FUJI ROCK FESTIVAL '06 7.30

この日は朝から快晴。ちょっと早起きしてDouble Famous。しかしスケジュール変更で1時間半押し。陽射しがあちいですよ!
 やっと出てきた彼ら、見るたびに楽器編成が違う。今回は青柳拓次のアコーディオン、そしてトランペットとクラリネットがリードを取る(バンド名の由来のウクレレはどこへ行ったのか)。そんなことはどうでもよく、森を吹き抜ける風と共に流れてくるのは紛れもなくDouble Famous印の無国籍ダンスミュージックだ。中南米だったりアフリカだったり日本だったり、世界地図を眺めて空想の旅をしているような、そんなグルーヴに身を委ねた。前にいた若いグループが楽しそうに踊り狂っていて、それが正しい楽しみ方なのかも知れないと思った。おじさんちょっと酒が足りなかった。

Fishmans。これはもう僕らの世代には避けて通れない青春の想い出、なのだよね。でもライブを見るのは初めてで。見よう見ようと思ってるうちにさとちゃんが亡くなり、去年の再編ライブもチケット取れなかったんだ。欣ちゃんの「Fishmans!」のかけ声と跳ねるようなドラムス、そして柏原譲の低い低いベース、木暮晋也の暴れるギター、HONZIのとろけるようなバイオリン、僕は間違いなくFishmansを見た。
「Go!Go!Round This World」vo.茂木欣一
「Weather Report」vo.原田郁子
「感謝(驚)」vo.蔡忠浩
「In The Flight」vo.キセル
「Walking In The Rhythm」vo.UA
「Season」vo.pocopen
「Night Cruising」 vo.永積タカシ

痒いところに手が届く選曲じゃね? 全曲一緒に歌った、うるさかったらごめん。郁子ちゃんの伸び伸びした歌いっぷり、蔡くんの乗り移りっぷり、pocopenの独自の解釈、永積くんのおおらかさ。欣ちゃんが言う。「さとちゃんの曲を大自然の中で演奏できて幸せです。彼もそれを望んでたと思う」。ほんとにそうだといいけど。宇宙、日本、苗場の空に、さとちゃんはわりと降りてきてたと思うよ。ここはField Of Heaven。

Gypsy Avalonに登ってご飯パクパク。うめー! そしてThe Suzuki。武川雅寛のvl、tp、mand、川口義之のsax、perに、鈴木兄弟のアコギという編成。博文さんはなんでベースじゃなかったのかな。
 Trashcan Sinatrasの時も感じたんだがGypsy Avalonは音が悪い。2本のアコギが聴きわけられない。という環境ではあったが、Moonridersとはひと味違った彼らのルーツに迫った演奏を聴くことが出来た。「1972年、中津川フォークジャンボリーを思い出すな」なんて発言も飛び出したりして。Crazy Horseのカバー「I Don't Want To Talk About It」は何度聴いても素晴らしい訳詞だ。ブルーは涙 夜は黒。ちょうど陽も暮れていく頃だ。「米の国のクソやろう」とか歌ってて、その辺のスピリットは相変わらず。

White Stageに降りてSuper Furry Animals。このバンドには愛憎こもごも、方向性は決して嫌いじゃないんだがトゥーマッチな印象もあって、ライブではどっちに転ぶかわからなかった。結果はばっちり。赤レンジャーみたいなヘルメットをかぶって、でも穴が目のところしか空いてないからそこにマイクをくっつけるの。かと思えばポテトチップスを食べる音をマイクで拾ったり、学芸会レベルのアイデアに笑った。チープなシンセが駆け回る同期モノ、ギター掻きならすブリット・ポップ、ブルースルーツを感じさせる曲、プログレ的な組曲、コーラスものもあったな。そのどれもがいびつでバランスが悪い。そのバランスの悪さがたまらなくロックだ。
 最後にはスクリーンにブッシュ大統領とブレア首相の顔写真が点滅して「どこの政府も嘘つきで殺人者だ」のテロップが。そしてスタッフの写真、今年のFUJI ROCKの写真が高速で流れ、「おつかれ ありがとう 次はMogwaiだ」って気遣いも忘れない。その反骨精神もロックだし気遣いもロックだ。

最後はMogweiを見るかHappy Mondaysを見るか迷ったんだが、多分に世代的な要素でHappy Mondaysにする。
 いやーいまだにマッドチェスターやってることに感動すら覚えた。あのコード進行、あのベースライン、あのリズムパターン。16分で入るハイハットとか。ドンドンパッツドンドンドパッツみたいなの。そしてソウルフルなコーラス。でもどうしてもソウルにはなれない、ブリットポップなの。そういう意味ではStonesが辿った道と近いものを感じた。そして歩き回ってるだけのBez。Bezの役割はBezなんだよな。瀧が瀧みたいなもんで。終演後、小さな女の子が出てきてアンコールを煽る。当然沸き上がる歓声。でも「酔っ払っててステージに戻れない状態です」との説明が。それってほんとにアルコールなのかーと誰もが思ったに違いない。

World Restaurantで飯を食う。うめー! そして苗場食堂からは、Jenny Lewisのリズムにすっかり負けてるキセルの音が。あーもうすぐ今年のFUJI ROCKも終わるんだなー。宿へ帰る道すがら、遠ざかるベースラインに感傷的な気分になり、そしておそらく来年も僕はFUJI ROCKに行くのだろう。いつもハートに音楽を。As long as there is music, the fun goes on!