DIARY 1999年夏


6月14日 バナナの皮に滑って転んで僕はずいぶん痛かった

ダンゴってのはまだ売れてるんですか。今日はファミリーマートの店頭で特設ダンゴ売場がなだれをおこし、バイト青年が拾っても拾っても転がり落ちるダンゴに笑いの花がぱっと咲いた。笑いの基本はドタバタだ。
 かく言う僕だって、どう奢っても注意力があるとは言い難く、間の悪さはのび太なみ。拾っても拾ってもダンゴが落ちる情けなさ、行き場のない悔しさ。わかんない人にはわかんないだろうね。買い物しようと街まで出かけたら財布を忘れたサザエさんが「愉快だ」と、どうして言いきれるんだ君。

実は先週の月曜日、Brian Wilsonのページをひっそりと作成しました。データ量には自信あり。もうちょっと推敲してから宣伝するつもりだったのに、日常業務に追われるうちに日々は過ぎ去り、先日発売されたレコード・コレクター誌6月号はBrian Wilson特集。微に入り細に入り、大変なデータ量です。先を越された。ちゃんと公開しとけばよかった。
 そういったわけで、左のメニューバーからBEACH BOYSを選ぶと、作り掛けのBeach Boysページが見れます。

6月30日 音楽は誰のために鳴り響きゃいいの

先週のヤンジャン見た? カラー2ページ見開きでBrian Wilson特集 by 萩原健太氏。今週はSPAに載るそう。再来週に迫った来日公演、チケットの売れ行きが芳しくないと聞きました。Bacharach来日の時にも思ったんだけど、プロモーターがちゃんと客層を掴んでないような気がしてならない。残念。

かと思えば今月のプレジデント誌はBeatles特集だそうで、阿久悠インタビューと来日裏話だっておやじ雑誌の限界みせつけてくれるね。無理しないでBill Gates特集でもやってろ。Beatlesは大好きだけど、Beatlesを巡る動きというのはいちいち泥臭く欲深く野暮ったくみえる。

ちょっと前になりますが、インドのシタール奏者、Ustad Usman Khanのコンサートに行きました。こちらもプロモーターのダメっぷりが目につきましたが、演奏は素晴らしかった。いい音楽が聴かれるべきリスナーの耳に届かないのは残念。ついでにDennis WilsonとCarl Wilsonのページを作りました。BEACH BOYSコーナーへどうぞ。

7月16日 Please Let Me Wonder

ほんとに来ましたね。Brian Wilson.
 ロックっていう現象は、ある時代の空気が群体化したタタリ神みたいなもの。その黎明期に身を捧げた多くの才能は、みんなどっか遠い世界に行っちゃったけど、Brian Wilsonだけは唐突に帰ってきた。遥かパラノイアの彼方から。それはまるで、僕らの夢見るリアルな60年代が冷凍保存されて90年代に蘇ったような倒錯した喜びです。

正直なところ、今回のライブは「帰ってきたBrianがそこにいること」を楽しむもんだと思ってました。でもそこにいたのは「今を生きる表現者としてのBrian」でした。アルバム「Imagination」から1年の間にサウンドは圧倒的に豊かになり、そして僕らの目の前でボーカルは日に日に表情を増していきました。今回のライブは一度きりの奇跡じゃない。次のアルバム、次のライブ、凄いことになるよ。

7月23日 Imagin

某電機メーカーのアフターサービス問題、ついにユーザー側の告発サイトが閉鎖することになったらしいですね。くわばらくわばら。

仕事をしててムッときた時のことを思い起こしてみる。無理難題を突き付けられたりとか、相手のミスを背負いこまされたりとか。自分がイメージしてた作業計画のキャパシティを超えると、感情をコントロールする余力が無くなっちゃう。
 サポートセンターにはたぶんビデオの不備を認められない事情があって、適当にごまかそうとしたら突っ込まれて切れちゃったのだ。生身の自分の儚さを自覚するチャンスがない人はすぐに怒って逃げる。これは咄嗟の情報処理能力と想像力の問題だと思います。

某好色テレビ局では「WWWというメディアは恣意的でトイレの落書きに近い」って報道をしたそう。ちょっとふんぞり返ってます。
 遠くの風景を再現できる「テレ・ヴィジョン」という機械を初めて目にした時、「これを一般家庭に普及させて宣伝媒体として使えばビジネスになる」と思った人は賢い。でも、それ以外の利用法を思いつかなくて、テレビを中央集権的メディアにしてしまった同時代の人々はちょっと想像力が貧困です。

WWWを盲目的に賞賛する人も、テレビ局と同じくらいふんぞり返ってます。ネット文化がなべて節操のない状況なのは確か。今を牛耳るテレビというメディアと、将来の可能性を持つWWWというメディアが、どっちも自意識とコンプレックスを隠し持って威嚇しあっているように見える。
 ところでWWWってバナー広告と通信販売以外に使い道ないんでしょうか。

8月8日 ぼくらは意味不明の名前を持って

僕は前にCarnationというバンドの進化について、「変拍子とアヴァンギャルドに身を包んだ「直枝政太郎」が、素の自分を受け入れてきたプロセス」だと書いたことがあります。最新アルバム「Parakeet & Ghost」で新しい地平を示した彼は、ついにここまで素の自分を認めるに至ったようです。僕がうだうだ説明するのは野暮。彼自身の言葉を噛み締めて読んでください (読んだら帰ってきてね) 。
 POYOPOYO RECORDは、直枝さんの決意を全面的に歓迎します。

T.A氏のライブに行きました。知人のライブに金払ったの初めて。感想文書いたんだけど本人に読まれたくないなあ。

8月16日 歴史あり

VANDA誌のバックナンバー完全セットを譲っていただきました。名著「THE BEACH BOYS COMPLETE」を通じて初めてVANDAの存在を知った不届き者、古いの持ってなかったんです。段ボール箱を開けてパラパラページを捲ってたらのめり込んじゃってあっという間に数時間が経過。いかんいかん。

第1号はムーミン特集でした。レゲエのムーミンじゃなくて「ねえムーミン」のムーミン。VANDAはかつて漫画評論誌だった、という驚愕の事実。いまやエロ本の宝島も昔はサブカルチャー誌だったしね。

8月22日 犬は吠えるが

オザケン全米デビューだそうで。モータウンから。
 彼の音楽が「冒涜度高い」とか言われちゃうのはわかるのよ。でも僕は彼を否定できない。ある特定の世代、ある特定の人間を本当に揺さぶる音楽だったんだよ。かっこ悪いけど。タイミングですからねああいうのは。

「LIFE」のヒットで社会の一員と化してしまった彼は、音楽活動のモチベーションを失っていたように見える。アメリカ進出、いいんじゃないでしょうか。

8月26日 Maybe I think too much

異様に更新スパンの長いこのサイト、ある程度クオリティを上げてから公開しようなんて思ってるから駄目なんだ。で、考えこんだ文章ほど勢いがなくなって、意味わかんないわつまんないわ。
 そもそもポヨレコは、カーソルインでエサ箱からレコードが飛び出すという一発ネタのために開設したんでした。素人がWeb上で稚拙な感想文を公開する意味、なんて考えてる場合じゃない。レコードがポヨポヨと飛び出ていただかなくては話にならんのです。

という開き直りの末に、コンテンツのクオリティを下げてみました。しょうもないページをいっぱい作っておけば、これから更新するとき気が楽になるだろうと。作為的な気楽さっていうのが破綻を予感させますが。これからは、音楽に関係ない話でもとりあえずなんか書いて更新更新。

8月30日 夏の想い出 (去年の)

Brian WilsonがプロデューサーのJoe Thomasを訴えたとか。訴えの内容はよく知りませんが、「Imagination」の音がかっこ悪かったからじゃないらしいですよ。
 音楽的才能がないJoeと3年間もコラボレーションを続けてきたのは、JoeがBrianを精神的・政治的にサポートできる人物だからだと思ってたんですが、別にそういう信頼関係もなかったのかな。Brianはつくづくパートナーに恵まれない人だ。ファンから見ればJoeと縁が切れたのはよかったけど、この一件で彼の音楽活動が停滞しないことを願うばかりです。

これからはバリバリ更新するんで。忘れないでねポヨレコを。