DIARY 2025年9月


9月29日 心ない言葉、心ない人 including me -9月のあーたくし-

日記が途絶えていた8月中旬から9月末まで、ベッドの中で身を縮めて根拠のない不安に襲われ続けていた。体も脳も休まらず、目を閉じるだけで雑念が押し寄せる。不眠は日に日に深刻になり、心身は疲弊していった。

時間を確認するためにiPhoneを手に取る、その気力をチャージするのに30分かかった。iPhoneを手に取っても病苦で顔が歪み、Face IDが機能しない。食欲もなく、ただチョコレートをかじった。甘いものがわずかに不安を抑えてくれるような気がした。

外に出られないのでUber Eatsでコンビニからお菓子を取り寄せた。ある日のこと、GPSマップ上で配達員が動かない。電話で問い合わせても「アプリがフリーズして困っている」と繰り返すだけ。なぜか僕が本部に連絡するよう指示され、たらい回しの末に答えは出なくて、虚しさだけが胸に募った。酷く暑い日のアイスも届かずに、理不尽さと孤独が渦巻いた。

一番酷かったのは9月7日の週だ。腰に刺すような痛みが広がり、薬では耐えられなくなった。眠れない夜中、頑張って入浴した。2週間ぶりのお風呂で、心身は極度に疲れ果てた。抗不安薬も底をつき、頼れるのは猫だけだった。薬はエレベーターのボタンを連打するみたいに、効果が出るのを待てず追加してしまう。

部屋を出るのも大冒険の病気、タクシーで通院するのがいまの唯一の外出だ。最後の退院以来、初めて通院できない日があった。一番辛かった週の通院日は、行かなきゃ死ぬ危機感で意地で行った。タクシーに乗った途端、空が壊れて水ごと落ちてくるような雨に打たれた。水びたしの僕を見て、カウンセラーさんは傘を忘れたのかと聞いた。いえ、これ自律神経失調の冷や汗です。臭いシャツが恥ずかしかった。

カウンセリング中にもっと酷い冷や汗と意識混濁が起きて、途中で切り上げてもらって診察に移った。診察室で倒れて、強力な抗鬱剤を注射されて病室に運ばれた。当然そのまま入院の流れだったけど、猫の世話を頼める人がいないので、無理を承知で自宅に帰してもらった。

医療機器が故障してやってきた担当者は、立派なスーツを着て僕の体調をまったく気にすることなくビジネスライクに滔々と説明した。混濁した意識の中で訪問看護師さんとのやり取りにも誤解が生じた。頓服薬をもりもり食って体中に震えが出る副作用に陥った。これが三連休の前という、医療にも行政にも相談できないタイミングにやってくるのが僕らしい。

そもそもこの状態に陥る前に何があったのか。天気のせいかもしれないし、作業が滞っているせいかもしれないし、カネがないせいかもしれないし、孤独のせいかもしれないし、たぶんその全部だ。

かつてよく通った小さなライブハウス高円寺U-hAのオーナー店長 瀧川誠氏が、楽観至上主義を掲げて僕を「不幸の安売り」と嘲笑した。敢えて大きな主語を使うなら、働けば給料が10年で3倍になった高度経済成長期オジ、その後「日本が世界を買い占める」と言われて遊び呆けたバブル世代オジは、99パーセント日本語が通じない。

ワーストワード・オブ・ザ・イヤーは、ででん!「不幸の安売り」。不幸に値札はありません。安売りという発想自体が誤りです。人の痛みは比較ではなく、その人自身の立場でしか測れません。不幸を語ることは安売りではなく、生き延びるための叫びなんです。

もうひとつは9月の頭に、40代のスーツアクターと10代の女優のスキャンダルが報じられたこと。それをきっかけに、以前ネットで知り合った若い女性とのやり取りを思い出した。彼女は「おじさんはキモい」という長文の投稿をした。僕は「人は誰でも歳をとる。エイジハラスメントはいけない」と強すぎる言葉で返した。その言葉は、彼女の心を深く傷つけたと思う。

僕は自分から若い女性に言い寄ることはない。でも、もし逆に若い女性から好意を向けられたら、「ルパン三世 カリオストロの城」でクラリスに対するルパンみたいに、彼女の未来を尊重して身を引けるかどうか自信はない。かのスーツアクターみたいに流されてしまうかもしれない。

つまり、彼女の言葉が図星だったことで、必要以上に強い言葉を使ってしまったのだ。その反省を深く抱えたまま、もう彼女に連絡を取るすべはない。

この頃どれくらい辛かったかといえば、2021年に新型コロナ感染症に罹患した時より辛かった。

僕は基礎疾患を抱えていたので、あの時は即入院になった。緊急連絡先として、10年以上連絡をとっていない親戚の電話番号を書いた。翌日、その親戚には「今夜が山だ」と連絡が届いたそうだ。

裏ガネで買い取られた東京オリンピックで医療機器が徴収され、周りの患者さんが次々と亡くなっていく中、医師の賢明な判断で九死に一生を得た。今月は、その時より辛かったということだ。

カウンセリングで「山下さんは心が綺麗すぎるし真面目すぎる」と言われた。普通の日本人はそういう時にこんなかわし方をする、という実例をいくつか伺って心底驚いた。僕は別に聖人君子を目指しているわけじゃない。発達障害の症状だ。

何が報われるでもなく「不幸の安売り」として嘲笑されるだけ。こうしている間にも細胞分裂はエラーを繰り返し、DNAは損傷し、再生力が低下し、生命システムの恒常性が維持できなくなる。つまり老いていくわけだ。ほんとうに何事も成し遂げない人生であった。

消えてしまいたい感情はリアルだけど、実行する気力は湧かない。支えは猫だけ。人との関わりは誤解と不安に満ちている。父は僕の唯一の理解者だった。12歳の時に40歳で亡くなり、人生の灯台は失われた。その問いだけが心に深く残る。

日々の理不尽さは精神をえぐる。病苦と孤独。責任を果たせない自分と、理不尽に働く他者。53年も不幸の連鎖を生き抜き、科学では説明できない理不尽さを経験してきた。そんな時だけ神の存在を想う。症状が辛いのは双極症だけど、この大失敗人生の元凶は発達障害だ。

誠実で不器用な自分を抱え、孤独の中で生きる日々。不条理があと100年続くとしても生きるしかない。重たい日々の中で、僕は静かにただ息をしている。

その中でよかったことは。永岡ゆきねさんがミスマガジンのグランプリに選ばれたこと。初期のグランプリに斉藤由貴さん、以来大スターをたくさん輩出してきた。ゆきねは頭の回転が早くて本質的な意味で賢い子。賢いから優しいし誠実に生きてる子。僕のマネージャーをしてもらったことがある。僕が、ではない、ゆきねが僕のマネージャーだったの。
 そして細谷さらさんがFridayに発見されて、巻頭グラビア9ページと同時にデジタル写真集を2冊同時発売。さらは、愛知からわざわざ僕のお見舞いに来てくれたことがある。ぬこぱんちさんという新しい推しができたこと。5年くらい前だろうか、TikTokでバズってずっとフォローしてた。初めてポコチャ配信にお邪魔したら、いろんな試練を乗り越えただろう素敵な女性になってて、その気さくさと優しさに沼ってしまった。

lit.linkには僕のコンテンツのほかに、膨大な推しリストがある。ライバーさんやタレントさんは10人くらいずつ、そのあとミュージシャンとアーティスト(芸術家って意味での)が100人くらいずつ。完全に自分用のリストだけど、よかったら覗いてみてください。
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