FUJI ROCK FESTIVAL '05 7.30

2日目は気持ちよく晴れ渡り、途中参加のメンバーと合流。毎年恒例の場外ソフトクリーム売り場で、最高に美味しいソフトクリームを掲げて記念写真。とここまではよかったが、だんだん雲行きが怪しくなってきて、「いまポツンてこなかった?」「そんな縁起の悪いこと言うなあ!」の応酬の末、結局今回最悪の雨の日を迎えてしまうのだった。今年の雨は粒がでかい。当たって「イテッ」みたいな。
 まずは山奥のステージOrange Courtに登り、多分に場所取り的な意味でLeyonaを見る。思いのほかタイトでブルージーでした。本人は楽しんでいるようだが会場は大雨でテンション低め、空回り気味な印象。

で、100sだ。トイポップにアレンジされた第九をバックにメンバーが1人1人ゆっくりと登場。そして最後にポップスター中村一義が現れた。僕は中村一義という男について、繊細な宅緑の王子様というイメージを抱いていました。で、たぶんそれは間違ってないと思うんだが、あれから何度も季節を重ねた彼は、たくましく全身でロックするパフォーマーになっていた。時にマイクスタンドに体重を預け、時に両腕を掲げて高音を響かせる。この音を届けたいんだ俺は! 歌いたいことがあるんだ俺は! その思いは暖かい観客に受け入れられ、「1,2,3」で一体感は絶頂に。来てよかった、の呟きは本音だろう。そして「キャノンボール」。僕は死ぬように生きていたくはない! この曲を作った時の彼の心境が、緻密な宅録青年からエモーショナルなロッカーへと進化させたことは想像に難くない。
 メンバーの力量も確かなもの。バンマスの池田貴文はキーボードの上でピースサインを決め、全員にフロントマンとしての意識があった。確かにバンド、だった。

White Stageまで降りてサンボマスター見る。サンボマスターは僕に語りかけてたねー。「肌の色が赤だろうが青だろうが緑だろうが関係ない!外国のロックが偉いと思ってるやつは帰れ! 日本の恥さらしサンボマスターです! 君に歌ってもいいですか! ロックの真実なんて雑誌に聞いてくれ! 俺は歌いたいだけなんだ!」。「7月7日のテロの日、俺は無力だと感じた。だけど切実だから、切実だから愛と平和を叫んでいいですか! 世界はそれを愛と呼ぶんだぜー!」その言葉が彼らの8割を体現していたと思う。
 本当は最前列で踊り狂いながら聴くような音楽なんだろうが、僕は疲れ果てて後ろの方で椅子に座ってた。そうしたら残りの2割が見えてきた。確かな演奏力とソングライティング能力。叫び声だけじゃない、呟くようなささやくような歌声が透明で、むしろそっちに説得力を感じました。

Green Stageに降りて仲間たちと合流。Asian Dub Foundationを片耳で聴く。打ち込みのリズムにEG.とEB.そしてMC.が3人いたのかな。「色んな男の子のサンプルでジャニーズみたい」とは同行のたんぽぽさんの言。日本語がやたらと上手かった。「フジーもっと騒げ騒げー」みたいな。微笑ましくて、フェスには必要な存在なんだろうなー、こういうバンドは。

そして今年のFUJI ROCKの目玉、Beckが登場する。パーカッションにベース、ラップと音が重なってゆき、Beckがギターをかき鳴らした瞬間に景色がバーンと広がるオープニングはさすが。そこからもう引き込まれてしまった。前半はもうヒットアフターヒット。負け犬クリエイターとしての彼のイメージは覆され、エンターテイナーとしての一面を見た。ギターにCD-J、風琴のような不思議な鍵盤楽器を楽しそうに奏でては跳ね回る。後ろにはホモっぽい謎のダンサーが1人、自分ではなく彼にスポットを当てるシニカルなスタンスはBeckならではなのかな。
 ポップ攻勢は「Looser」「Sexx Laws」でひとまず打ち止め。やがてブルースマニアとしての彼の弾き語りコーナーが始まった。と思ったらバンドのメンバーがテーブルに集まって暇そうにパンを食べたりビールを飲んだり。だんだん曲に合わせて食器を叩き始め、最後は見事な食器パーカッションのアンサンブルが響き渡った。これには拍手喝采。そして怒濤の後半へ。最後は「E-Pro」。今年のベストアクトかな。

Fatboy SlimはパスしてWorld Restrantへ。一番奥の店で買ったロッカーズプレートっていう肉料理のいいとこどりセットと、その2軒隣のサングリアが今年のFUJI ROCKベストフード。突然の雷雨にびっくりして食べたらすぐに宿に走った。稲光りが見えたよガクガクブルブル。3日目に続く。