FUJI ROCK FESTIVAL '15 7.23-24

昨年2014年のFUJI ROCKは痛恨の体験だった。これまでの半生で一番体調と精神状態が悪い中で、FUJI ROCKを楽しめれば自信に繋がるんじゃないかっていう仲間の気遣いを頂いて、自分自身もそんな気がしてた。結局3日間を死んだ置物ように過ごして、帰宅してからますます体調を崩すことになった。
 今年は去年より体調がいい。もちろん万全には程遠いし、台風が来ているっていう不安要素もあった。結果、殆ど雨を降らせなかった空、太陽、森、川、空気、女の子、満喫したと言っていい。4万年前から続く音楽という現象をなぜこんなにも愛してしまうのか、自分のアイデンティティを確認する行為として存分なFUJI ROCKだった。

意気揚々と上越新幹線に乗り込んで、ひとつの気づきを得た。世の中には越後湯沢に止まらない「とき」が存在し、それがいま自分の乗っている列車であること。上越新幹線で一番乗降車数が少ない、越後湯沢の1/10しか利用しない浦佐には止まるという理不尽。高崎で乗り換えて波乱含みの旅が始まった。今年のシャトルバスはなんと乗車料金を取る。ガソリン代の高騰だろうか。円安のせいか出演者も例年に比べて小粒な印象で、日本のバンドがおおい。自分には縁がないと思っていた世界経済なる現象が、こんな形で降り掛かってくるとは。
 宿でいつもの仲間と再会。この時点でもう相当飲んでた。チケットを交換して前夜祭へ。遠くから苗場音頭が聴こえてきた。ああ、FUJI ROCKに帰ってきたんだな。去年はもうこの時点でおうちに帰りたかった。踊る人々を遠目に眺めながら日本酒をキュッと。鮎の塩焼きが旨い。例年の抽選会、司会の声が潰れてて殆ど聞き取れない。どうせ当たらないと仲間とのお喋りに興じた。

初日。起きたら霧雨。雨具を羽織ってField Of Heavenのチャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンへ。これくらいの天気のほうが涼しくて気持ちいい。
 シャンソンとバルカンがごちゃ混ぜになったみたいな姉妹デュオ+全員女性のバックバンド。ファンがめんどくさいイメージを持ってて、それはあながち間違いではないと思うんだけど、遠目に眺めてるぶんには楽しいパーティーバンドだった。Bay City Rollersの「Saturday Night」を「外出ない」って引きこもりの歌にする類のユーモア。3日間会場内で何度となく演奏したスウェーデンのRafvenをゲストに招く一幕は、演奏力の差が歴然とわかる公開処刑だった。
 Field Of Heavenの東山食堂のお姉さんがお茶目で可愛くて、この日はひたすら東山食堂でハイボールを飲んだ。関西ノリで「おかえりー」とか「いってらっしゃーい」とか言っちゃう感じが狡い。「32歳だけどええか?」それくらいが大好物です。

Gypsy Avalonに登って食糧を調達。みるチュー旨い。演奏していたのはUpendra and Friends。ネパールのインストバンドだ。キーボードとフルートを中心に、民族楽器がたくさん出てきた。無名のバンドでもいい演奏をすれば、これだけお客さんが集まるのがFUJI ROCK。盛りあがった。ネパールと言えば気になるのは地震だけど...募金箱的なものはなかったな。
 White Stageに降りてSunnyday Service。リアルタイムの頃から「スキルさんの好きそうなバンド」って言われてきたし、人脈的にも音楽的にも遠からずなんだけど、曽我部恵一の声が好みじゃなくて実は殆ど通過してない。3ピースであれだけ安定感のある演奏をするのはさすがだと思った。でもやっぱりじっくり聴く気にはなれなくて、再びField Of Heavenへ。

Chabo Bandを観た。「雨あがりの夜空に」や「毎日がブランニューデイ」を演奏して、清志郎のスピリットを背負ってると同時に、石田長生をも背負ってしまったな、「小さい翼」を演奏した。Dr. Kyonをはじめとして、ブルーズにじっくり向き合った圧倒的にかっこいいおじさまたち、時事問題を交えつつも緩やかなステージだった。
 続いてKitty, Daisy & Lewis。両親も音楽関係者の3姉弟バンド。この日もエンジニアを父親が、ギターを母親が務めた。イギリスのバンドだけど、至極真っ当なアメリカンロックって印象。僕には得られなかった、兄妹愛・親子愛というものが伝わってきた。ゲストとして、ジャマイカのトランペッターEddie "Tantan" Thorntonが入ってからは、アップテンポに盛りあがって踊らせてもらった。
 Sakuragumiのピザは、今年も最高に美味しかった。

そのままField Of Heavenに残ってハナレグミ。すっかりベテランの風格で、安心して聴けるステージ。声の良さは誰もが認めるところだけど、実はものすごくリズム感のいいシンガーだ。耳辺りは爽やかなのに、どっぷりソウルミュージック。心に入り込んでくる音楽だ。最後にはお決まりのように原田郁子が登場した。
 奥田民生は弾き語りのステージ。アコギとエレキを使い分けて、セットリストを決めずに思いついたように歌った。「弦2本だけ使って弾いてみます」(いわゆるパワーコードって意味じゃなく) なんて遊びもはさんで、緩いステージが続いた。寝ちゃった。同行者に起こされて、「マシマロ」「さすらい」「イージュー☆ライダー」は聴けた。

東山食堂のお姉さんに会いに行ったら、ウィスキーのボトルを空けるタイミングだったみたいで、原液かよってくらい濃いハイボールをくれた。飲みながら歩いて帰ったら翌日まで酒が残った。

2日目に続く。