FUJI ROCK FESTIVAL '07 7.27

数えてみればもう7回目のFUJI ROCK。鬱病のくせに、無職のくせに、なにやってんだとお思いの方も多いと思う。でも僕なりに日常を過ごして、この3日間を心の支えに生きている訳です。毎年書いているけど、ハレとケのバランスのために、これだけは譲れないんだ。音楽を愛する人、自然を愛する人が、苗場の森に何万人も集まって笑顔を交わす。この事実を一人でも多くの人に知って欲しくて毎年こうしてライブレポートを書いてる訳です。

今年は初めて前夜祭からの参加。苗場音頭ってやつを体験してみたくて。でも持病が出てきてしまった。鬱から焦りが焦りを呼んで、一向に準備が進まない。日焼け対策、雨対策、薬の仕分け。予定よりだいぶ遅れて東京駅を出発し、一路新潟へ。越後湯沢駅は曇り。シャトルバスの行列は短いものの、バスの台数が少ないみたい。現地にいるマイミクさんから苗場音頭は終わったとのメールが。
 なんとか宿に着いて、遅い新幹線に乗ってきた同行者待ち。ウォーだんだんあがってきた。そして会場へ。ライブは見ずに、ビールともち豚で乾杯。新鮮な感動というより、懐かしさを噛み締める。

初日は山奥の妖しいライブスペース、Orange Coartにて、最近ライブの評判がいい捏造と贋作見る。ウドーフェス並みの集客。直前にメンバーチェンジがあって大変だったらしいが、2曲でごめんなさいだ。
 Field Of Heavenで渋さ知らズオーケストラ見る。FUJI ROCKへの連続出演で名を挙げた彼ら、ファンクからフリージャズ、演歌にポエトリーリーディング、果ては現代舞踏まで取り込んで、日本人の魂の「祭る心」なるものを体現する。今年もサウンドチェックから煽ってるぞ。昼の渋さも乙なもの。日差しは暑いが風は涼しくて気持ちいい。気持ちよすぎてうとうと。最後はもちろん「本多工務店のテーマ」大合唱。

Orange Coartに戻って、畠山美由紀 with Asa-Chang & ブルーハッツ。前衛よりだったAsa-Changがポップの世界に帰ってきた!
 演奏は横浜のジャズバーのイメージ。これに畠山美由紀がどう絡んでくるのかと思ったらやっぱり横浜のジャズバーのイメージ。銀色にきらめくスカートが目を引きます。畠山美由紀のソロアルバム路線、Asa-Changの巡礼路線より好きかも。熱い胸騒ぎを感じる。コント長いよ! 面白いけど。やっとスカっぽくなってきたと思ったら最後の曲だった。

続いてSentimental City Romance見る。結成34年のベテランバンド。かっこいい。日本のバンドなのにウェストコーストの音がする。コーラスも実にきれい。昔のバンドは巧いな。ドラムスがSugar Babeの野口さんだとは初めて知った。ポップでファンキー、センチメンタルでシティでロマンスなサウンドです。なんで売れなかったんだろう。当時の日本では早過ぎたのかも知れないなあ。

続いて天ぷら油で稼働する小さなステージ、Gypsy Avalonでつじあやのを見る。ウクレリストの端くれとして、日本一有名なウクレリストのウクレレ具合をチェックしなければ。と思って草むらに寝そべってたら、岩(ロック)を転がした(ロール)原始人がやってきた(写真)。今年の新企画、誰でもパーカッションのジャムセッションに参加できるというストーンドサークルの宣伝らしい。びっくりしたー。
 つじあやのはAvalonの涼風に実に気持ちよかったです。声の伸びが素晴らしい。「第三の男」みんなで合唱。エレキウクレレにもトライしてました。Fishmansの「頼りない天使」を歌ったのは意外。

White StageからGreen Stageに抜ける新しいボードウォークを通って、ライブハウスのRed MarqueeでOcean Colour Sceneを見る。懐かしい。大好きだった。青春の想い出です。Paul Wellerのバックバンドとして名を馳せた彼ら、ブリットポップ期にモッズ魂溢れる青春ソングをたくさん残した。
 あの頃のまま、黄金の泣き進行で胸掻きむしるナンバーに切ない気持ちキュンキュン。サビに入ると走りがちになる演奏は、下手と言ってしまえば下手なんだが、青春の高揚感を体現してると言えないこともない。いやそうなのだ、絶対。ギターソロが諄かったのが残念。青春はすっきり味にして。

大道芸をじっくり見ながら腹ごしらえ。「FUJI ROCKに初めて来ました! ロックフェスってどんなにやさぐれてるのかと思ったら、みんな優しい!」
 そしてFountains Of Wayne。恥ずかしながら、このバンドのことを全く知らなかった。いやー僕のためにあるようなバンドですね。60年代ポップスを今の視点から捉えなおして、BeatlesやBeach BoysやELOへの愛をセンスよくまとめている。アメリカンポップスとブリティッシュポップスのいいところを掛け合わせた感じは、最近のTeenage Fanclubに通じるかもしれない。エフェクトをかけたボーカルは、Elvis Costelloを思わせるスウィートビターな感じ。一発で気に入った。

この日の最後はGreen StageでThe Cure。安定してて無難にCureで、それほど思い入れないんで帰り道が混む前に帰ってきた。体調管理もマナーなので。23年ぶりの来日で、最後は「また23年後に会おう」で締めたそうだ。2日目に続く。