FUJI ROCK FESTIVAL '13 7.26-28

記憶の彼方から...。

2013年のFUJI ROCK、前夜祭から最終日まで参加した。いまは2014年の7月、翌年のFUJI ROCKの荷物を送り出した日。去年のレポートを書いていないことをずっと気にかけてた。
 書けなかった理由はふたつ、下書きを全部終えたMacBookがクラッシュしてデータが飛んでしまったこと。そしてもうひとつ、NGOビレッジの福島第一原発事故関係の展示物について、不謹慎ではないかとの声があがって、僕はブースの責任者と話してきた。ちゃんと調べて思うところをまとめようと苦心したけれどももやもやは消えなかった。帰宅した翌日、29日の日記をもう一度掲載する。

毎年根拠があったりなかったりのdisを受けるFUJI ROCK、今年とりわけて胸を痛めたのは、福島第一原発のパネルの前で防護服を着て写真を撮るコーナーがあるって話。このコーナーは実在しました。途中で撤収されました。ブースの責任者と直接話をして、意図についてある程度は納得しました。
 つまり、「いまでも炎天下で原発の収束作業をしている方がたくさんいます、どうですか防護服って重いでしょう」ってことを体感して欲しかったと。でも正直なところ、疑問は拭いきれませんでした。本来の意図はそうだったかも知れないけど、興味本位の展示と誤解される可能性を想像できなかったのか。

彼は「『写真を撮ってください』と言われたから撮ったお客さんもいる」と話した。でもスタッフのツイートでは、「防護服を着て記念撮影をするコーナー」と紹介されていたそうだ。意図が現場にちゃんと伝わっていたんだろうか。

もやもやを残しつつも、次の年の記憶に書き換えられる前に、覚えている範囲で記録をつけておく。

7月26日
この日は会場をぶらぶらして気になったものを観ていた。
The Sea And Cake : ポストロックはドラムが安定していればある程度格好がつく。全盛期に観た興奮には及ばなかったものの、昼間から涼やかな演奏が胸をすり抜ける心地いいステージだった。
 ほかに観たバンドは...残念ながら覚えていない。

7月27日
Priscilla Ahn : 高原の風の中、安定したバンドアンサンブルに守られた透明な声に恋をした。結婚を前提とした鑑賞、だった。 DJみそしるとMCごはん : 会場のThe Palace Of Wonderへと登るドラゴンドラが雷のために運行停止。まさかの中止になってしまった。 奥田民生 : FUJI ROCKにしてはメジャーに過ぎるかと思いきや、基礎体力でリスナーの心をがっちり掴んでいた。
 ゴアテックスも突き破る豪雨。ものすごく寒かった。ものすごく寒かった。テントに駆け込んで暖を取る。前にいるガールと体を温めあいたかったし、前のガールもそう思ってたはずってくらい寒かった。
 Karl Hyde : 空が明け、嘘みたいな夕焼けの中に溶けていくアンビエント。シチュエーションを味方につけて、魔法が起きていた。Green Stageで踊れないテクノは需要がなかったみたいだけど、僕にはこの日のベストアクト。 Bjork : 前回はエレクトロニカだったBjork、今回はコーラス隊を連れた有機的でダイナミックなステージだった。コーラス隊とのダンスは圧巻。

7月28日
前日の雨が祟って風邪を引いてしまった。宿で休んで午後になってから這い出し、Field Of Heavenで仲間と合流。世界一美味しいピザ (僕調べ) を食べた。
 Toro Y Moi : チルウェイヴというタームはどこへ消えたのか。骨太なロックサウンドを堪能した。 Vampire Weekend : お洒落でスマートなルックスから繰り出される大胆なアフロリズム。とにかく踊り狂った。この年の私的レコード大賞「Modern Vampires of the City」からの楽曲も含めて、いま一番大好きなバンドとの邂逅に酔いしれた。僕にはこの年のベストアクト。 Cat Power : この年はWhite Stageで締め。最後に相応しい乾いたサウンドとハスキーな声が染み入った。

帰り道、大盛りの蕎麦を頼んだら、お相撲さんが食べそうに巨大なのが出てきた。取り分けたらあっという間になくなって、もう一杯頼もうかなんて雰囲気に。心身ともに健康だったこの年のFUJI ROCKは、そんなふうに解散した。人類の末裔として、いつもハートに音楽を...。

そしていま。2014年の7月。体重が20キロ増え、自身のバンドの解散に伴うトラブルで体調を崩し衰弱し、3ヶ月寝込んでのFUJI ROCKを目前にしている。
 去年とは圧倒的に事情が違う。何度も見送ろうとしたし、実際同行者に断りを入れた。でも同行者が強く引っ張ってくれた。どうなるかわからない。体調の問題で迷惑をかけるかも知れない。でも乗り切ったらひとつ大きな自信に繋がると思ってる。今年こそあなたに会いたい。