DIARY 2002年8月


8月1日 Progressive Curry Party

K.M.邸にてプログレッシブロックを聴きながらカレーを食べるという嫌げなイベント。K.M.氏のカレーは相当に旨いのだが、プログレの暑苦しさに耐えられるかという、一種の我慢大会でした。
 僕たちが普通に知っているクリムゾンやピンクフロイドは、プログレの上澄みをすくいあげたに過ぎない。これが古城系の国々になると、ヨーデルからバロックまでヨーロッパの下世話な部分が濃縮され、無理矢理な形でねじ込まれてしまうのだ。オルガンにナイフを突き立てたり、白塗りになって操り人形のように踊る人などを鑑賞。正しくヴィジュアル系に直結すると思った。おそらく一度はクラシックを目指し、挫折した反動で頭のほうが、と推測する。

要するに。プログレは生理的にダメだ。そのことがわかっただけでも意義のあるイベントでした。後半は酔っ払い、ひたすらシンセドラムで遊んでたんだけど、ただでさえリズム感がない上に変拍子が掴みきれず、かなりのお耳汚しであったと思う。深くお詫びいたします。

8月3日 大人の知恵袋

さて、人間30歳になったところでたったひとつの缶からに悩まされることもあるものです。サントリーモルツの販促グッズ。中にはビンテージデザインアロハハンカチが入っていて、容器は貯金箱としても使用できるという。確かに上面には貯金箱に相応しい口が開いていて、ビンテージデザインアロハハンカチらしきものが見える。

しかし。しかしだ。ビンテージデザインアロハハンカチを取り出すには缶切りで蓋を空けなければならない。蓋を空けてしまっては貯金箱として使用することができない。僕はどうしてもビンテージデザインアロハハンカチが欲しいのだが、貯金箱としての機能が損なわれるのは嫌なのだ。もちろん、引っ張る、ひねる、つまむなど類人猿として思いつく限りのことはやってみた。
 こういう場合、サントリーキャンペーン事務局に問い合わせたら笑われるでしょうか。いちおう電話番号と受付時間が書いてあるのですが。

家庭のトラブルが再燃しそうな勢いでブルーブルーブルー。インターナショナル・クライン・ブルーブルーブルー。

8月4日 はてな

ここ数カ月のはてなアンテナの隆盛たるや凄まじく、我がフリップサイドもいろんな方のアンテナに入れて頂いたり外されたりしています。アイデアとしては素晴らしいけど、じゃあ更新頻度が高いサイトほど偉いのか、トップを飛ばして更新ページに直リンクされるのはどうなのか、そもそもどういった基準で更新情報を取得しているのか、といった不満がないでもない。ブームに流されませんようマイペースにひとつ。

さて、そんなアンテナユーザーの皆様に素敵なお知らせがあります。我がフリップサイドは思いついた時に思いつくまま書き足しているので、リストの上位にあがっても見た目の変化がほとんどない場合があります。いつまでたっても完成しないのがWebサイトの美学だと思っております。それでも更新情報が欲しいあなた。世間的に見て「更新した」と思える状態になった場合はhttp://www.quiet-life.com/index.htmlを書き換えていますので、チェックURLをここに設定するといいかも知れません。

8月7日 もういちどメリーさん

おっ。日記を3日も休んでしまった。
 ここ数日何をしていたかというと、ひたすら熱にとろけてました。あじじじじ。たまにサンダーが小雨を降らし、雨上がりの夜空にコンビニに出かける。歪んだ夏だ。どうかしてる。ところで世のボーイズは雷が大好きですが、ガールズの中にはたまに嫌いな人がいます。自分に落ちてくる気がするんだって。僕は落ちてくると思ったことはない。宝くじに当たったらどうしようと思ったこともない。

2ヶ月ぶりにウクレレ教室に行きました。6.15事件以来なんとなく足が向かない場所があって、ウクレレ教室もそのひとつ。直前まで悩みに悩み、レキソタンを大量摂取した上に缶酎ハイ500mlを2本ガブ飲みして、異様なテンションで参上した。周りのみんなはどう思っただろうか。
 もう一度「メリーさんの羊」からやり直しかと思ってたんだけど、そこまでは下手っぴにはなってなかった。ただ楽器を2ヶ月も放置していたので、チューニングが安定しない。ごめん。ちゃんとするよ。ちゃんとする。

8月9日 a message song

しばらく逢えなくなる、僕の一番若いガールフレンドのためにCDを探した。本当は君のためにスペシャルコンピを作りたかったんだけど、あまりにも急だったので現存する素敵なコンピを贈ります。
 君のパパと僕はかつてはライバルで、今では大切な友達だと思っている。そういう意味で僕は君のことを愛しています (君のママを奪いあったとか、ましてや君が僕の娘かも知れないなどということはない) 。

問題は君のパパとママが、こんな変な音楽をうちの娘には聴かせられないと思うかも知れないことだ。それでもたまにはこっそり聴いて欲しい。
 いつか君が大人になって、ボーイフレンドと食事でもしている時に「Jump Up」のメロディが流れてきて (なんて素敵な店だ!) 、君が「この歌...どこかで聴いたことがあるんだけど...なんだっけ」と思った時点で僕の夢は完結する (その時に僕のことを思い出してもいいが、僕は山下のおじさんではない、山下のおじさまだ) 。

8月10日 風の通り道

季節の話ばっかりしてると話題に乏しい人のようでアレだが、敢えてもう一度だけ言わせてくれ。あじじじじ! 今年の東京の暑さは尋常でない。電車に1時間半ほど揺られ、森のクマさん宅へ。たったこれだけの距離で気候が全然違います。木陰に入ればひやっとするし、吹き抜ける風が実に心地いい。

クマさんはもうすぐイギリスに行ってしまうので、しばらくはあのいかれた一家とも会えなくなります。2歳になる女の子のために初めて音楽の贈り物をした。bonjour recordsの「childfood」。お洒落なDJの選曲が、実際の子供の嗜好とかけ離れていることはわかっていたけれど、急な出来事の中で最善の選択をしたつもり。少なくとも「Junp Up」という曲は、彼女の心のヒットチャートに食い込んだと思う。
 そして思わぬお返しを頂いた。彼女の瞳に映る「山下のおじさま」像だそう。言われてみればなんとなく特徴を掴んでいるような気もする。いかがでしょうか。

8月13日 Thank you for making me feel...better

2ちゃんねるの人はお盆のことをオボーンとか言うんでしょうか。
 日記の間が空いてしまった。何をしていたかというと、手持ちのCD聴きまくり。やっぱり選曲をしている時が人生で一番楽しいかも知れない。新しいコンピレーションと、来るべきイベントのためのアイデアができました。イベントは内輪なものからちょっと大きなものまでいくつか控えてますんで、はっきり決まったらお知らせしますね。

そんなこんなで隠りきりの毎日、これじゃいかんとビール大会を開催。最近よく遊んでもらってる人々と、昔からの友人何人かをひき会わせてみた。特に女の子同士の気が合うんじゃないかと思って。結果は大成功! 一般的に女の子は初対面の同性とお喋りをするのが上手ですが、そういうレベルを超えて愛すべきsmall circle of friendsができたと思う。彼女たちが僕抜きで遊んでくれるようになったらいい (もちろん心情的には僕も交ぜてもらいたいのですが) 。
 今日のタイトルは、Linus of Hollywoodが歌うビール賛歌です。

8月14日 Keep On Burning

なんとなくオボーンだね、ということで急遽わが家に不思議な人々が集結しました。
 冷房の効いたベッドの上でマンガを読んでる人、シトロエンのサスペンションについて1人で語ってる人、CDラックを端から眺めて音楽を聴いてる人、来ないなあと思って電話してみたらまだ寝てた人。マイペースな集団で相当に可笑しかったです。しかしそれぞれに楽しんでいるようなので深くは突っ込まなかった。

花火でもやろうか、ということで石段に座って夕涼み。吹き抜ける風が気持ちいいのだが、ロウソクの火がすぐに消えちゃった。そこで編み出したのが、花火から花火へ次々と着火していくリレー方式。大急ぎで点火しなくちゃなので、風情なんてあったもんじゃない。工事現場のように火花を散らしては大笑い。花火ってこういう遊びだっけ?
 アップテンポな人達が去って行った後で、夕方集合なのに寝坊で遅刻してきたT.P.さんと、ビールを飲みながらフレンチ・アヴァンギャルドや古いライブテープを聴いた。正しいお盆とはちょっと違う気がした。

8月17日 花火は大人と一緒に

なんとなくオボーンだね、ということで今年3度目の手持ち花火。遠くに二子玉川の花火大会を眺めつつ、こちらはしっとりとロマンティックなムードで。ビール片手に静かな川辺の風を楽しみました。
 最初はコンビニの花火セットをちょぼちょぼと。そこへ友達の先輩が、浅草橋の問屋で仕入れてきたという大量の花火を持って参上。コンビニ花火とは持続時間も迫力も全然違う。「あばれん棒」に「タコ踊り」に「波動砲」。名前からしてすごそうだけど実際すごい。特に「あばれん棒」は暴れすぎのきらいがある。手持ち花火にもハイエンド向けとローエンド向けがあることを実感しました。もうコンビニものには戻れない。大人になるってこういうことかな。

帰りにファミレスでひとやすみ。テーブルごとに液晶タッチパネルがついていて、コマーシャルや有料コンテンツが見られる仕掛けになっていた。かつてこういうコンテンツを作っていた人間が言うのもなんだけど、はっきりいって邪魔。ファミレスのまったりしたムードが台無しだ。こういうものに頼らなければ会話が成り立たないコミュニティっていうのもどうかと思う。と言いつつ試してみたくなるのが人の性です。なぞなぞに挑戦してみた。「2.9999...な職業ってなあに? 」
 掲示板に回答マツ。

追記:さっき唐突にわかった。でも答えは書かない。みんな考えて!

8月18日 拝啓ミス・コリア

出掛けた次の日はいつもぐったり。でもそれを承知で出掛けられるようになったんだから僕の精神状態は底を打ったと思う。ときどき鬱の波が襲うけれど、足下を掬われるほどじゃない。
 蛭子能収さん・林家こぶ平さん・坂東英二さんの3人がミス・コリアに連れられて韓国を遊び歩くという何の価値もないTV番組を見るともなしにつけながらベッドに横になった。ところでミス・ニッポンも、こんなふうに海外の微妙なタレントの相手とかしてるんでしょうか。

8月20日 air-conditioner

台風13号と共に、多摩川に迷いこんだアゴヒゲアザラシのタマちゃんも去り、秋の気配を感じる昨今、いかがお過ごしでしょうか。今年の太陽は完全にペース配分を誤った。
 それにしてもタマちゃん。多摩川に出没したからタマちゃん。仮に目黒川に出没していたらメグちゃん (魔法が使えそう) 。阿武隈川に出没していたらあぶさん (野球がうまそう) 。彼のアイデンティティは、多摩川にいるというただ一点に集約されているのだ。

残暑見舞いに新しいコンピレーションを作りました。夏バテしてそうなあなたにラヴを込めて。これが届いた方は、僕に「夏バテしてそう」と思われています。コンセプトから選曲・構成、スケルトン仕様のジャケットに至るまで我ながらよくできている。

8月24日 チワワもグレードデンも同じ種類の生き物であるという事実

UKULELE-PICNIC 2002に行ってきました。逗子マリーナのプールサイドを借り切って、一日中ウクレレを弾いてのんびりしようというイベント。ステージにはプロ・アマ問わずたくさんのウクレレ弾きが立ち、それを眺める2000人の観客もなぜかウクレレを持参している。
 ウクレレ文化には色んな側面があって、憧れのハワイ航路世代もいれば、陽焼けしたサーファーガールもいる。ニューエイジすれすれの「ビーチカルチャー」を標榜する人もいれば、漫談の小道具に使ってる人もいる。僕は単純に、楽器としてキュートで野心がなさそうなところが好き。そういう雑多な人達を全部集めちゃうんだから無謀なイベントではあります。

横浜に9:30集合なんて強気な提案をしておきながら自分が大遅刻。申し訳ない。しかし会場に近づくに連れて重かった空も晴れ上がり、柄にもなく夏気分になってきた。プールに飛び込んではしゃいでみました。
 プロのバンドは11組。「雷波少年」のウクレレえいじさん。去年まではアマチュア枠で参加していたそうだが、今年もアマでよかったのではないか。インターFMの人気DJ率いるKawaihaeというバンド。オープンマインドの押し売りがいけ好かない。「OK、俺たちのMahaloがYouにも届いたかな?」みたいな。黄色い歓声が「キャー!」みたいな。過剰な嫉妬心を抱かせる皆さんでした。

期待以上に素晴らしかったのが、戦前の小粋なジャズを歌うJanet Klein。サイレント映画に出てくるコケティッシュなお嬢様のようだった。風で譜面がめくれて曲がわからなくなると、ウクレレを手放してスキャットを始めちゃう。その間、バッグのアコギ氏が黙々と頑張っていた。拍手を貰う度にアシカショーみたいな変なポーズをとるんだけど、それがまたいい。終演後、呼び止めてちょっとだけお喋りをしました。僕の英語力は絶望的だけど、同じホモ・サピエンスとして敵意がないことくらいは伝わったと思う。
 お目当てのPetty BookaKing Franky Groupは言わずもがなの好演。意外な掘り出し物は、クール・ナガサキ&ハイビスカス。「What's Going On」や「Jumpin' Jack Flash」に、中近東から演歌、ホーミーまでぶち込んでしまう馬鹿っぷりです。正体は誰なんだろう。

陽も暮れかかった頃、今日のホストが登場。IWAOさんはウクレレの極限に挑む大熱演。透明な高音からヘビーなディストーションまで、楽器をとことん楽しむ姿勢には感銘を受けました。もう一人のホスト関口和之さんは、相変わらずのゆったりした芸風から、カリンバや口琴を織り交ぜた涼しげなパフォーマンスへ。洒落たコード進行にアレンジされた「真夏の果実」が、夏の終わりの海風にすっととけていった。
 最後はKonishikiをボーカルに迎えて大団円。自分と同じ種類の生き物とは思えないほどでかい。しかし深みのある歌声にうっとり。「ハワイではみんなで手をつないでこの歌を歌います」という言葉に、僕も同行者と手をつないでみた。曲は「Hawai'i Aloha」。とても美しい歌なのだが、「マイナアヘアヘ」という所でどうしても笑ってしまった。

8月25日 夕暮れ列車のシルエット

FUJI ROCKは、フジサンケイグループが絡んでいるからFUJI ROCKなのです。嘘です。第1回目は本当に富士山の麓でやったのです。本家FUJI ROCKが苗場に移ってしまった今、誰がどこでFUJI ROCKを名乗ってもいいような気がしますが、敢えて「ひらFUJI ROCK」と名乗るイベントに参加しました。二子玉川の河原にテントとスピーカーを並べて、好きなお酒を飲みながら好きな音楽を聴こうというもの。
 当初は近くの鉄橋を渡る電車の時刻表を調べて、走行音でつないでいく借景DJ (PAT. PEND.) を企んでいたんですが、地図をよく見たら道路橋しかないことに気づき断念。しかしそんな小技を使わなくても、風の音や草の匂いが音楽の表情を変えてくれました。

最初に頂いた持ち時間は夏の終わりの河川敷セット:矢野顕子「Children In The Summer」- Double Famous「Jump Up」- Paul Simon「Under African Sky」...途中失念... Rou Dou Dou「Just Place In The Sun」- The Young Rascals「Groovin'」と定番で締めてみた。夕方にもちょっとだけ時間を頂いて夕暮れ列車の輪郭セット:John Fahey「The Singing Bridge Of Memphis, Tennessee」- 大友良英「風をあつめて」。
 日没と共に解散して、S.N.さん、F嬢、S.Kさん、C.T.くんとディープに飲み。片方でS.N.さんが恋愛話を振ってくるのだが、もう片方でC.T.くんが奇声をあげるというどっちつかずな夜でした。

8月28日 090

夕方までぐったりしてY.K.さんと待ち合わせ、あるイベント企画のためにCDを渡す。彼女の活動にエールを送りたかったけど、次の予定があるので受け渡しだけしてバイバイ。また話そうな。
 歌舞伎町の噴水前でY子さん、Mさん、S.K.氏、H.M.さん、U.K.くんと合流。初対面のガールズがそれぞれに素敵で嬉しかった。今日はリキッドルームでDCPRGとくるりが対バンするという、イベンターの手違いとしか思えない凄まじいライヴの日。暑苦しい階段を延々と登り、真ん中の前から3列目をゲットした。例によって赤いシャツで登場した菊地成孔さんは、最前列の女の子に気づいて軽く投げキッス。このやりとりの背景は、のちに彼の日記で知ることになる。

やがて演奏が始まった。変拍子の洪水、断絶と接合。前列に並ぶくるりファンの女の子が不愉快そうな顔をして、それが菊地さんのサド萌えを加速させる。でも僕は菊地さんの快感原則に完璧はまり、あのリズムで踊れるようになった! U.K.くんと2人で汗だくになった! 彼の踊りは頭をグラインドさせるので、衝突事故を避けるため僕はややASKA風のポーズで。後半は誰でも踊れる定番カバー大会に突入。解き放て! 何を? リビドー?
 そしてくるりの登場。サポートのドラマー氏は叩きすぎの嫌いがあって全体的に歯切れが悪い。彼らはもうライブバンドとしてやってく気がないんじゃないかな。あんな演奏で満足できる人達だとは思いたくない。「ばらの花」の抑制された世界が本当に好きでした。

終演後、6人で飲み。H.M.さんが「寂しがり屋な僕」キャラを巧みに繰り出してくる。彼は「自分に自信がないから、これは道化なんだよ」と言う。僕も自分にまったく自信がないが、道化になる自信すらない。
 「僕が君のことを幸せな気分にできないのならば、いっそ僕のことなど忘れて欲しい」...なんてことはあんまり思ってなくて、もう寂しくて寂しくて構ってもらいたくてしょうがないのですが、やっぱり本能的に身を引いて なりを潜めてしまうのです。この日記を斜め読みしてる人のためにもう一度書こう。僕は寂しくて寂しくて構ってもらいたくてしょうがないのです。

余談だが、隣の席でバブルの虚構をひきずってる秋元康っぽいおじさまがたとプロの接客業のお姉さまがたが、80年代っぽいはしゃぎ方をしていて酷く気になった。彼らはいつまでも幻の世界に住んで、お酒の楽しみ方も知らないまま成人病で早死にするのかと思うと哀しくなりました。

8月31日 8月が31日まであって本当によかったよ (カツオ)

今ごろ絵日記をまとめて書いているカツオくんもいるのでしょう。今はYahoo!に夏休みの天気が載ってるから便利だ。僕は子供の頃、新聞社に問い合わせたことがある。大人になったら宿題でもないのに毎日ちゃんと日記を書いている。
 この夏の日記を読み返すと遊び呆けているように見えるけど、本人の実感としてはひたすら寝て過ごしていた。日付けが飛び飛びになっているでしょう。何も書いてない日は寝てたんだよ。今の僕は音楽とお酒を介してだけ人とコミュニケーションがとれる。よくないね。よくない。

最近は音楽の夢を見ます。電車でうたた寝する僕の背中が見えて、アップテンポなBGMが流れている。全てオリジナル曲。そういう意味では毎日せっせと作曲活動をしている。やがて電車はターミナル駅に着いて、早く起きて降りなきゃというところで目が覚める。曲を覚えている時は楽器で音を拾ってメモ。ずいぶんたまってきたんだけど、どうしようこれ。
 自分の音楽を作りたいという欲求は昔からあります。10年くらい前に試してみたこともある。Francois de Roubaixが好きで、それっぽい曲を10曲くらい作った。でも理論が全然わかってない上に、アンビエントテクノ華やかりし時代性に合わなくて、ライブで僕の曲になるとお客さんは退屈そうな顔をした。だからコンピ作りに自分の音楽性をぶつけてしまいます。

ここから先の話は本当は書くべきことじゃないんだけど。
 「air-conditioner」というコンピは、心の病気を負って憔悴しているある女性を念頭に作りました。彼女はテレビをつけたり本を読む気力もなくて、一日中ただ横になっているというので、体の中を自然に流れていくような、でもちょっとだけ赦されるような贈り物がしたかったのね。で、「夏バテさんにCDを送りますよ」って書き方をした。実際彼女だけじゃなく、この夏にお世話になった人や、一緒に遊んでくれた夏バテさん達にも差し上げました。自分でも気に入ってよく聴いている。

コンピ作りは僕の趣味です。でも去年あたりから、欲しいという方がものすごく増えてしまった。有り難いことなんですが、量産して発送するのはとても大変で、しかもみなさんご丁寧にお返しのコンピを送ってくださるので、何十枚ものCDを聴いて感想を書くことになった。模索してるよ。