FUJI ROCK FESTIVAL '14 7.24-25

2014年のFUJI ROCKは今までで一番思い入れがなく、今までで一番想い出に残るフェスになるだろう。
 5月に体調を崩してずっと寝込んでいた私は、体調的にも体力的にも行くのは無理だって判断したんだ。ところが毎年お世話になっている仲間に心尽くしのヘルプを頂いて、思い切って出かけることにした。行けば自信に繋がる、行かなければ必ず後悔するだろうって。着いちゃえばなんとかなるって甘い読みもあった。結果は前夜祭から疲れ果てて、おうちに帰りたかった。行って後悔してるけど、行かなかったらもっと後悔しただろう、くらいの充実度。来年は行くかといえば、行くんである。充分に体力をつけて行くんである。

猫を預けて東京駅までヌカタシの車で。車内のラジオはインターFMのFUJI ROCK特集だ。わざわざ車を出してくれたヌカタシはバイクに乗り換え、私は新幹線で現地へ向かう。越後湯沢駅でシャトルバスに乗り換え、快適に山を登る。民宿でツイッターしてると、この数日だけの懐かしいソウルメイトたちが次々とやってきた。
 宿を出て会場へ。チケットを交換し、屋台で食料を調達する。僕は話題になってた「まぜそば」を食べてみた。いわゆる油そばだ。エビの出汁が効いて混ぜれば混ぜるほど旨い。そして乾杯。初めて苗場音頭というものを聞いた。櫓の周りを浴衣のガールズが取り囲んで踊る。テンションはあがり続けて「もう1回!!」「もう1回!!」両手が開いてたら僕も踊りたかった。これも来年への目標だ。毎度おなじみの抽選大会や早食い大会に笑う。SANDIIが歌えば花火もあがる。

今年はKanye Westのキャンセルで集客が少ないと聞いた。確かに例年より空いてるような気がする。年齢層が毎年あがってるのも実感する。若年層の洋楽離れってこういうことだろうか。でもポツポツと、可愛いガールが歩いてて眼をひいた。で、疲れた。もう疲れた。ステージにもまだ届かない、OASISコーナーに行くだけで疲れた。上流のステージに行くのはこの時点で諦めた。
 前夜祭の様子は動画に収めた。

ゴンドラに乗って30分、標高1300メートルのDay Dreamingへ。去年は雷雨で中止になった食いしん坊Hip Hop、DJみそしるとMCごはんのステージへ。下界の喧騒から離れて着ぐるみが闊歩する広場。
 因縁のステージはラジオ体操から。おみそはんのライブにDJはいない、独りでGarageBandで打ち込んだオケに合わせてラップする。つまりはカラオケなんだけどさ、もうベストアクトでいいんじゃないかな。お客さん男女問わず瞳が恋してた。CDに入ってない新曲もどんどん作ってる様子、アマチュアリズムが売りのようでいて、ポップに韻を踏むソングライティングのセンスを感じた。やがてアイスクリームの材料を包んだ風呂敷が掲げられた。「これをシャバダバしてください!!」。自分は歌に戻って風呂敷が客席を回る。終演時にはアイスクリームが出来てたみたい (後ろに座ってたんで食べそこねた) 。

James Iha、Dachamboを体力的な問題でパスして、Slowdiveはちょっと頑張れば観れたんじゃないか、でもパスしてGreen Stageに椅子を広げてHunter Hayes。良くも悪くもアメリカの典型的なカントリーポップだった。Green Stageはハズレはないけど大当たりもないな。

Green Stageに椅子を広げたのは次の佐野元春&The Hobo King Bandを観るため。傑作アルバム「Visitors」30周年、完全再現ライブの場としてFUJI ROCKを選んだ。革新的で多分化的なあのアルバムには相応しい場だと思う。
 一曲目の「Complication Shakedown」からただごとじゃなかった。Hobo King Bandの圧倒的な演奏力、その中で力強くラップする佐野元春のリズム感。枯れてない。30年前にHip Hopに出会った衝撃がそのまま伝わってくるみたいだ。アルバムの最後を飾るヒット曲「New Age」そしてメンバー紹介。やたらやたらカメラがコーラスを抜くと思ったらLOVE PSYCHEDELICOの子だったみたい。ここまでMC一切なし、演奏だけで通したステージだった。最後の最後はデビュー曲「アンジェリーナ」がレゲエに化けて新しい輝きを放っていた。してやったり。

First Aid Kit、Talco、Controversial Sparkを体力的な問題でパスしてそのままGreen Stageに。

最近2ndアルバムが出たFoster The People、1stアルバムの大ヒットとその後、を観る観客がぎっしり。シンセポップのイメージでいたけどもギターがでっかい音をかき鳴らして、3人のサポートを入れて有機的なステージを繰り広げた。
 曲の途中でもどんどん楽器をコンバートして、ツインドラムになったりギタリストがキーボードを弾いたりボーカリストがドラムを叩いたり。フロントマンのMark Fosterが煽る中、これはヒットするわって緻密に構築されたポップソングが次から次へと押し寄せる。それでも世界中のフェスで受け入れられた、玄人好みのアートロック的なオルタナ感を失わない。日本のファンはどうかな。J-POPの客みたいに指をくるんとするポーズが目立った。それが似合うバンドでもないと思うのよ。

陽は暮れて、Bombay Bicycle Clubを体力的な問題でパス。今年のレポートはパスしたバンドも全部あげてく。

またもGreen Stageに残り、電気グルーヴ。白い階段みたいな舞台装置が組みあがっていく。これをどう使うのか。階段の中央に設けられたブースには卓球とサポートメンバーが一人、瀧は殆どかぶりものもせずに、階段を闊歩するのみ。階段は時にボリュームインジケーターみたいに光り輝いた!!
 「Shame」「Shameful」「ガリガリ君」「あすなろサンシャイン」と続いて「Shangri-La」、卓球もブースから出てボーカルの掛け合いが楽しい。「N.O.」ベタだ!! 締めは「富士山」。予定調和を少し外して例の煙が出る富士山のかぶりものはなしで。その代わりに青いコーンを気だるそうに振る。瀧はもうそこにいるだけで瀧、なのだった。「富士山!! 富士山!!」のコールが「FUJI ROCK!! FUJI ROCK!!」に変わっていくお決まりの流れに、少し涙が出た。テクノっていま何が新しいのかわからない、ブームが何周もまわって辿り着いた、伝統芸能としてのテクノだった。「虹」はもうやらないのかな。

Green Stageの同じ場所にとどまって、グラスゴーのTalking Headsと勝手に呼んでるFranz Ferdinand。何度もヘッドライナーに立ってるけれど、観たのは初めてかも知れない。去年出た4枚目の新作が良かったんで楽しみにしてた。期待を上回るステージだった。
 ポップな曲はあくまでポップに、みんなで歌えるように演奏する。アートな曲はとことんアートに、モノクロームの映像とシンクロする。曲のテンションに合わせてテンポがフレキシブルに変わっていく、スピード感をスピードで表現するバンドだった。コール・アンド・レスポンスの応酬、そしてシャウトやリリックにさえFUJI ROCKの言葉をどんどん折り込んで、観衆を味方につけてく。最後は4人で1台のドラムセットを叩くパフォーマンス。ぐっと来た。静寂の後のアンコール!! ヘッドライナーに相応しいなにかを観た。雨が降りそうだった空も、程よい涼しさだけを残して持ちこたえた。

The OrbとNarasiratoはパスして、脚を引きずるように帰宿。翌日からはさらに体力をセーブすることになる。

2日目に続く。