DIARY 2003年6月


6月1日 タイムスリップ・ランデヴー

ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏のミュージカル、「Don't Trust Over 30」観てきました。現代の30歳前後の青年が抱える漠然とした不安感を、昭和の高度成長期パワーでほんのり勇気づけてくれるような。もしくは、成長し続けることを強いられた昭和の人々の、狂乱の中のペーソスを浮き彫りにしたようなお話。馬鹿馬鹿しくもせつなかった。Group Soundsは高度成長絶頂期の狂気、New Waveは進化することを強いられた最後の世代の叫びだったのかもね。
 しかしトピックとしてイラク戦争を匂わせるのはどうなのか、あれやるなら60年代の学生運動とかちゃんと描かなきゃいけないじゃん。

結局ホリプロとの共同企画ということで、ケラ演劇の弾けっぷりは見れませんでしたが、そつなくまとまってる感じでした。。終演後、T.P.さんとK.M.氏とF内くんでジョナサン。T.P.さんは忙しいと必ずジョナサンだ。偶然みんな鳥肉料理を注文して、チキンな僕らだなんて大笑い。
 ところでC.T.くんと合流するつもりで連絡を取ったのだが、「バクチで負けちゃってヤクザに追い掛けられ中っす。巻いて帰るっす」だって。「地元じゃツイスト流行ってるっす」。面白すぎるC.T.くん。君も昭和からタイムスリップしてきた口か?

6月3日 The Magic Piper (Of Love)

museeが主催するイベント「music from New Natives : TOKYO / PARIS / NEW YORK」を見てきました。真っ先に登場した藤原大輔さんのユニットは、パーカッションとサックスを軸に、サンプラーを駆使してトリッキーなパフォーマンスを披露。たった2人でわくわくするリズムの洪水を起こしていた。
 続くRobby Ameenのユニット。ドラムを全身でバタバタと叩きまくるスタイルは、生理的に気分を昂揚させる打楽器本来の力を感じました。でもそれを受け止める日本人メンバーがはじけきれてなかったかな。そうそう、綾戸智絵さんが顔を出して、告知だけして帰って行きました。「CDコピーしてもええよ」ってさ。

最後に登場した芳垣安洋さんのユニットは、エスニック風味のアンビエントから大友良英さんのギターが唸るハードなサウンドへ。ちょっとアヴァンギャルドすぎて疲れちゃった。それにしても全部のユニットに参加していたMagic Malikというフルート吹きにはシビれました。北アフリカから地中海を経由して中近東まで吸い込んだ音楽性を、フルートの音色や呪術的な声に変えて吐き出していた。
 会場でY.A.さん、Y.Y.さんに遭遇。素敵なお友達やミュージシャンを紹介してくれたんだけど、覚えきれない。すいません。まあ向こうも覚えてないだろう。

最近の日記を読み返すと、随分と出歩いてますね。渋谷・青山・六本木界隈は、頑張れば歩いて行けることがわかったのだ。徒歩圏でこんなに楽しいことがあれば行きます。しかし体調的にはあまりよろしくない。だるくて寝まくってます。そして必ず夢を見る。
 今朝は、北朝鮮に拉致されて帰国インタビューがウケて、「いいとも」のレギュラーになる夢。コーナーのルールを把握してなくて中居に突っ込まれた。もっと悲しい夢もいっぱいあって、涙を流したり嗚咽したりもする。やっぱり狂ってる。こういう時期は、刺激を受けたほうがいいのか黙って寝てたほうがいいのか医者に聞こうなどと思う。

6月4日 犬と餃子

頭に「犬と」をつけるとどんな単語でも文学的な響きになる。ぎょうざですよ。小田急線か相鉄線の駅名にありそうだ。
 弟宅で餃子を大量に作るので食べないかとのお誘い。早く来れば餃子包み大会にも参加できると言われたが、兄としての威厳を保つためにそちらは辞退させて頂いた (間違いなくものすごく下手だ) 。もうすぐうちに出入りすることになる弟の犬が、相変わらずのはしゃぎっぷり。可愛いんだけどねー。テンションがほら、アレだ。

6月7日 女子高生とわたくし

TGV#13無事終了しました。ありがとうありがとう。なんかとってもこじんまりとしたお店で、すぐにぎゅうぎゅうになってしまった。しかし意外な方々にいっぱい会えて楽しかったっす。
 意外なお客様。会社の先輩。高校の同級生、大学の後輩、そして僕の初めてのメル友。彼女は僕にムネカタアキマサさんを紹介してくれた人です。女子高生T.K.は予告通り制服で来てくれた。鈴木慶一さんと2ショット写真を撮った時より嬉しかった。こういう遊びに乗ってくれる彼女はクレバーだ。M美さんは自作の服で登場。誉めたらまた「タモさんみたい!」って笑われちゃった。

肝心のDJプレイは惨澹たる有り様。いつものサンプラーによるコラージュが出来ないのはわかってたけど、使い慣れている機材と仕様が全然違っていて、そっちに気を取られているうちに凡ミスを連発。挙げ句の果てに「決め」に用意していたナンバーをかけ損ねた。ふがいないゲストでどうもすみません。
 TGVの皆さんはさすがに手慣れた感じでした。弾き語りものでリスナーの耳を引きつけて、徐々にグルーヴィーに盛り上げていく展開。場を掴む構成力には参りました。

いちおうセットリスト載っけときます。
01 The Lilac Time / Fields
02 The Lilac Time / Fields (Reprise)
03 Jacques Tati / Playtime Ballade (Travel Mix)
04 The Lilac Time / Fields (Reprise)
05 Elektel / Midnight Samba
06 The Lilac Time / Fields (Reprise)
07 Bobby's Rocking Chair / Finders Keepers
08 Ross Bagdasarian / Gotta Get To Your House
09 Blend / Ticket To RIde (DJ Quieststorm Remix)
10 The Frank Cunimondo Trio / Love So Fine
11 Delia Caprice / Who Needs You
12 Skanfrom / Here She Comes
13 The Lilac Time / Fields (Reprise)
14 無念の失敗!
15 鈴木蘭々 / 花とみつばち
16 The Lilac Time / Fields (Acoustic Return)
Lilac Timeの「Fields」のバリエーションで統一感を出すつもりが、途中で気分が変わったり「決め」の曲を流し損ねたりでグズグズに。帰りは小雨の中をみんなで駅まで走った。映画みたいだった。青春って感じ? 31だけどさ!

6月9日 鼻と伯父さん

鼻の頭に虫さされができた。せっかく10年ぶりにメガネを替えたのに、鼻のことばかり指摘される日々です。

6月10日 ale?

先月田舎に帰ったはずのN夫が、なんでうちに居候しているのか。彼が夜な夜なデートに繰り出している間、僕は家でコンビニサンドを食べながら独り帰りを待っているのでした。

6月13日 ジゴロの昼

ジゴロN夫がジゴロカーに乗ってジゴロハウスに帰って行った。ジゴロカーはなんと電動でフルオープンになります。幌じゃないんだよ、固い屋根が不思議に折れ曲がってボンドカーみたいに変型するの。かっこいー。それにしてもジゴロの生態は、云々。

6月17日 いきもの紀行

ウェブ日記界では親バカものと並んで嫌われている動物日記です。
 土曜日は弟宅のお披露目ディ。弟家で一番ふざけてる犬は相変わらずだった。その横で、ビフィズス菌の錠剤をモリモリ食ってるモモンガかわいー! その後みんなで外食。北京ダックという食べ物は鴨の皮しか使わないことを知り、一族に動揺が走った。例えば自分が怪獣に食べられる時、皮だけ剥がれてあとは捨てられたら嫌じゃない?

日曜日は、先日結婚したM夫妻邸にてバーベキュー。新郎M氏は都市計画コンサルタントであらせられ、屋上から地下まで巡る説明ツアーが敢行された。
 終電がなくなり、T.A.が我が家に来襲。そのまま昼まで寝て起きて、非常にテンションの低いまま老人のように同じ会話をループ。M氏にお借りした、はっぴいえんどの93年MIXを全部聴きました。これ、評判悪いのはわかるのよ。空気感がまるで違うし、歴史の歪曲です。でも音の分離がよくて、アレンジ面でもアイデアに溢れたバンドだと再認識した。

その夜は親戚のおじさんの家にご挨拶。おじさんと僕の亡父は音楽仲間で、その話は前にここに書きました。その娘がすっかり大きくなりやがって、Eminemの「8 mile」にはまってるのには驚いた。あの赤ん坊が15歳になっちゃうんだから僕もそれだけ歳をとったというか、女子高生T.K.と遊んでる場合ではない。
 おじさんの家には、盲導犬を引退したレトリバーと、3ヶ月くらいの子猫がいる。盲導犬は盲導犬らしく、厳しい任務を果たしてきた風格。の残り香がしないでもないが、人懐っこくていいやつだ。子猫は狡いくらい可愛い。平均的な日本人の美意識で、おそらく世界一可愛い生き物は子猫だね。

6月22日 サインコサインタンバリン

S.K.氏宅の「Sine Wave Nite」なる飲み会に参加。S.K.氏とsasakidelicさんの企てで、サイン波の音響を楽しもうというストイック極まりないイベントでした。その割にはみんな駅前のタコ焼きを買ってきたりして庶民派な感じ。
 サイン波っていうのはあれだ、テレビが砂嵐になる前のピーって音。理論上はこれをベースにどんな波形でも作ることができる。Dumb Typeの池田亮司さんがサイン波の音楽をやっていて、前にCDを聴かせてもらったら1曲目「ピー」2曲目「ピー」3曲目「ピー」みたいな凄いのだった。

S.K.氏がパソコンからサイン波を流す。ピー。片方のチャンネルを1Hz変えると左右のスピーカーがうなりだす。ピィ〜。うーん、なんだかかっこいい気がしてきたぞ。山の中ででっかい音で流したらトリップしそう。
 話はサイン波から離れ、今度はギターの音をアナログシンセに通してウニウニさせるパフォーマンス。元の音源は何でもよくて、FunkadelicのCDをかけたら音響派になっちゃった。この技、DJで使えるねー。加減次第では原曲がなんだかさっぱりわからなくなる。広瀬香美のCDをグニャグニャにしてスキー場でかけようぜ、なんつって大笑い。雪山に響き渡ったらステキかも。

僕はそっち方面の音楽に疎いので、箸休めに水森亜土さんのジャズのCDをかけました。アクリル板にスプレーで絵を書く、あのアドちゃんです。今は月に一度、ジャズのライブをしているそう。そして一番心奪われたのは、アルゼンチンの音響派Juana Molinaであった。
 結局始発までS.K.氏のお宅にお邪魔してしまった。写真はS.K.氏宅のサーバー。押し入れの壁にボードが直接刺さっている。もはや家自体が匡体だ。それでもCDラックをみたら普通に歌謡曲とか並んでいてちょっと安心した。

6月25日 お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの

最近「ドラえもん」がテーマやキャラクター別に再編集されて、コンビニで売られています。ところが「あついぜ!ジャイアン!!編」だけがなぜか売れ残っている。ジャイアンはただのヒールにあらず、空き地の支配者の座は暴力だけで勝ち取れるものではありません。みんなをまとめるリーダーシップがあるんだと思う。ちゃんと読んで評価して欲しい。
 前にも書いたがジャイアンとしずかちゃんが組んだら凄いユニットになるぞ。リサイタルを見たい。

6月27日 構造と力

Date Course Pentagon Royal Gardenを観に渋谷クアトロに行く。「大友良英脱退、第二期DCPRGの幕開け」とかいう触れ込みだったのに、いきなり「ギター大友良英!」で場内爆笑。しかし大友氏の参加は不慮の出来事だったらしく、新曲では所在なさげでした。
 内容はひたすらダンス仕様の2時間半。菊地成孔氏のコンダクツパフォーマンスも減って、バンドもフロアーもこなれた感じ。あのポリグルーヴの洪水の中で、いつの間にかみんな普通に踊れるようになってしまったなあ。それに比べて新曲はまだフォーカスが見えない。彼らにはもう一度驚かせて欲しいと思う。期待半分以下略。

その後、会場でお目にかかった方々と、ダチョウのカルパッチョとかマンボウの立田揚げとかを食べた (本当) 。

6月30日 おかわり人生

すげえ食った週末。土曜日はPiano & Womanを観に行く。このイベントも何度目だろう。要するにピアノ弾き語りガールズのライブなんですが、これがなんとも世間離れした独特のシーンを形成しているんです。かつてのポプコンアイドルっぽい人から自己陶酔フォーク系まで。お目当てのいとうまさみさんは相変わらずマイペース、軽妙さにちょっとした毒を振りまいて、ウィットに富んだステージを展開していました。本人は緊張したーって言うけど、危うい感じは受けなかったよ。

新メニュー焼酎アイスが癖になり、3杯も食べてしまった。それをカウントしてたいとうさん。みんなで飯を食って、さて帰ろうかという時にT.P.さんからカラオケのお誘い。そのままT.P.姉妹と3人で朝までカラオケ。アッフォ。T.P.アネには初めてお目にかかったのだが、非常にロッキンかつチャーミングな方でした。
 家で仮眠して、日曜日は母の一周忌の打ち合わせ。そして劇安焼肉。店員さんが朴さんとかで、本場韓国の雰囲気だねーとか言ってたら、張さんとかアミナさんとかもいた。しかし旨くて胃もたれするほど食った。混むと嫌なのでどこだかは教えてやらない。