DIARY 2004年4月


4月1日 ある春の日の記録

カラオケポリープが出来ました。嘘。おそらく日本中のテキストサイトで、結婚しましたとか退職しましたとか今日をもって閉鎖しますとかそういう記事が溢れかえっている今日です。

4月4日 Pied Piper Days! 長門芳郎さんとニアミス

Pied Piper Daysというトークショーに行ってきました。テーマはSugar BabeにTin Pan。出演は長門芳郎さん、土橋一夫さん、村松邦男さん。そしてシークレットゲストさん。
 長門芳郎さんはPied Piper Houseという伝説のレコードショップを経営したり、マネージャー・プロデューサーとしても日本のポップスの質を飛躍的に向上させたお方。土橋一夫さんはBack To MONO Productionsの中心人物、村松邦男さんは言わずと知れたシュガーベイブのギタリストだ。最近の山下達郎さんには疑問を抱くわたくしであるが、シュガーベイブは大好き。しかし僕が村松邦男という人物を知ったのは、無名時代の宮崎駿さんが監督した「名探偵ホームズ」の音楽なのでした。

18:00開演20:00終了のつもりで気軽に足を運んだら、17:30開演21:30終了という過酷なイベントであった。延々と続く裏話、行き当たりばったりに流れるレア映像やレア音源。出演者も観客も兵揃いで、「何年何月何日に誰々が弾いたギターはなんですか」とかそういう世界でした。僕とは音楽の愛し方が違う人達かなー。むしろ実際の音や映像に感激しました。伝説の裏と表を垣間見れた。
 終演後、長門さんに名刺を差し上げる。「あーきみ知ってるよ、アドレス替わっちゃったでしょう、あれから見てない」とのこと。それまでは見てたのか。ずいぶん迂闊なことも書いたがな。そして村松さんとは2ショット写真。ウレシイ。会場の方には展示品の320万円もするステレオセットを聴かせて頂く。すげえ。シークレットゲストさんと飲んで帰宅。

4月5日 ドイツ人の価値観 (偏見)

テレビ欄を見ると年度が変わったのだなあと実感する。今日の教育テレビ欄より抜粋。
中国語会話 「あいさつ」
フランス語会話 「第一課A こんにちは、私はパスカルです」
イタリア語会話 「やあ!・こんにちは」
ロシア語会話 「こんにちは!」
ドイツ語会話「何カ月か、かかるかもしれません」
ドイツ人にとっては、何ヶ月かかかるかも知れないことが挨拶より重要なのだろうか。そもそも何に何ヶ月かかるのだろうか。ビールだろうか。ソーセージだろうか。ワーゲンだろうか。Kraftwerkだろうか。ああ、Kraftwerkか。

4月7日 脂肪の青空

2週に1度のペースで会っている主治医にまで「太りましたね」と言われる有り様だ。屈っ。階段の昇り降りがきつくなった。屈っ。去年はいてたジーンズが入らない。屈っ。顎のラインが不明瞭になってきた。屈っ。エスカレーターの鏡に映る自分を見たくない。屈っ。しかしこれがみんなの見ている僕なのだ。
 脂肪、この重たいもの、この醜いもの。この自由を奪うもの。この屈辱的なもの。しかし薬の副作用で太っているだけなので (妄想) 、薬が変われば学生時代のレベル (写真) までおちる (願望) 。

4月10日 脂肪の轍

という訳で、テレビショッピングでマグネットバイク型のダイエット器具を買ってしまいました。テレビではコンパクトに見えたんだけど、いざ届いてみると重いわでかいわ。自転車タイプにしたのは「これならテレビでも見ながら息も切らさずにお手軽にダイエットできます」というセリフにノックダウンされたから。実際 今の心肺能力では息苦しいことこの上ない。あーやっぱり腹筋運動タイプにすればよかったかなー。
 しかしたぶん近いうちに痩せてモテモテになりますので、皆さん今のうちから惚れちゃうべく心の準備をお願いします (痩せれば私生活も社会生活も全てがうまくいく思っているのが一番の問題か) 。

昨日は高野寛@Shibuya-AXを見てきました。最近はNathalie Wiseとしての活動や若手とのジョイントが多かった高野さん、バンド編成でのソロライブは3年ぶりだそう。ベース鈴木正人さん、キーボード斉藤哲也さん、ドラムス沢田周一さん。これでかっこよくない訳がないでしょう。かつては「歌うメンズノンノ」と呼ばれ、アイドルとして売り出された彼。「今まで君が見てた僕の笑顔は半分かそれ以上つくり笑いだ」と歌っていた彼。長い時間をかけて穏やかに確かに本当の笑顔に辿り着いた気がする。
 ニューアルバムのタイトルが「確かな光」だけあって、照明の演出も実に幻想的でした。Donovanの「Sunshine Superman」やくるりの「ばらの花」、スペインで録ってきたという環境音などを交えての2時間余、堪能した。

4月12日 鼻は確かにフルヘッヘンド

久しぶりに猫話。そもそも我が家は活発なネモの天下でした。それが狭いアパートから今の部屋に引越して、部屋中を走り回ってダイエットした結果、相変わらず巨漢のクリマロにボスの座を奪われてしまった。さらには新人メイの登場。いくら活発とはいえ御歳11歳、子猫のパワーには負ける。従って現在我が家の力関係はこのようになってます。
 ところでクリマロは顔を近づけるとほっぺたをなめてくる。これは普通の愛情表現です。ネモは口をなめてチューをする。これも普通の愛情表現です。問題はメイ。鼻をなめたり時には齧ったりする。鼻は確かにフルヘッヘンドしており、それが故に齧り易いのだろうが、痛いのでやめて欲しいです。

ついにorkut上でやることが尽き、日本版ソーシャルネットワーキング「mixi」に参加してみました。うーん全然違うな。orkutは基本的に自分で友達を探しにいく。友達の友達を探ったりコミュニティに入ったり、そこで出会った日本人同士がたどたどしい英語でコミュニケーションするわけだ。英語縛りがあるために言いたいことがうまく言えない、そのもどかしさが楽しかったりもする。mixiも最初は自分で友達を探しに行くんだけど、ある程度まで友達を増やしたら日記を書く作業に移る。がんがん書けばその情報が伝播して、トラックバックががんがん入ってくる。今のところBlog文化と2ちゃん文化の間を漂ってる感じ。単に柵に囲まれたBlogの集合体のような気もする。
 ソーシャルネットワーキングってなんで流行ってるんだ?

4月14日 CDの輸入規制に強く反対する。ラヴラヴ。

掲示板でもここ数日話題にしてるけど、CCCD問題に匹敵するくらい音楽愛好者をバカにした問題が起きてしまいました。日本盤が出ているCDの輸入を禁止するっていう冗談みたいな法案がまじめに検討されているそうなのです。なぜかというと、輸入盤の方が安いので日本盤が売れないから。日本盤が高いのは流通のおかしな仕組み (再版制) があるから。それを見直そうともせず、輸入を規制することで問題のツケをリスナーに押しつけようとしているのです。

こんな大変なことがあんまり話題にならないのは、音楽ライターや音楽雑誌に対するレコード会社からのプレッシャーがあるともいいます。今のところ僕たちに出来ることは署名活動だけみたい。
 萩原健太氏が指摘しているように、レコード会社がそこまで利益を追求するなら、音楽なんか扱わずにほかの商品を扱えばよいと思う。それから、僕のCCCDに対しての思いは2年前に日記に書きました。今やメジャーレーベルからリリースされるCDはほとんどがCCCDで、予想より早く残念な状況になってしまった。ほんとはもっと楽しい話をしたいんだけど、こういう問題があるってことをみなさんにも知ってて欲しいのだ。ラヴラヴ。

4月16日 僕は一寸

僕の日記のタイトルはほとんどが何かの引用かパロディです。今日は細野晴臣のファーストアルバムの収録曲から。一寸法師の歌ではありません。僕はちょっと、と読む。ひなたぼっこでもしませんか…どんな話をしゃべりましょうか…日の出ずる国の明日の事でも…と続いて「僕は一寸だまるつもりです」っていう歌。
 平行輸入禁止のこと、CCCDのこと、みんな同じテーマでブログに書いてるけど、とりあえず僕の言いたいことはとてもシンプルなので、昨日の日記やここここを見てください。それ以上の言葉を期待されても一寸。イラク問題についても一寸。

宮崎陽子@四谷天窓comfortに行ってきました。陽子さんと僕は飛び出せカラオケ仲間であり、その歌声は何度も聴いていたのだが、ステージに立つ彼女を見るのはこれが初めて。低音から高音までよく伸びる声に驚き、ロック印象派なピアノの饒舌さに驚き、エモーショナルに変化するグルーヴに驚いた。
 帰り道、同行者たちと、小さなハコで音楽家と空気を共有→気に入ったら手焼きCDを購入、という構図はポスト複製音楽産業の姿を先取りしている、などと談笑。そうかも知れず、それは20余年前に演劇界で起きたことと同じかも知れず。

陽子さんと合流して飲み屋でバカ話。陽子さんは次々と話題を振ってくれるので、お喋りが得意でない僕には楽な存在です。終電間近まで飲んでバイバイ。帰りの電車の中で、前に座るうら若き女性がToppoを貪り食っているのが非常に気になった。「Toppoを食う女」という歌が出来たけどもう忘れてしまった。

4月20日 た○きんトリオとわたくし

我が家の新参猫、メイも生後半年ということで、去勢手術を受けさせた。「人間の勝手な都合で去勢させるなんて」とお思いの方もいらっしゃるかも知れないけど、人間と一緒に暮らして頂く以上、お互いの平和共存のために必要不可欠なステップなのです。というわけで我が家の猫たちは3匹ともオスだけど、たま…まあなんというかそういうトリオになった。
 ところでサザンオールスターズの新曲がオリコンでトップになったそうで、トップ10入りは38作目、た…きんトリオの田原俊彦さんの記録に並んだという。田原俊彦。最近とんと見かけませんが、すごい記録を持ってたんですね。

4月22日 地球に優しくビールに厳しく

アースコンシャス・コンサートというのに行って参りました。入場までに生ビールを飲み干すダメっぷり。
 ライブは意外にも佐野元春さんのポエトリーリーディングからのスタートでした。武部聡志さんと小倉博和さんを中心としたバンドが奏でるジャジーな演奏に乗せて、囁くように、歌うように、叫ぶように言葉を叩き付ける。基本的には武部-小倉セットに様々なボーカリストが絡んでいく構成。続くハナレグミ、Birdは一転してギター一本で抑制されたグルーヴを聴かせてくれた。

前半の山場は高野寛さんにハナレグミや小坂忠さん、Charaさんが絡んでいくあたりでしょう。小坂さんはなんと「さよならColor」をカバー。そして御大森山良子さんの登場。「涙そうそう」「さとうきび畑」と狡い選曲で拍手を集める。
 後半は無難に今井美樹さん、大貫妙子さんと続いて矢野顕子さんの登場。矢野さんと森山さんの「On The Street Where You Live」は、2人の底力が軽やかな演奏に乗って輝いていました。そして矢野さんのピアノで小坂忠さんの「機関車」。キター! 最後は松任谷由美さんが登場。「あっこちゃんの後で弾き語りなんて恥ずかしい」と笑っていたが、実際恥ずかしい演奏で、子供の発表会を見に来たお父さんのような気分になった。

ライブはFMの生中継に合わせて22時きっかりに終了。同行者と2人で軽く飲み。僕がいつか話した恋の話を覚えていたので動揺しました。僕だってたまには恋とかするのだよ。片思いだけど!

4月23日 第三の選択

秋山羊子@池ノ上Bob Tailに行ってきました。Bob Tailはとっても落ち着けるいい感じのラウンジ。酒が高いがな! 今日はチェロとドラムスのエレピの不思議な編成。チェロの神谷きよみさんは前にお会いしてるのにすっかり忘れてました。すみません。
 いつものようにゆったりとエレピの前に座った秋山さん、しかしエレピの接触が悪くてたまに音がしなくなるという最悪のコンディション。スタッフも慌てふためいていたけど、最後まで頑張って押し通してしまった。聴く人に「カワイソー」と思わせない、あんな状態でも楽しませるだけの強さを羊子さんの音楽は持っていた。

エレピ問題を除けば、リラックスした雰囲気のいい演奏でした。いやむしろエレピ問題よりも、走り過ぎてるドラムスのほうが気になった。とにかく繊細なリズム感の持ち主の秋山さん、彼女の秘めたるグルーヴをわかりやすく伝える方法はないのだろうか。
 対バンはクラシックギター弾きの寺前浩之さん。すげえ! としか言い様のない超絶テクニックと表現力。中南米を行ったり来たりしながら音の物語を紡いでました。こんな才能が普通にいるクラシックギター界というものに感銘を受けた。プロフィール見たら、スペインで活躍したり「ラ・マンチャの男」に出演したりしてる方だった。

終演後、秋山さんやoakistのみなさんとお喋り。秋山さんは僕の半ズボンが「夏休みの小学生みたい」だとか、サラリーマン時代の話をしたら「浮いてそう」だとか突っ込んでくる。それがまたちょっと心地よかったり。帰りはタクシーか徒歩か迷ったのだが、ふと目の前に「深夜バス」なる第三の選択が。400円。こっちのふところ具合を見透かした値段設定だなー。乗りました。

4月26日 ハシルンZ

いきなり富山の薬売りがやってきました。重い薬箱を背負って街道を歩いてきたのだろうかー。その割にはパリっとしたスーツと後ろに置かれた3輪バイクはなんなんだろうかー。あまりにも珍しいので置いてもらうことにしました。
 富山の薬屋さんは薬をタダで置いてかえって、たまに顔を出して使った分だけお支払い、というシステムになっている。のは知っているのだが、パッケージを開けた時点でお支払いなんだろうか、何錠飲んだか数えるのだろうか。そんなわけないか。いまひとつ仕組みを理解しきれてないので心配です。

富山の薬売りは薬局で売ってる薬とは全く違った独自の薬を開発しています。パッケージのデザインからして違う。写真は胃腸薬、なぜか熊が描かれている。入ってるんだろうか、熊。いつぞやの熊カレーを思い出してしまった。そのほかにも「イタミスカット」「新せき第一」「赤玉小粒はら薬」といったネーミング、おまけとして同封されている紙風船など、全体に漂う昭和30年代くささがいいです。
 ところで君は、かっこいいスポーツカーの名前が「ハシルンZ」や「ネンピスカット」だったり、素敵なパソコンの名前が「新ウィルス第一」だったりしたら買いたいと思うだろうか。

4月30日 告っちゃいます

思いきって告っちゃいます。いわゆる告知です。sasakidelicさん主催のイベント「一曲入根2」に参加させて頂くことになりました。タイトルの通り1人1曲に根性こめて、次の人にリレーしていくタイプのイベントです。既に決まっている参加者だけで29人、しかもお気に入りのCD持って飛び入りオッケーという大らかなイベントです。もちろん聴きにくるだけでもオッケーです。告知が直前すぎてすまん。是非時間を作ってください。

日時 : 2004/05/01 (Sat) 18:00〜23:00
場所 : gabowl
  〒150-0002 渋谷区渋谷3-6-4 金王高桑ビルB1F
  TEL 03-3499-6077
チャージ : ¥1,500 (with 1 drink)
VJ : みちかわたかし (from NEW TRAVEL)
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