FUJI ROCK FESTIVAL '01 7.27

インドア派を自称している僕のようなへたれロックファンと言えども、ウッドストックはじめロック黎明期の野外フェスへの憧れは果てしないものがある。
 ウッド・ストックの時は暴動になりそうになるとヘリコプターで来て上からGlassを蒔くんだって。69年ぐらいの話(ムッシュかまやつ)
別にGlassを蒔いて欲しい訳じゃないが、音楽を核とした祝祭の場に立ち会いたいという人間としての根元的な欲求が、ここ10年くらいうずうずと燻ってたわけです。でも仕事を持ってるとなかなかそのチャンスもなくて、行くなら今年しかないと思ってたんだ。某音楽雑誌の取材に同行する形で、チャンスは唐突にやってきた。

会社の喫茶コーナーで仮眠をとり、早朝5時に東京を出発。会場に辿り着いてまず驚いたのは人の多さ。わざわざ苗場くんだりまでやってくるロックファンが、日本にこれだけ生息していたことに新鮮な感動を覚える。しかも可愛い女の子が多い。デートの途中にレコ屋に寄って気まずい思いをしたことがある健全なロック青年なら、この事実に感慨ひとしお。
 会場は大まかに4つのステージにわかれていて、音漏れの問題からか、各ステージ間が異様に遠い。端から端まで山あり谷あり、下手したら一時間かかる。

まずは会場に入ってすぐのSuper Butter Dogを横目でほほう。屋台街や川のほとりをくるくると一回りして最奥のField Of Heaven、くるりのステージへ。サポートのギタリストが入った4人編成だ。前半は比較的ダルめの選曲。曲間のチューニングがやたらと長い。居心地の悪い間をあえて楽しんでいるようだ。「フジー!...フミヤ。チェッカーズやで」。FUJI ROCKごときで浮かれるわしらじゃないでぇと言わんばかり。
 ところがその飄々とした態度も、中盤のインプロビゼーションで変わってくる。ミニマルなリフを延々と繰り返し、妙な変拍子を入れてくる。オーイェイ。ここからは盛り上がってもええでぇと言わんばかりにポップなナンバーを繰り出してきた。同じフレーズを淡々と繰り返すベースと、意外なところでスネアを叩くドラムのコンビネーション。バンドとしてのくるりの面白さが見えた。
 そしてついに「ばらの花」。なんとも切ない名曲だ。僕はひょっとしたら、くるりが好きなんじゃなくてこの歌が好きなのかも知れん。「ジンジャーエール買って飲んだこんな味だっけな」。会場でジンジャーエールを売ったら飛ぶように売れただろう。オーラスは「トレイン・ロック・フェスティバル」。だんご3兄弟のような大馬鹿な振り付けで締め。

本拠地のGreen Stageに戻るとTravisが熱演中。ごく普通のポップロックをごく普通に演奏する。MCがいちいち日本語なのはなんだかな。「ありがとう、ありがとう、たのしい? たのしい?」。ドラムスのカウントも「いち、にい、さん、しい」ですっかり萎えて、パスして会場散策タイムに。

続いてManic Street Preachers見る。あんまり期待してなかったんだがこれが面白かった。ベースの音がやたら低くてハートにガンガン響いてくる。ドラムスは金物だらけでカシャカシャと、でもバスドラはだけ妙に重くてふとももにビリビリきた。リズム隊のバランスからして思いきり間違えている。しかも中途半端な同期モノが多い。
 上に乗るボーカルはなんとも単調で、さらにキーボードが奏でるストリングスのチープさは特筆に値する。でもそのちぐはぐ具合、安っぽさが気持ちいいのだ。中盤の弾き語りコーナーではバカラックの「Raindrops Keep Fallin' On My Head」のカバーあり。小雨がぱらついたこの日、なんとも粋な選曲だ。
 後半はまたバンド体制に戻り、初期のナンバーを中心に熱演。ベースがなんでスカートを履いていたのか疑問はたくさんあったがどうでもいい。最後は楽器破壊パフォーマンスでおしまい。アンコールの声もあったが、楽器があの惨状では無理と言うものだろう。2日目に続く。