメージや精神論で、歌は良くなるけどステージに立つと吹っ飛ぶ、ポピュラー音楽のボイストレーニングは声帯を医学的に捉えてて参考になるって仰ってたのが印象に残った。
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John Lennonは生身のままステージに出て “Oh!! Yeah!!” って叫べばロックンロールとして成立するじゃん。それに対してPaul McCartneyは、教会でライスシャワーのお米を拾うEleanor Rigbyという女性の物語を描くわけだ。
イナダさんはイナダさんとしてステージに立って、自分の想いを歌う。さわさんは役者でもあって、物語を紡いで演じる。フィクションの創造性とノンフィクションのリアリティって意味では、その日に聴いてたBeatlesに通じるライブだった。
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BGMが気になって店長に聞いたら、Ahmad Zahirっていうアフガニスタンのミュージシャンだそうだ。インド音楽のようでもあり、バルカン音楽のようでもあり、文化の交差点だった。CDを頂いてしまった。僕がいま熱中してるミャンマーも、インドとタイに挟まれてそのどちらとも違う音楽文化を形成してる。
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24日。NHK-FMの名物番組○○三昧、この日は小林武史さんの特集だったみたいだ。
流れてきたツイート。小泉今日子さんの “あなたに会えてよかった” の編曲クレジットは小林武史さんになってるけど、小林さんはレコーディング初日にしかこなかった。実質は佐橋佳幸さんと根岸孝旨さんがセッションをリードして編曲したのに、小林さんがレコード大賞編曲賞を取って、佐橋さんと根岸さんはブチ切れたそうだよ。
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U-hAの店長に頂いたアフガニスタンのAhmad ZahirとミャンマーのPone Nyet PhyuのCDを聴いた。お返しにミャンマーのPantaya SeinfuramyainとHsaing WaingのCDを差しあげた。どれもとても豊かな音楽だ。
雅楽にはときめかなくて、保存するべき伝統芸能になってから生気を失ったんだろうな。雅楽の大家、宮城道雄さんもルーツを辿って朝鮮半島の音楽を研究されたそうだ。
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天才かねこ "きゃのん" きわの / ロックスターサトウトモミ@高円寺U-hA。
U-hAにしてはアイドルシンガーソングライターに寄ったブッキングかな。もうひとりの対バンの方はともかく、きゃのんとトモミさんはその枠からずっと先に進んでる。
きゃのんは久しぶりのライブで、MCで何を話していいかわからないって言ってたけど、きゃのんのMCはいつも何を話してるのかよくわからない。僕の好きな “はちみつ” を歌ってくれて、じんわり染みた。新曲の “悲しくなればピザ” リフの疾走感から心地いい。多作家でつくづくどれも名曲だ。創作の現場を覗いてみたい。
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トモミさんは安定したボーカルとベース、凝りに凝ったトラックメーキング。歌う内容はおっとりした世界観なんだけど、ロックな芯が通ってる。「こんにちは おばあさん ご機嫌いかがですか 日曜日 日曜日 お茶でもしませんか」なんて歌われる “ヘッドフォンから流れていった” にも感じるし、シングルリリースされる “まるで魔法” の痛快さ。アンコールはハートウォーミングなラップ “あなたと目玉焼き” 。
ベーシストとしては僕と同じ、右手の親指をピックアップじゃなくて指板に置くスタイルで、ずっとこのポジションをキープしてるベーシストを僕とトモミさんのほかに知らない。そのへんの話もいつかじっくり聞いてみたいな。
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25日。アカデミー賞の授賞式。オープニングパーティーではQueen + Adam Lambertが演奏した。「グリーンブック」が作品賞を取った。「ボヘミアン・ラプソディ」は主演男優賞ほか4部門を制覇。グリーンブックが人種問題と、大好きなピアニストDon Shirleyをモデルにしてたことをぜんぜん知らなかった。
疲れが溜まって気圧も底で、この日も寝込んでた。夜になってNegiccoのNao☆ちゃん結婚のニュース。31歳で既婚者でアイドルを貫くNao☆ちゃんはとんでもない地平を切り開いてる。2月も末か。年の瀬だな。良いお年を。
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世の中のことを。「雨に唄えば」で知られるミュージカルの王様、スタンリー・ドーネン監督が亡くなった。日本文学の国際化に貢献したドナルド・キーンさんが亡くなった。
小野ほりでいさん「ブスという言葉が死に向かいつつあるね」。ルッキズムに対する興味深い考察。僕も自分の不細工と向き合おうと思わされた。人が寝てる時の猫の行動。衝撃映像だ。僕が寝てるときもこうなのかな。
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「NHK最後の良心に異常事態」。「文化・福祉番組部は、権力や権威になびかず弱者の視点にこだわり、NHKのテレビジャーナリズムを守ってきた」。「松本人志『明確な同意なし性行為は違法』に反論『途中でイヤァンって言うやん』」 。松本人志の劣化には言葉もない。室井佑月さん「異常だよ」。太田光さんと安倍晋三の噛み合わなさについて。「違法ダウンロードの範囲拡大に潜む重大な問題点」。「世界的に見ても異例な広範囲」。
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「トランプ大統領『安倍首相からノーベル平和賞に推薦された』」。なにが起きたんだ。ほんとうに頭が狂ってる。支持してる人も推薦されて喜んでる人も狂ってる。これはなにかの比喩じゃなくて、専門家の診断を受けた方がいい。
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音楽のことを。急いでる人はNME Japanが選ぶ今週聴くべきこの曲:2019/2/15と2019/2/22を。
BRIT Awards 2019の授賞式が行われた。Album of the YearはThe 1975。The Monkeesのベース・ボーカルPeter Torkが亡くなった。
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The Kingtonesの内田正人さんが亡くなった。Kingtonesは「ソリトン SIDE-B」で知ってFUJI ROCKで観た。ガチのドゥワップでめちゃくちゃかっこよかった。FUJI ROCKはときどきそういう魔法を起こす。高野寛さんがKingtonesに提供した “夢の中で会えるでしょう” の歌い出しが “グッドナイトベイビー” のオマージュなのは気づいてたけど、イントロのコード進行がシュガーベイブの “Downtown” のオマージュなのは気づかなかったな (“Downtown” も元々はKingtonesのために書き下ろされた) 。
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さっきも書いたけどNUMBER GIRLが再結成する。「初音ミクを音楽の歴史に位置づける『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』」。ボカロ文化の興味深い考察。岸野雄一さんが精神障害者の福祉施設でDJイベントを開催した。「ここでは多様な反応が受け入れられ、かつ開放感があって、とても居心地が良い。あらゆる人に居場所を」。
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